愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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今回から少し過去に遡ってストーリーに入ります。


少し過去:エデン条約編
20話


ゲヘナとトリニティの境界の教会(激ウマギャグ)。

 

清川シエルはそこで武具の手入れをしていた。

 

一つは黒鍵。

 

元々はとある古聖堂の巨大な石正十字を加工し、それに異端なるもの(・・・・・・)の血を混ぜ合わせることで擬似的ではあるが異端を打ち払い、或いは滅却する摂理の鍵としたもの。

 

そして、その隣に並んでいる朱槍。

 

――――――穿ちの朱槍(ゲイ・ボルク)

ケルト神話に置いて、クラン、或いはアルスターの猛犬。

ある世界では光の御子と謳われる戦士、クー・フーリンの振るった槍…

 

 

…に精巧に似せて造られた模造品。

当然、本来の朱槍に存在している因果逆転の呪いも、無数の鏃へと分かたれ穿つ力も存在していない。

 

 

 

「…でもマスター。その槍でアレ(・・)ブチ抜いて落としてたじゃないですか。

それにあのとき分裂もしてましたよ?」

 

「――――――なんだ、起きていたのかセブン

 

あれは分裂したのではない。二本一対の槍が別々の一本ずつに分かれて飛んだだけだ」

 

「…あー。一本の槍を半分に開くようにして、また別の開いた一本とくっつけたんでしたっけ?

凄いですよねぇ、エンジニア部って」

 

「ああ。この槍だけに限った話ではない。

ここに置いてある多くの武器はほぼ全てがエンジニア部の手によって作られたものだ」

 

そして、なぜその様な武器達を作りだすに至ったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――エデン条約編。

 

ブルーアーカイブと呼ばれるこの世界において、一二を争うほどに知られた話であり、多くの被害をもたらした話。

 

これは、その記錄だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「『ゲイボルク』…ケルト神話における魔槍だったか。

その名を冠した槍を、私達に作ってほしいと?」

 

「そういうことだ。更に、ただの槍ではない様な機能も搭載してもらいたい。

これは簡易的な設計図だ」

 

「………ヒビキ、コトリ。君たちも目を通してくれるかい?」

 

「はい!」

 

「…」

 

『エデン条約編』の少し前。

私はミレニアムはエンジニア部に訪れていた。

 

この物語での敵となる存在…アリウス一派及びその後ろに控える存在に対抗するための武器を制作してもらうためだ。

 

が。部長のウタハ、及び彼女に呼ばれ目を通したヒビキとコトリは設計図を見て…苦い表情を浮かべた。

やはり無理があったか?

 

「シエル」

 

「…何だ、ウタハ部長。随分と険しい顔付きだが」

 

「そうもなるさ。この槍…特に機能なんだけどね」

 

「…やはり無理な注文だったか?ならばどうにか別の」

 

「いや、そういうことじゃないんだ」

 

「?」

 

「『作ること』自体に問題はないんだ。

 

…問題なのは、その用途。

『指定した相手・物を確実に打ち穿くまで追い続けるホーミング機能』なんて、何に使うつもりだい?」

 

「………ゲヘナに限った話でもないが、最近では銃や徒手空拳だけでは御しきれない者も現れ始めている。

そういった連中を一撃でどうにかするにはこういうものもアリかと思ったんだ」

 

「仮にそうでも、それで無力化出来るのはせいぜいオートマタぐらいだろう。

…それに、槍である必要はあるのかい?」

 

確かにそうだ。

キヴォトスは銃や爆弾が一般的に流通しているほどの銃社会。

 

そんな中で剣や槍で戦おうとする愚か者などそうそう居ないだろう。

だが、この槍は今後どうしても必要になってくる。

 

悪いが…切り札を切らせてもらうぞ。

 

「…確かに、このキヴォトスに置いてわざわざ槍を使うのはおかしな話だろう。

だが…そうだな。強いて言うならば…」

 

「言うなら?」

 

 

 

 

 

「とてもロマンを感じるから、だろうか」

 

「オーケー。任せてくれ」

 

やったぜ。

 

 

「ついでに、他にも作ってもらいたい物がある。

良ければ目を通してもらいたい」

 

「ふむ…『互いに引き寄せ合う夫婦剣』、『一突きすればあらゆる機械の動きを即刻停止させることの出来る短剣』、『装着者を隠蔽することの出来るマント』…おお、どれも面白そうだ!」

 

「夫婦剣は磁力作用をつければ…でも、強すぎると両手剣として使い物にならなくなるのかな…」

 

「マントはステルス機能を応用すればいけそうです!

繊維に細やかな機械部品を混ぜ込めば…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は代わり、ゲヘナ学園地下修練場。

 

ただただ広大なコンクリート造りの空間に適当な的やサンドバッグ代わりの人形、更に中央には巨大な機械人形が配置されている空間。

 

…その中心に、多くの残骸に囲まれて清川シエルは立っている。

 

 

「ちょっ…何ですかコレは!?」

 

「ん?…何だ天雨アコ。

こんな深夜にわざわざ訓練か?」

 

「いや、『修練場が騒がしい』って報告があって来たんですけど…というか、何がどうしてこうなったんです!?

特に中央のマシンなんてわざわざミレニアムに作らせた特注品なのに…!

何が『銃でも爆弾でも破壊できない』ですか…!」

 

「技術とは日々進歩していくものだろう。

いつ作られたのか分からない木偶人形よりも、今作られたこの槍の方が優れていた。

それだけの話だ」

 

「なっ…やっぱり貴方が犯人じゃないですか!!

 

…え?槍?

銃でも爆弾でもなく?槍ですか?」

 

「そうだ。

さて、夜も遅いし私は寝るとしようか。エデン条約締結の日も近いからな」

 

「は?それとなんの関係が…というか、少しぐらい片付けていってもらえませんか!?ちょっと!聞いてますか!!?」

 

 

 

 

 

――――――エデン条約まで、あと3日。

 

 

 

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