過去編、エデン条約編第三話です。
清川シエルの本日の用事。
ヴァルキューレ警察学校を尋ねる。
アリウスについて再度情報を叩き込む。
いよいよ迫ったエデン条約締結日に行う迎撃地点の再確認、及びその武装の最終確認。
そういうわけで私は早速ヴァルキューレにやってきたぞっ
「失礼。本日アポイントメントを取っていたゲヘナの清川シエルです」
「あ…ようこそ。
えっと、シエル、シエル…はい、たしかに確認しました。
要件が…え!?」
「どうした?なにか問題が?」
「い、いえ…でも、大丈夫ですか?」
「何がだ?出来るなら早く案内してもらいたいのだが」
「は、ハイ…」
「えっと…こちらです」
入口から大分歩き、更に
ここに、
「あ、それと…これを。」
「…これは?」
「緊急通報装置です。
あいつら、まだ何を隠してるのか分かったもんじゃないので…」
「成る程…忠告痛み入る。何かあったら使わせてもらおう」
案内してくれたうえ生徒と別れ、数多くの牢の前を歩く。
この牢に入っているものはどいつもこいつも生気を抜かれたかのように項垂れ、動こうとはしない。
それは…どうやら、この連中も例外ではないようだ。
「おい、私の声が聞こえているか」
「………」
やはりというべきか、だんまりを決め込んできた。
まあ、気持ちは分かる。
後ろに
だが…それは逆に弱点にもなりうる。
「…ベアトリーチェ」
「「「!!?」」」
アリウス生徒達の身体が地面から跳ねる。
信じられない物を見るかのように目を見開き、瞳孔を開き、私を恐る恐る見つめた。
「お前、その名…どこから」
「さあ?最もその名前をどこの誰がよく知っているのか…お前達が
「………ッ、まさか」
「おい、耳を貸すな!!」
「うっ、しかし…」
「………他にも名前を上げてやろうか?
錠前サオリ、秤アツコ、戒野ミサキ、槌永ヒヨリ」
「なっ…!!」
私が話しかけたアリウス生徒以外も目を見開き動揺を顕にする。
当然だろうな。
そもそも存在が隠匿されていた
まあ、これもアズサからの情報(という表向きの理由で隠された前世からの知識)の賜物なのだが。
「さあ、お前達の知っている情報を私はどこまで引き出せるのだろうな。
…そして、その後お前達はどうなるのだろうな?
それこそ、存在も名も…
…そういえば、お前達は『ヘイローを破壊する爆弾』とやらも持っていたのだったか?
次にその矛先が向くのは…フッ」
「あ、あ…」
「…もし、私にお前達の知っている情報をよこすのならば…その先の口添えをしてやらんでもない。
しかし、それが必要な情報かも分からない…要らないものを貰っても何かを返そうとも思えないからな…さて、どうしたものか…」
「………おい」
「ん?」
「…アリウスには…キヴォトス外の技術力の兵器がある」
「………それで?」
「………」
「何だって?それだけなのか?
『兵器がある』だけでは大したありがたみもない。
もっと詳しく」
「…兵器の飛行経路を教える!!」
…有り難いな。
それは私の望んでいたものだ。
「…ここか。
『通功の古聖堂』…この地下にアリウスのカタコンペがあるのだったな」
アリウスの敗残兵から情報を引き出した私は、キヴォトス各地の戦場になる場所、及び巡航ミサイル迎撃の為の出来得る限り高所を周っていた。
そして現在居るのは通功の古聖堂。
エデン条約調印式…その舞台となる場所だ。
しかし…
「…存外、人が多いな。
まあ、調印式が目と鼻の先ということを考えれば当然か…」
「…ん?あれ!?
シエル代行!どうしてここに…!」
「いや、せっかくだから下見でもしておこうかと思ったのだが…迷惑ならばすぐにでも立ち去ろう」
「い、いえそんな!是非見ていってください…!」
と、我等がゲヘナ風紀委員会の一般部員は言った。
そういうことならばお言葉に甘えて、存分に探索させてもらうとしようか。
そして、私はそれを見つけた。
地下へ続く階段。
私の記憶が確かならば、この下で秤アツコとゲマトリア…ええと、名前はなんだったか?
まあどうでもいいか。
二人が契約を交わし、アリウスはユスティナ聖徒会の複製達を操り人形にする力を得るわけだ。
…打てる手は打っておく。
「―――――――『
これで見回りも終了…後は、武装の最終確認か。
久方ぶりの己の教会。
ここ最近はゲヘナでの仕事や寝泊まりがほぼ毎日だったこともあり、心做しか教会も汚れが溜まっている。
…諸々の用が片付いたら、改めて掃除でもしよう。
いや…待てよ。
もう一人の裏切り者である
おっと、またしても話が逸れたな。
悪い癖だなコレは…
教会地下。
そこに並んだ多くの石棺。
その一つをズズズ…と押し開く。
その中にあるのは、一冊の聖書。
ただし、それは見るも無惨、指先がほんの一触でもしてしまえば朽ち果てて崩れ落ちてしまいそうな。
そんな聖書が石棺の中にポツリと置かれていた。
「…起きろセブン。仕事の時間だ」
シエルの言葉に呼応するように、手も風も触れていない聖書が独りでにその表を上げパラパラと開かれていく。
そして、その中心で動きを止め、聖書は光を放ち。
「ふぁあ…お呼びですかマスター?
わたしが起こされるなんて…あ。
ついにキヴォトスvsマスターとわたしの全面戦争でも始めるんですk痛ぁ!!?」
ベラベラと暴走お喋りが止まらなくなった聖書だった少女に手刀を一発。
コイツこそがセブン。
聖書『第七聖典』の聖霊である、エルフ耳の金髪の少女。
その実態は…いや、今はそんな事はどうでもいい。
「キヴォトスと…まではいかないが、随分と面白い相手だぞ。
アリウス…平和ボケなキヴォトスの中では指折りの精鋭たちだ」
「えー。結局生徒じゃないですかぁ!
そんな連中一発ぶち込んでやったらはいおしまいですよ!つまんなーい!」
「…敵の中には『ユスティナ聖徒会』も居るぞ?」
「…へえ?」
セブンの口角が釣り上がる。
「へえ!そうなんですか!
マスターってば人が悪いなぁ!それなら早く言ってくれればいいのに!
そうと決まればわたし張り切っちゃいますよー!
一撃で連中の身体、骨も肉も粉みたいにしてやります!!」
やる気になってくれたようで何よりだ。
セブンを発見した場所や彼女から聞いていた
とはいえ、ここまでやる気元気本気モードになってくれるとは。
「そうときまれば最中調整に入るぞ、セブン。
「了解ですマスター!」
そして、ついにその日を迎える。
―――――――――エデン条約、調印式。当日。
セブン
金髪蒼眼、エルフ耳のロリ少女。
元の姿はボロボロの聖書で、ユスティナ聖徒会に強い憎しみを持っているようだが…
CV:Machico