愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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文才/Zero




28話

――――――桐藤ナギサのあの言葉を思い出す。

 

『トリニティとゲヘナで連合軍を編成し、アリウスを討ち滅ぼす』。

確かに、彼女はそう言ったのだ。

 

そして、その後に語られた、彼女の胸中。

 

それを聞いて、その姿を見て、止めることなど出来なかった。

 

 

 

―――――――だが、そんな事を許して良いはずがない。

 

 

あんな苦しみを、他の皆…ヒフミや、コハル、ハナコ、多くの自分や先生を助けてくれた人達に味合わせるわけにはいかない。

 

 

 

―――――――――――あんな苦しみを味わうのは、私だけで十分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく来たな、先生」

 

「シエル…何でここに。

というか、ここは…」

 

「ここは私の夢の中。

そこに、君たちが入ってきた…そういう解釈で良いのかな」

 

「…えっと。セイア、だっけ?

ティーパーティーってことは、ナギサやミカの…」

 

「まあ、同僚、ということになるのかな?改めて初めまして、先生」

 

「…初めまして」

 

「まあ、取り敢えず座ってほしい。

どうせそう簡単に目覚めはしないだろう?」

 

そう言って円卓の椅子を一つ引くセイア。

他にどうしようもなさそうだし、一先ず腰掛ける。

 

…座った直後、スッと眼の前に紅茶の入ったカップが差し出された。

ここ本当に夢の中?

 

そして…

 

 

「シエル、その…ここに居るってことは、手術は上手く行ったってことでいいんだよね?」

 

「まあ、そうだな。少なくとも肉体は助かっただろう。だが………」

 

「………清川シエルが目覚める未来までは、流石に見えなかったよ。

それほどに激しい負傷だ」

 

「?未来?見える…?」

 

「ああ済まない、先生。

私はその…予知夢のような事が出来るんだ。まあ、この『夢』を通じて色々なものを見ることが出来る、というのが大本で…予知夢はその副産物のようなものなんだがね」

 

「………それで、セイアは今回のことを見ていたの?」

 

「そうだ。最も、何もかも全てが見えるわけじゃないけどね」

 

 

 

 

 

 

 

「…夢の話はそれで良いだろう。セイア。

 

そろそろ本題(・・)に入るべきだ」

 

「…そうだね。

 

先生、君はキヴォトスの外部から来た人間であり大人だ。となれば、契約、取引…そういった『約束事』のもつ重要性についてよく知っていることだろう。

 

例えば『悪魔との契約』というものがあるだろう?昔話においても『驚異的な何かが不注意な約束をしてしまったがために敗北する』、あるいはその逆に『そういった約束により打ち勝つ』というお話は幾つもある。

 

 

…だけど、そこからはこうも読み取れないかい?

 

単純な紙切れ、あるいは口約束に過ぎないとしても………『約束』というものは時に何かを強く拘束し、定義づけることもある。

契約、戒律、約束……こういったものはそれら昔話と同様に、キヴォトスにおいても重要な概念だ」

 

「…戒律。ユスティナ聖徒会の話でもでてきたね。

アレはかつて『戒律の守護者』だったって」

 

「そう。トリニティの経典には太古の始まりの『神性』、そしてそれとの間に締結された10の戒名が描かれている。

 

その他にも、私達は原初において『約束』を破ったから楽園から追放されたのだ………そのようなことも書き伝えられている。

 

とはいえ、この話は今更かな。なにせ実際に君は、そういった概念を利用した誰かを救ったことがあったはずだ」

 

「………ホシノの事を知ってるの?」

 

「それも『予知夢』のうちのことだよ。

 

…その時のことを思い出してほしい。『ゲマトリア』と呼ばれたアレは、アビドスの生徒に何かを強いることはできず、ただ『契約』を要求していた。

その契約が成立しないとなれば、ゲマトリアは退くしかなかっただろう

 

…この事件もまた、そういうことだ。『エデン条約』…これ自体はあくまでも、トリニティとゲヘナという2つの学園の間の約束事に過ぎなかった。」

 

「だが、そこにアリウスが介入したことで事態は変わった。

 

条約を交わす場所…『通功の古聖堂』。そしてその場に集結した資格を持つ者たち。

それらが揃ったことにより、ただの約束事に過ぎなかった条約は大きな意味を持つこととなった」

 

「………『第一回公会議』の再現。

 

そこに存在していた『戒律』の守護者だったユスティナ聖徒会が現れたのは…そういうことだったんだね」

 

「あくまでも贋作…『複製(ミメシス)』として特殊な形による顕現ではあったがな。

まあ、言うなればアリウスの連中は事が運びやすくなるような場を再現し…」

 

「契約を自分達の望む形に曲解し、歪曲し、望む結果を捏造した。

…これがゲマトリアの言う、『大人のやり方』」

 

「………ッ」

 

『大人のやり方』という言葉に、酷く腸が煮えくり返りそうになる。いや、煮えたぎった。

つくづく、あの連中には腹が立つ。

 

そして、その発言から考えうる結論は。

 

「アリウスには、あの人形以外にも『ゲマトリア』が控えている…」

 

「…断定はできないが、ほぼ確定的だろうね。

数百年前にカタコンベを伝ってキヴォトス外に押しやられた彼女達が、唐突に契約の曲解やあんなもの(巡航ミサイル)を入手できるとは思えない。

 

…まあ、それを撃墜してしまったり、契約と顕現そのものを無力化してしまう例外が今まさにここに居るわけなんだが」

 

「…まあ、それもかつてユスティナ聖徒会が遺したものを再利用しているに過ぎないがな。かつて本物が遺したものが贋物の自分達の首を締めることとなろうとは皮肉なものだ。

 

―――さて、先生」

 

カップをカタリ、とテーブルに置いたシエルは、こちらを見据えた。

 

「色々と話したが…現在の状況はとても深刻だ。

 

トリニティとゲヘナは私とセイアという被害者を出したものの…戦力としてはほぼ万全だ。

このまま行けばナギサとヒナ…は、動けそうにもないな。

 

納得はいかないが、羽沼マコト(どうしようもない愚か者)もアリウスに騙された側だ。

二人の間に改めて条約が交わされ、アリウスを完全に淘汰するために動き出すだろう」

 

「完全に、淘汰…それは、つまり…最悪、殺人だって…」

 

「それはどちらが(・・・・)するんだ?

まあ、アリウスには件の爆弾もある。かと言ってそんな物がある以上トリニティとゲヘナも容赦はしないだろう。

 

あんな危険物を数多く抱えるものを許してはおけない…そんな大義名分を得てしまった以上はな」

 

「―――――ッ」

 

『あんな物を好き勝手に使役できる奴らのほうが余程野蛮ではないですか!!

 

 

そしてもう、その矛先がいつ我々にも向けられるのか分からないんですよ!!撃たれてからでは遅い…!!』

 

ナギサのあの姿と言葉が脳裏をよぎった。

だが、それは…未来ある生徒(子供)たちに、そんなことは。

 

…なら、自分はそれを止められるのか?

大切なものを傷つけられ、あるいはそれを恐れ怒る者たちを、私の意思一つでどうにか出来るものなのか?

 

 

 

 

 

 

 

「……………先生。この際だ、私の意見をハッキリと申し上げておこうか」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何かを対価として払わずに得られるものなど存在しない。物を得る際に対価として金を支払うように、契約の際に納得の行く条件を出すように。

 

この戦いも、トリニティとゲヘナ、あるいはアリウスのどちらかが消えるまで終わることはないだろう」

 

「………そんな、そんな、こと…」

 

無い。とは言えなかった。

 

互いに怒りと憎悪を向け合い、ぶつかろうとしている中で、『そんなことはない』とは。

 

 

 

 

 

「……………そこで、先生に質問だ。

題は…『選択と決断』といったところか」

 

シエルはどこからともなくブラウン管テレビを取り出し、テーブルの上に置く。

スイッチを入れること無く起動したソレに、映像が浮かんだ。

 

「……………2隻の、船?」

 

「海上を航海中の2隻の船。仮にこの船に同時に致命的な大穴が空いたとしよう。片方には300人。もう片方には200人の乗客が乗っている。

 

そこに、先生も居る。船を直せる技術を持っているのは先生だけ。2つの船を修理できる余裕はない。助けられるのは1つだけだ。さあ、どちらを助ける?」

 

「…………………………」

 

「…とても、難しい質問だね。

普段の先生ならば『どちらも助ける方法を探す』と当然のように言ってしまうんだろう。だけど…」

 

「当然、そんな余裕はない。今すぐどちらかの船を直さなくてはどちらの船の人間も死ぬ。当然その場にいる先生も、だ。

 

さあ、どちらを助けるんだ?」

 

 

 

「……………ッ」

 

そんなもの、決まっているのかもしれない。

だけど、それはあまりにも残酷な答えだ。

 

例えそれで多くを助けられても、それは少数を見殺しにするのと何ら変わらない。

 

でも、その状況では…

 

 

 

「300人が、乗った船を…直す」

 

「…先生がそう選択すると。200人の者がお前を拉致し、こちらの船を先に直せと要求してきた。さあ、そうなった場合お前はどうする」

 

「―――――――――――――」

 

 

またしても、嫌な質問が飛んできた。

 

少しでも多くを助けるのなら、振り払ってでも300を救うために行動すべきだろう。

だが、私を拉致するほど必死な200人がそのまま300人の船を直すことを了承するとは思えない。

 

なら――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

景色が変わった。

 

海上を奔る船の上。

 

周りには赤い液体(・・・・)を垂れ流しながら倒れる人間。

その数は…数えなくても察しがついた。

 

 

 

 

「そう、お前は正しい、先生。

 

300を救うため、200人全てを鏖殺する。実に理に適った選択だ

 

「―――――さて、生き残った300人は破損した船を乗り捨て、新しく小さな船に乗り航海を続ける。

 

ところがまたしても両方の船に同時に穴が空いた。片方には200人、もう片方には100人。

 

お前は100人の船に拉致され、先に直せと要求される。さあ、どちらを助ける」

 

「――――――――ッ」

 

 

 

 

またしても景色が切り替わった。

 

船は無事、地上へと辿り着いた。

 

その船から降りてきたのは200人。

 

そして、そのために犠牲になったのは…

 

 

 

 

そうだ。それでいい。それは正しい選択だ。

 

 

 

 

 

馬鹿な――――――そんな馬鹿な!!

 

何が正しいっていうんだ!!

 

最終的に助けられたのは200人、その為に死んだのは300人。これじゃあ天秤の針があべこべだ!!

 

 

 

 

「いや、間違っていない。お前はその場において少しでも多くの命を救うために行動している。

その結果、少数の命が犠牲になろうと、そんなものは結果論に過ぎない

 

例え多くの屍を山のように築こうと、その行為によって救われたものが確かに存在するのなら、そこにあるのなら、それは尊いもののはずだ」

 

 

 

 

これが…………これが、シエルの見せたかったものなのか?

 

 

 

「そうだ。これが今回の事に幕を引くための回答。

 

エデン条約の物語を綺麗で完結的に収めるための最適解だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――また、景色が切り替わった。

 

強い憎悪を浮かべ、戒律の守護者とともにエデン条約を守るという名目のもと、トリニティとゲヘナを討ち滅ぼそうとするアリウス。

 

自らやそこに抱える多くを守らんとし、迎え撃ち逆に滅ぼそうとするトリニティとゲヘナ。

 

 

私は、その境界に立っていた。

 

 

 

「さあ、最後の質問だ、先生。

 

 

自らの復讐を果たそうとするアリウス(少数)、それを迎え撃つトリニティとゲヘナ(多数)。お前はどちらを救うんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――答えられない。

 

答えなんて、出したくない。

 

だって、どちらにつこうと。

 

その先にあるものは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…先生。これが答えだ。

 

これが物語の結末。全てが破局へと繋がるエンディング。

ここから先を見たところで、無意味な苦痛が連なるだけだ。

 

これはつまるところ各位が追い詰められ、結局誰かが誰かを殺める物語。誰かが人殺しにならざるを得ない話。

 

不快で、不愉快で、忌まわしくて、眉を顰めたくなるようなお話だ。

悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような、それでいてただただ後味が苦いお話…そうは思わないかい」

 

「だが、起こっていることは紛れもなく真実であり事実だ。

このまま手をこまねいていれば遠からずトリニティ・ゲヘナの連合とアリウスは間違いなく衝突する。

 

最悪、共倒れもありうることだろう。

その結果、最も得をするのは…果たして誰なのだろうな」

 

 

 

「……………」

 

そうだ。

 

だったら止めるしかない。

 

未来ある『子供』を利用する『大人』の卑怯で非道な行いを、許して良いはずがないのだから。

 

だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『統合するものとして彼女たちもトリニティになる可能性は――――』

 

『『トリニティとゲヘナの間に紛争行為が起こった際、「エデン条約機構」がそこに介入し解決する』…

そこに『「エデン条約機構」はアリウススクワッドが担う』―――――』

 

『戒律は本物―――――

 

条約の戒律の権限がアリウススクワッドにある以上、ユスティナ聖徒会の複製は戒律の守護者たるあの者達を助ける――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、なんだ。

 

方法なら、あるじゃないか。

 

連中が、『大人のやり方』でエデン条約を己のものにしたと言うなら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんセイア、シエル。

 

やらなきゃいけないことができたから、戻るよ」

 

「…何だって?」

 

「先生――――まだ私の問に対する答えを聞けていないが?

それをハッキリとさせていってもらおうか?」

 

 

 

「…もし、どちらに着くか、という点だけ(・・・・・・)を答えるのなら。

私は、トリニティとゲヘナの皆を助けるよ」

 

「…そうか。それが、君の決断なら「勘違いしないで、セイア」…え?」

 

「トリニティとゲヘナの皆は助ける。でもアリウスの生徒達を殺させたりなんてしない。

それが、私の答え」

 

「な…何を言っているんだい、先生?そんな事が…」

 

「先程も言ったはずだ、先生。そんな余裕も選択肢も存在していると思うのか?

あと一歩、ナギサとゲヘナの代表が改めて契約を交わせば…いや、最悪交わさずともトリニティはアリウスを滅ぼすために動くだろう。

そんな中で、先生はどちらも救うと?」

 

「そうだよ。私は、トリニティとゲヘナの皆を助けることも、アリウスを止めることも諦めない」

 

「傲慢だ。お前一人がどうこうしたところで、今にも噴火せんとする火山を止めるというに等しい行いだぞ?」

 

「それでも…だよ。

それに、選択肢が無いなら(・・・・・・・・)自分で作るだけ(・・・・・・・)の話だ

 

 

 

 

「「……………」」

 

正気を疑うような発言だ。

言うは易く行うは難し。

 

そんな馬鹿げな行いは、到底実現できるものではない。

にも関わらず先生は…眼の前の男はそれを当然の選択のように言ってのける。

 

しばらく言葉を失い硬直したシエルとセイアだったが、

 

 

「――――――ク、フフ、ハハハ…!

 

ああ、そうだな。それでこそ先生というものだ」

 

「な、シエル、君は…!」

 

「行ってくるが良い、先生。

貴方(・・)がどんな決断をし、どの様にこの物語を導くのか…せいぜい楽しみに見守らせてもらうとしよう」

 

「……………あ。

そういえばシエル、途中で私のこと『お前』って言ってたよね」

 

「何の話だ?」

 

「…まあいいか。その話は、起きてからゆっくりすることにして。

じゃあ、もう行くね」

 

「…待ってほしい、先生。なら、私からも聞かせてほしいことがある

 

以前、聞いた…いや、もしかしたら初めてかもしれないが…

『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』

 

君は、これをどう思っているんだい?」

 

「…うーん…難しい質問だけど…

 

楽園がそこにあって、そこから帰らなかったり、それに見合う証明が無かったり…色々あるけど…ああくそ、上手く言えないな

 

でもさ、信じることは出来ると思うんだ」

 

「…信じる?」

 

「確かにあれこれ構わず信じていたら、騙されてバカを見る…なんてこともあるかも知れない。

でも、だからってあれもこれも疑っていたらその場で動けなくなってしまう。

 

そしたら、人と人との繋がりとか、絆とか…それも無くなってしまうと思うんだ。

そんなのは、嫌だから」

 

「…なら、先生は、これを信じるかどうかの問題だと?

『どう証明するのか』ではなく、『それをどう信じるか』という問題だと思っているのかい…?」

 

「…うーん。これ以上は哲学的と言うか、解釈次第というか…とにかく、この場じゃ答えが出せそうにないね。

それも、色々と片付いた後でもいいかな?」

 

「…なら、最後にもう一つ聞きたいことがある。

ただ信じたところで、何も変わりはしない。それによって何が変わるかなんて、保証もできない。

 

信じたところで、そこにはなんの意味もないだろう…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水着じゃなくて下着だと思えば、それは下着だから。」

 

 

 

「…は?」

 

「…フッ」

 

一見意味不明…いや、この場だけ見た者達からすればそれ以外の何者でもないのだが…その先生の一言にセイアは年相応の少女らしく赤面し、シエルは不敵な笑みをこぼした。

 

 

 

「え、は…?水着?下着?いきなり何の話を…」

 

「ごめん、それもまた起きた後でってことに!それじゃ!!」

 

 

「…先生。私からも一言、伝言を頼めるか?」

 

「ん?」

 

 

 

 

「―――――――――――――」

 

 

 

 

「はは。シエルは厳しいなあ」

 

「生憎、私はこういう人間なのでね。今更どうにもならん。

…しっかりと伝えてくれよ、先生」

 

「任せて。

…シエルも、早く元気になるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背を向け、扉を押し開く。

 

我ながら、これからやろうとしていることを思うと頭が痛くなる。

 

前へ。

 

何の保証があってそんな事を決断したんだか。

 

それでも前へ。

 

その答えなんて、所詮仮説に過ぎないのに。

 

この向こう側に。

 

上手くいく保証なんて無いのに。

 

この苦難をを越えて、前へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めた。

 

枕元に置いてあったシッテムの箱を取り、時間を確認。

 

驚いたことに、眠りについてから十分も経っていなかった。

 

 

 

 

 

『――です!絶対―――ません!』

 

…遠くから、誰かの叫ぶ声が聞こえた。

どうやら、早速先生として…大人としてやらなければならないことがあるようだ。

 

 




作者は哲学者じゃないんで七つの古則はガン無視してます。
元々この小説愉悦を愉しむもんだし是非もないよネ((((((((
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