愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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水着ヒナタ天井ッッッ

水着ハナコ160連目ッッッ

私の諭吉がッッッ 消えてゆくッッッッッッ


本編、どうぞ


32話

『終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!

 

 

私たちの物語…

 

私たちの、

青春の物語を!!』

 

…自らを『普通の少女』と語った彼女は、その場に集う誰よりも、異能や異端達が跋扈するその戦場で。

 

誰よりも声高に、真っ直ぐに宣言してみせた。

 

そして、まるで彼女の決意に応えるかのように、

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、雨雲が…」

 

「…気象の操作?

いや、これは…」

 

「き、奇跡、でしょうか…?」

 

「…っ、奇跡なんか無い!何これ…!」

 

 

 

 

先程までこの場を、青空を覆い尽くしていた雲が晴れる。

その光が少女を、その場に居たすべてを照らし…

 

そして、一人の男性が少女の隣に立ち。

 

 

 

 

 

 

「連邦捜査部S.C.H.A.L.E(シャーレ)のもと、ここに宣言する。

 

 

私たちが、新しいエデン条約機構(ETO)

 

 

「なっ…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか…先生、君はこれを狙って…?」

 

「そうだ。これが先生なりの『大人のやり方』らしい」

 

驚いていたのは何もその場に居た者だけではない。

夢の世界で、その様子を見守っていたセイアもまた、彼の取った手法に驚きを隠せなかった。

 

しかし、その隣りにいた少女(シエル)は、淡々とそれを解説し始める。

 

 

「元々この『エデン条約』は『ゲヘナとトリニティの為の条約』で、それを結ぶのは『連邦生徒会長のもと』だった。

その連邦生徒会長は行方知れずだが…彼女の残した『シャーレ』がそれを代行する。

 

そして、この場は条約を結ぶための場である『通功の古聖堂』。

さらに、集っているのは本来条約を結ぶはずだった者達。

 

彼女達もまた、エデン条約機構たりうる存在…」

 

「…それが、先生の『大人のやり方』。

卑怯な『大人のやり方』に『大人のやり方』で返し、形勢を覆した…」

 

「セイア、お前は言っていたな。

『単純な紙切れ、あるいは口約束に過ぎないとしても、『約束』というものは時に何かを強く拘束し、定義づけることもある』、と。

 

その言葉のとおりだ。

たとえのこの場を凌ぐための方便であろうと…ただの宣言であろうと。

 

 

『エデン条約』のために必要なものは、揃っているのだから」

 

「……………」

 

「その証明は、既にあの場で起こっている。

見ろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ。

複製(ミメシス)達の顕現が、不安定になってる」

 

「こ、混乱してますねぇ…向こうも一応はエデン条約機構(ETO)なので…」

 

(…スッ、ススッ)

 

「『戒律が『エデン条約機構に従う』事になってる以上、今この場では手のうちようがない』…か。」

 

 

「…っ!知ったことか!!

 

ハッピーエンドだと!?ふざけるな!そんな言葉で世界が変わるとでも!?

それだけでこの憎しみが、この不信の世界が変わるとでも言うつもりか!?何を夢のような話を…!」

 

 

 

「その夢を…実現を助けるのが、大人の義務だから」

 

「…っ!」

 

 

「私は生徒たちが願う夢を信じて、それを支える。

…生徒たち自身が、心から願う夢を」

 

 

 

 

「「「………」」」

 

 

 

 

「…くだらん。くだらん、くだらん、くだらん!!!

 

願い、支えればそれで全てが叶うとでも!?

願おうと、祈ろうと、現実はただ非情で虚しいだけのものだ!!

 

この“結果”こそが何よりそれを物語っているだろう!!

かつての私たち(アリウス)が願った理想は、トリニティ(奴ら)に踏みにじられた、だから我等も踏みにじり返す!

 

“全体の願い”と『個人の抱く夢』はまったくの別物だ!それは決して両立することはない!!

貴様の考えは決して大人が抱くべきものではない…ただの子供じみた綺麗事に過ぎん!!」

 

「…そうだよ。所詮、どこまで言っても私の言葉は綺麗事だ」

 

「ならば…!」

 

「だから、本当にしたいんだ。誰もが憎み合うことも、奪い合うこともない…そんな世界を『綺麗なこと』で終わらせたくないから」

 

「………ッ、貴様は、この期に及んで、まだそんな絵空事を…!」

 

「絵空事なんかじゃない」

 

「…アズサ…!」

 

「だって、私はここに立っていられる。

人殺しとして育てられて、教えられて…でも、そんな私でも、ヒフミと、コハルと、ハナコと、先生と。

 

たくさんと人と会えた。仲良くなれた。

…先生の言葉は、ヒフミの願いは、絵空事なんかじゃない!」

 

「貴様ァっ!!!」

 

 

サオリが激昂のまま、銃の引き金を引く。

アズサは咄嗟に先生とヒフミを抱えそれを回避。

 

そして…それは文字通りの引き金となり。

 

トリニティ・ゲヘナの連合と、アリウスの戦いは幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、結果は言うまでもないのだろう。

 

多少負傷していたとはいえ、良好の救護部隊による適切な治療を受け万全の状態で戦闘を行えるトリニティ・ゲヘナの両校の精鋭たち。

 

先の戦いの負傷がいまだ響き、まして適切な治療など受けられるはずもない、

…加えて、頼りにしていたユスティナ聖徒会の複製(戦力)はそぼ役立てられない状態にされたアリウス。

 

 

…形勢の傾きようは、目に見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、複製の再生が遅い…ぐあっ!?」

 

「このっ、せめて足を止めぎゃっ!?

 

 

「ひゃあははっ!!話にならねぇなァ!!」

 

 

「け、剣先ツルギ…!」

 

「怯むな!例の爆弾をぐあっ!?

 

 

「…最初の日と同じ展開ですね」

 

『寧ろ複製も居ない上戦力が整っている分、初日より対処しやすいような…』

 

 

 

 

 

 

「「「ぐああああああっ!?」」」

 

「…貴方たちにも、どうか救いがあらんことを。

シスターフッド総員、我々も前進します!!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 

 

「サクラコ様…凄いですね」

 

「まさかあんなにお強かったとは…あっ、お、置いていかれてしまいます!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドドドドドドドドドッ!!!

 

「「「ぐあああああああっ!?」」」

 

「「「ぎゃあああああああ!?」」」

 

「………次。」

 

「…す、凄いな、委員長…」

 

「ええ、一人でアリウスを片付けてしまえるのでは…」

 

『それは動かない理由にはなりませんよ、二人とも?

…それに』

 

 

 

『………』

 

「な…委員長、複製に気づいてないのか!?」

 

「委員ちょ…」

 

 

 

複製の一体が弾丸を放つ。

 

しかし…そこに既に空崎ヒナの姿はなく。

複製の身体が斜めに落ちていく。

 

…その後ろには、おそらく手刀を放ったであろう空崎ヒナの姿。

 

 

 

 

 

「…ば、化物か、あいつ」

 

「………」

 

「ひっ!」

 

「こ、この化けも

ズドドドドドドドドドッ!!!

が、あ…」」

 

 

 

「…ふぅ。

…次。」

 

 

 

「…やっぱり私たちいらないだろ」

 

「シエルのこともありますからね…もう止めようがありませんよ…」

 

『……………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アズサぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「…っく」

 

それは、錠前サオリらしからぬ激昂。

本来の彼女ならば、例え怒りを孕んだ戦闘であろうとも、執拗に一人を狙い追い立てる真似はしないだろう。

 

事実、彼女以外のアリウススクワッドの主要メンバーであるアツコ、ミサキ、ヒヨリの3名からは大分距離が離れてしまっている。

 

だが、それでも彼女が白洲アズサを追い込んでいるのは結果的に事実となっていた。

確かに白洲アズサはキヴォトスでもそれ相応の精鋭になれるだけの実力はあるだろう。

 

しかし、相手は彼女の教官役でもあった人物。

手の内は知り尽くされているうえ、実力も上。

 

彼女一人では苦戦を強いられるのも無理はない。

 

 

 

 

 

――――――――無論、一人なら(・・・・)の話ではあるが。

 

 

 

 

 

バッ!

 

 

 

「なっ…っ!邪魔だ!!」

 

突然眼の前に現れた鳥?のような何かの人形に一瞬気を取られる。

直ぐ様それを銃撃で破壊し、見失った(アズサ)を探し…

 

 

「ぐっ!?」

 

後方(・・)から狙撃を受けた。

錠前サオリは忘れている事がある。

 

ここは先日の巡航ミサイルの爆風で、全壊とまではいかぬもののそれなりに瓦礫など身を隠すものがあること。

白洲アズサはそのような状況で敵を相手取るのを最も得手としていること。

 

そして…自身の敵は一人ではなかったこと。

 

 

(…っ!?アズサの傷が治っている…!?)

 

それは下江コハルと浦和ハナコによるサポートによるもの。

阿慈谷ヒフミの人形…ペロロのデコイによる時間稼ぎの僅かな隙を狙い、体力を回復。

 

その間に準備を整え、瓦礫や残っている建物を利用した簡素的なゲリラ戦闘を行う。

勿論、その場しのぎで作り上げた環境や戦闘方式などその気になれば簡単に打ち崩されるだろう。

 

だが、先程も言った通り。

白洲アズサは一人で戦っているわけではない。

 

銃撃はアズサだけでなく、ヒフミやコハル、ハナコも当然参加してくる。

かといってそちらを狙おうとすれば…白洲アズサの強力な弾頭が飛んでくる。

 

 

気がつけば、錠前サオリは膝をついていた。

 

抜け出すことの出来ない補習授業部のそれぞれの役割と、先生の指揮の合せ技による包囲網により、遂に彼女も体力が尽きたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…何かを忘れていないだろうか。

 

そう、アリウスには戦術兵器があったはずだ。

とある聖人(アンブロジウス)の名を与えられた、複製(ミメシス)の技術を転じて作られた芸術が。

 

その兵器は今現在、どこに居るのか。

 

 

 

 

 

 

――――――――先生たちと居る戦場から少し離れた、人払いのされた市街地。

そこにアンブロジウスの姿はあった。

 

…四方に十字剣(黒鍵)を突き立てられた事により発生した疑似聖堂。

それにより主戦場に向かえなくなっていたのだ。

 

 

 

その使い手であるはずの清川シエルは現在、トリニティの病棟で昏睡状態にある。

ならば、それらを駆使し戦術兵器を足止めしているものは果たして誰なのか。

 

 

 

「…戦術兵器って言っても、この程度かぁ。

黒鍵の簡易聖堂で足止めされるとか、雑魚に毛が生えた程度じゃん」

 

 

セブン。

シエルの武器である第七聖典の精霊。

 

主より託されていた黒鍵と、自身の武器であるアサルトライフルと大剣サイズの蛇腹剣を用い、たった一人でアンブロジウスを圧倒していたのだった。

 

 

 

『ウォォォォォン―――――――』

 

「………」

 

少女(セブン)に向けて振り下ろされるアンブロジウスの腕。

身の丈の倍以上ある掌を、少女は…

 

 

「――――――出血死(ブレイド)

 

 

大剣を振り上げ、両断した。

 

 

 

 

『ウォォォォォン―――――――』

 

「………ちっ。

複製の能力は落ちてるのに、こっちは据え置きのままか。

 

切っても切っても生えてくる…」

 

第七聖典は異端払いの武器。

本来の持ち主が手にし振るえば、異形はそれに触れるだけでその身を蝕まれる。

 

が、現在のセブンは顕現し肉体を維持することに力を割いており、黒鍵や武器の顕現にもそれ相応の力を割いている。

異端払いの力にも、出力は存在しているのだ。

 

「このまま焼死(ブレイズ)出血死(ブレイド)で戦っててもジリ貧かぁ…しょうがない。

 

こうなったら、第四死因…」

 

 

 

 

 

『――――――オオオ…!』

 

「っ、何…!?」

 

突如、アンブロジウスの身体が強く発光し始める。

そして、何かに吸い寄せられる(・・・・・・・・・・)かのように移動を開始する。

 

目の前の敵に目もくれず。

 

ズズズ、と、ゆっくりと、動く、動く。

 

 

 

「一体何を…っ!?」

 

『オオオ――――――――!』

 

 

 

アンブロジウスが一つの光となって飛び去る。

疑似聖堂のバリアを破らず、すり抜けて(・・・・・)飛び去った。

 

…一瞬呆気にとられたセブンは、すぐに気を取り直し後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…サオリ。もう終わりだ」

 

アズサは膝を付き、項垂れるサオリに銃を突きつけながらそう言い放つ。

終わり。その通りだろう。

 

当てにしていた戦力は無力化され消滅し。

利用するはずだった戦術兵器は知らぬ間に分断され。

加えて相手は万全の状態。

 

いくらアリウススクワッドとはいえ、流石に相手が悪すぎたのだ。

寧ろここまで痛手を与えられたことは称賛に値するのでは無いかか。

 

 

…無論、錠前サオリ本人はそんな考えなど欠片も抱いていなかったのだが。

 

 

 

 

「…終わり、か。

所詮、こんなものか、現実など…」

 

 

「り、リーダー…」

 

「…複製はほぼ消滅させられた。

かといってアリウス生徒(こっち)の戦力でどうこうできるかと言われてば…」

 

「………」

 

 

 

「…サオリ。投降してほしい。

今ならまだ…」

 

「――――――殺せ」

 

「…っ」

 

「もはや道などない。

例え自治区に帰ろうと…その先に何もない。

 

…「vanitas(虚しい、)vanitatum, et(どこまで行っても) omnia vanitas(全ては虚しいもの)……」…己の言葉すら忘れてしまうとは、私も救いようがないな…」

 

「…っ、サオリ、それは…

 

諦めちゃダメだ、まだやり直す道は…」

 

「やり直す?…甘いな、お前は…

これほどの重罪を犯した者達を、トリニティとゲヘナが…キヴォトスが許すとでも?」

 

「………っ、それは…!」

 

 

 

 

 

 

「…確かに、アリウスの皆は簡単に許されないことをした。

それは事実だよ」

 

「…先生」

 

「…流石に分かっているようだな、先生。

私にもう救われる道など…」

 

「でも、だからって死んで逃げるなんて許さないよ」

 

 

「―――――な」

 

 

「罪を犯したのなら、それを理解しているのなら、それにきちんと向き合わないといけない。

それは、大人も子供も関係ない…人として守らないといけないことだよ」

 

「…向き合ってどうなる…もし命を助けられても、その先には…」

 

「確かに、苦しい道にはなるだろうね」

 

「…なら「でも、それでも進める道はある」………」

 

 

 

 

 

「確かに、罪を犯した人がその先を何事もなく生きるのはとても難しいよ」

 

「でも、だからって罪を犯した人の未来を理不尽に奪っていい理由には…ならないしなってほしくない」

 

「どんな生徒(子供)であっても、未来を生きる資格が…」

 

「無限に広がってる未来を生きていく資格を、持っているべきなんだから」

 

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

「…あ、あれ。

…ち、ちょっとクサかった?カッコつけすぎたかな?

え、えーとですね、とにかく…」

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!

 

 

「…ッ!?何だ…!」

 

 

 

「………!

皆、ここから離れよう」

 

「は、はい…姫ちゃん、どうして…………って、ええっ!?」

 

「アツコ…普通に話して平気なの?」

 

「えっと…今はこうしたほうが早い気がして。

ほら、サッちゃんも」

 

「…アツコ、一体何が…っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………素晴らしい……

 

知性と品格、礼儀と信念、そして培ってきた経験と知恵……やはり、そなたならば………

 

 

 

 

 

私の『崇高』を、理解してくれるに違いない――――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あの『教義』が、完成した…」

 

「これは…戦術兵器?いや、違う…これは、それ以上の…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…先生、アレは…マズイ。

逃げないと…」

 

「…(出来るなら、使わずに済ませたかったけど…そんな事も言ってられないか。)アズサ、下がって」

 

「…先生?」

 

 

アズサを後ろに下げ、そして懐に手を突っ込み大人のカードを取り出

 

 

 

 

『………』

 

「…こっちを、見た?」

 

 

 

『………』

 

「―――――――ッッ!!アズサ!!」

 

 

 

「えっ…うわっ!?」

 

 

大人のカードを取り出す直前。

まるでそれに呼応するように、謎の人型…後に『ヒエロニムス』という名前が判明するそれは杖を鳴らし。

 

白洲アズサと先生の間に、それはそれは小さいながら眩い光塔を立ち上らせた。

 

そして、その余波は二人の間のみならず、周囲の建物や瓦礫にまで作用し。

 

 

 

 

「なっ、建物が…先生ッ!!」

 

「アズ―――――――――」

 

 

 

 

 

 

「あ、ああっ!?

せ、先生がアレと一緒に向こう側に…!」

 

「…周りの瓦礫のせいでほぼ完全に分断されてるね。

これ、まずいんじゃないの?」

 

「…先生」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――っ゙」

 

眼の前の巨躯は、青白い光(・・・・)を次々と取り込みその輝きを増していく。

まるで、不完全なジグソーパズルが組み上がっていくように。

 

まるで、透明な器が水で満たされていくように。

 

 

 

無論、それをただ見ているだけではない。

それを止めようと、あるいは撃破しようと大人のカードを取り出し、その力を発揮しようとする。

 

 

 

…しかし、ヒエロニムス(神学者)はそれを良しとしない。

 

 

「…っ…!」

 

またしても光塔が立ち上る。

それも、自分に当たるか当たらないかの嫌らしい瀬戸際で。

 

明らかに妨害だ。

自分が大人のカードを使えないよう阻んでいる。

 

…だが、その割には向こうから攻めようとしない。

自身が『完成』するのを待っているのか。

 

そして、それを邪魔することは許さない、と。

 

 

「…随分勝手だな…こっちの邪魔は平然としてくるくせして…!!」

 

恨み節のようにそう呟く。

しかし、この現状でもはや自分が打てる手など………

 

 

 

 

 

 

ダァンッ!!!

 

 

 

「うぉおお!?な、何だ突然…って、君」

 

「どうも、先生。お久しぶり…でもないか」

 

「…君は、確か、シエルの…」

 

「そこは話してると長ったらしいんで後で。

…それよりも、先生に一つ提案が。」

 

「提案?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしと仮契約してください、先生」




しえる「………(不敵な笑み)」

せいあ「………(困惑)」
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