愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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妄想イベント編、第二話です。オリキャラしか出ませんので悪しからず。


41話

「クスミパイセンちゃ〜〜〜す!救援に来たぞ!!」

 

「初っ端から何ふざけてんのよ!さっさと手伝いなさい!!」

 

 

ウジウジ状態のアマロをどうにかこうにか叩き直し、そこそこ大きな船でクスミパイセンの反応のある場所までやって来た。

現在パイセンと…あそこか。

 

 

ヒレが一枚、しかしてその下の魚影は…大きな二つ頭。

 

 

本当に出てくるとはな。

元ネタの方では二人組になるのが危険だったが…

 

「アマロ、お前も来い。

先生、操縦は任せたぞ」

 

「ちょっ!?私船舶免許は持ってないんだけど!?」

 

「キヴォトスに免許とか求めるほうが馬鹿と言われるほどだ。

とりあえず初心者補助も起動しておく」

 

と、それだけ淡々と言い初心者補助を起動させたのを確認し、アマロの首根っこを掴んで…海面(・・)へ。

先生が面食らった表情をしたが、問題はない。

 

うちの技術顧問(タマキ)は優秀だ。

 

 

 

「…二人が海面に立ってる(・・・・・・・)!?

 

というかアマロはぐでたまのように海面に倒れているのだが…

まあいい。

 

これもタマキの発明品の一つ。

一定の攻撃を自動的に弾く或いは消滅させるフラッシュフィールドの応用による発明。

 

自身の付近の海面に擬似的に膜を貼り、あたかも私が海面に立っているように見えているのだ。

しかもこの膜は…

 

「っと…へえ、タマキのやつ良いもん作るじゃない」

 

味方と認識された(・・・・・・・・)ものも自身も同様に立たせる事ができる。

逆に、敵と認識されれば…

 

「…!3人とも!足元からサメが…!!」

 

「心配ご無用だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

バヂィ!!

 

「…えっ!?」

 

この通り、本来のフラッシュフィールドの効果どおりに弾かれる。

本来ならば一部弾薬や弾丸を無効化するのが精々だが、今回の様な単調な敵相手ならば対応もしやすい(・・・・・・・)というものだ。

 

 

 

『あのな、その場に応じてプログラム打ってるのは俺なんだが?』

 

「助かる。来月の給与査定を楽しみにしておくことだ」

 

『…不思議だな。いい意味で言われてるはずなのに嫌な予感しかしねぇ』

 

おや、不思議だな。

私もいい意味でしか行った覚えはないのだが。

 

しかし、一度サメを弾いてからまるで襲撃される気配がないな。

諦めて海中に潜ったか?

或いは他の海域に向かったのか…

 

「いずれにせよ追跡は行っておいたほうが良さそうだ。

タマキ、探知を」

 

『……………』

 

「…タマキ?嵐タマキ!技術顧問!応答しろ!!」

 

『…すまねぇ、局長。見失った。』

 

「何?」

 

タマキの開発した高性能探知機に引っ掛からないとは。

それほど速く逃げたというのか?

 

『…いや、見失ったって言い方は正しくねぇか。

 

そもそも生体探知機(・・・・・)に反応らしいもんは無かったんだからよ』

 

「――――なんだと?」

 

サメは生物学上魚類…生物にあたるものだ。

それが生体探知機に反応しない?

 

そんな事があるのか?

 

まさかとは思うが…ゴーストシャーク?

或いは何時ぞやの複製(ミメシス)のようなものか?

 

「…ねぇ、またサメが迫ってきてるわよ!」

 

「「!!」」

 

あれこれ思慮しているうち、例の2つ頭が帰ってきた。

フラッシュフィールドがある以上、問題は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バギィ!!!

 

「「「………は?」」」

 

足元の防壁が砕けた。

先程まで呆気なくふっ飛ばされていたはずのサメが、逆に体当たりでフラッシュフィールドを破壊した。

 

その直後に見えたのは、我々に向けて口を開く3つの頭(・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガギギギギギィン

 

「な…!?」

 

「およぉ!?」

 

「海面が…凍った!?」

 

「…助かった、アルハ」

 

いつの間にかこの場に現れていた埋葬機関第三位、吹雪アルハ。

彼女が受け継いだ原理血戒による“凍結”が、間一髪我々がサメに呑まれることを阻んでくれたようだ。

 

「…先生。

この分だとすぐに砕かれてしまう。

 

すぐにでもこの場を離れた方がいい」

 

「「アルハが喋ったァ!!?」」

 

お、驚いてる驚いてる。

彼女の性格や生い立ちもあるが、アルハは基本的に他人に関わろうとしない。

無論、会話などそうそう成り立たない。

 

何しろ、必要最低限の会話か、余程の事以外話そうとしないからな基本。

しかし、それをここまでにする先生とは一体…

 

「アルハの言うとおりだね…シエル!クスミ!アマロ!船に乗って!

…後アルハもね!」

 

先生の指示に合わせて全員ひとっ飛びし、船に飛び乗る。

そのまま先生は船の後方に…後方?

 

「ごめんシエル、操縦頼めるかな?」

 

「…先生はどうするつもりだ?」

 

「時間を稼ぐよ。

…ちょっと、確かめたいこともできたからね…!」

 

と、懐に手を突っ込み…『大人のカード』を取り出した。

それほどまでにマズイのか、あのサメは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…先生の時間稼ぎもあり、どうにかこうにか我々は地上へと生還することが出来たのであった…めでたしめでたし」

 

「どこがめでたしよ。

思いっきり死にかけてんじゃないの!!

 

オマケに兵器まで破られるとか、サメごときに、よりによってサメごときにッ!!」

 

「…そう言えばさ、さっきからタマキの姿が見えないんだけど?」

 

「『これで泣き寝入りしてたら技術顧問の名が廃るってもんだ』って技術室に籠もってるわよ。

何かミレニアムの方にも確認したいことが出来たってさ」

 

「ミレニアムに?

…一応タマキって退学になった身だよね、大丈夫かな…」

 

「私知ーらない。

あーあもう疲れた。結局やったことなんて灯台での見張りぐらいだし…ちょっと遊んでくるわ」

 

と、ノエルは向こうでビーチバレーに興じるエミリ、クスミ、アマロに混ざりに行ってしまった。

 

「…先生。少し話したいことがある」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程の浜辺から少し離れた場所。

シエルの話とはなんなのだろうか…?

 

「先生。あのサメの話だが…

先生の時間稼ぎの際に頭の数はいくつ(・・・・・・・)だった?」

 

「!」

 

シエルもどうやらそれ(・・)に気づいたようだ。

加えてシエルは、あの時『大人のカード』の能力を見ている。

 

話す分には問題はないだろう。

 

「頭は4つだったよ。

最初は3つで、それまでは余裕を持ってたんだけどね…4つに増えた途端、急に強くなって(・・・・・)さ…」

 

「…ふむ。我々が危うく食われそうになった際には…頭は3つだった。

そして、あの状況でサメの捕食可能範囲に居たのは私、クスミ、アマロ…つまり」

 

頭の数が戦う相手の数と同じ時、ほぼ無敵に近い強さになる…

 

「にわかには信じがたいがな。

しかし、事実2つ頭で戦っていた時には破れなかった防壁が、3つ頭になった瞬間砕け散っている。

 

その仮説は正しいだろうな」

 

「…でも、流石にそんな常識外れなことができる生き物なんて…」

 

「先生。それは相手が生物(・・・・・)であるという仮定にとらわれているせいで答えが出ていないのではないか?」

 

「………?」

 

「増える頭、しかも元々の噂よりも少ない数、通らない銃弾、普通の海洋生物とは比べ物にならない知恵、巻かれた網をたやすく食い破る咬合力…

 

なによりも、生体探知機に反応していなかった。

相手が生物という仮定は一度捨てるべきかもしれん」

 

「…なら、あのサメは機械って事?

そんな事が可能な機械、キヴォトスでも…」

 

「あるではないか。

 

はるか嘗てより存在しながら、今この時代よりも遥かに高度な技術力によって生み出された、異能を宿した機械がな」

 

「………まさか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はい、こちらミレニアムサイエンススクール特異現象捜査部です』

 

「おう、その声はエイミか?久しぶりだな」

 

『…あれ?タマキ?

ミレニアムは退学になったんじゃないの?』

 

「オウ。ま、捨てる者あらば拾う者もなんとやらだ。

それで、聞きたいことがあるんだが…」

 

『聞きたいこと?

タマキが私に?』

 

「お前って言うより、お前らに、だな。

先生から聞いたんだが、お前r『あら、お久しぶりですね、嵐タマキさん』…出たか」

 

『ええ、お呼びとあらば即参上。

ミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーにしてミレニアムの全知、金輪際現れぬ一番星の「ヒマリ。アンタにも聞きてぇことがある」…人の話は最後まで聞くものですよ?』

 

『部長は毎度のことながら自己紹介が長すぎる。

タマキは私達のことなんて知ってるんだから、余計な部分は省くべきだよ』

 

『よ、けい…ええまあ、確かにこの私の事をしっかりと伝えるならばどうしても話は長くなってしま「あーエイミ。そいつは良いからはなしすんぞ」ちょっ!?』

 

「オレがアンタらに聞きたいことは…アンタらが以前調べたっつー機械についてだ」

 

『…!タマキ、それって…』

 

「ああ。だいたい予想通りだが…

 

 

 

デカグラマトン…コイツについてアンタらの知っている情報を提供してもらいてぇ」

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