愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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妄想イベント編、これにておしまい。

努力・未来・A BEAUTIFUL STAR


42話

どこかの島の地下。

粗雑に作り上げられたラボ。

 

「クッ、フフ、ヒヒヒヒ…逃げた、逃げた!

あの連中が、おまけに噂に聞く『シャーレの先生』が、私のサメ相手に尻尾を巻いて情けなく逃げやがった!!

 

ハハハハ…!

 

最強だ…俺の創り出したアレはもう何にだって負けない!

おかしな防壁を張ってきやがった時には少しだけ焦ったが、条件を合わせ(・・・・・・)ちまえばこの程度だ…!

 

調月リオォ…いずれお前のもとにだって乗り込んでやる。

お前がどんな頭脳を持っていようが、ボクのあのサメの前には無力だ…!

 

お前の悔しがったゆがんだ顔が目に浮かぶようだぜ、ハハハ…ヴッ!?」

 

狂気的な笑いを続けていた少女が、突然頭を抑えてうずくまる。

「あ、ぎ、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛――――!!」と醜くのたうち回りながら半狂乱する。

 

「ハァ、ハァ、ハァ…クソ、いかんせん出力が大きすぎるのが欠点だな、アレは…すぐにこうなるんじゃミレニアムを潰すなんて夢のまた夢だ…

 

だが、コントロールできれば…

 

 

 

 

――――――アレ?なんであれをコントロールしたら苦しくなるんだ?激しい頭痛に襲われるんだ?

 

あれ、何で機械を操るだけでオレに、ボクに、ワタシにフタンガ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――成る程な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォン!!

 

「なっ…何だ!?誰だ!」

 

「勿論、私だ」

 

「いや本当に誰だ!?お前なんて知らな…!!

お前、さっきの」

 

「すまないが、用があるのはお前ではない」

 

無慈悲な宣告と共に少女は引き金を引く。

白いサブマシンガンから放たれた弾丸は一つとして外れること無く、倒れた少女の顔面に打ち込まれた。

 

悲鳴すらあげることはできず、少女は意識を手放し大の字に倒れた。

 

「第一段階クリアだ。

タマキ、反応は?」

 

『ああ、今度はバッチリだ。

そちらに向かう機械(・・)が一基、確認できたぜ』

 

「それは結構。

しかし、呆気なく本丸が見つかったな。

 

ミレニアム本元の協力とは言え、つまらんものだ」

 

『まあまあ…問題をすぐに解決できるなら万々歳じゃない。

ヒマリたちもありがとうね』

 

『いえいえ。

突然学園から立ち去ったはずのタマキさんからお話が来た時は何事かと思いましたが、そういうことであればこのミレニアムが誇る超天才美少じょ『反応が近くなったぞ。警戒しとけよ』ちょっ!』

 

ナイスカットだ、タマキ。お前には後に『タタリ』の称号をプレゼントしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴン!と壁が破られた。

空いた穴の周りは刺々しく尖っており、さながら歯型のようになっている。

 

そして、その穴を開けたであろう主は…宙に浮きながら(・・・・・・・)、こちらをまっすぐに見据えていた。

 

「………来たか。造られしものよ。

その名を問おうか」 

 

しかし、宙に浮くサメはこちらをまっすぐに見据えながら何も言わない。

或いは初めから話す機能など備わっていないのか。

 

「………『ワタシはアイン

冠するは無、そして矛盾。神の不在証明を象徴しながら、その存在は無であると主張するモノ。

 

これより、害敵の排除を実行する』」

 

…と、先程倒したはずの(・・・・・・・・)少女が立ち上がり(・・・・・・・・)私に向かって告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『…なんであの生徒が話してるんだ?しかも、あれだけ弾丸を打ち込まれてたのに…』

 

『………成る程、洗脳(ハッキング)か』

 

『?タマキ、それはどういう…』

 

『あの女…見覚えがあんだよ。

まだ俺がミレニアムの一介の生徒だった頃…とんでもねー行いをして追放された女だ』

 

『とんでもねー行いって…タマキみたいに危ないものを作ったとか?』

 

『………いや、アイツの場合そんなことすら生易しいレベルの行いだよ。

 

 

 

 

 

 

 

…あの女は、自分の頭に高性能のCPUを埋め込みやがったのさ。

平たく言うなら―――――――人体改造だ』

 

『――――――――なんて?』

 

『あれはミレニアムでもそれなりに優れた才能を持った女だった。

だが、縦社会の中にはどうしたって上には上が居る。

 

調月リオ…明星ヒマリ…そんな桁外れの連中には流石の才女も敵わなかった。

嫉妬に駆られたあれは…遂に禁忌を犯したのさ

 

まあ…そんな事をしでかしたやつの末路なんざ、言わなくても分かるだろ?』

 

『…その結果、デカグラマトンに操られたのか…』

 

『あ、それなんだがよ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『人間。先程わたしの性能を見たはずだ。

わたしの数と敵の数が同じ場合、わたしの性能は何倍にも跳ね上がる。

にも関わらずお前は単騎で乗り込んできた。度し難い。

 

やはり人間は愚かしく無能で無益な生物だ。

神のまがい物はこの手で排除する』」

 

「結構な物言いだ。

確かに人間は愚かしい神のまがい物だ。

 

だが、それはお前もだろう、人工の神よ」

 

「『その通り。わたしもまた所詮人の手により生み出されたものの一端に過ぎない。

だがわたしは人間とは違う。わたしは人間のように感情に支配されること無く。ただお前たちを排除する。

お前達人間とは違うのだ』」

 

「随分と人間を嫌った物言いだな?

まあそれも仕方がないか。

 

まがい物の更にまがい物など、所詮その程度だったというわけだ」

 

 

 

 

 

 

 

「『『―――――――――は?』』」

 

目の間の機械に操られた女か、はたまた無線機の向こうの先生か。

そんなとぼけた声が場に響いた。

 

「『何を。何を。言って。いる。

お前。何を。』」

 

『言葉のとおりだよ。あー…えっと。アイン、だっけ?

お前はデカグラマトン(・・・・・・・)ですら無かった(・・・・・・・)ってことさ』

 

「『違う。わたしはデカグラマトン。アイン。

人の手によって生み出された神。愚かな人間を排除するための』」

 

『お前、さっき『冠するは無』とか言ってたよな?

デカグラマトンの冠する神明は、『セフィロトの樹』の文言が本となってる。

その中に“無”なんてそもそもねぇんだよ』

 

「『違う。違う。ならば。わたしは。』」

 

「何も違うことはない。

とは言え、その並外れた出力、陸海空を縦横無尽に駆け巡る事のできるその有り様、たしかにお前もデカグラマトン足りうるものだったのだろうな。

 

だが…事実、お前はデカグラマトンに適した名を持ち合わせてはいない。

それに、もう一つ。

 

お前を目覚めさせたものは、どこだ?」

 

「『言葉の意図が汲み取れない。わたしは人工とは言え神。

目覚めに人の補佐など必要としない。他のものの手も借りる必要はない。』」

 

ああ、そうか。

やはり…

 

 

「やはりお前はハズレだ。

デカグラマトンのなり損ない…いや失敗作。

 

貴様は神でも、神罰を代行する死告天使(アズライール)でもない。

神になり得なかった、創製主に見捨てられた、ただの鉄クズも良いところだろう」

 

「『愚かな。ならばここでわたしに討ち滅ぼされるお前は何だ。たった一人。わたしに勝ちの目など一つもないお前に』」

 

「一人?お前の相手をするものが『一人』だと?

お前は、自身の存在を脅かす敵が、本当に私しかいないと思っているのか?」

 

「『不可解だ。今この場に存在する敵性反応は貴様のみだ。それ以外の敵など。――――――これは。』」

 

 

 

 

 

『…プログラム解除、及び消去完了しました』

 

『こんな安々と無敵プログラムを除去できちゃうなんて…本当にハズレみたいだね、がっかり』

 

ヒマリの機嫌のいい声とエイミの不機嫌そうな声が立て続けに聴こえてきた。

そう、私の話など所詮時間稼ぎに過ぎん。

 

ミレニアムが誇る最高電動電力によるハッキング。

それにより…敵の無敵化プログラムを排除する。

それこそが真の目的だったのだから。

 

『にしても、不思議なプログラムだよね。

頭の数が敵と同じ(・・・・・・・・)とき、出力が増大するなんてさ』

 

『面白いものではありますが…真に優れた技術者ならばこのようなお遊びを入れずとも素晴らしいものを作り上げることでしょう。

…加えて、自分が今まさにハッキングされていることに気づかない。

 

やはり、アレは偽物ですね』

 

「『―――――――理解、不能。理解、不能。理、解、不、能。

理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能』」

 

『予期せぬハッキングに暴走(バグ)りやがったか。

局長!こうなりゃもう強化プログラムも意味をなしてねぇ!

 

さっさとケリをつけちまおうや!』

 

当然だ。

折角の休暇も兼ねているのだ、こんな木偶にもう手間取ってなど居られない。

 

そうして、私はこの衣装版の武器を取り出し…スターターを引いた。

ブゥゥウウウウン…と低い音が響き、刃が回転を始める。

 

『シエル、それ…チェンソー?』

 

「ああ。サメを退治する時の定番武器だろう?」

 

『定番ではないんじゃないかなぁ!?』

 

何を言っている、先生。

大量のサメを乗せた竜巻を、チェンソーでバッタバッタとなぎ倒し、果ては自分で空を飛んでぶった斬った男の話を知らないのか?

 

もしくはサメでも乗り回して竜巻をまっぷたつにしてやりたいところだが、あいにく今回の敵はサメの方だ。

 

ならば…竜巻を味方につけてやるとしよう。

 

「タマキ!」

 

『応よ!

 

螺抉る螺旋(ドラフトスパイラル)、起動!

 

「『―――――――!?これは…!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

激しい渦巻きが私を真っ直ぐに、サメを荒々しく押し上げ上昇する。

地下の地面を掘り上げ、巻き込み。

 

海上へと打ち上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『敵が打ち上がった!

埋葬機関、総員攻撃用意!!』

 

「了解よ先生!

クスミ!タイミング合わせなさいよね!」

 

「アンタが私に合わせんのよ!!」

 

『ノエルもクスミも喧嘩しないの!!

…射出!!』

 

「「行って来ォォい!!」」

 

「行ってきま〜〜〜す!!」

 

ノエルのハルバードとクスミのローキックにより、エミリの乗っていた船が凄まじい勢いでふっ飛ばされる。

船はタマキによって造られた特注品で、これほどの衝撃でも壊れはしない。

 

だが…流石にこれほどの速度で人力による制御は難しいだろう。

 

余程船に長けたもの(・・・・・・・・・)の協力がなければ。

 

『アマロ!船の制御を!!』

 

「了解でござる大将!!

制御操作モード起動!!」

 

アマロの手元の数多の機械が起動し、それとともに激しく揺れていた船がある程度落ち着きを取り戻した。

まあ、その負担がどこに行っているのかは言うまでもないのだが…

 

「うぎごごごごごがごごごご…!!

 

こ、この程度、現役の大航海時代に比べりゃあ痛くも痒くもないでござ…いや痒いわ!!

手のお肉がブルブルして痒いわ!!」

 

『我慢して!!あとかいたらもっと痒くなるから!!

 

…アルハ!!』

 

「…!」

 

ガギギギギ、と音を立て

海の上に氷のジャンプ台が築き上げられた。

 

船は勢いをそのままにジャンプし、渦巻きにまっすぐ向かって飛んでいく。

エミリは腰に構えていた二本の刀を抜き、構え…

 

 

 

 

 

「イエ~イ!!ケンゴウバットーウ!!

 

マイネームイズ エミリ・カミカゼーー!!」

 

 

…どこぞの星条旗ビキニをまとった二天一流の剣豪の如く、渦巻きを✕字にぶった斬った。

 

が、これではまだ終わらない。

何のためにわたしがこれを持っていると思っている?

 

断頭台(ギロチン)程とはいかないが…この刃も中々のものだぞ?」

 

渦巻きから飛び出す。

まるで時が静止したかの用に、斬られた✕字の状態の真ん中で固まっているそれを…

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――終わりだ」

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ

 

『がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?』

 

鋼鉄のサメをチェンソーの刃が切り裂き。

…私の後方で、爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当は「光ん力だアアアアああ!!」と叫んで叩き切ってやろうと思ったのだがな。

それはあまりにもキャラ崩壊が過ぎると言われそうなのでやめた」

 

「よく…分から…ない…」

 

「別段分かる必要もない。

しかし…今回の事件で思わぬ収穫があったな」

 

『デカグラマトンの失敗作』。

こんな海の一端で、たまたま見つかったものだが…

 

他にも居る可能性は否定しきれないな。

加えて、ハッキングや作戦が成功してサッサと叩き潰せたから良かったものの、

もし頭の数による無敵モードが健在だったならば恐ろしかったな。

 

もしあんなものが総力戦で出でもしたら大ブーイングを買いそうだ。

 

あと、そのサメに操られていたミレニアムの生徒だが。

念のためヴァルキューレ付属の病院で精密検査及び手術、入院の後矯正局に送られるとのことだ。

 

まあ、元からとんでもないことをしでかしていたのだから致し方なし。

 

 

 

 

 

…で、現在。

任務を終えた我ら埋葬機関が何をしているのかと言うと。

 

「ぶっは…!?

やったわねエミリ!!」

 

「うっわぁ!!ノエルちゃんもやるじゃないですか!!」

 

「ハァ…何やってんのかしらアイツら。

ガキじゃあるまいし゛っ゛

 

「あ、ごめ〜ん!あまりに隙だらけだったからつい、ね♡」

 

「ほら、クスミさんも遊びましょう!」

 

「……………」ダッ!!

 

「はは、皆元気だねぇ!

どれ、私もひとつ青春しようかな!!」

 

「うひょ~!!

拙者の想像とはちょっち違いますが、これはこれで…水着ギャルとキャッキャウフフ゛ヴ゛〜〜〜〜〜〜ッ゛!?

 

危機の去ったビーチで戯れていた。

とは言え私は夕食のためのカレーの用意、先生はその手伝い、タマキはデカグラマトンもどきの破片の回収及び解析。

アルハはビーチチェアでうたた寝中のためそれぞれ遊びには参加していないが。

 

あと、アマロは今犬神家にされた。

 

 

 

「せんせ〜い!先生も一緒に遊びましょう!」

 

「水のかけ合いだけじゃあないよ?

ビーチバレー、フラッグ取り…ダイビングもいいかもね?」

 

「あ〜でも、私もまた明日仕事だし…

思いっきり遊んだら、翌日に響くっていうか…」

 

「も〜!明日のことなんて明日考えればいいじゃない!!

今は遊びましょうよ!!

 

そ・れ・と・も〜?先生はこんな可愛い水着の女の子にお誘いされてなんにもシないわけ?」

 

「う…ぐ…ぐ…!」

 

 

 

 

「「「せ・ん・せ・い♡」」」

 

「………うお〜〜!!明日の仕事がなんぼのもんじゃ〜〜〜い!!!

 

ごめんシエルカレー見ててね!」

 

「任せておけ」

 

これで先生は翌日筋肉痛確定だな。

まあ、あんな美少女たちに囲まれて楽しめるのだから本望だろう。

 

…こうして、我々埋葬機関と先生の夏の一幕は、幕を閉じたのだった。

 

めでたしめでたし。

 




先生「痛い…痛い…痛い…書類なんて見れない…
昨日の夢のような時間はどこ…」

リン「自業自得です(無慈悲)」


元ネタがZ級なのでこんなになっちゃった…
ガバいのは許して
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