愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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キリエ・エレイソン(お気に入り登録&UA&評価&誤字報告&感想ありがとうございます)

今回は埋葬機関の一員、嵐タマキがメインのお話。


43話

ダァン! ダァン! バァンッ!!

 

拳銃を片手に構え、的に向けてまっすぐ突きつけ、引き金を引く。

 

一発目。的よりも上。

 

二発目。今度は下。

 

三発目。何故か足元に銃弾が着た。

 

「チッ、当たらねぇ…!」

 

彼女の名は嵐タマキ。

ゲヘナ学園の部活…とは名ばかりの武装集団“埋葬機関”第五位にして技術顧問。

 

元ミレニアムサイエンススクールの生徒であった人物。

 

 

彼女は現在、埋葬機関の本部である協会の地下に備えられた射撃訓練場にて自身の銃を用いて訓練をしていた、のだが…

 

これがまたなかなかどうして。

面白いほどに当たらない。

 

いや、当たりはする。

もの凄く的外れな場所に、だが。

 

そう。嵐タマキは信じられないぐらい射撃が不得手、有り体に言ってしまえばド下手なのである。

銃社会であるこのキヴォトスにおいて、だ。

 

その下手くそさたるや、ミレニアム時代より『グランドクソエイム』『弾が/atara night』『暴れん坊照準』など散々な言われようだったとかなんとか…」

 

「おう局長(シエル)

オレはそんなあだ名で呼ばれてた覚えはねぇし、ナレーションするなら心の声を口に出さねぇよう心がけるべきだと思うワケ」

 

おっと。

いつの間にやら声に出てしまっていたのか。やっちゃったなぁ、ハハハハ。

 

しっかし。

 

「それにしても酷いな。

相手を必ず殺す(笑)槍に比べれば幾分かマシではあるが、それにしてもここまで当たらないものか?

 

的にかすりすらもしないとは」

 

「だから言ってんだろ。オレに射撃での活躍なんぞしてくれるなってよ。

だからこうして技術力で上手いこと補ってんだろうが」

 

「しかし我々の任務の敵となるのはほとんどが銃を携行しているチンピラなどだ。

いくら優れた発明を使用するとしても、射撃である程度追い払うこともできないようでは面倒極まるぞ?」

 

「………確かに、そりゃあ一理あるかもな。

しかし、それでどうしろと?」

 

「なに、そういう時は頼りになる人物に相談すればいい。

居るではないか、生徒の頼みは断れない頼りになる大人が、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つーわけで先生、一つ何とかしてくれや」

 

「いや何とかって言われましても」

 

突然やって来たタマキに藪から棒に頼まれた。

話を聞くと、本人も以前から言っていた射撃の腕を何とかしてくれとのことらしい。

 

…って言ってもなぁ。

これに関しては私にはどうしようもないというか…

 

「それに関しては本人の努力次第だと思うよ?

基本的に銃なんて私も使わないんだし…

 

私がなにか言ったところで参考になるかなぁ…」

 

「…まあ、それはそうなんだがよ。

オレもこれでも努力してんだが、どうにもね。

 

こうなりゃ最後の手段と思ったんだが…」

 

うーん。そう言われましても。

だからって困った生徒をほうっておくのも大人としてどうなのか…

しょうがない。

 

 

「じゃあさタマキ。

ちょっとその射撃の腕を私に見せてもらえる?」

 

「ああ?別に構わねぇが…」

 

 

 

 

 

 

というわけでやってきました、シャーレ内特別狙撃場。

 

「それじゃあタマキ、早速始めてみようか」

 

「おう、よろしく頼むわ」

 

…と、タマキが的に向き直ったところで、こちらの姿を視界から外したことを確認すると。

 

「…アロナ」

 

『了解です先生!』

 

こっそりシッテムの箱(アロナ)を起動する。

タマキに悟られないように、まずはそのまま…の状態でタマキの射撃を見てみる。

 

懐から自身の武器であろうハンドガンを取り出し、何発か的に向けて撃つ………

 

…本当に全部外れた。

 

「と、まあこんなわけだが。

感想はどうだ、先生」

 

「えっと…うーん」

 

これはちょっと予想外だ。

とはいえ、当たりそうなものも…うん、まあ…かなり優しめに見ればあったし。

 

サポートすれば当てることは叶いそうだ。

 

「じゃあ、次は私も手助けするね。

もう一回よろしく」

 

「手助け、ねぇ………まあいいか。

いつも指揮してるみたいに頼むぜ」

 

了承してくれた。

今度はシッテムの箱の機能を少しだけ使い、タマキの射撃をサポートする。

 

ズルだって言われるだろうけど、まあ自身をつけさせると思えば…うん!とにかくやろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

「……………先生。手助け、してくれたんじゃなかったのか」

 

あ、あれえ。

おかしいな。アロナ、ちゃんとお仕事してくれたはずなんだけどなぁ。

 

その後も、キリノの時を参考にして『あえて狙いを外して撃ってみたら?』と提案したりしたら…

 

別に狙いをつけた的に向かってまっすぐ飛び、そして外れた。

 

ならば銃だ、銃を変えてみよう。

撃つときの姿勢やモノ、服装なども整えれば結果は変わるかも…

 

 

 

 

ハンドガン以外にも、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、どれも結果は同じ。

ある程度惜しいところまでは行くのだが、それでも肝心なところに当たりはしない。

 

なんでかなァ!!

 

 

 

 

 

「すまねェな先生。

こんだけ付き合わせたってのに…」

 

「ううん、私こそ力になれなくてごめん」

 

「ハァ…やっぱりこっちはダメか。

どうしても銃で戦うってんならこっちだな」

 

…?

タマキが懐からもう一つ…白くて四角い?銃を取り出した。

 

そっちなら自身があるということだろうか?

 

「まあ、こっちなら条件さえ満たせば(・・・・・・・・)どうにか出来るんだけどよ。

しっかしそれでも一度は近接しねぇとどうにも…」

 

銃を当てるために近接とはこれいかに。

まあ…それでなくても埋葬機関って近接が得意な生徒がほとんどだけど。

 

 

 

 

 

 

ビーッビーッビーッ

 

「!」

 

どうやらトラブル発生みたいだ。

 

「なんだ、問題発生か?

ならオレも付き合うぜ。相談に乗ってもらった恩返し…とはいかねえかもしれねえが」

 

居てくれるだけありがたいよ、と返し現場に急行した。

そこではオートマタや不良たちが街中で戦闘を繰り広げていた。

 

「こ、これは、なにがどうしてこうなってるの!?」

 

「聞いてる場合じゃあ無さそうってのは確かだろ。

…仕方無え、一度鎮圧させるぜ。良いな、先生?」

 

「え、まあ…この状況じゃ話も聞けそうにないし…でもタマキ一人じゃ危険だよ!

今から救援を…」

 

「安心しろ先生。

幸い、携行品はこの状況にピッタシだ。

 

…フラッシュフィールド、展開」

 

タマキの言葉に反応し、球形の小型のビットが周りを漂い始めた。

アレは、タマキの発明品…なのか?

 

そして、懐から先程のハンドガンを取り出し…

 

 

 

 

「ホラよ、食らっとけ!!」

 

 

 

 

…銃を投げた(・・・)!?

 

いや、よく見たらただの銃じゃなかった!

確かさっき見た時は妙にゴテゴテしてると思ったけど、銃のところに剣とか斧みたいな刃が着いていたような…!

 

「がっ!?な、なんだコレ」

 

「吹っ飛べ!!」

 

「ぐぁああ!?」

 

「な、なんだおまぎゃっ!?

 

オートマタの体に突き刺さった銃を引き抜き、横殴りにふっ飛ばした。

更に近くに居たオートマタやチンピラたちにも銃弾を撃ち込んでいく。

 

急所にこそ命中はしていないが、至近距離だからか先程よりも弾丸は命中している。

 

 

 

 

しかして戦闘とは一方的にはいかないもの。

当然、オートマタやチンピラも自身の得物を敵へと向けて引き金を引いた。

 

 

「ぐぁあ!?」

 

「ぎゃあ!?」

 

…もっとも、それで傷を追ったのはチンピラやオートマタたちのみだった。

先程展開したフラッシュフィールド…

 

電磁の膜によって一定値以下の貫通力の弾丸を反発させ防ぐという、反則極まりない防壁。

それにより、嵐タマキは無傷だった。

 

「お、潰し合ってくれたな。ラッキー。

数も少なくなってきたし、コイツ(・・・)で一体一体片付けていくかね」

 

と、右手の黒いハンドガンをしまい、白い四角型の銃を取り出した。

そして、一番近くに居たオートマタに接近し…(ボディ)に銃を押し当てた。

 

「は…?なんのつもりだ、この!」

 

「おっと、危ねぇ…!」

 

銃を鈍器のように振りかぶったオートマタの攻撃を回避し、白い銃を向ける。

ただ、体制が崩れているためか銃口はぶれ、あらぬ方向を向いている。

 

しかしタマキは平然とその引き金を引く。

 

 

「うがっ!?ぎっ!?

な、なんで当たって…ぎゃあ!?」

 

 

緑色の光線が白い銃から放たれ…あらぬ方向へ飛んでいった光は曲がり(・・・)、オートマタに次々命中した。

 

 

 

 

 

 

…そうして数分後。

 

十数人規模のオートマタ達とチンピラたちはたった一人に無事鎮圧され。

諸共にヴァルキューレへと連行されていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう先生。思ったより時間かかったわ。すまねェな」

 

「…タマキ。

その銃って…」

 

「ん?こっちの黒いののことか?それとも白?」

 

「えっと…そっちの白いの。

それって…光線銃?的なもの?」

 

「オウ。

初めて完成させて撃ってみたときゃそりゃあ驚いたもんだぜ」

 

「それで…その銃で撃った時、メチャクチャな方向に撃ってたよね?

でも、オートマタに命中してたけど…」

 

「ああ。

そりゃあコイツに仕込んだポインター機能の賜物だな。

 

コイツを敵に押し当てて、そいつをロックオンしてレーザーを誘導すんだよ。

そうすりゃメチャクチャな方向に向けて撃ってもバッチシ命中するワケ。

 

どのみち近接でぶん殴ることも多いし、大して使わねぇが…おかげでコイツの弾を外したことはねェぜ」

 

「……………タマキ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのポインター機能を遠隔からでも使えるようにすればそっちの銃でも遠距離から命中させられるんじゃないの?」

 

「あ。」

 

そんなわけで、ポインター機能の連動をフラッシュフィールド用のビットにプログラムすることで白い銃での射撃問題は解決したのだった。

 

まあ、本人のガバガバエイムっぷりが解決したわけではないので、黒い銃やそれ以外の方では相変わらずだったのだが。

 




嵐タマキ専用武器解説


ベオウルフ(HG)
(元銃:ワルサーP38)

黒い大振りなハンドガン。
かなり反動が大きい上、『殴ったほうが早ェ』理論によってつけられた斧刃や刃により更に扱いづらくなっている。

なので銃自体をブーメランのごとくぶん投げたり、近づいてぶん殴ったりして使うことのほうが多い。



ボーダーII(ツー)(HG)
(元銃:別ゲームの同名の銃)

白い四角型のハンドガン。光線銃(レーザーガン)
特殊なポインター機能を搭載しており、ロックオンした相手には確実に命中させることが可能。

逆にロックオンしなかった場合はお察しください。
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