愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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サブタイトル:清霜ノエルの憂鬱?


44話

清霜(きよしも)ノエル。

 

ゲヘナ学園直下組織、埋葬機関第四位。

 

小柄な体格に見合わぬ大振りのハルバードを軽快に振り回し、今日も今日とて悪を打つ撲殺天使系少女。

 

かつてトリニティでやりたい放題した結果追放された、そんな問題児は現在。

 

 

 

 

 

「それでシエルのやつったら、『その程度の勉学もこなせないようではゲヘナ生徒ですらあり続けられるか怪しいぞ』なんて言いやがったの!!

 

普段からサボり散らかしたり爆破しまくったりあっちこっち迷惑かけまくってる学園のやつが何いってんだか…ねぇ先生聞いてる!?」

 

「あ、はは…うん、ちゃんと聞いてるよ、ノエル」

 

シャーレの一室、仕事中の先生の膝の上にてシエル(上司)への愚痴をこぼしていた。

ここまで堂々と座っていられるノエルもノエルだが、困りつつもそれを許してしまう先生も先生である。

 

「ったく、それにしたって埋葬機関(うち)の連中は問題児が多すぎだっての!

アマロはしょっちゅう薄い本買ってきては押し付けてくるし、シルベはフラフラどっか行ったと思ったら変なもん持ち帰ってくるし、アルハは何考えてるか分かんないし、タマキは昼夜問わず開発の音が喧しいし、クスミとエミリは…まあいいわ。

 

で、なによりもシエルよシエル!

アイツのせいで何回舌を焼かれるような思いをして腹を壊された事か…!!

 

ねえちゃんと聞いてる先生!?」

 

「は、ハハ…」

 

苦笑いでごまかすしかできなかった。

元々そのメンバーを集めたのは他ならぬノエル本人だし、それを束ねているのはあの(・・)シエルなのだ。

 

そうなっても無理はないんじゃあないのか。

 

などとはっきり言ってしまえばまた機嫌を損ねてグチグチ言い始めてシャーレに居座り続けるのは目に見えているのでとてもそんな事は言えないのだが。

 

 

 

 

 

「てかさ先生。

私みたいな女の子が思いっきり膝の上に乗ってて、なんにも思わないわけ?」

 

「え?何もって…まあ、その…重くないよ?」

 

「そういうこと聞いてんじゃないわよ!!

本気で言ったら頭ぶっ飛ばしてホームランするわよ!?

 

そうじゃなくて!発情とかしないのって聞いてんのよ!?」

 

「は、つ…女の子がそういうこと言うんじゃありません!!」

 

「何よ!普段から生徒を片っ端からつまみ食いしまくってるくせして善人ぶっちゃって!

聞いたわよ、こないだなんて当番がうっかり被った正実の副委員長とゲヘナの頭おかしい服の女とさん「なんで知ってるのさ!?」

 

…シエルがどっかから仕入れてくんのよ。

だから簡単に知れるわけ。

 

つーかソレでなくても先生が生徒とヤることヤってるなんて周知の事実よ?」

 

「…ウソでしょ」

 

「ホントよ」

 

なんとなく察していたこととはいえ、事実を改めて突きつけられると流石にガクリとした。

まあ、自身の性事情がそんな幅広く知られるなど男としては溜まったものではないだろう。

 

 

 

 

「…まあ、納得。

大抵の男なんて、水着姿の女の子に口説かれたらコロッと堕ちちゃうようなやつばっかだろうし。

 

先生がただ遊ぶだけで我慢できたのも頷けるわ」

 

「…まあ、水着の女の子に押し倒されて、ってのも経験があるもんで…」

 

アビドスのライディングが好きな子だったり、釣りを楽しんでた子だったり、気を抜くと銀行強盗に奔ろうとする子だったり。

 

まあ、結局は丸く収まるのだが。

 

「ふーん…つまり、先生は本気で臨んでればOK、ってことなんだ…♪」

 

 

 

 

 

ノエルが正面に向き直った。

 

両の掌を顔に添えて、自身の顔を近づける。

 

 

 

「じゃーさ。私が本気で先生にアプローチしたら、先生も私に本気になってくれるってことでいいの?

 

こんな問題児でも、本気で見てくれる?」

 

それは、誘惑。

周りの者に比べれば幼児体型に近しい彼女だが、その表情は紛れもなく、異性を魅了し堕とそうとするそれであった。

 

そんな彼女を前に、先生は…

 

 

 

 

 

 

「うん、そうだね」

 

「…へ」

 

「でも。それはノエルが本気だったら(・・・・・・)って話だよ」

 

と、顔に添えられていたノエルの手を優しく取る。

 

「これでもいろんな生徒に好意を向けられてるつもりだから何となく分かるんだ。

ノエルの感情は私に本気なものじゃないって。

 

そんな状態でそういうことしたって、後々絶対何処かで後悔が残るし辛い思いだってするかもしれないでしょ?

だから、今のノエルをどうこうしようとは思わないよ」

 

「……………あっそ。つまんないの」

 

「ごめんね。これでも教育者の端くれだから。

まあ、それでもノエルは可愛いのも事実だし、ちょっとドキドキはさせられるけどね」

 

「―――――――――っ」

 

顔が急に熱くなってくるのが分かる。

こんなの誰にだって言ってることだろう。

 

でも、この人は紛れもなく、本心で―――――

 

 

 

 

「…っ」

 

「わっ…ノエル?あの…」

 

「うるさい。急に熱くてボーっとしたの。

よくわかんないけど先生のせいだから。先生が何とかして」

 

「いやあの…何とかしてって、そんな抱きつかれてたら…」

 

「今顔見たら怒るから。

こっち見るんじゃないわよ」

 

「…はーい」

 

と、おもむろに胸元の少女の頭を撫でた。

それはどうやら嫌じゃなかったようで…

 

 

 

「せ、先生何してるのよ!?」

 

「わっ!?」

 

「ちょっ、うるさ…何よ?」

 

突如シャーレに響き渡る怒号。

その主は顔を真っ赤に、猫のような目でプルプルと震えていた。

 

「こ、コハル…おはよう」

 

「…コハル?」

 

「な、何してるのよアンタたち!!

先生にそんなにくっついて、そ、そんな姿勢で…え、エッチなのはダメなんだから!!」

 

「いやしてないから!そういうことにはなってないから!!」

 

「嘘つき!そんな姿勢でなにもないわけ無いんだから!

先生の変態!スケベ!女の敵!!」

 

まああながち間違ってはいないのだが、今回のこれに関しては完全に被害者側である。

流石にこのままでは収集がつかないので、弁明のためにも立ち上がろうと…

 

「………」

 

「あの、ノエルさん?どいてくれないかな…」

 

「そ、そうよ!

アンタいつまでそんな…せ、先生の上に、の、乗っかって……!!」

 

「……………」

 

「な、何よ!!なにか言いなさいってば!!」

 

「――――――――誰、アンタ?」

 

「はぁ!?」

 

「ぶっ…!」

 

この緊迫した(笑)状況でコレである。

清霜ノエルはマイペースなとこがあるのだ。

 

「だ、誰って…わ、私は下江コハル!

トリニティの正義実現委員会のエリートで…」

 

「でも今は補習授業部と兼任だけどね」

 

「そ、それはつい見栄を張ったしっぺ返しが来ただけ!

ちゃんとやれば何の問題もないんだから…!」

 

「トリニティ?正義実現委員会?

 

………でもアンタ全然強そうじゃなくない?」

 

「そ、それは確かに、ツルギ先輩とかハスミ先輩に比べればまだまだかもだけど…!

それでも正義実現委員会の一員なんだから!悪いやつは…」

 

「っていうかもしかして、アンタ私がぶっ飛ばしたやつの一人だったりしない?

ぶん殴られたショックで忘れてるだけで」

 

「ぶ、ぶっ飛ばした!?な、何いって…ちょっと待って。

 

ノエル…って、清霜ノエル!?」

 

「そうだけど?」

 

「思い当たる問題行動を片っ端から起こしまくって、ついにトリニティを退学になったあの清霜ノエル!?」

 

「そうね」

 

「先生から離れなさい!!」

 

「嫌だけど?」

 

「なんで先生にしがみついてるのよ!!」

 

「先生のせいで顔は熱いわ動悸はするわ不整脈になったのよ」

 

「だったら病院行きなさいよ!!」

 

「先生じゃなきゃ治せないのよ。

あとうるさいから出てってくれる?」

 

「誰のせいだと思ってるのよ!?」

 

「あの、二人とも、もうそのあたりで…ね?」

 

「何言ってるのよ!!だいたい先生だって…」

 

と、結局勢いは止まることなく『先生が変なことするから…』とか、『エッチなのは禁止!』とかそういう事を繰り返すコハル。

 

ノエルはその最中でもずっと先生にくっつき続けてる。

 

…が、ふと、ニヤッと笑ってコハルを見た。

 

「あー。そういえば思い出したわ。

えーっと、コハル、だっけ?

 

アンタの声聞いたら思い出した!

ちょっとコレ聞いて?」

 

「え?」

 

「ノエル…?」

 

先生はなんだか無性に嫌な予感がした。

そして…その予感は的中した。

 

 

 

 

『あっ、あ、あ…♡ダメ、ダメ、先生ダメぇ…♡』

 

「!!?!!?!?!!!?!?!?!!??!!!?」

 

「…ぁあぁ」

 

案の定。

ノエルの取り出した携帯から流れたのは嬌声。

 

そして、それを聞いたコハルもまた案の定真っ赤に。

ただ…普段とは少し意味合いが異なっているようだが。

 

『やぁ、あ…♡エッチなのはだめ、ダメなのにっ、んん♡

はぁ、は♡

 

あっ!?せ、んせい、それ舐めちゃだめって、言ってるのにぃ…♡』

 

「「……………」」

 

方や真っ赤になって俯きプルプル震え、方や遠い目をして手で顔を抑え天を仰ぐ。

 

そして、おもむろにノエルが声をかける。

 

「ねえねえ〜正実的にはこの音声どう思うわけ?」

 

「ど、どうって…」

 

「エッチなのはダメ!なんでしょ〜?

あれれ?でもおっかしーなー?

 

その割には随分幸せそ〜にえっちなことしてなかった?

し、か、も〜?内容から察するに相手は先生?

 

普段から(・・・・)エッチなことダメって言い聞かせてる相手とそんなことしちゃうなんて、そんなの正義って言えるのかな〜?」

 

と、ニマニマとした笑みを隠そうともせずコハルを煽り転がすノエル。

更にその手を緩めることはない。

 

「そう言えば先生が言ってたんだけど〜。

『自分は本気で好意を向けてくれる相手としかそういうことはしない』らしいわよ?

 

つ、ま、り〜この声の主は先生のこと本気です」

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

いろいろと耐えきれなかったコハルはついに飛び出していってしまったのでした。

それを見て満足したのか、ノエルはケラケラと笑い出す。

 

「アッハハハ!あーおっかし!

シエルのやつに渡されたけど、意外と使えるわねこれ!

 

こんど正実のやつにあったらコレ使ってからかってや「ノエル」ぴっ」

 

「とりあえず。その音声は消してくれる?」

 

「え、あ、の…」

 

「消してくれるよね?」

 

「は、はひ…消しましゅ…」

 

先生には二重のイミで敵わないと、清霜ノエルはその日知ったのだった。

めでたしめでたし。




おまけ

開運!プラナ神社
清霜ノエル衣装解説。

プ=プラナ シ=シロコ*テラー


プ「…埋葬機関第四位、清霜ノエル。基本立ち絵及び表情差分です」

シ「服装は月姫のシスターさんと同じデザイン、なんだって。
埋葬機関の中で神職者らしい格好をしてるのは、彼女とシエルだけ…らしいよ」

プ「他にも、ロザリオを着けているのも共通点のようですね」

シ「ん…なんだかんだ、仲が良い証拠、かな?」

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