ギャグ回です。
テレビ番組。
それは、ニュース、歌、グルメ、お笑いなど様々な分野で我々を楽しませてきたもの。
しかしそれらは現代において、今や衰退の一途を辿っているのが事実である。
理由としてはネットワークの普及による動画サービスなどにより楽しむ方法や物が増えたことによる関心の離れなどもあるが、やはりかつての多くのテレビに比べ圧倒的に規制をかけられることを避けられなくなったことも挙げられるだろう。
事実、現代のテレビは昔のテレビに比べて『つまらない』という意見は大多数を占めている。
動画サービスなども規制もない訳では無いが、テレビ番組よりも規制が緩めであり、その分多少過剰なネタでも楽しめることも事実である。
そして、このキヴォトスに、このテレビの現状を良しとしない少女が1人。
彼女はとあるメンバーに連絡をかけ、とある場所へと呼び出した…
「えー、ハイ。こんにちは。
埋葬機関所属、清霜ノエルですけど…我々埋葬機関は、この度クロノススクールに呼び出されました…何なのコレ?」
呼び出しを受けたゲヘナ学園の部活の一つ。
埋葬機関の面々はキヴォトスでも知名度のある報道機関でもある学園、クロノススクールのとある会議室に招集をかけられていた。
そこにいる面々は局長である清川シエルを除いた7名。
どうやら全員、詳しい事情は何も聞かされていないようだが…
「で、私達を呼び出した張本人は未だにいらっしゃらない訳なんですけどォ…本ッ当に全員何も聞いてないの?」
「私達も突然呼び出されたんですよ。
せっかくの休日だから久々に百鬼の方の甘味処に顔を出そうと思ってたのにー。」
と、不満げな顔を浮かべ愚痴をこぼすエミリ。
それを皮切りに他の面々も愚痴をこぼし始める。
しかし、その直後…
バァンッ!!
『!?』
突然会議室の扉が勢いよく開かれる。
そこからわざとらしくすら感じる大きな足音を立てながら入ってきたのは…
「………ッチ…」
清川シエルその人であった。
何故か苛立った表情を浮かべ、ドタドタと大きく足音を鳴らしながら、それを更に強調するかのように舌打ちをしながらズカズカと入室し…
バゴンッ!!
ホワイトボードを一発ぶん殴った。
「ちょっとアンタ本当に何してんのよ!?」
「なんでそんなにイライラしてるんですか!?」
待たされて怒り心頭であったはずの埋葬機関の面々ですら、この異様な光景に流石に慌てふためきシエルを宥めだす。
そして再びメンバーを着席させたシエルは机に両手を付き…
「今のテレビはつまらないッ!!!」
「「「「「「「…………………」」」」」」」
静寂。
唯一人の怒号に、ほか七名+αはただただ呆然するしかできなかった。
しかしそんなものは知ったことかと言わんばかりに
「今のテレビは本当につまらないんです!!
どいつもこいつもちょっとチャンネル回してみたら、だいたいグルメ、クイズ、歌番組…
同じや!!皆同じや!!名前が違うだけやっちゅうねん!!」
「なんで関西弁になってんのよ…」
「そんなおんなじ事ばっかどこもかしこもやってるもんやからねぇ、もう視聴率はダダ下がりです!!」
「私の発言無視かよ…」
その愚痴も無視。シエルの怒りは収まるところを知らない…
「はい、こちらの表を見てください皆さん。
こちらクロノススクールのテレビ番組の視聴率の推移を表したものなんですが。
もう年々落ちてる!!視聴率は一桁台、それも低いほうが当たり前になってるんです!!」
「イヤ…でもそれはしょうがないんじゃないの?
今テレビ見る人なんてそうそういないでしょ」
「まあ、そもそもテレビの需要自体無くなってきてますからね…知りたいことは
「ぶっちゃけ拙者も言うほどテレビ見たいと思わないしぃ…
局長殿の言ったように似たようなもんばっかで最近見たいと思うもんが無いのも原因の一つでしょうねぇ」
シエルの言葉に若干ながら理解を示すノエル、エミリ、アマロの3名。
他の面々も意見こそないものの、若干納得した表情を見せていた。
「今や、メディアとしての需要は完全にスマホに取られてしまっている!
面白いものがない!そう言われているのがテレビの現実なんです!!
だからこそあえて私は言いたい!
本当にソレで良いのかと!私達を楽しませてくれたテレビが、こんな有り様で本当に良いのか!
こんな寂しく細々と生きていくしかないなんて、そんな悲しい現状で本当に良いのかと思うんですよ!!」
「「「「「「「…………………」」」」」」」
「―――――はい。というわけで。
これからここにいる面々で新番組を作りまーす」
「「「えっ?」」」
「「「は?」」」
「…?」
そんな計7名などお構いなしにシエルは資料を配り始めた。
「ハイこれ新番組の大まかな概要と台本だから。
一応君たちレギュラーメンバーなんだからキッチリ目を通すようにね」
「ちょちょちょちょちょ」
「ちょっと待ってくださいよ局長」
「何やノエル、エミリ。
つーかアレだな、だいたいお前らが突っ込む役回りだよな」
「いや、うん、あのね。この際だからもうそれにツッコむのも後回しで良いわ。
状況がまったくもって飲み込めてないんだっての」
「あー?だから言ったろ。
『現在テレビの影響力は落ちている』『どれもこれも似たような番組ばかりで飽きられている』『こんな現状に納得がいかない』
ココまでは良い?」
「オッケー」
「だから私達で新しい番組を作るんでしょうが」
「そこから一気に分かんないのよ!!」
ノエル、ついにキレた。
しかしシエルはやはりどこ吹く風と聞き流し、説明を続行する。
「番組はどれもこれも似たようなのばかり。
目を引く番組がない、目新しさがない!
だったら自分達で作っちゃえば良いじゃん!と。
そう思い至ったわけでございますよ」
「「イヤイヤイヤイヤ」」
流石にそうはならんやろ、と言わんばかりの面々を代表し声を揃えるノエルとエミリ。
その状況を打破すべく、この女が口を開いた。
「………まあ、確かに
無いなら自分で作れば良い。単純明快だが、それでいて最適解でもあるだろうよ」
「分かってるじゃないかタマキ。
流石は技術者、そちらにも似たような展開があったか?」
「しれっといつもの口調に戻りやがったな。
…まあいいや。
だが問題はそれが簡単に通るのかって話だろ。
単純にモノを作り出すのと、番組という大きなモノを作り出すのではまるでわけが違ってくる」
「その通り。
ゆえにこそ私は事前にクロノススクールに赴き、話をつけておいた。
―――シャーレをスポンサーにつけるという条件付きで、私の案は通った」
「「あっ……」」
「と言うわけで。今からシャーレに向かうぞ」
「念の為に聞いておくわね。アポは?」
「そんなもの取っているワケがないだろう」
(クソデカため息)
「というわけだ、先生。
よろしく頼む」
「―――――なんて?」
どこかで見たことがある顔だ。
先生はこのような顔芸もできる、シエル覚えた。
「あのねえ…シエルねえ…もうちょっとねえ…事前に話をしてからねえ…」
おっと、情報量に着いていけなくておかしくなってしまったのかな?(笑)
とはいえ、これに関しては私も譲れない。
悪いが強引に通させてもらおう。
「大丈夫だ先生。スポンサーと言ってもそんな大それた物ではない。
言ってしまえばこれは名義貸しだ。
先生も楽しみが増えて困るわけではないだろう?」
「いやまあ、うん、それは、そうだけど…」
「うわあ。
あれやってる事洗脳とかそれと大差ないわよね」
何やらノエルが喧しいが無視だ無視。
先生もそれほど嫌がっているわけではない、サッサと話をつけてしまおう。
「…シエル、一応聞いておくけど番組の内容は?」
「バラエティだが?
…いや、というよりもお笑いか」
「危険な撮影とかはないよね?」
「流石に命に関わるようなものや人道を欠くようなものは無い」
「うーん…
まあ…それなら…」
その後も粘るな、先生。
とはいえ、どうにか首を縦に振ってくれたことだ。
これでいよいよ本格的に番組製作に乗り出せる。
私も今回ばかりは本気の本気、100%で打ち込ませてもらうぞ…
後日。
『本番開始まで30秒前!』
ついにこの日までやって来た。
幾度となく企画にボツを喰らい、そもそも番組すら空中分解させられそうになることもあったが…ついに本番だ。
何としても成功させてみせようとも。
『本番5秒前!4、3、2、…スタート!』
オープニングアニメーションが始まった。
SFのような世界観で、それに合わせて描かれた我々
清川シエル
清霜ノエル
海風アマロ
朧シルベ
吹雪アルハ
嵐タマキ
天霧クスミ
神風エミリ
―――
・ナポレオン
原案、清川シエルによるキヴォトスに新たに誕生することとなったバラエティ番組。
コンセプトは『この番組に不可能の文字はない』、『笑いの世界に革命を起こす』。
番組名の元ネタはコンセプトの元でもある革命家、ナポレオン。
キヴォトス版リ○カーン。
続きます。