あと今回の話には宗教的なお話が含まれますが、作者はそっち方面はサッパリなので違和感を感じた場合は申し訳ありません。
トリニティのとある教会…
その日、その教会にて、自らの行いを悔い改め、神に祈りを捧げるとある儀式が行われようとしていた。
主催は知っての通り、トリニティ総合学園のシスターフッド。
……………が。
その日本来主催を務めるシスターフッドの主格たる歌住サクラコ、若葉ヒナタ、伊落マリーはとある事情により他生徒の多くを連れこの教会を離れていた。
「…皆様、本日はようこそおいでくださいました。
本日主催を務めさせていただきます、
どうぞよろしくお願いいたします。」
…その壇上に現れたシスターに、人々は礼を返す。
「本日は皆様のこれまでを心の内にて悔い改め、そして神に許しを乞う…
とても大切な日にございます。
しかし恐れることはありません。神は等しくその罪をお赦しになることでしょう…」
毎年と変わらぬシスターのその言葉に、人々は安堵を覚えた…
「…なーんて。そんな都合の良い話などあるわけ無いでしょう?」
『!?』
『え?』
『い、今、何て…!?』
一度教会を整えた安堵が、そのシスターの一言で崩れ去る。
慌てふためく民衆など気にもかけず、シスターは言葉を続ける。
「そもそも…自らの罪を心の内にて悔い改める?
そんなもので本当に神があなた方の罪をお赦しになるとでも?」
「し、シスター、急に何を…」
「そこのあなた。貴方もまた、ここへいらしたということは何かしら後ろめたいことがある…そうでしょう?」
「うっ…」
「でしたら、それを心のなかに留めるなどせず。
ここでハッキリと打ち明けてしまっては?」
「え、ええっ!?いや、それは」
「おや?神の御前で自らの罪を包み隠そうとお考えで?
そんな後ろめたいものを神がお赦しになるとでも?」
「う、うう…」
「まして、罪を悔いるだけでなんの贖いもせず、己可愛さに己だけを許す…そのような愚か者は神に赦されることはおろか、罰を受けても致し方がないとすら言えるでしょう…」
「そ、そんな…!」
「そ、そもそもき、急に何を言い出してるんだ!!」
「そうよ!いつもはこんなのじゃあ…」
「お静かに」
「「…っ」」
たまらずその場にいた他の男性や女生徒は反論しようとするも、そのシスターの威圧感に押し黙らされてしまう。
静寂を取り戻したことを確認すると、シスターはまた口を開いた。
「…そちらの殿方もお嬢さんも、昨年も来ていらっしゃいましたね。
…既に神に赦されたあなた方までまた来ているとは…よほど他に後ろめたいことが?」
「うっ…!」
「それとも…その場では安らぎを得られても、また後悔が現れたとか?」
「そ、それは…!」
「…よいですか、皆様。
確かにこの場で赦しを乞い、祈りを捧げれば明日への希望を見出し永らえることは出来るでしょう。
ですが、そんな一時凌ぎな救いでは決して真に報われることはありません。
寧ろその場しのぎを繰り返し続けたことに神の怒りを買い、救われるどころか大きな罰が下ることすらあり得るのですよ?」
『……………』
「ですが、自らの心の内を晒し、そしてそれらに対して真摯に向き合って贖えば。
神はきっとあなた達の罪を赦されることでしょう。
その場しのぎではなく、永く永く遠くを見据える安らかさと寛容さが持てることでしょう」
『…………………………』
「さあ、皆様。
自らの罪をここで打ち明け、真に神の赦しを乞いますか?
それとも、いつものように包み隠し祈りを捧げ、またこの場に後ろめたい気持ちのままやって来ることになりたいですか?」
「……………あ、の…!」
「ん?」
「わ、私…私は…!」
「はぁ、はぁ…まさか、シラトリ区の支援がこんなにも長引くとは…」
「しかも突然ゲヘナの温泉開発部まで現れるだなんて…うう、どうしてこんなことに…!」
「『心が荒んでいるからこそそれを癒やす温泉が必要』…志だけを見れば彼女らも立派なのですが…」
「理由はどうあれ、遅れてしまったのは事実…急がなくて、は………………!?」
急ぎ駆けつけたサクラコ、ヒナタ、マリーが目にしたのは異様な光景だった。
自分たちが遅れてしまい、怒りや焦りを顕にして待っていてもおかしくない人々…
その人々が、教会からどこが晴れやかな顔を浮かべて次々と出てきているのだから。
「…あ、サクラコ様!」
「あ、はい…その、皆様、申し訳ありません…」
「え?申し訳って…ああ、
「? 例の、シスター…?」
「はい。御言葉は厳しめでしたし、罪を告白するのは中々勇気が入りましたが…おかげで、どこか晴れやかな気分です。
己を見つめ直すいい機会になりました。本当にありがとうございました!では…」
「……………ヒナタ、マリー。念の為、いつでも発砲出来るよう用意を」
「えっ…」
「さ、サクラコ、様…?」
「場合によっては…許されざる事ですが、神の御前で諍いを起こすも…やむを得ません」
…教会に足を踏み入れる。
既に人々が去り、誰もいないはずのその教会の段の上に、その女性はいた。
「フゥ…ウィッグというものは髪が蒸れるな。
出来ることならもう御免被りたいものだ」
バサリ、と乱雑に焦げ茶色のロングヘアーウィッグが投げ捨てられる。
そこから
「それにしても、随分と遅いご到着だな。
祭事に遅れるとは、それでも神に仕える聖職者か?」
そして、この人の神経を逆撫でするような口調。
振り返ったその目の中の瞳は、深い底なし沼のように暗い。
歌住サクラコの知る中で、そんな人物は一人しか居なかった。
「…清川シエル。なぜあなたがここに居るのです」
「なぜ、か。
何、同じ様に神に祈りを捧げる同胞として、お前たちの助太刀でもしてやろうかと思ってな。
結果として彼ら彼女らは満足して帰っていった。何か問題でもあるのか?」
「…その彼ら彼女らの話では、あなたが独断で行った事は随分と私達と中身が異なっているようですが?
多くの者の前で罪を晒し上げるなど、それこそ聖職者として正しいことと言えるのですか?」
「神の御前に立つものに穢や罪過があってはならぬ。
ましてそれらを悔いることは愚か包み隠し救いのみを求めることなど愚かしい。
さらにあろうことかそれを肯定することなど聖職者の風上にも置けない行いだろう。
全く、だからトリニティの口だけの正義は昔から信用できないというのだ」
「…ッ」
眼前の少女の言葉はある種正しい。
しかし、自らが信じてきた物を眼前で貶され黙っていられるほど、歌住サクラコという人間は優しくはない。
「それを言うならば、人々が続け守ってきた祭事に独断で割り込み、自身の感情で別物にしてしまうこともまたあってはならないことでは無いのですか?
結果的に救われたと思った人が居たとしても、それは私達だけでなく先代のシスターフッド達も貶すに等しい行いでしょう」
「…何だ。この催しはそんなにも続いていた物なのか?
こんなものをわざわざ丁重に続けてきたとは…呆れて物が言えないな」
「なっ…っ!何という悪辣雑言!
もはや許してはおけません!!」
とうとう怒りが限界に達したのか、サクラコはヒナタとマリーの静止すら耳に届かずシエルに向けて銃を構える。
が、シエルはそれでも涼し気な笑みを崩さず口を開く。
「まあ無理もないか。
そもそも汚れない聖職者を名乗りながら中身は汚れを存分に孕んだ少女なのだ。
間違いに気づけないのも…フフ」
「な…わたし達の何が汚れているというのですか!!」
「………………何を言っている。サクラコ、貴様に限った話ではない。ヒナタもマリーも。
その股の間が白濁色に汚れているではないか」
「なっ!?」
「え、ええっ!?」
「そ、それは…!あ、あうう…」
「おや。当てずっぽうで言ってみたのだが、まさか本当に3人もとは…先生もなかなかヤるでは無いか。
それにしてもそれで聖職者を名乗るとはまったくもって呆れるな。
聖職者ではなく性殖者と名乗り直したらどうだ?アーッハッハッハッハ!!」
そうしてシエルはどこかへ飛び去っていった。
取り残されたサクラコ、ヒナタ、マリーは顔を赤く、あるいは顰めて俯いて黙り込む。
「…ヒナタ、マリー…私はもう…シスターを名乗る資格など…」
「さ、サクラコ様、そんな…!」
「うう…神よ、お赦しを…」
「ということがあったのだが先生、どう思う?」
「凄く…穢れてます…」
「あなたがそれを言うのか?」
まあ、先生と生徒がよろしくやってるなんてブルアカでは一般せいへ…じゃなかった。
一般常識だし、是非もないよネ!
シスターフッドがお好きな皆さま、申し訳ありません。