1945年7月28日
米軍による度重なる呉軍港空襲が続いていた.江田島に投錨している「戦艦榛名」も例外に漏れず数度に渡り攻撃を受け慢心創痍の状態であった.対空兵装,副砲等取り外せる装備はほぼ外され,残ったまともに残っている装備は35.6cm主砲のみである。
そんな状態ながらも榛名は残った主砲で迫り来る敵機相手に三式弾を撃ち続けた.
「敵 B-243機右舷より接近!」
「第1・第二主砲射撃用意!弾種三式!照準合わせ.」
「主砲砲撃初め,撃て!!」
榛名は数多の敵機相手に力の限り三式弾を撃ち続けた.
そして・・・
この日,榛名は20発以上の直撃弾を受け大破浸水,着底した.
2
2014年,江田島.
とある儀式が行われていた.
儀式の名は「艦魂降霊式」.
そこには1人の少女が現れた・
和装に身を包む黒髪の少女.
少女が目を覚ましたようだ.
キョロキョロ周りを見回す.
見覚えのある景色,そして帝国海軍の軍装を来た軍人らしき人たち.
彼女の名は榛名.
戦艦榛名の魂を持った艦娘である.
3
艦娘,艦の魂を少女の形で具現化した姿である.
彼女たちはとある敵を戦うため生まれた存在である.
装備はもちろん,本来の艦と同じものを具現化している.
当然のことながら,榛名は自分の状況が理解できていないので見覚えのある姿の軍人に言った.
「これは一体・・・.私はあのときここで
着底,解体されたはず・・・」
軍人は答えた.
「君は,艦娘と呼ばれる存在。我々の世界は今,存亡の危機に瀕している.戦艦 榛名,君には再び,この祖国を守るために戦ってもらいたい.」
唐突なことに状況がよく飲み込めていない榛名であったが,
「ええ、榛名でいいなら、お相手しましょう!」
4
横須賀鎮守府.敗戦後,日本海軍が解体され米軍,自衛隊の拠点となっていた.その後新生日本海軍誕生にともない,再び,海軍の一大拠点として再編された.
榛名は提督執務室の前にたっていた.
「失礼します!高速戦艦、榛名、着任しました。」
目の前にいるのは昔と変わらない第一種軍装に身を包んだ若い海軍軍人の姿だ.
その隣にいる少女は誰だろう,私と同じような雰囲気だ.
「私が横須賀鎮守府で艦隊の指揮をとっている.他の艦娘たちは提督,司令官と呼んでいる.君の好きなように呼んでもらって構わない.」
他の艦娘?私以外にも艦娘はいるようだと感じた榛名.
「そして隣にいるのは私の秘書艦陸奥だ.君と同じ艦娘だ.陸奥,自己紹介しなさい・」
羽黒は恥ずかしそうに
「長門型戦艦二番艦の陸奥よ。よろしくね。あまり火遊びはしないでね。お願いよ?」
「あ,戦艦 榛名です.こちらこそ,よろしくおねがいします.」
火遊び?と思いつつも戦艦時代の陸奥の最後を思い出し納得した榛名であった.
「他の艦娘たちはおいおい紹介するとしてこの世界について説明しておこう.」
「あのその前に一つ聞きたいことがあるのですが,よろしいでしょうか?」
申し訳無さそうに提督に問いかける榛名.だがどうしても聞いておきたいことだった.
「いいだろう.なんだい?」
「私以外の金剛型,金剛・比叡お姉さま,霧島もいるのでしょうか?」
それを聞いた提督は,
「残念ながら彼女たちはまだこの世界にはいない.がいずれ彼女たちもこの世界へ来てもらうつもりだ.そのことも含めて今からこの世界について説明しよう.」
そういうと提督は,太平洋,東南アジアを中心に描かれた地図をだした.そう榛名たち艦娘が以前の姿で戦っていた地域だ.
「君が,この世界に呼ばれたときのことを覚えているかい?」
榛名は私が最後を迎えた江田島だと答えた.
「そうだね,陸奥,君は今の姿で私を初めてであったのは柱島だったね.」
「そうね,私が爆発事故を起こして沈没した場所ね」
苦笑いしながら答える陸奥.
「ある程度察してくれたかもしれないが,君たち艦娘をこの世界に呼ぶためには艦が最後を迎えた地点で降霊させなければならない.」
「ということは金剛お姉さまたちもそれぞれの場所にいけば出会えるってことですね!」
嬉しそうにはしゃぐ榛名.
「まぁそういうことになるな.」
提督は複雑な顔をしながら答える提督.
「しかし,実際はそう簡単なことではなくてね.ここの世界の実情がそう簡単には行かせてくれないんだ.」
この世界は滅亡の危機に瀕している.数年前より突如現れた深海棲艦.やつらは突如現れ我々の海上交通路を破壊しはじめた.それだけではなく恐ろしいことにやつらは人を食うのだ.撃沈した船から投げ出された人はやつらに食われていった・・・.航空機での空路輸送を試みたがやつらは空母型と呼ばれる艦種もおりそこから放たれる艦載機の攻撃により妨害されている.
「つまり,海がやつらに支配されている以上,彼女らを呼び出したくとも呼び出せないのだ.君や陸奥は陸からも近い地点だからかろうじて呼び出せたというわけだ.」
「そ,そんなぁ・・・」
笑顔でいた榛名の顔は曇っていた.
「だがな,君たちが深海棲艦と戦い,制海権を確保すれば彼女らを呼び出すことができるのだ.」
榛名はにっこり笑って答えた・
「ええ、榛名にお任せください!」