戦艦 榛名抜錨します!   作:Nono_BM7

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第三話「これが戦艦です」

艦隊に配属されはや一ヶ月,利根・青葉の教育の元,艦娘としての戦闘を覚えつつある榛名.

 「どうした,こんなもので終わりか?」

 20.3cm連装砲の演習弾の至近弾を受ける榛名.

 「まだまだ!やれます!」

 戦艦らしいタフさで20.3cm程度ならものともしないとの顔で自慢の35.6cm主砲で反撃を試みる.

 「第一・第二主砲測敵ヨシ!弾種徹甲。撃てー!!」

 20.3cm砲とは比べ物に鳴らない音をたてながら利根に向かって砲弾が飛翔していく.砲弾は利根めがけていくが間一髪のところで利根が回避する.

 利根が魚雷での反撃を試みた瞬間,無線妖精が司令部からの暗号通信を受電する.

 演習部隊は即座,帰投せよ.

 「やれやれ,ここまでのようじゃの」

 利根は攻撃中止を各妖精へ伝達する.

 榛名も呼応して戦闘態勢を解除する.

 「なにかあったのでしょうか?」

 「わからぬ,じゃが急いで戻ってこいといいからにはなにかしらの事態がおこっておるのじゃろうのう」

 二人が急いで戻ると,港務担当の妖精から工廠にて入るよう指示が入る.工廠に入るなり工廠妖精は演習弾の積み下ろし作業と燃料補給作業を開始した.演習弾と入れ替えに実弾の積み込みが始まっていることに榛名は気づいた.

 今から実戦なのかしら・・・と緊張を感じる榛名.

 そう感じたのもつかの間,青葉と初めてみる小柄の少女二人,飛行甲板を持った少女が現れた.到着するなり彼女らへも兵装取り付けが開始される.

 「青葉さん,彼女らも艦娘なんですよね?」

 「あ,榛名さんは三人とお会いするの初めてでしたね.艦娘としては」

 白のセーラー服と双眼鏡を持つ少女.彼女は幸運艦として名高い「雪風」である.数々の激戦に参加しながらも終戦まで無事でいた彼女ほど幸運という言葉がふさわしい艦もいないだろう.

 銀髪にセーラー服に黒のタイツ,そして駆逐艦にはにつかわぬサイズのお胸様をかかえた少女は「浜風」.雪風とともに大和の護衛として沖縄へ出撃するも坊ノ岬沖海戦にて無念の最後を迎えた.また金剛の最後を見届けた艦でもある.

 紫の髪に,赤の和服をまとった少女,飛行甲板を持っているがちょっと小柄な感じがする彼女は「龍鳳」.榛名と同じく呉軍港で最後まで奮戦した艦の一つである.

 あいさつする間もなく,提督が現れる.

 「利根,榛名,急に呼び戻して悪いな.四国沖にて哨戒中の航空機から敵艦隊発見との連絡を受けた.近海に航行中の輸送船団もありほっておくこともできん.榛名,いきなりの実戦で悪いが出撃してもらう.」

 「はい,榛名は大丈夫です!」

 いつものように元気よく返事をする榛名.

 「さて編成だが本来なら榛名を旗艦に据えてと言いたいところだが,まだ着任して間もないからな.今回は利根を旗艦して出撃する.それでは1時間後,1300に横須賀を抜錨.四国沖付近を哨戒し敵通商破壊艦隊を発見.これを撃滅せよ」

 「了解!」

 各艦揃えて答える.

 そして抜錨時刻.

 「各艦,準備は良いな」

 「二番艦榛名,主機良好,問題なしです!」

 「三番艦青葉問題ありません!」

 「四番艦龍鳳,艦載機ともに異常なし.いつでもいけます」

 「五番艦雪風,兵装すべて問題なしです!」

「六番艦浜風,異常なし.皆さんをお守りしてみせます」

「各艦,抜錨!戦果を期待する!」

 提督の合図とともに各艦抜錨する.

 「各艦,第一戦速!」

 旗艦利根を戦闘に単縦陣にて進んでいく.

 東京湾を抜け外海にでると同時に龍鳳より直掩機の零戦二一型数機が上がる.

 「艦載機のみなさん行ってください!」

 「頼もしい限りですね!」

 直掩機が上空にいる.これほど頼もしいことは無い.みな,前の戦争で身を持って体感したことの一つである.だからこそ提督も艦隊防空の要として龍鳳を艦隊に加えているのだ.

 艦隊は順調に進み,和歌山沖を通過.

 「さてそろそろ頃合いかのう」

 「各艦,索敵機発艦用意!」

 駆逐艦以外の艦娘たちは索敵機の準備を始める.

「この我輩がいる以上,もう索敵の心配はいらんぞ!」

 利根型は水上機運用に重きをおいた艦であり搭載数は通常の重巡とは比較にならない.

 利根より数多くの零式水偵が飛び立ち,さらに榛名,青葉からも飛び立つ.龍鳳からは九九艦爆を偵察用として発艦させている.

 索敵機の飛翔とともに艦隊速度を上げていく.

 「各艦,水上見張りも怠るなよ」

 提督から無線連絡が入る.

 そのとき救難信号が突如入る.

 「我,深海棲艦見ゆ.救援を求む.」

 榛名はくちびるを噛みしめる.

 「利根さん,急いで助けに向かいましょう!!」

 「うむ,わかっておるわい.」

 「艦隊,最大戦速!」

 「利根四号機は急ぎ輸送船団の上空に向かわれたし」

 「龍鳳,零戦数機を輸送船団護衛に派遣するのじゃ」

 「了解しました.発艦準備急がせます!」

 龍鳳から零戦が飛び立つ.

 

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 輸送船団に徐々に近づく深海棲艦.

 利根四号機の報告では,重巡クラス2軽巡2駆逐クラス2.輸送船の速力ではとてもじゃないが巻くことができない早さだ.

 上空には零戦部隊が目を光らせる.これも前の戦争から教訓の一つである.だが零戦数機でどこまでやれるか・・・.

 ついに深海棲艦が攻撃姿勢に入る.零戦部隊は撃沈まではいかぬとも妨害くらいはと果敢に銃撃を開始.撃沈することは無いと深海棲艦もわかってはいるが銃撃を受けまともな精度で砲撃ができるわけがない.まずはうるさいコバエを落とさんとばかりに対空戦闘を開始.

龍鳳によって鍛えられた零戦部隊は敵を翻弄する.右往左往と翻弄される深海棲艦.しかし敵もさすがに目が慣れてきたようだ.一機,また一機と撃墜される.最早,丸裸同然となった艦隊.敵重巡が攻撃姿勢に入る.

 「さすが私の精鋭部隊です.よくやってくれました!」

 上空より九九艦爆が急降下爆撃を仕掛ける.

敵は間一髪で爆撃を交わす.

 「くっやりますね.」

 顔をしかめる龍鳳・

 「龍鳳さん,今度は私の出番ですよ」

 そう言って主砲発射体制をとるのは榛名である.この艦隊において最大の射程と威力を誇る彼女に怖いものはない.

 「主砲!ほーげき!開始!!」

 甲高い音とともに敵に目掛けて多数の35.6cm砲弾が飛び行く.

 砲弾は敵重巡一隻に直撃.またたくまに轟沈する.

 榛名の砲撃とともに利根,青葉,雪風が突撃を開始する.

 「私は龍鳳さんを守ります.もう誰も私の前からは沈ませない!!」

 浜風は強い意思を持った目で龍鳳の直衛に入る.

 三艦につづいて榛名も主砲での援護射撃をしつつ,突撃を開始する.

 「各艦,砲雷撃戦よーいじゃ!.まずは水雷で撹乱するのじゃ.」

 「了解!」

旗艦を撃沈され混乱する敵残存勢力に向け魚雷攻撃を敢行する三艦.

 ご自慢の酸素魚雷を発射.航跡がまったく見えないことが特徴だ.

 放った魚雷は一気に距離を詰め,一瞬にして敵に命中する.

 ドゴーン

 「しれぇ魚雷命中です!」

 雪風は思わず提督へ直接通信してしまう.

 この攻撃で軽巡1駆逐2を仕留めた.残るは,重巡1軽巡1である.

 「一気に畳み掛けるのじゃ」

 利根を先頭に三艦,そして追いついた榛名を最後尾に加え各艦砲撃を開始する.

 「弾着観測,誤差修正ヨシ!全門斉射!!」

 榛名の発射した砲弾は吸い込まれるように敵に命中した.35.6cm砲弾をまともに受けて立ってられる深海棲艦は戦艦クラスしかいまい.軽巡は一撃にしてその身を沈めていった.残る重巡一隻も利根・青葉の集中砲火を浴びまたたくまに轟沈した.

 「第一艦隊より,司令部,我,敵勢力を撃滅せり.輸送船団も全艦無事である.」

 「よくやった,そのまま輸送船団を護衛し横須賀へ帰投せよ.」

 「了解!」

 「さすが榛名さん,戦艦の火力素敵ですね!それでは初の実戦をへて,一言お願いします!」

 青葉はどこへ言っても取材魂を忘れていないようだ.

 「当然のことをしたまでです!」

 榛名はニッコリと答えた.

 「青葉よ,それくらいにして早く帰るぞ.また襲われでもしたらかなわんのじゃ」

 利根はやれやれといった感じで青葉に声をかけた.

 榛名の戦いはまだはじまったばかりである.

 

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