TS転生したけど、引きこもりニートしてネトゲやってます。ギルメンに兄がいるんだけども………   作:布団から出られない

12 / 13
クレーンゲーム

「う、全然取れない……」

 

バトクエの”地底の王“のフィギュアがあったから、それを狙おうと思って何度かクレーンゲームに挑戦したんだけど……。

 

まーったく、アームが1ミリたりとも触れてくれません!!!

 

んー、引きこもりしてネトゲやってるけど、多分元々おれってゲームセンスとかその他諸々ないタイプの人間なんだよな。

 

FPSとかも下手くそだし…。

 

多分引きこもりゲーマーとか、本来向いてないんだろうな。

引きこもりに向いてるも何もあるのかっていう話なんだけども。

 

「深沙季はクレーンゲームが苦手なんだね」

 

んーそうなのかねー。

でも、クレーンゲームって結構難しいよ? 多分、商品取らせないために何かしら細工とかされてるんじゃないかな…?

そういえば、義兄(にい)さんは…。

 

「…そういう義兄(にい)さんはどうなの?」

 

義兄(にい)さんがクレーンゲーム上手いのかどうか、正直気になる。

『ミンク』と接している時は、特段ゲームが得意って印象は受けなかったんだけど。

 

「俺? そうだなぁ……。じゃあ、ちょっと見ててよ。百聞は一見にしかず、って言うしね」

 

義兄(にい)さんはそう言って、100円玉を投入し、クレーンのアームを操作し出す。

 

「俺も、一発で取るっていうのはちょっと無理なんだけど……」

 

1回目では取れなかった。が、“地底の王”のフィギュアは、先程よりも位置が取り出し口へと近づいていて、少なくともおれよりかはクレーンゲームが得意ではあるんだろうなと思う。

 

「クレーンゲームって種類があるんだよ。3本アームと2本アームっていう違いがね」

 

「……そうなんだ」

 

「所謂確率機って言われる側面が強いのが3本アームのクレーンだけど、2本アームが確率機なパターンはあんまりないかな」

 

義兄(にい)さんは再び100円玉をクレーンゲームに投入する。

今俺達がやっているクレーンは2本アーム。義兄(にい)さんの話によると、確率機ではない可能性が高いって話なんだけど…。

それはつまり、アームの強さが一定のものであるということであって…。

 

「アームで掴むってよりかは、商品をアームで押したり引いたりして落とすってやり方がいいかな。手順もある程度あって、この場合は……」

 

義兄(にい)さんは手際良く、順序立てて商品にアームを押し当てていく。

すると…。

 

「あ、取れた!」

 

「はい、どうぞ」

 

義兄(にい)さんは、クレーンゲームによって、バトクエの“地底の王”のフィギュアを獲得し、俺に手渡してくる。

まさか、義兄(にい)さんがクレーンゲーム得意だったなんて…。

 

「友達とよく来るって言ってたけど、義兄(にい)さんって、結構ゲームセンターで遊ぶ頻度多い感じなの? クレーンゲーム上手みたいだし」

 

「まあ、そうだな。クレーンゲームに関しては、友達とっていうより、幼馴染が昔から俺にやらせてたから、それで自然とコツを掴んだっていうか…」

 

「へぇ……幼馴染」

 

幼馴染、かぁ、義兄(にい)さんにそう呼べる存在がいたとは知らなかったな。

まあ、義兄(にい)さんのことだし、その幼馴染ってきっと男性なんだと思うけど。

 

義兄(にい)さんが幼馴染って呼称するということは、それなりに義兄(にい)さんと仲が良いってことだ。けど、女性なら間違いなく俺の男性恐怖症のために家に連れてくるくらいのことはしててもおかしくないし、何なら付き合って恋人という関係に至っていてもおかしくない。

 

これらの事情から、俺は義兄(にい)さんの幼馴染が男性であると、そう推察した。

 

「にしても、バトクエのフィギュアを取りに行ったのは初めてだったな。クレーンゲームやらせてくる俺の友達は、大体バトクエ好きじゃなかったりするから」

 

「そうなの? 義兄(にい)さんの学校の人にはあんまりウケなかったのかな」

 

「いや、まあいるにはいるんだけど、そいつは自分で取るって言ったり、お前にとってもらうのは屈辱だーって発言するタイプの奴だからさ。それに、女子でバトクエ好きの子って中々いないから」

 

いるにはいるんだ。

ん? というか、女子…?

 

義兄(にい)さんって、女子とゲームセンターに来たりするの?」

 

俺以外にも以前一緒に来た女子がいたんだなぁと、そう思うと何だか少しモヤっとする気がした。

義兄(あに)を取られた気でもしたんだろうか。俺は俺なりに、義兄(あに)への家族としての独占欲というものがあるのかもしれない。

 

「するけど……。別に彼女とかじゃないよ、男友達も一緒にだし。何ならそいつの彼女とかだったりするから」

 

「そうなんだ」

 

カップルと一緒に遊びに行くって、中々図太くない? いやまあ、多分そのカップル以外にも恋人なしの男女はいたんだろうから、そうでもないんだろうけど。

 

「女子と2人っきりでゲームセンターに来ることは基本ないかなぁ」

 

その発言に、俺はホッと胸を撫で下ろす。

多分これは、人間関係希薄な俺が、義兄(あに)との繋がりを誰かに取られてしまいそうなことに不安を覚えているだけなんだろう。

そうだとしても、心の底から、俺は義兄(あに)が誰のものでもないということに、安堵していた。

 

「バトクエ好きの女子は?」

 

「それこそいない。俺が知ってるのだと深沙季くらいだよ。義妹っていうのもあるかもしれないけど、そういう意味で、深沙季は他の女子と接するよりも気楽で居心地がいいなって思う」

 

「まあ、“地底の王”好きの女子なんて中々いないよね。こんなニッチなところ好むのなんて、それこそ…」

 

俺くらいしかいないんじゃないかな。少なくとも俺は俺以外に“地底の王”好きのバトクエ女子を見たことがない。

 

「いや、そもそもバトクエ好きの女子自体が珍しいんだよなぁ……」

 

確かに。俺も今まで出会ったことないな、バトクエ好きの女子。“地底の王”好きのバトクエ女子を見たことがないとか言ったが、それ以前にバトクエ女子を見たことがなかった。

一応、舞はおすすめしたらプレイしてくれたりはしたけど、ハマっているかと言われれば別にそんなことなかったから、バトクエ女子とは呼べないだろうし。

舞はどっちかっていうとアウトドア派だからなぁ。

 

「それじゃ、次は何する?」

 

「そうだなぁ……次は……」

 

 

 

 

 

 

 

今のところ、お義兄(にい)さんの友人と思われる方々が何かアクションを起こす様子はない。まあ、普通にお義兄(にい)さんが女性と一緒にいるところを見て、彼女か何かと勘違いして尾行でもしているんだろう。

 

声をかけようにも、デートの邪魔になってしまう可能性がある、けどそれはそれとして彼女がどういう存在なのか気になる、とかそんな感じの理由なのかな? まあ、特別害のある行動はしてこなさそうだということはわかったし、彼らへの警戒はそこまでしなくてよさそうだ。

 

にしても…。

 

「深沙季ちゃん、元気そうじゃん。私が普段休日に様子見に行く時とかと全然様子違うなぁ」

 

「うぅ……深沙季はいつの間にかお姉ちゃん離れしてしまったのです。前までは私がいないと外にも出れなかったのになぁ……」

 

舞は捨てられた子犬のような顔をしながら、深沙季ちゃんのことを見つめている。

 

まあ、口を開けば深沙季ちゃん、深沙季ちゃんって言ってたからね〜舞って。

本当に妹が可愛くて仕方ないんだろうなぁ。

双子だけど、本当に小動物系妹って感じだし。

 

「成長して嬉しい限りだね〜」

 

「私は寂しいよ美雨ちゃん…」

 

まあ、それでも舞も寂しがり屋な女の子ってことには変わりないし。

 

「代わりに私が遊んであげるから、それで我慢しなよ」

 

舞の寂しさは私が埋めてあげよ。

だから、深沙季ちゃんは存分にお義兄(にい)さんと楽しんでねー。なーんてね。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。