GUNARCHIVE   作:F.ヴィンケル

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バニートキ…メイドアリス…メイドユズ…らせん階段…カブト虫…誤字報告…お気に入り…評価…ありがとうございます…カブト虫…


葬儀屋④

葬儀屋④

 

先生と別れたあと、七神リンは連邦生徒会の総括室に戻りながらタブレットを確認する。

 

(流石は凄腕のスイーパーと言うところですか) 

 

リンは先生が他の生徒と出発した時に、葬儀屋(トゥルーグレイヴ)に依頼のメッセージをダメもとで送っていた。

急遽の依頼であり、返信が来なかったので流石に無理があると思ったが、彼女はきてくれた。

 

返信がなかったのは、メッセージの内容が急用だったのを確認し、最速でこちらに向かってくれたからであろう。

 

(彼女にはまた助けられましたね)

 

リン達連邦生徒会は、彼女の事をビジネスパートナーとしてかなり信頼している。

これまでも治安維持、警備任務等で依頼をしており、そのどれもが高水準で達成されている。

また、彼女自体金銭にあまり興味が無いのか、報酬の額も破格的に安いのだ。

 

(今回は少し多めに振り込んでおきましょう)

 

いつも口うるさい財務室の扇喜アオイも、彼女の名前を出せば許してくれるだろう。

そう考えながら、リンは今出来る一通りの連絡と作業を終えて、タブレットから目を離した。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「以上が、本日起こった出来事です」

 

ゲヘナ学園の風紀委員会に戻ったチナツは、風紀委員長である空崎ヒナに報告をあげた。

 

「そう、お疲れ様」

「お疲れ様です、チナツさん。連邦生徒会に貸しを作れたのは幸いです」

「お疲れ様」

 

ヒナの労う言葉に、行政官の天雨アコ、同じ風紀院の銀鏡イオリが続く。

 

「報告書は明日でいい。今日は休んで」

「ありがとうございます、委員長」

 

チナツが頭を下げて部屋を退出しようとすると、ふとヒナから声がかかる。

 

「ごめん、チナツ。一つ聞いていい?」

「はい?なんでしょう」

「彼女…グレイヴはどうだった(・・・・・・・・・・)?」

 

ヒナの言葉に、チナツはあの時のことを思い出して、一瞬言葉に詰まる。

機械の様な性格無慈悲な射撃。

圧倒的な暴力。

あれは、もはや一方的な鏖殺であった。

そしてチナツはそんな姿を見て考えてしまった。

 

委員長みたいだ(・・・・・・・)、と。

 

「その…何と言って良いか」

「そう。ちょっと興味があっただけだから大丈夫。引き止めてごめんね」

「いえ、大丈夫です。失礼します」

 

チナツは少し逃げる様に退室した。

 

何処となくヒナと瞳が、グレイヴと同じに見えた。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「ツルギ、ここにいましたか」

「………ハスミ」

 

ハスミに声をかけられ、剣先ツルギはグランド首を傾けながらハスミを見る。

トリニティ総合学園から少し外れた路地裏。

ハスミはツルギの周りを見渡す。

そこには、女番長(スケバン)風の不良生徒たちが倒れていた。

 

「本日、連邦生徒会から派遣された先生に会ったので報告を」

「………」

「なんというか、おおらかで頼りになる方でした。指揮能力に関してはとても素晴らしいと感じました」

「………そうか」

「はい。それともう一つ…彼女に会いました」

 

その言葉を聞いたツルギは、顔を歪めて目を見開く。

 

「……キヒッ」

「相変わらず、機械の様に冷酷な方でした」

「……ケヒャヒャッ…それは違うぞ、ハスミ」

「ツルギ?」

 

ツルギの回答に、ハスミは首を傾げた。

そんなハスミから目を離し、ツルギは独り言の様に続ける。

 

墓場(グレイヴ)という名の割に、ヤツは熱いものを持っていた」

 

昔、ツルギとグレイヴはすれ違いによりぶつかった事があった。

その時、お互いの誤解が解けるまで、ブラックマーケットの一画が、文字通り吹っ飛ぶ程の戦闘になった。

 

(実際に矛を合わせてみないと、わからないものがあるんでしょうね)

 

ツルギの珍しく穏やかな言葉に、ハスミは心の中でグレイヴの評価を少し変えるのであった。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「お疲れ様、ユウカちゃん」

「ありがとう、ノア」

 

自分と同じミレニアムサイエンススクール所属、生徒会「セミナー」の書記を担当する生塩ノアから珈琲を受け取ったユウカは、一口飲んだユウカは、ほっと一息ついた。

 

「報告書、確認しました。元気でしたか、グレイヴちゃんは」

「そうね。相変わらず表情は読み取れなかったけど」

 

葬儀屋とセミナーは連邦生徒会と同じくビジネスパートナーとしてそれなりの信頼感がある。

 

ミレニアムの組織『Cleaning & Clearing』、通称『C&C』が多忙で手が回らない時に、外注として葬儀屋を利用していたのだ。

 

なによりも仕事が早く、それでいてそれなりの基準で達成してくれて格安。

ユウカからしたら余計な被害を生み出すC&Cに頼むより、最小限の被害で成果をあげる葬儀屋に外注した方が心の平穏もお金も保たれるのだ。

 

「彼女、報告書もきっちりしてるし…本当ミレニアムに来てくれないかしら」

「ユウカちゃんの本当お気に入りですね」

 

一度、それと無しにユウカはグレイヴを誘ったことがあったのだが、やんわりと断られた記憶がある。

実際は本人は社交辞令だと思ってたのと、思った様に口が動かず、流れてしまっただけなのだが。

 

ちなみにタイピングは普通に打てたりするが、仕事の連絡しか来ないので、ゴテゴテのビジネス文でしか会話をしたことがない。

 

「そう言えば先生にもお会いしたんですよね?」

「そうなのよ。少しお話ししただけど、良い方だったわ」

 

その後、2人は先生の話で盛り上がったのだった。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

スズミは帰路につきながら、彼女のことを考えていた。

彼女、グレイヴと名乗る少女は覚えてはいないだろうが、昔一度助けられたことがあったのだ。

 

それは、スズミがまだ自警団を始めたばかりの頃、見回り中に単身で多くの不良生徒に囲まれた時があった。

今ほど戦い慣れてるわけでもなく、迂闊な自分自身の行動を呪っていた時、彼女は現れた。

 

20人ほどいた不良たちを瞬く間に倒すと、こちらを一瞥して、何処かへ歩いて行った。

 

噂話とかにあまり関心のなかったスズミは、彼女のことを知らなかったが、それをきっかけに色々と調べるようになっていった。

 

お礼を伝えに、勇気を出してあぶないブラックマーケットに赴いたこともあったが、間が悪くこれまで会えたことは無かった。

 

あの時のお礼はまだ言えてない。

 

「今度こそ、伝えないとな」

 

呟いて見上げた空は、茜色に燃えていた。




読んで頂きありがとうございます。
次からアビドスです。
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