エウリュディケ救出作戦〜先生を、取り戻せ〜   作:立日月

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オリジナル書いてる合間に書いてるので気づいたら半年とか空いてる。

気づいたらブルアカ本編めっちゃエピソード更新されてますけど、当作品の時系列は最終編後かつ対策委員会3章より前ということで……。


カロンへの渡し賃~渡し守を説き伏せるには~

 

 突然現れた闖入者に、会議室中へ一気に緊張が走る。

 かつてキヴォトスへ侵攻したまさに張本人が、サンクトゥムタワーという心臓部へと乗り込んできたのだからそれも当然だ。こともあろうに先生の不在中に。

 しかし幸か不幸か、今ここにはキヴォトス有数の戦力が揃っている。

 

「いい度胸じゃねえか!」

 

 そう叫んだC&Cリーダーのネルを筆頭に、ゲヘナ風紀委員長のヒナ。正義実現委員会のトップ、ツルギ。

 本来自由行動を制限されているミカですら、かつてのティーパーティとしての知見とその武勇を求められて今この場にいる。

 

「……」

 

 多くの生徒から敵意が注がれ、シロコも臨戦態勢に入る。

 まさに一触即発のその時だった。

 

「うへ〜、シロコちゃん久しぶり〜」

 

 緩んだ声を掛けながら一歩前に出たのは、先に挙げた実力者たちと並び立つ小鳥遊ホシノ。対策委員会の面々も後に続く。

 

「急に現れたらみんなびっくりしちゃいますよ〜⭐︎」

「ん、ごめん。ノノミ」

「ん、次からは正面玄関から入ってくること」

「正論だけど、シロコには言われたくない」

 

 普通に対策委員会と会話する異世界のシロコの姿を見て、他の面々も構えていた銃を下す。

 緊張がゼロになったわけではないが、少なくとも襲撃に来たわけじゃないことは伝わった。

 落ち着いたところでホシノが本題に入る。

 

「あー、世間話はその辺で。それで……シロコちゃんは先生の行方、知ってる?」

 

「……ごめん。私も先生がどこに行ったかは知らない。私の世界ではこうなる前に……」

 

 沈痛な面持ちで顔を伏せるシロコに、事情を知っている対策委員会の面々はそれ以上の追及は出来なかった。

 しかしキヴォトス中の戦力、つまりキヴォトス中の厄ネタが集まっているこの場は、それで納得出来る連中ばかりではなかった。

 

「ではあなたは何をしに来たのですか?」

 

 苛立ったようなアコが生徒たちを代表してシロコへと問いかける。何も知らないのならば、なぜ場を引っ掻きまわしにきたのか。そんな文句を言外に潜ませて。

 しかしシロコは敵意をそよ風のように受け流して、口を開く。

 

「先生を探すためにはシッテムの箱が不可欠。でもその起動には先生の生体認証が必要。あなたたちはその堂々巡りに陥っている。そうじゃない?」

 

「……それはその通りですけど、あなたなら突破できるとでも?」

 

「私には、無理」

 

「そうでしょうね。はあ、結局は進展なし──」

 

「でも、突破できるかもしれない手段は知っている」

 

「なっ!」

 

 予想外の回答に面食らうアコだったが、その気持ちは他の生徒たちもまた同様だった。

 硬直する生徒たちの中、リンが本題を切り出す。

 

「その手段というのを伺っても?」

 

 それを聞いたシロコは素直に頷き、口を開いた。

 

「シャーレのオフィス。先生の執務室へ連れてって。もし先生がまだアレを残しているなら──可能性はある」

 

 ────────────

 

 流石に全員でシャーレのオフィスに行くわけにもいかなかったため、シロコ及び各学校の代表者数名だけが向かうことになった。

 エンジンの稼働音だけが響くバスの中で、シロコがポツリとこぼす。

 

「……ところで、一番シャーレの当番をしてる生徒は誰?」

 

「それは私ね」「たぶん私かな」「私でしょ〜⭐︎」

 

 シロコの質問へ同時に答えを返したのはユウカ、カヨコ、ミカの三人だった。三人の間でお互いへの敵意が一気に膨らむ。

 

「いやいや私は経費精算まで手伝ってるんですから! 私に決まってます!」

「それはあなたが勝手にやってるだけじゃないの? 当番の回数には関係ない」

「仮に私じゃなくても今ここで二人とも潰しちゃえば私ってことになるよね?」

 

 シロコは痴話喧嘩じみた光景を前に嘆息した。

 

「……別に、誰でもいいんだけど。先生が大切な私物を仕舞いそうな場所、わかる?」

 

 シロコの言葉を聞いた三人は争いをやめ、お互いの顔を見合わせた。しばらくの沈黙の後、ユウカが代表して口を開く。

 

「それなら、間違いなくあそこだと思う」

 

 カヨコもミカも特に反論する様子はない。

 それくらい、シャーレに当番に来たことのある生徒にとって間違えようのない場所なのだろう。

 

 ────────────

 

「ここよ」

 

 ユウカが先導して辿り着いた場所は、シャーレのビルから最も良くキヴォトスを見渡せる窓際だった。

 小さな棚の置かれた机と丸椅子が設置してあり、こぢんまりとした休憩スペースが構築されていた。

 

「……先生は、よくそこでコーヒーを飲みながら棚から何かを取り出して眺めてた」とカヨコが説明し、「この場所はあんまり触らないでってよく言ってたね」とミカが付け足す。

 

 それを聞いたシロコは棚の最上段を開けて中を覗き込む。

 

「あった」

 

 慎重な手付きでシロコが引き出しから取り出したのは、一枚の黒いカードだった。

 

「それは……?」

 

「これは……私の先生が、最後に遺した物」

 

「……ぁ」

 

 それが何かに気づいたこの世界のシロコが息を呑む。黒きシロコは頷き、答えを返す。

 

「そう、大人のカードってやつだよ」

 




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