絶望への反抗!!残された二人の天才少年 孫悟天とトランクス   作:スーパーナメック星人

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さらば我が子よ 希望を背負い、いざナメック星へ!

「……悟天ちゃんを宇宙に飛ばす、だって?」

 

 孫悟天誕生の知らせを聞いて1ヶ月後、西の都のカプセルコーポレーションにチチは突如呼ばれた。そしてその席で発せられたブルマの言葉に対して、怪訝な表情で聞き返す。4人がけのテーブルの対面に座るのは、ブルマと孫悟空のかつての師匠である亀仙人だ。

 ブルマは険しい表情を浮かべながら、重々しく頷く。

「1年前、亀仙人さんが言ってたことなんだけど、強大な戦闘力を持っているとセルに探知される可能性があるの。もし見つかってしまったら、二人を守ることはできない」

「だから遠い宇宙にか……でもまだ小せぇだ、そんな危ねえことさせられねえだ!」

 

 チチは抱きかかえている悟天を強く抱きしめる。チチの主張も無理もないだろうと亀仙人は感じていた。

 1年前に夫も一人息子も殺されてしまい、今度は最後の家族も危険な宇宙に繰り出すという話となれば、母親としては拒否するのは当然のことだからだ。

 

「強い戦闘力を持っていない今だからこそやらなきゃいけないの。そして、かつて私や悟飯くんたちが行ったナメック星に行ってもらうつもりよ」

「あ、あそこに行って化け物に襲われたって話を悟飯ちゃんから聞いただぞ!」

「大丈夫よ。その時はフリーザっていう化け物が余所から現れただけで、ナメック星人は温厚よ。しかもピッコロみたいな強いナメック星人もいるようよ」

「そったらこと信用できねえだ!! ブルマさんあぶねえことはねえから安心しろってオラに言っといて、悟飯ちゃんはあんな目にあったんだぞ!」

 

 その瞬間、ブルマの眉間に深いシワができ、空気が一瞬で張り詰めた。

 

「甘えたこと言ってる場合じゃないでしょチチさん!! 今どういう状況だって分かってるの!? もう悟天くんやトランクスにすべてを託すしかないのよ!」

「なんで子供がそんなことしなきゃいけねぇんだ! まだ赤ん坊なのに、どうして戦うために修行させなきゃいけねぇんだ!」

「地球の危機だからよ! 悟飯くんだって小さい頃から地球のために戦ってくれてたのよ! 小さかろうがなんだろうが関係ないじゃない!」

「それはオメェら大人が悟飯ちゃんを戦わせてたからだ! 悟飯ちゃんは、戦いが昔から大っ嫌ぇだっただ!」

「だから、それは世界の危機だからよ! アタシだって、トランクスを戦わせるのは辛いのよ!」

「だったらこのまま諦めて、少しでも幸せに暮らせるようにしたらええだ! 悟空さも悟飯ちゃんもベジータもピッコロも殺されたんだろ!? どうせ勝てるわけねえだ!」

「アンタ……孫くんの想いを台無しにする気!? 孫くんはなんで悟天くんを遺したの!? そんなことも解らないんだったら、アンタは孫くんの奥さん失格よ! ……こんなことなら私が結婚してれば良かったわよ!!」

「そこまでにせんかブルマ!!!!」

 

 ずっと横で聞いていた亀仙人がブルマの腕を掴み、叱りつける。ブルマも己のしでかした発言を悔い、怒りをすっと収めて、椅子に座り込む。

 

「ごめんなさいチチさん。言い過ぎたわ」

 ブルマの謝罪を受けてもチチは崩れ落ちて、そのまま泣き始めてしまった。亀仙人はブルマに退室するように促し、チチの肩を抱きかかえた。

「……ブルマのやつも本気じゃあない。あやつとて、トランクスを幼いうちから宇宙に送るのは辛くないはずがないんじゃ」

「……武天老師様。やっぱりオラは、悟空さの嫁にふさわしくなかっただか?」

「チチよ。二度とそれをワシの前で言うな。悟空はワシの弟子じゃ。お主が相応しくないだと一度たりとも思ったことはない」

「ほんとか……? オラは昔から、悟飯ちゃんを戦わせたくなくて、悟空さに何度も拳法をやめさせると言い続けてきたんだ。武道家の嫁なのに、オラは失格だ」

「だが、悟飯は戦いが嫌いだったんじゃろ? そういうことなら、むしろ大人として失格と言えるのは悟空の方なんじゃ」

 チチは涙に濡れた目を亀仙人に向ける。

「あやつは、子供のころからなんにも変わっていないんじゃ。戦いを好まない人の気持ちが何もわからないんじゃよ。幸いというべきか不幸というべきか、ブルマも含めて、そういう価値観を理解してしまうものばかりが悟空の周りには多かった。だからあやつは、お主や悟飯のように戦いを好まない人々の気持ちを最後まで理解できなかったんじゃろう」

 亀仙人はチチの肩を優しく叩く。

「だからお主の価値観は、悟空にとっては必要なことだったのじゃ。ワシは武道に生きてきた男だから、その価値観を教えることはできなかった。でもお主は、お主ならその価値観を悟空やその子どもたちに教えられる。そしてそれは、平和な世の中で必ず生きる!」

「平和な、世の中……」

「だから、その平和な世の中を取り戻そうではないか。悟天を宇宙に送り、セルを超える力を身に着けて、勝ち取るしか方法はないのだ」

 亀仙人はそれだけ言い残して、部屋から立ち去った。

 

 

 

 

ーー3日後。

 

 カプセルコーポレーションの開発デッキ前にて宇宙船が今にも飛び立とうとしていた。かつて孫悟空がナメック星に飛び立ったときのような、巨大な丸い宇宙船だ。重力装置も付随している。

 育児用のロボットに100日分の食料、操縦ロボットを詰め込み、あとは人間を乗せるだけとなった。

「ブルマよ、この宇宙船だと7日でナメック星につくのか?」

「そうよ。昔パパが孫くんに作った宇宙船をそっくりそのまま作ってるの。3年前に孫くんが地球に帰ってきたポットを再利用してね。ちなみに新しいナメック星の場所は、界王様が教えてくれたわ。行けそうな距離で助かったわね」

「なるほどな……抜け目がないのう。しかし、お主本当はあの二人を戦わせる気はないんじゃろう?」

「……どういうことよ」

「ドラゴンボールがあるじゃろう?ナメック星に。それを使って悟空やベジータたちを生き返らせるんじゃろう?」

 

 ブルマは亀仙人の洞察力に感心しつつもため息を吐く。

 

「そうね……正直言って、そっちのほうが確率は高いし、すぐに地獄から解放されるしね。あの子達を宇宙に行かせるのも、セルに一番狙われる存在だから避難させたってのが大きいわね。伝達ロボットを使えば、ナメック星人にも伝わるはずよ」

「あんだけオラに覚悟を決めろみたいなこと言っといて、結局ブルマさんもオラとおんなじだったんだな」

 

 ブルマの背後から、チチの呆れたような声が聞こえてきた。右腕で幼い悟天を抱え、もう片方の手でスーツケースを持つ。

「……本音はチチさんと一緒よ。あのときはいいすぎてごめんなさい、チチさん」

「……いいんだ。オラは地球を救った英雄の嫁だったんだ。ブルマさんのお陰で目が醒めただよ」

 そういって、チチは宇宙船の中に入り、幼い悟天を座席に座らせる。チチの腕から離れた悟天はすぐに母の元へと戻ろうとするが、その前にチチがシートベルトをしめてしまう。その隣の席に座るトランクスもブルマから離されてしまい、ただをこね始めた。

「オメェたち、気をつけて行ってくるだ

ぞ。必ず生きて、地球に帰ってこい」

「トランクス、悟天くんよりお兄ちゃんなんだから、しっかりね」

 二人の母の目には涙が浮かんでいた。トランクスと悟天はその涙の意味を本能的に理解し、離れたくないと言わんばかりに暴れだす。けれど、母たちは背を向けて、宇宙船を降り立った。

 宇宙船のハッチが閉まり、エンジンが始動する。轟音とともに、希望は宇宙へと旅立った。

 二人の母は信じ続ける。これがいつか、地球の希望になることを願って。

 

 

 

 

「……あれは、カプセルコーポレーションの宇宙船か」

 カプセルコーポレーションから何百キロも離れた先、一つの村を焼き払ったセルがつぶやく。カプセルコーポレーションは世界的な企業であり、世間では社長だけ逃げ出したのかと非難の声が上がっている。

 しかし、セルは全く違うことを考えていた。

「ナメック星に行けば、ドラゴンボールがある。奴らはそれを狙っているのだろう」

 

 セルはニヤリと笑い、近くで破壊活動を続けているセルジュニアを呼び止めた。

 

「セルジュニアよ、今すぐナメック星へゆけ。そして、現地の神龍及び最長老を殺害してくるのだ」

「キキキッ」

「お前であれば5日程度で到着するだろう。抵抗するナメック星人は殺しても構わんぞ」

 セルジュニアはコクリと頷き、宙へと飛び立った。

「悪いが、希望の芽は全て摘ませてもらう。孫悟飯や孫悟空でも復活されたら、私の命が危ういのでね」

 セルはさらなる生存者を求めてその場を去った。

 希望の花は無事に咲くことが叶うのだろうか。

 

 

 

 

 

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