感想にて、この作品内のかぐやキャラの年齢についての疑問が見られたため、この場において解説します。
原作設定との矛盾はありますが、この作品内では
なので、不知火ころもとフリルの年齢差はかなり広がっています。多分不知火姉妹は出てこないと思うけど。
この作品に都合のいいように時間軸を捻じ曲げてます。すみません。
でも年齢くらい…いいよね…?
それとこの話で前回から総司が言っていたタレントが出てきます。
感想欄で色々予想されていましたが、正解者が居ました。おめでとうございます、でも景品は何も出ません。
総司「おめでとう」
これで勘弁してください。
突然何の話だ、と思われるかもしれないが、芸能事務所の社員数の平均は九人だという。社員数が十人未満の会社が九割を占め、社員が百人を超えるような大企業はたったの一%。
ここで語った社員数は、それぞれの事務所が抱えるタレントを除いた数だが、しかし会社を裏から支える社員の人数が平均たったの九人。
ちなみに、苺プロダクションの社員数は現在、五人である。社長も入れて、だ。
「ちっさ」
「言わないでください」
現在、俺は苺プロダクションの事務所にお邪魔している。
事務所の中を見て、即座に抱いた心の声が口を突いて出てしまったが、どうやら隣に居る斉藤にしか聞こえていない。危ない危ない。
事務所内を歩く俺を、仕事中の社員達がちらちらと視線を向けてくる。
この会社が以降、どうなっていくのか。そして、俺が誰なのか、斉藤から聞いて知っている筈だ。
それでもなお、実感がないのか、或いは明らかに子供だからと信じられていないのか。
「全員、こちらの部屋に集めています」
誰からどう思われようと、侮られていようと、俺がする事に何ら変わりはない。俺の事をどう思おうと、それはそいつらの自由だ。
少なくとも、まだ何もしていない今の段階では。
そこらの評価はゆくゆく、俺の行動で変えていくとして、とにかく今はするべき事がある。
目の前にある扉の向こうには、斉藤の呼び掛けで集まったB小町のメンバー達がいる。
今日ここに来たのは、彼女達と話をするためだ。
「開けてよろしいですか?」
「あぁ」
頷いて答えると、斉藤が扉を開けて社長室の中へ入っていく。
部屋の中に入った斉藤が横にずれ、扉を開けたまま俺に道を譲り、俺はそれに従って無言で社長室の中に入っていく。
部屋の中にいたのは七人の少女達。彼女らの視線が、一身に俺へと注がれているのが見なくとも分かった。
…約一名、目を丸くして、口を半開きにした間抜け顔を披露している奴がいるが、無視する事にする。
「総司さん、前もって全員に事情は説明してあります。なので簡単に自己紹介を」
「分かった」
どこまで詳細に説明しているかは知らないが、苺プロダクションが四宮の傘下に入るという事は説明済みなのだろう。
…俺の顔を見て素っ頓狂な顔をしている奴がいるが、本当に説明済みなんだろうな、斉藤。さっきの社員の反応や、こいつらもそうだけど、本当に
「正式な手続きはまだだが、今後苺プロダクションは四宮グループの傘下に入る。それに伴い、当主雁庵から命じられた俺が今後、この会社の─────」
そこまで言い掛けて、ふと思う。
CEOとか、経営最高責任者とか、この子達に言って理解できるのだろうか、と。
「…社長よりも偉い人になる」
「あの、もしかして私達の事馬鹿にしてますか?」
「すみません」
怒られた。そんで、反射でつい謝ってしまった。
まずい、これじゃあ威厳も糞もない。四宮の名前が地に落ちる前に立て直さなくては。
「ぷふっ」
「─────」
どこからか笑い声がした。
女の声だったから斉藤は除外。というより、常人とは一線を画す聴力を持つ俺の耳は、正確にその声の主が誰なのかを悟っていた。
「…」
「…」
私今、何かしましたか?とでも言いたげな顔が、異様に腹が立つ。
決めた。自己紹介が終わってからメンバー全員と対談をしていくが、こいつの番は最後にする。
時間的には一時間か二時間か、ただただ待つだけの時間をプレゼントしてやる。地味な嫌がらせだが、実際にやられたら相当嫌な嫌がらせだ。ざまあみろ。
「おほん。とにかく、これからは俺がこの会社の経営を任される事になる。一応社長の肩書は斉藤のままだが、以降しばらくはただのお飾りだ」
「その通りですけど、もう少し他の言い方を「俺が喋ってる。黙ってろお飾り」酷い」
斉藤は半泣きになった。気持ち悪いと思った。
「それでだが、俺が経営責任者になるに当たって、方針を色々と変えていこうと思っている」
「方針を、変える…?」
戸惑い、驚き、不安。
彼女達の顔に浮かぶ表情、それらの反応からある程度、今の言葉に対して何を思うのかを読み取る。
ここに来る今日という日を迎えるまでに、斎藤から星野を始めB小町のメンバーの詳細なデータの記された書類を受け取り、それを元に四宮の情報網も駆使してそれぞれの名前と顔は一致させ、アイドルになる以前となった以降の活動経歴なども集められる限り集めた情報をしっかりと脳内に叩き込んできた。その上で、今浮かべている表情で感情を読み取り、誰がどんな思いを抱いているのかを今この場で頭の中にインプットさせる。
そうしてこの後の対談でそれぞれ何を話すのか、話題をある程度だが決めていく。
「だが、君達が現状に満足しているのなら、それは愚策になる。だからこれから順番に、俺と一対一で面談を行う事にした」
隣の斉藤が不安そうな表情を浮かべている。星野を除いたB小町メンバー達の殆ども同じような顔をしている。
「俺の質問に対して必ず本心で答えろ。隠し事、嘘は一切許さない。…あぁ、安心しろ。面談の内容については口外するつもりはない。例外として隣にいるお飾りには今後の事について話し合う上で、どうしても公開しなきゃいけないがな」
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
対談という名のカウンセリングの始まりだ。
「お疲れさまでした」
一通りの面談を終えた頃にはすっかり夜も更け、辺りは暗くなっていた。B小町のメンバーには今日の所は帰って貰い、また後日に、今回の面談を踏まえての経営方針について話すつもりだ。
斉藤からの労いの言葉と、差し出されたお茶に目線を向けるだけで返してから、俺は今回の面談で聞かれた話をメモした紙をじっと見つめる。
「それで…どうでした?何か、話は聞けましたか?」
「そうだな。…予想してたよりも闇が深かった」
「…えっ、と?」
斉藤からの問い掛けへの答えとして、最も相応しい返答をしたつもりだったのだが、斉藤は俺の言葉の意味を計り兼ねているらしい。
この事態を招いた張本人の癖に、嘆かわしい。
「俺はな。
「…はぁ。そうじゃなかったんですか?」
「その通りだよ」
斉藤からB小町の現状を聞いた時、俺はもっと、簡単に言えば
グループの中心で、注目されまくって、贔屓されまくっている星野アイに対して、
そう思っていたんだが─────。
「そういう奴もいたさ。赤野と横井に槍坂。あの三人からは星野に対して、負けたくないっていう対抗心が聞けたよ」
「…他の三人は?」
「…『
まるで示し合わせた様に、
その顔に悔恨と諦観を、同時に浮かべながら。
「言ってたよ。星野を前面に押し出してかなきゃ、B小町が成り立たないのは分かってるって。今更その方針を変える必要があるんですか、とも聞かれたな」
「…」
「…俺も社長も、その必要があるって答えたら、内二人に鼻で笑われたぞ」
言ってから、斉藤が力一杯拳を握りしめている所を見てから、これ以上言う必要はない事を悟る。
そう。
だが現実はそうではなかった。B小町のメンバーの内三人、つまり半分が現状を受け入れようとしていて、諦めようとしていた。
それは、これからB小町を
「逆に後から入った三人は経営方針変更に大賛成しているようだし、今後の頑張りに期待だな」
「…総司さんは、あいつらをどうするつもりなんですか?」
「そんなもの、これから決めてくよ。たかだか一回の話し合いで正解が見つかるなんて、これっぽっちも思ってない」
元々、長い時間を要すると覚悟していたんだ。このたった一度の面談でどうこうしようなんて、考えちゃいない。
もう少し実のある答えを期待していた、というのが本音だったが─────それはもう仕方ない。今の状況だって、全く予想していなかった訳じゃないし。
「…やっぱあいつの力が必要だな」
「あいつ?」
ただそうなれば、やはり時間稼ぎが必要となる。
先日に斉藤とも話した、B小町を立て直すための間、会社を保たせる事が出来るタレントを呼び寄せる。
斉藤にも言ったが、それが出来る奴が一人、俺の中で心当たりがある。
本当は二度と会いたくない。だが、必要な事である。
人を使い、操る。それが例え、
─────♪~
幼い頃から刻み込まれた、四宮の教育。精神を闇の中に投じ、逃げようとする己の精神を律して覚悟を決めた、その時だった。
どこからともなく、ダースベ〇ダーのテーマが流れ始める。その音の正体を、俺は知っている。
「斉藤、出ろ」
「え?…え?」
「逆らう事も口答えも疑問を投げる事も許さん。とにかく、俺の代わりにその電話に出ろ」
ポケットの中から携帯を出し、そのまま斉藤に向けて放り投げる。
突然携帯電話を放り投げられた斉藤は当然戸惑う、が、辛うじてキャッチをした斉藤は続けざまに投げ掛けられた俺の命令に黙って従い、携帯を開く。
「…アイ?え?」
「さっき俺が言った事を思い出せ、斉藤。出ろ」
「あ、はい」
何だってあいつはこう、タイミングの悪い時に電話を掛けてくる。
止めろ、今はお前と話したくない。これでお前と話してたらどうせまた飯を奢る話になって、これまでに決めていた覚悟とかあれやこれやが薄れてしまう。
「─────」
いや、待てよ?これはある意味チャンスなのではないか?
…星野、俺は今、お前と出会ってから初めて感謝の念を抱いたぞ。心の中だけで褒めてやる。
「おい、斉藤」
「いや、総司さんに電話に出ろって言われて─────ハイ?」
多分星野から、『何で社長が出るの?』とでも言われたのだろう。俺の名前を出して何か言おうとした斉藤に呼び掛けながら、手を伸ばす。
「星野に話したい事が出来た。返せ、俺が話す」
「???えっと、はぁ…?」
急に掌を返してきた俺に戸惑いながらも、携帯を返してくる斉藤。
申し訳ないとは思いつつ、謝るつもりはない俺は黙って形態を受け取り、スピーカーを耳に当てる。
「星野、俺だ」
『え?あれ?今度は総司が出てきた?何々?私にドッキリでも仕掛けた?』
「俺はそんな暇じゃない」
俺の声を聞いて驚いている様子の星野。
このまま会話の流れに身を任せればどうなるかなど分かり切っている。
だから、俺は星野が何か言い出す前に先手を打つ。
「星野。お前に頼みがある」
続く俺の言葉を聞いた星野が、それに了承してくれた。
それを聞いた俺は、まずは第一段階をクリアした事に小さく息を吐いた。
渋谷駅から歩いて五分ほど。高層ビルが立ち並ぶ通りの中にひっそりと、隠れるようにして営まれているその店に、俺は足を踏み入れる。
暖簾を潜り、扉を開けて店内へと入ると、白い板前服を身に纏った妙齢の男がこちらに視線を向けた。
「お連れ様はすでにいらっしゃっていますよ」
「そうか。いつものを頼む」
「用意はもう始めております。ごゆっくりとお過ごし下さいませ」
その言葉通り、板前はすでにまな板の上にネタを乗せて色々と準備を始めていた。
恐らく、俺より先に来ていたあいつが俺の名前で店に入った事から、俺がいつも注文している奴の準備を始めているのだろうが。
その仕事ぶりに敬意と労いも込めて、板前に向かって手を上げてから店の奥へと向かう。
この店は俺の行きつけの寿司屋だ。店主は今の通りしっかりと仕事が出来、味も申し分ない。
その上この店は個室があり、一人で静かに寿司を楽しむ事も出来るし、誰かと話がしたい時にも利用が出来る。
今日、俺がここに来た理由は後者の方だ。
予約しておいた部屋の扉を開けると、やはりそいつはすでに来ていた。
座布団の上に行儀よく正座なんてして、俺が来るのを待っていたらしい。
「…貴方との再会がこんなにも早く叶うなんて、思いもしていませんでしたよ」
「同感だ。ついでに言えば、俺はお前とは二度と会いたくないと思っていた」
「酷いなぁ。僕は…、貴方が思う以上に、貴方との再会を楽しみにしていましたよ。待ち望んでいた形とは違いましたが…、また貴方とお会いできて、嬉しいです」
あぁ、やはり寒気がする。
この大袈裟で演技染みた言い回し、だというのにその言葉からは嘘の気配が全くない。
その目が語っている。心の底から、俺との再会を心待ちにしていたのだ、と。
「久しぶりだな、カミキ。急な呼び出しに応じてくれて、感謝する」
「いえ。貴方からの呼び出しならば、地球の裏側だろうとすぐに向かいますよ」
うん、やっぱり気持ち悪い。
B小町を立て直すための時間稼ぎとして、こいつを利用する。
俺が選んだ方針が本当に正しかったのか、早速不安になるカミキとの再会だった。
という事で、総司が言っていたタレントは、クレイジーサイコバイ(違う)ことカミキヒカル君でした。
ラスボスを利用しようとするとか、我ながら主人公がチートで笑えてくる。
でもまあ、四宮だし。これくらい出来るっしょの精神で続きを書いていく所存です。