無意識少女と殺人鬼   作:ナチュラル7l72

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事情聴取

俺は二人殺している。戦績で言うとK/D 2.0という好成績。だがこのままだと1.0になる恐れがある。

俺が殺した二人だが、どちらも俺に殺害依頼をしているにも関わらず俺は殺されていない。

目の前の気安く話しかけてくる警察にバレない様さりげなく横に漂っている少女を見る。?を頭上に浮かべながら見つめ返される。まるで意図が伝わっていないがおそらくこの少女は以前から何十人という数を殺しているのだろう。

そしてそれを警察が見逃しているはずもない。これまで依頼者被依頼者まとめて殺されていたのに突然の例外こと俺。怪しすぎる。

ハッキリ言って犯人と疑われても仕方がないだろう。

 

 

(俺が持ってる唯一の手札は証拠がないってとこだけか)

 

 

少女の謎能力は監視カメラには映るらしい。人の無意識に関わることなら大抵どうにかできるが機械等には効かないらしい。

だが監視カメラを通してこちらを見ている人には姿を隠せるし浮いてるため髪の毛のようなDNA鑑定をされてしまうようなものは落ちないらしい。

あたりまえだが俺の髪の毛は落ちてしまうので昨日念入りに掃除したが見逃しが原因で今捕まるかもな。

 

だがそれを除けば確実に俺には証拠がない。

まず鍵がかかっているのにどう入ったんだって話になるし少女の能力で俺の姿は見られていない。

だからこの警察は恐るるに足らず。勝ったな。がはは。

 

って理論で冷静に会話できたらどれだけ楽なのか…

 

 

「は、はい。えーっと、何か用ですか?」

 

 

「あははは!凄く声が震えてるよ!ビブラートみたい!」

 

 

黙っとれお前は。聞こえてないんだろうなとは頭でわかってても怖いんじゃ。

 

 

「ははは。緊張しているみたいだね。別に捕まえようってわけじゃないんだ。すこしだけお話を聞きたくてね」

 

 

「お前、昨日の11頃何をしていた?」

 

 

気のよさそうな比較的若い警察官となにか貫禄のようなものを感じる中年の警察官が俺にそう問う。

若い警察官は俺対し思うことなどなさそうに見えるが中年の警察官からは異常に警戒心を持たれているような気がする。

語気が荒いのは個性だとしても俺の服装やポッケのふくらみ、視線におかしなものがないかをチェックしているようだ。

まさか俺かなり怪しまれてる?もしかしてまずいのでは?

 

 

「昨日、ですか?昨日の夜と言えば詳細な時刻は忘れましたがランニングがてら公園行って帰って寝たくらいですよ」

 

 

「…」

 

 

いや黙られると怖いんですが。もしかしてなんか失言した?とか思っちゃうからさあ。

 

 

(ちなみに監視カメラには映ってないからね。監視カメラがあるところは避けて通ったから)

 

 

隠し事のように囁く少女。自分の能力で聞こえてないのわかってるのに何故わざわざ俺の耳元まで近寄ってくるのか。耳弱いわけじゃないが動揺するからやめてほしい。

 

 

「ちょっと小山さん。態度固いですよ。もっと話しやすい物腰にならないと…おっとすまなかったね。なんでこんな質問をしてくるのかって疑問に思ったでしょ?」

 

 

「今日担任から報告があったはずだ。いやそれ以前にメールで届いているかもな。お前の学年の生徒が殺害されたって話がな」

 

 

「はあ…まあ聞きましたが。それに関係があるってことですか」

 

 

「そうそう。別に疑ってるわけじゃないんだ。事件解決の糸口が見つからないかなって」

 

 

「次の質問だ。お前、メリーさんについて…いやなんならこいしについてでもいい。そいつについて何か知っているか?」

 

 

「あー私の話してるー!いやあ私も有名になったもんだねー」

 

 

俺の隣で馬鹿みたいにのんきな事を言っている場合ではない。

 

この質問が何を意味しているか。

 

警察は現在この少女について捜査している?

まだめりーさんについて大した情報を持っていない?

 

違う。俺がメリーさんと関わっていることがばれているという事だ。

この警察官共は明らかに俺を出待ちしていた。適当に声をかけたわけではないだろう。

 

疑っているわけじゃない?嘘ではないが本当のことでもないだろ。

 

 

「メ、メリーさん?それってよくある怪談七不思議とかの奴ですか?」

 

 

「その様子だと知らないみたいだね」

 

 

「…」

 

 

警察官からメリーさんって単語出てくるのなんか面白いな。

若い警察は特段残念がった様子もなく、最初からそうだと思っていたようだ。

しかし眼光鋭い中年の警察官は無言で俺を睨む。まるで俺の嘘を見破ってやろうといった感じだ。

 

…やっぱうたがわれてんな。

 

 

「もういいっすかね。これでも中間近づいてるんで忙しいんすよ」

 

 

「ああ。悪かったね。もう大丈夫だよ」

 

 

俺は焦らず早足にならない様ゆっくりとした足取りで家路についた。

…これからは殺人するにはアリバイが必要かもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ…」

 

 

「どうしたんだ小山さん。まだあの少年疑ってるのか?」

 

 

「…あいつ、メリーさんの情報なんざ持ってない風だったな」

 

 

「風といいますか、実際にそうなんでしょ?」

 

 

神谷はそう意見するが俺の見立てじゃあいつはかなり黒に近い。

別に動作や言動に不審な様子は見られなかった。焦るような、ごまかすような。何か隠している様には見えなかった。

俺たち警察官の前だというのに、だ。

 

 

「人には必ず疚しいことがある。あの少年くらいの多感な年齢じゃそれも顕著だろう。だというのに俺たち警察の前で怪しい様子は見られなかった」

 

 

「単に落ち着いた性格ってだけじゃないかな。あれくらいの年齢ならもう子供扱いしないほうがいいよ」

 

 

「それだけじゃねえ。あいつは唯一メリーさんからの殺害を逃された人物なんだぞ?なにかか情報は必ず持っているはずだ。だというのになにもねえって言うっつーことは…」

 

 

「てことは?」

 

 

「犯人、もしくは共犯者故に隠している可能性が高い。まあ、メリーさんの理不尽な力で記憶を消されてる。みたいなSFじみた発想もできるが」

 

 

どちらにせよ奴はかなり怪しい。

…あの少年を重点的に捜査することにしよう。

 

 

 

 

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