───約束の時間だ。
私はアビドスへと戻ってきた。彼女達の答えを聞くために。
「…………ホントを言えば、他の学校に。だけど。」
そんな事は決められない。私が決めては駄目だ。人には自由があり、何をするのかは自分が決めなければならない。
私はそう考えてきたし、そうしてきた。
だから彼女らの選択を尊重するべきだ。
「…………」
「───ホシノちゃん。」
だから、彼女との会話は避けられない。
「こよみちゃん、シロコちゃんに何教えたの?」
「……それは。」
…………確かに、ホシノちゃんにとっては既に後輩なのかもしれない。
だけど、それは選択の余地はあったのか?彼女達が外へと行く機会を奪っただけなのではないか?
「私は……私がやって来たことを教えただけ。」
「…………」
「シロコちゃんらがどう感じようが私には関係がない。彼女達の選択は……誰にも邪魔されてはいけないから。」
「…………ん?」
話の途中、彼女の顔に疑問が浮かぶ。
「……何?」
「こよみちゃん待って、どういうこと?」
「待ってって……シロコちゃん達が入学するかしないかって話でしょ?」
「…………? いや、違うけど。」
聞けば、シロコちゃんがホシノちゃんと戦って不意打ちがカクカクシカジカだとか。……いやいや、何でこの人たちは戦ってるの?というかシロコちゃんの"勝ちたい人"がいるって話、ホシノちゃんのことだったんだ……
───普通に意味が分からない。うん。そもそもホシノちゃんは二人が入学することに肯定的なの?
「シロコちゃんがこよみちゃんに教えて貰ったって言うからビックリしたよ。」
「……確かに教えたけど、シロコちゃんが応用したというか……私は何もしてないというか……」
「……?」
「とにかく!そんなコト教えられないよ!」
「…………分かった。」
どうやら彼女の誤解(?)は解けたようで。だがしかし、彼女が入学に反対しないということが気になった。
「ホシノちゃんはさ。二人が入学することは……どう思ってるの?」
「…………」
深い呼吸。言葉を探すその仕草を見て私は待っている。
数秒、数十秒───彼女が目を瞑り、ゆっくりと開ける。
「良いことだと思うよ。少なくとも好意的だって言えるくらい。」
偽りはない。
驕りもない。
ただ、そこに在ったのは…………
「……そっか。」
私は恐れる余り他愛の無い返事しか返せなかった。
───────────────────────────
「───ん、コヨミ先輩おはよう。」
「おはようございます。」
「二人ともおはよう。」
ホシノちゃんと別れて教室へと入ると二人がいた。彼女らは答えを持っている表情をしている。
「どうするか、聞きに来たよ。」
それでいて全く緊張していない───いや、ノノミちゃんは少しだけ表情が固い。だけど良い顔をしていた。
「コヨミ先輩、私は───アビドスに入学する。」
「……他の学園は、きっと楽な生活を送れる。趣味に没頭だって出来るかもしれない。ノノミ以外の友達も作れるかもしれない。」
「それでも私はアビドスがいい。」
この子は真っ直ぐだ。余りにも、真っ直ぐで折れない。───見習いたいものだ。
「……ノノミちゃんは?」
「私の答えは変わって無いです。……今更、変えれるものでもありません。」
「…………本当に、アビドスに入学するのかい?」
「…………うん。ちょっっっっっっとだけ複雑だけど君達がやりたいことなら尊重するよ。」
───ようこそ、アビドスへ。
続けて言った言葉に彼女らは表情を和らげる。
私もそれに合わせて口角が上がった。
…………今ならば、理解することができる。
どうして先輩が借金について教えなかったのかを。
(───ああ。)
(きっと───)
だから、遠ざけた。だから、関わらせなかった。
(先輩は───)
今、私が抱くこの想いこそ。
(───こんな気持ちだったのだ。)
彼女が持っていたに違いないその想いの筈で。
やらなければ。
不自由の中でせめての自由を与える為に。
やらなければ
─────────私が、やらなければ。
雨野こよみ(E=先生と同じor平均以下最低クラス ,C=一般生徒or平均的 ,A=学園上位層or平均より優秀)
STR C
CON B
POW B
DEX D
APP C
INT C
EDU D
MYS E
武器火力 C+
射程 C
精密 A-
リロード B+
戦闘力 E+
戦術 E-
肉弾戦 E+
射撃戦 A(状況に限りあり)
クラス適性
T.S(重機) C+
アタッカー D
サポーター C
タンク E
ヒーラー C-
エスケイパー A-
要約
雨野こよみは戦闘に秀でた生徒ではない。
銃器の扱いには慣れているが、それはあくまで競技向けのものである。
エスケイパー A-
戦いを好まずその場から距離を置く。故に彼女は"逃亡者"と呼ぶに相応しい。
元々鍛えていた五感による察知能力、隠密行動、砂漠地帯における特殊な走法などに加え、特訓により増えたスタミナも合わさることで、全力を発揮できる環境下であればホシノからも逃げ切ることが可能になる。