アビドス高校一年 雨之こよみです!   作:よわよわよわ

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二連撃……ッ!


先生という人物について

暫く帰ってこないと伝えてから早1ヶ月───雨野こよみはアビドスへと戻ってきていた。

 

話によれば、アビドスに"シャーレ"の先生とやらが来ているらしい。こよみは先生に接触する為、アビドスへと帰ってきたのだった。

 

 

 

アビドスは変わりない。ちらほら住民かヘルメット団のような不良達がいる程度で、不良達も白昼堂々攻撃してくるようなことはしない。

 

夜中は危ないが、ナイトゴーグルを持っているような奴は居ないのでしっかりと周囲を警戒していれば襲われることもない。

 

──────そういえば、夜道の歩き方ってセリカちゃんとアヤネちゃんに教えていなかったなぁ

 

そんなことを思い浮かべながら、一月ぶりにアビドス高校の敷地を跨ぐのだった。

 

─────────────────────

 

何だかガヤガヤと賑やかだ。私はその声に導かれ、学園祭事務局室の前まで来た。一際大きい声───恐らくアヤネちゃんのものだ。

 

(な、なんか入り辛いなあ……)

 

一月ぶりにモモトークを見てみればアヤネちゃんからの通知が凄いことになっていた。何でも借金返済に苦心したらしく、私が今やっている仕事を紹介してくれないかとのことだった。

しかし、それは出来ないと決められていたので何も言えなかった。

 

(───迷ってても仕方が無い。行こう。)

 

ガラガラと扉を開ける。

 

彼女らの視線が私へと向いた───同じくして、一人の男の視線も。

 

「「「「コヨミ先輩!?」」」」

 

わっと声が上がり、先生に私の名前が知られる。

 

「君が──────」

 

「ちょっと先生!もうちょっとだけ待って!」

 

「すぐ終わるので!」

 

1年生の後輩二人が私の方へと寄って来る。どうしたもんかと思いながら取り敢えず久し振りと言うことにした。

 

「「久し振りじゃないですよ(わよ)!」」

 

「───?」

 

引戸取手に手を掛けた際に感じていた怒りが全て私へと向いている気がする……

……二人から()()()を貰った後、私は本題へと入るのだった。

 

「……ホシノちゃん、この人は?」

 

「ぅh……───連邦生徒会の"シャーレ"っていう組織の先生。弾薬や物資の支援をしに来てたの。」

 

(うへ……?)

「ははあ、なるほど。」

 

聞いていた話と同じだ。だけど……個人的には本当にそういう人物なのか気になるよね。

 

なんてったってすごい噂だもん。先生とパイプを繋げればキヴォトス中に有利に動けるとかなんだとか。法だって無視できるからやりたい放題できるらしい。

 

まあそんな危険人物を可愛い可愛い後輩に近付けたくないのがホンネですけども。

 

「こんにちは……ええと、先生って呼べば?」

 

「先生で大丈夫だよ。」

 

「じゃあ先生───此処には何をしに来たの?」

 

「弾薬の支援かな。」

「小規模なものだけど、6人で使う分には問題ない量を支援したよ。」

 

「…………そう。ありがとう。」

 

これくらいしかできないけどね───そう言っている姿に不審な部分は無い。寧ろ、ある程度のみんなの信頼を獲得しているように見える。

 

うーん……思った以上にまともそうな人なのかもしれない。その顔はそことなく優し気で「どしたん?話聞こうか?」と悩み事を打ち明けれそうな顔立ちだ。

 

私が思うに、こちらから手を出さなければ害をなすことはない存在である特有の雰囲気を出しているように見えた。だけどそれは先生個人の評価であり、問題は所属している立場がとても厄介だということ。

 

噂を鑑みれば、アビドス(ウチ)への対応がシャーレの身の振り方の指標となる可能性が高い。当然、()()()()()()()を求める学園は潰されることを考えれば、学校の存続を委ねるのは危険な気がしてならない。

 

アビドスにはここまでやったのに、ねえ?なんてことになっては、最終的にアビドスが槍玉に挙げられて非難されることもあるかもしれない。いくら弱小校───いや、弱小校だからこそ、彼の支援について慎重に検討を進めないと大変なことになるだろう。

 

そのように考えているとセリカちゃんがちょいちょいと背中をつついた。

 

「……で、コヨミ先輩はなんで戻ってきたの?」

 

「仕事が一段落したから。まあすぐいかなきゃいけないんだけどね。」

 

「「「「…………」」」」

 

「皆の様子も見たかったから、さ。」

 

妙な沈黙に耐え切れず予防線を張る。いや、これも本心なんだけども。みんなの見る目がもっと厳しくなったような気がする。

 

「……HAHA。ええと、弾薬の補給って言ってたけど、何かあったの?」

 

「───最近、ヘルメット団がアビドスに襲撃を掛けに来る。」

 

「なんだって?」

 

ヘルメット団───確かに前よりも増えてはいるけども、襲撃があった?

 

(そんなことは前までは無かった。今さらになって一体どういうことなの?)

 

「ヘルメット団?ええと、スナスナの?」

 

「いや、名前なんか知らないけど……」

 

スナスナ~などどういうこと?と思うかもしれないが、ヘルメット団と呼ばれるグループはチームの名前に○○○○ヘルメット団と名付けることが多い。大体は地域の特有の名称で、ゲヘナに居たのは温泉の近くだからアツアツヘルメット団とかそういう感じで名前がついている。

 

スナスナヘルメット団はアビドスに長らくいるヘルメット団だ。合間合間でアビドスに帰ってきたときに調べていたけども、どうにも最近は数が減ってきていたり、以前までのアジトが放棄されていることが多かった。

 

恐らくだけど、以前家の前の戦闘痕はスナスナヘルメット団のものなのだろう───とヘルメット団の規模やグループの傾向を考えれば、こういった痕跡からどのように対処すればいいのか判断できるのだ。

 

「確かカタカタヘルメット団とか言ってたわよね?」

 

「ん、そう言ってた。」

 

(カタカタ……やっぱり聞いたことないなぁ……)

 

襲撃に来たという情報から見て、恐らくアビドスの外からきているのだろう。アビドスに長く住めば住むほど、この土地がどれほど終わりに向かっているのかわかるからだ。

 

実際、スナスナヘルメット団の構成員の殆どがアビドスを退学した生徒だったらしい。発足当時はアビドスから他の学区への"逃げ道"を作っていたと聞いているが、一時期を境に略奪などの行動が多くなる。5年前がその略奪行為の最盛期だったようだけど、ここ2,3年ほどで鳴りを潜めていった。

 

実際、スナスナヘルメット団が弱ったからこそ外部から流れてきたと考えれば辻褄が合う。何も知らない外からすれば、ここは競合他社が存在しない空白地帯で、大きな拠点を構えて、実入りの良いシノギが出来ると考えるのは当然だろう。

 

……あいにく、私は戦闘は嫌いなので。この問題(襲撃問題)は悪いけど皆に解決してもらおう。今の仕事もまだ残っているしね。

 

私がそう思案している間に、話題は先生の指揮がどうのこうのと皆は言っていた。

 

「あ。」

 

どうしたの───と全員からの目線。

 

お生憎様、私はヘルメット団がどうのこうのとかいう話のヒントが見つかったとかそういうことは1ミリも浮かばなかった。ただ、先生が外から来たということを思い出して、このついでに先生に外は平和なのか。とか、他にも色々聞いてみようかと思いついたのだ。

 

「先生───先生ってキヴォトスの外から来たんだよね?」

 

そんな私の質問に先生は頷いて見せた。私は外について聞きたいことがあるんだと言うと、心外にもそんなことかと皆からの落胆を受けるのだった。




どう考えてもホシノは道化仕草を昔の知り合いに見せたくない筈。
異論は認めない。

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