各キャラ支援Aくらいを想定しています
目が覚めた瞬間から、オルテンシアは自分がわくわくしているのを感じた。なぜなら、今日は……
「あたしの誕生日よ!!!」
高らかに宣言すると同時に、勢いよく部屋を飛び出した……ところまではよかったものの、すぐに違和感を覚える。
「なによ。せっかくの誕生日なのに、誰もいないじゃない。」
ロサードとゴルドマリーも、アイビーお姉様も、今日は姿が見えない。
「どこ行っちゃったのかしら……。」
首をかしげつつ、オルテンシアはソラネルのカフェテラスへ向かう。ここにも臣下たちと姉の姿はなかったが、誰もいないというわけでもなく、まあいつも通りの光景だ。朝食どきの穏やかな空気が流れている。
「あっ、オルテンシア王女。お誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう、クラン。さすがはあたしのファンクラブ会長ね!」
「えっ。クラン、いつの間にオルテンシア王女のファンクラブに?! 神竜様ファンクラブはどうするつもりなの?!」
「お、落ち着いてフラン。ちょっと事情があって……。」
フランに質問攻めにされているクランを眺めていると、今度は後ろから声をかけられた。
「お話は聞かせてもらいました。お誕生日なのね。おめでとうございます、オルテンシア王女。」
「クロエ! あなたもお祝いありがとう。」
さっきのクランもそうだが、イルシオン以外の人からお祝いしてもらえるだなんて、初めての経験だ。神竜サマについてきて本当によかったなと、改めて思う。
「お誕生日の人は、特別甘やかしてあげなくちゃ。今日はわたしが好きなものをなんでも作ってさしあげるわ。何が食べたいですか?」
「ほんと!? そうね……今日は甘いフルーツがたくさん食べたいわ!」
「わかりました。少し待っていてくださいね?」
クロエは厨房の方へ歩いていく。入れ替わるようにして現れたのは、セリーヌ、スタルーク、フォガートという三人組。
「おはようございます、オルテンシア王女。」
「そして誕生日おめでとう! 俺たちからもお祝いだよ!」
「僕でも、お祝いくらいはできるかと思いまして……。」
「みんなありがとう! ……ところで、いったいどういう組み合わせ?」
三人の顔を順々に見回しながら尋ねる。
「オルテンシア王女も含めてここの四人は、それぞれそれなりに親交があるみたいでさ。弟、妹の王族どうし、惹かれ合うものなのかな?」
「王位は継がずとも、国の今後を見据えると、王族どうしの親交を深めて、国どうしの良い関係を築きたいな、ということで。」
「それで、ちょうど良い機会ですから、オルテンシア王女のお誕生日を一緒にお祝いすることにしたんです。」
「良い考えね! それなら、今から一緒に朝ご飯にしましょ。クロエ、3人分追加をお願い!」
セリーヌ王女とお茶会をしたり、スタルーク王子の卑屈さに振り回されたり、フォガート王子と町を見回ったり。どれも忘れられない思い出だ。
ほどなくして、クロエとルイが料理を持ってきてくれた。……あれ、いつの間にルイが……?
「オルテンシア王女のリクエストどおり、甘いものをたくさん作ってみましたよ。」
「ふたりが作ったのなら、わたしが味は保証するわ。」
「それじゃ、あたしの誕生日会兼、第一回王族会合を始めるわよ!」
それからしばらくは、和気あいあいとした朝食の時間となったのだった。
四人が朝食を食べ終える頃になって、リュールがカフェテラスに現れた。
「神竜サマ! 今日が何の日か、わかってるわよね?」
「もちろんです。誕生日おめでとうございます、オルテンシア。」
「ありがとう! さすがは神竜サマね。」
「誕生日ですから、何でも好きなことを言ってくださいね。どこか行きたい場所がある、とか……。」
「えっ、いいの? それじゃあ……」
そんなこんなで、オルテンシアは一日中色々なところを訪ねて回った。リュールのもつ神竜の力のおかげで、大陸中どこでも、一瞬のうちにひとっとびだ。行く先々で、神竜軍で出会った色々な国の人たちに出会ったのだが、今日という日にいちばん会いたいイルシオンの大切な人たちには一度も出会えず、オルテンシアは楽しいながらも、どこか寂しいような感情を抱いていた。
リュールの心配ないという言葉を信じてあちこち歩き回っているうちに、とうとう日が暮れかけてしまった。
「そろそろ、ソラネルに戻りましょうか。……良い頃合いだと思いますよ。」
「良い頃合い? どういうこと?」
「戻ってからのお楽しみですよ。」
促されるままに、リュールとともにソラネルへ転移する。そこでオルテンシアを待ち構えていたのは……。
「「誕生日、おめでとう!」」
「え……?!」
まず目に入ったのは、ロサードとゴルドマリー。それからアイビーお姉様に、リンデン、アンナさん……イルシオンのみんなが勢ぞろいで出迎えてくれたのだ。それだけでなく、ソラネルの広場は何やらキラキラした飾りつけでいっぱいで、奥のカフェテラスにはたくさんのごちそうが並んでいるのが見える。
「一日かけてみんなで準備したんだー。どう? すっごいでしょ?」
「わたしたちの用意した完璧なパーティー……全力で楽しんでください、オルテンシア……!」
すごい。こんな誕生日は初めてだ。嬉しい気持ちが、抑えきれない感情の渦になって湧き上がってくる。
「う、ううっ……うわあああん!!! みんな……みんな、本当にありがとう! うれしい! すっごくうれしい! 最っ高の誕生日だわ!」
「喜んでくれて、よかったわ。さあオルテンシア、こっちへいらっしゃい。」
「オルテンシア様の大好きな菓子もたくさん用意しておりますぞ。」
「みんなからのプレゼントも、げんせんのステキなものばっかりよ!」
「ぱーてぃーの主役のお通りじゃ! 道を開けい!」
「準備は『万全』です。オルテンシア様、『開始』の合図を。」
アイビーに手を引かれ、オルテンシアは皆の前に立つ。まだうれし涙に濡れた顔のまま、満面の笑みを浮かべて、声を張り上げる。
「今日は……あたしの誕生日よ!!! さあ、最っ高のパーティーの始まりよ!!!」
高らかに宣言すると同時に、華やかなパーティーが幕を上げた。
「神竜様、『準備』ができました。」ってゼルコバが呼びにくるパターンも考えてたけどボツにしたのでここで供養