錬成創造とチェンソーマンは世界最恐   作:小豆好き

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ようやくお待たせ致しました!
今回は奈落の底でハジメのサバイバル回です。
それではどうぞ


奈落の底

ザァーと水の流れる音が聞こえる。冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に「うっ」と呻き声を上げハジメは目を覚ました。

 

「……あれ? 生きてる。どこだ?」

 

フラつく頭を片手で押さえながら、記憶を辿りつつ周囲を見渡した。周りは薄暗いが緑光石の発光のおかげで何も見えないほどではない。視線の先には幅五メートル程の川があり、ハジメの下半身が浸かっていて、上半身が、突き出た川辺の岩に引っかかって乗り上げたようだ。

 

「そうだった。石橋が崩壊して転落した。その後は……」

 

ハジメが奈落に落下している途中、崖の穴が空いており、そこから鉄砲水の如く水が吹き出していたのだ。そのような滝が無数にあり、ハジメは何度もその滝に吹き飛ばされながら次第に壁際に押しやられ、最終的に壁からせり出ていた横穴からウォータースライダーの如く流されたのである。

もっとも、横穴に吹き飛ばされた時、体を強打し意識を飛ばしていたのでハジメ自身は、その身に起きた奇跡を理解していないが。

それにしても、ウォータースライダーで流されたのは奇跡だろうか。もし、あのまま水に流されず落下していたら、頭部を硬い地面に強打し転落死で死亡していたかもしれない。

 

「よく思い出せないけどまぁいい、とにかく、助かったな。……冷たいし早く上ろ」

 

地下水という低温水にずっと浸かっていた為に、すっかり体が冷えてしまっていた。このままでは低体温症の恐れもあると早々に川から上がった。服を脱ぎ、絞っていく。

そして、下着一枚になり錬成を使い、硬い石の地面に錬成で魔法陣を刻んでいく。

 

望むのは、“火種„の魔法だ。その辺の子供でも十センチ位の魔法陣で出すことができる簡単な魔法だ。

しかし、今ここには魔法行使の効率を上げる魔石がない上、ハジメは魔法適性は皆無だ。だった一つの火種を起こすのに、一メートル以上の大きさの複雑な式を書かなければならない。

十分近くかけてようやく完成した魔法陣に詠唱で魔力を通し起動する。

 

「求めるのは火、其れは力にして光、顕現せよ、“火種„……(はぁ、最悪だ。懐に入れてた拳銃は何処かに落としてしまった。それも二丁二つとも。弾丸を入れてたポーチは、いつの間にか紐が切れてて無くなっているし。でも、まぁ、回復薬を入れてたポーチは無くなってないのは幸いか)」

 

心の中で、二丁拳銃、弾丸を無くしたが、回復薬があったことに安堵しながら、発動した拳大の炎で暖をとりつつ、錬成用の手袋をはめ壁に手を置き錬成で、壁から物干し竿と同じ長さと太さに調整し、服に火が燃え移らない高さにかけた。「壁から突如、棒が飛び出してきた」というのが、表現しやすいだろう。

 

「それにしてもここは、どこだ。だいぶ落ちてしまったが……上の階層に行けるところは、探せば見つかるか」

 

二十分ぐらい暖をとり服もあらかた乾いたので、服を着て、拳銃と弾丸を失くしてしまったので、武器製作を始めた。

 

それに、錬成用の手袋だけで魔物に出会ったらアウトだ。おそらく錬成で動きを封じても一瞬で破壊されてしまう 危険性もある。

 

 

早速、ハジメは周囲の鉱物を片っ端に“鉱物系鑑定„を使った。例えば“緑光石„するとステータスプレートにこう表示される。

 

緑光石

魔力を吸収する性質を持った鉱石。魔力を溜め込むと淡い緑色の光を放つ。また魔力を溜め込んだ状態で割ると、溜めていた分の光を一瞬で放出する。

 

何とも簡易的な説明だが。十分にありがたい情報だ。それからもあちこち役立ちそうな鉱物を探していると、遂に、探し求めていた鉱物を見つけた。

 

燃焼石

可能性の鉱石。点火すると構成成分を燃料に燃焼する。燃焼を続けると次第に小さくなり、やがて燃え尽きる。密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃やすと爆発する可能性があり、その威力は量と圧縮次第で上位の火属性魔法に匹敵する。

 

タウル鉱石

黒色で硬い鉱石。硬度8、靱性8 (10段階評価10が最高)。衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加えると再び結合する。

 

 

「見つけた……」

 

ハジメは武器製作(ドンナー・シュラーク・弾丸・手榴弾)を開始した。

 

設計図は、窃盗防止策に創魔に渡している。製作といっても前に製作したことがあるので早く終わった。だが、一つ問題点があったそれは、発砲するとき弾丸の速度が落ちてしまった。創魔の雷属性魔法を付与していないし、ハジメは魔法適性が一切なかった。もちろん雷属性魔法もだ。

 

そこでハジメは悩んだ末、最後の手段にでた。

 

「雷の固有魔法を持つ魔物を探し食し、固有魔法を取得する。そしてドンナー、シュラークに付与する。これしか方法が無い」

 

だが、魔物肉は毒性があり人間にとって猛毒だ。魔石という特殊な体内器官を持ち、魔力を直接体に巡らせ驚異的な身体能力を発揮する。体内を巡り変質した魔力は肉や骨格にも浸透して頑丈にする。

 

この変質した魔力が詠唱も魔法陣も無用で固有魔法を生み出しているといると考えられているが解明されていない。とにかくこの変質した魔力が人間にとって致命的なのだ。人間の体内を侵食し、内側から細胞を破壊していくのだ。

 

過去、魔物肉を喰った者は例外なく体がボロボロに砕けて死亡したことがあるらしい。

 

「(威力が低下したドンナー・シュラーク、タウル鉱石の弾丸、緑光石の閃光手榴弾、迷宮前に配布された回復薬は3つ)……行くか」

 

ハジメは、両手で顔を覆い目を瞑り思いっきり深呼吸をして、目を開け立ち上がり警戒しつつ慎重に歩き警戒し始めた。シュラークは腰の間に入れている。ドンナーを下に向け両手で構えて。

 

このドンナーの構え方は、警察、公安等が建物内に潜入する時の構え方だ。

 

低階層の四角い通路と違い岩や壁があちこちからせり出し通路自体も複雑にうねっている。二十階層の最後の部屋のようだ。

 

遂に初めての別れ道にたどり着いた。巨大な四辻だ。 

 

「分かれ道か。どの穴に入るか」

 

しばらく考え込んでいると、視界の端で何かが動いた気がして慌てて岩陰に隠れた。

顔だけ出して様子を窺うと、ハジメのいる位置から直進方向の道に白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのがわかった。長い耳が特徴な兎だ。

 

だが、その兎は異常に成長が発達したのか。大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと発達していて極め付きは、赤黒い線が血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っている。物凄く不気味だ。

 

(撃つか? いや、撃っても余裕に避けられる魔法があるとと思うし。もう少し様子見だな)

 

明らかにヤバそうな魔物なので、直進は避けて右か左の道に進もうと決める。

 

ハジメは息を潜めてタイミングに見計らった。そして、兎が後ろ足を向き地面に鼻を付けてフンフンと嗅ぎ出したところで、ドンナーの引き金に指を掛けた。

 

その瞬間、兎がピクッと反応したかと思うとスッと背筋を伸ばし立ち上がった。警戒するように耳が忙しなくあちこちに向けている。

 

ハジメは、岩陰に身を潜めながら鼓動がうるさくなりつつ目を開け兎に目を逸らさず深呼吸をした。

 

だが、兎が警戒したのは別の理由だった。

 

「グルゥア!!」

 

獣の唸り声と共に、白い毛並みの狼のような魔物が兎に目掛けて岩陰から飛び出した。

白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾を二本あり、赤黒い線が体に走って脈打っている。一体目が飛びかかった瞬間、その後にもうニ体が飛び出した。

 

どう見ても、狼が兎を喰う瞬間だ。だがここは異世界、兎が二尾狼を喰うという逆の場合もある。この状況下に移動しようとした瞬間。

 

「キュウ!」

 

可愛いらしい鳴き声を鳴いた直後、兎がその場の飛び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長い兎足で一体目の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。

 

ドパンッ!

 

およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させて兎足が二尾狼の頭部に直撃した。

すると、

 

ゴギャ!

 

という鳴ってはいけない音を響かせながら狼の首があらぬ方向に曲がってしまった。

 

兎は回し蹴りの遠心力を利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で空中を噛みしめて地上へ隕石の如く落下し、着地寸前で縦に回転。強烈な踵落としを着地点にいた二尾狼に直撃した。

 

べギャ!

 

断末魔の悲鳴すら上げられず頭部を粉砕された狼二体目。

更に二体の二尾狼が現れて、着地した瞬間の兎に飛びかかった。

 

今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、何とウサギはウサミミで逆立ちしブレイクダンスのように足を広げたままで回転をした。

 

飛びかかっていた二尾狼二体が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に直撃した。グシャという音と共に血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち停止した。

 

最後の一体が、グルルと唸りながら仲間達の仇を討つかのようにその尻尾を逆立てる。すると、バチバチと放電を始めた。どうやら二尾狼の固有魔法のようだ。

 

「グルゥア!!」

 

咆哮と共に電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。

 

だが、高速で迫る電撃をウサギは華麗なステップで右に左にと避けていく。ついに電撃が途切れた瞬間、一気に踏み込み二尾狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。二尾狼は仰け反りながら吹き飛び、グシャと音を立てて地面に叩きつけられた。二尾狼の首はやはり折れてしまったようだ。

 

蹴りウサギは、「キュ!」と、勝利の雄叫びを上げ、耳をファサと前足で払った。

 

(…………異世界は、イカれているな。だが、雷の固有魔法を所持している魔物は見つけた)

 

未だ硬直が解けないハジメ。もしかしたら単純で単調な攻撃しかしてこなかったベヒモスよりも、格上かもしれない。

 

ハジメは、狙撃しても避けられる可能性があるから狙撃は無意味だな。と思いながら後退る。

 

それが間違いだった。カラン

 

その音は洞窟内にかなり響いてしまった。どうやら足元の小石を踏んでしまった。

 

(はぁー、まず)

 

ハジメは溜め息を吐いて目線を目の前にいるだろうウサギに向けた。

蹴りウサギは、赤黒いルビーのような瞳をばっちりハジメに向けていた。

 

(……だよなぁ)

 

やがて、首だけで振り返っていた蹴りウサギは体ごとハジメの方を向き、足をたわめグッと力を溜める。同時にハジメは両手でドンナーを蹴りウサギに銃口を向けた。

 

まさに一触即発の雰囲気だ。

 

(来る!)

 

ハジメが本能と共に悟った瞬間、蹴りウサギの足元が爆破した。途轍もない速度で突撃してきた。後ろに残像を引き連れながら。

 

ドバンッ!

 

蹴りウサギの足元が爆破した同時にハジメはドンナーを発砲した。だが電磁加速されていないドンナーは警察が所持している拳銃と同じ速度だ。

 

ハジメに迫る蹴りウサギ。蹴りウサギに迫る弾丸。この空間がまるでスローモーションのように動いている。

 

と思ったが、咄嗟に蹴りウサギが右に曲がり二尾狼の戦闘に使った空中を足場にする技能を使いハジメの斜め左側から奇襲した。

 

どうやら蹴りウサギは真正面からではなく右から奇襲する気だ。まさか魔物がフェイントをするとは思わなかった。

 

(なっ!?)

 

ハジメは蹴りウサギの動きに驚き驚愕の表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—だが、想定内。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメはドンナーを右手で持ち替え左手を離した、その左手は左から来る蹴りウサギの攻撃より先に“素手で蹴りウサギを掴んだ。„

 

(!??)

 

フェイントをかましたが攻撃が当たらず、自身が素手で掴まれたことにわけがわからず激しく動揺する蹴りウサギ。

 

実は、ハジメは技能“先読„を使ったのだ。これにより蹴りウサギの攻撃よりハジメの左手で蹴りウサギを掴んだのだ。

 

鋭い牙で皮膚を噛み付いたり、両手で引っ掻いたり、激しく抵抗する蹴りウサギだがハジメは、左手を噛み付かれた拍子に鮮血がポタポタと地面に流れ落ちているが決して左手を離さない、そして右手で持ち替えていたドンナーを蹴りウサギの頭部に定めて聞こえてはわからないが話しかけた。

 

「お前の特徴はその脚力だが、掴んだ限り攻撃が届かない。フェイント攻撃は流石に称賛に値するしかないが、向こうに逝く前に憶えて損はない。来世に居ないかわからないが“まともな奴はいないから気をつけろ„」

 

ドバンッ!

 

ハジメはドンナーの銃口を蹴りウサギの頭部に押し付け発砲し弾丸が蹴りウサギの頭部に命中した。強敵だった蹴りウサギはハジメによって射殺された。

 

ハジメは出血する左手から蹴りウサギの死体を地面に投げた。左手が皮膚を抉り血塗れな左手に回復薬を注いだ瞬間に出血は止まり皮膚は戻っていく。

 

ー回復薬残り二つ

 

(!?)

 

突如、凄まじい悪寒がハジメを襲った。その正体は右の通路からだ。ハジメはドンナーを両手で構え勢いよく振り向いた。

 

そこには、二メートルはあるだろう巨躯に白い毛並。その姿は例えるなら熊だった。但し、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えている。そして魔物特有の赤黒い線が幾本も体を走っている。

 

その爪熊が、いつの間にか接近していた。どうやらドンナーの発砲音を聞いて近付いて来たか。それともたまたま居合わせたのか。

 

(もし『熊の悪魔』が北海道、東北、寒い地域にいたら被害は絶大だろうな)

 

ハジメはもし存在したらヤバそうな『熊の悪魔』を考えていた。

 

ドバンッ!

 

ハジメは先制攻撃と思うばかりにドンナーを発砲した。弾丸は爪熊に向かってくる。直撃はしたが、弾丸は爪熊に貫通せず血は出ず皮膚に止まった。

 

ドバンッ! ドバンッ! ドバンッ!

 

爪熊は体に弾丸四発を受けてもピンピンだった。

(連続で発砲したがまた皮膚で止まったか、肉が固すぎて弾丸が通らないのか。加速が足りないのか。ここは撤退だ! 後ろの壁に錬成で穴を開け逃げる!)

 

ハジメは弾丸が爪熊に通らないことがわかりドンナーを腰にしまいポーチから閃光手榴弾を取り出し、爪熊に目掛けて投げた同時に踵を返して壁に走った

 

「グルッ!?」

 

爪熊は自身に、投げられた球体の物体が破裂して眩い閃光を発した。腕で目を咄嗟に覆いながらハジメを探し見つけだし、三本の爪を大きく振った瞬間、ゴウッと風が唸る音が聞こえると同時に強烈な衝撃がハジメの左側面を襲い、そのまま壁に叩き付けられた。

 

「がはっ! (な、なんだ? 一体?)」

 

突如、壁に叩き付けられたことに何が起きたかわからないハジメ。激痛は左側面にきたことがわかり見ると。

 

「ひ、左腕がない⁉︎」

 

自身の左腕が肘から先がスッパリと切断していることに気づき。何故、こんなことになったのかいち早く気づいた

 

(まさか! 嗅覚か! だとしたら知脳高すぎだろ! それに突如、風が吹いたのはあいつの固有魔法か!)

 

爪熊は閃光手榴弾の閃光に目を咄嗟に覆い“嗅覚で„ハジメを見つけ出し固有魔法の“爪風„を放ちハジメに直撃したのだ。

 

閃光は収まり消えていった。その隙に爪熊はハジメの切断した左腕を咀嚼音を響かせながら実食していた。

 

「錬成!錬成!錬成!(あいつ(爪熊)俺の左腕()を食べている間に意識が落ちるまで錬成をしてやる!)」

 

あまりの痛みに体中に激痛と汗を出しながら、ハジメは作戦通りに右手を背後の壁に、押し当て錬成を行った。

 

紅黒い光が瞬いた直後、背後に壁に小さな穴が空いた同時にハジメの左腕を食べ終えた爪熊が襲ってきた。ハジメは爪熊の前足が届くという間一髪のところで転がりながら穴の中へ体を滑り込ませた。

 

「グゥルアアア‼︎」

 

目の前で獲物を逃がしたことに咆哮を上げながら固有魔法を発動し、ハジメが潜り込んだ穴目掛けて爪を振るう。凄まじい破壊音を響かせながら壁が削られていく。

 

後ろは振り返らない。がむしゃらに錬成を繰り返す。既に左腕の痛みのことは頭からなくなっていた。ただ逃げることに必死だった。

 

 

爪熊は諦めただろうか? 爪熊の攻撃が聞こえにくなった。壁に錬成をしてもこれ以上行けなくなって変化がなかった。どうやら意識よりあれだけ高かった魔力が先に尽きたようだ。

 

(あぁ、そうだ。回復…や…く…無理だ…右手…が動…か…ない…目が…ぼや…けてい…く…意識が……)

 

ゴボッ!

 

ハジメは仰向けになり口から血を吐いて力尽き意識が落ちかけてきた。

 

ヒュー、ヒュー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…ジ…』

『ハ…ジメ…』

『ハジメ』

 

(だ、誰…だ?)

 

ハジメに死が訪れようとした直前、不意に聞こえた。

 

(あ…れ…? この…声は? 何処…かで)

 

突如、ハジメの脳裏に聞こえた声、幻聴だろうか。否、ハジメ自身何度も毎日のように聞いていた彼女の声音

 

 

『生き…て愛し…て…る』

 

 

雨が降る音で聞こえにくいのか、それとも胸元から大量出血で喋りにくいのか、どちらでもいい。ハジメには聞こえにくくてもいい。幻聴でもいい。とハジメはその言葉を最期まで聞いていた。

 

雨に打たれ傘を差さずずぶ濡れの中、ハジメの腕の中で、遺言を言い遺し逝ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もし恋愛に興味が無くなっても、アイ以外に彼女ができても俺は、お前の存在を決して忘れない。だから信じて待ってろ、いつか必ずそっちに逝く。俺も愛してるアイ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメは徐々に身体の体温が無くなっていくアイの口にキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その彼女(アイ)は、ハジメの『初恋・初バディ』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(思い…出した。生きないと。約束を果たすために生きて故郷に帰える!あいつらのために帰ってやる!)

 

ハジメは閉じようとしていた目をカッと見開き、故郷に全力を尽く帰るため、行動を起こした。

 

「そういえば死ぬ直前に顔に、水滴が落ちてるけど一体なんだ?」

 

ハジメは自身の顔に水滴が落ちて口内に入ってくることに気づいた。

 

(この水? は美味しいのか? それ徐々に魔力が回復している感じがする。水が落ちてるということは、この付近に水源があることに説明がつく。錬成で水源を探そう。右腕だけで)

 

爪熊に左腕を切断されたことにより、右腕だけで探すことになった。

右手を水滴が流れる方へ突き出し錬成を行った。ふらつきながら再び錬成し奥へ奥へと進んで行く。

 

すると不思議なことに、岩の間から滲み出る液体を飲むと魔力も回復するようで、いくら錬成しても魔力が尽きない。

 

やがて、流れる謎の液体が量を増やし始めた頃、ハジメは遂に水源と思われる青白く発光する鉱石にたどり着いた。

 

「これは……」

 

その鉱石は、周りの石壁に同化するように埋まって下方へ向けて水滴を滴らせていた。

 

ハジメは念のため鉱物系鑑定をした。

 

神結晶

千年という長い年月をかけて偶然できた魔力溜りにより、欠損部位を再生する効力はないが、これを服用した者はどんな怪我や病も治る。しかも飲用する限り寿命が尽きないと言われて、不死の霊薬とも言われている。

 

(飲み続ける限り寿命は尽きない…か……)

 

ハジメは頭の中で公安の先輩に当たる『早川アキ』のことを思い浮かんだ。アキは、呪いの悪魔との契約で力を貸す代わりに寿命が減っていくという契約内容だ。

 

飲用する限り寿命が尽きない神水と力を貸す代わりに寿命が減っていく契約内容。

 

(もし早川先輩が飲んだら、副作用が起きるかはわからないがその時はその時だ)

 

ハジメは一応頭の中に入れた。

 

「まずは、あの二尾狼の雷を取得だな捕らえて殺し食べてやる。次に爪熊との再戦だ。左腕は創魔に頼むしかないな」

 

ハジメは二尾狼を探すため立ち上がった。

 

 

 

 




いかがでしたか。
原作のハジメとは違い公安対魔なので状況をよくわかっています。
そして! 今作は某吸血鬼ヒロインさんよりオリキャラで故人ですが、ハジメの初恋の人を登場してみました!
いつかハジメの口から語り出される日を楽しみにしてください。

次回、変化と再戦と再び再会

読者の方々に、作品の更新を大変長らく待たせてしまった。作者の自分自身に向けての「贖罪」です。申し訳ありません

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