今回は、お馴染みのベヒモスとトラウムソルジャー戦闘編です。
原作と違いベヒモスを強化しています。
それではどうぞ
いつだって余裕があり、ハジメ達三人と生徒達に大樹の如き安心感を与えていたメルドが冷や汗を掻きながら焦燥を露にしている。
そのことに、やはりヤバイ奴なのかと、光輝がメルドに詳細を尋ねようとした。だが、王国最高の騎士をして、戦慄させる魔物ーベヒモスは、そんな悠長な時間を与えてはくれないようだ。おもむろに大きく息を吸うと、それが開戦の合図だとでもいうかのように凄まじい咆哮を上げた。
「グルァァァァァアアアアアッ‼︎」
「ッ⁉︎」
その咆哮で正気で戻ったのか、メルドが矢継ぎに指示を飛ばす。
「アラン! ハジメ達と生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイルは全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「待ってください、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も………」
「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて“最強„と冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」
メルドの鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨てなど行けない!」と踏み止まる光輝。何とか撤退させようと再度、メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。
だが、結界魔法“聖絶„に阻まれ 凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにも関わらず大きく揺れ転倒する者が相次ぐ。
前門の不気味な骸骨の魔物と、後門のベヒモスに生徒達は半ばパニック状態だ。
隊列など無視して我先にと我武者羅に進んでいく騎士団員の一人アランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はいない。
その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。「うっ」と呻きながら顔を上げると眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。
「あ」
そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。次の瞬間
ガキィン
と金属同士がぶつかり合い残響が響きトラウムソルジャー同士が鍔迫り合いを起こしていた。
「優花!無事か!」
「幸利!助けてくれてありがとう!」
「ああ! 操るのは一、ニ体ぐらいだけど闇魔法で操れられるのはよかった」
女子生徒ーー園部優花に迫るトラウムソルジャーが振りかざした剣を防いだのは、トラウムソルジャーを操って守った、幼馴染の一人・清水幸利だった。
清水幸利の天職は、「闇術師」だ。
闇系統の魔法は、相手の精神や意識に作用する系統の魔法で、実戦などでは基本的に対象にバッドステータスを与える魔法と認識されている。相手の認識をズラしたり、幻覚を見せたり、魔法へのイメージ補完に干渉して公使しにくくしたり、更に極めれば、思い込みだけで身体に障害を発生させたりということができる。
幸利は、ふととあることを思いついた。
ーー闇系統魔法は、極めれば対象を洗脳支配できるんじゃないか?
そしたら魔物同士で仲間割れも可能かもしれない。
と思い魔物を洗脳して仲間割れさせることに成功した。
トラウムソルジャーを洗脳して仲間割れを起こさせて優花を守ったのだ。
幸利は、助けた優花に手を差し出し優花は手を取り立ち上がった。
「絶対に生きて地球に帰ろ!」
「ええ!当たり前よ!」
と元気に返事をして駆け出した。
その間ハジメは、メルドに撤退を何度もかけられている光輝を生徒達の方に行かせるため向かった。それに創魔とデンジもついていった。
ベヒモスは依然、障壁に向かって突進を繰り返していた。障壁に衝突する度に壮絶な衝撃波が周囲に撒き散らされ、石造りの橋が悲鳴を上げる。障壁も全体に亀裂入っており砕けるのは時間の問題だ。メルドも障壁の展開に加わっているが焼け石に水だった。
「ええい、くそ! もう保たんぞ! 光輝、早く撤退しろ! お前達も早く行け!」
「嫌です! メルドさん達を置いていくわけにはいきません! 絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時に我儘を……」
「光輝! 団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」
雫は状況がわかっているようで光輝を諫めようと腕を摑む。
「へっ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろ? 付き合うぜ、光輝!」
「龍太郎……ありがとな」
しかし、龍太郎の言葉に更にやる気を見せる光輝。それに雫は舌打ち
する。
「状況に酔ってんじゃないわよ! この馬鹿ども!」
「雫ちゃん……」
苛立ち雫に心配そうな香織。その時、二人の人物が光輝達のところにやってきた。
「クソ勇者!」
「な、南雲!? それに早川まで!?」
「南雲さんに早川さん!?」
「創魔さんも!?」
驚く一同にデンジとハジメは説明する。
「早く撤退しろ! テメェがいねぇと! 早くしろ!」
「いきなり何だ? それより、何でこんなところにいるんだ! ここはお前達がいていい場所じゃない! ここは俺達に任せて南雲達は……」
「くだらないこと言っている場合かっ!」
ハジメ達三人を言外に戦力外だと告げて撤退するように促そうとした光輝さん言葉を遮って、ハジメは切れて光輝の胸ぐらを掴みながら指を指す。
その方向には、トラウムソルジャーに囲まれ右往左往している生徒達がいた。
「あいつらパニックって連携や状況判断が上手くいってねえんだ!お前は生徒達のリーダーなんだろっ!?だったら前ばかり見ないで後ろも見ろ!」
ハジメの言葉に光輝は、理解しぶんぶんと頭を振るとハジメに頷いた。
「ああ、わかった。直ぐに行く! メルドさん! すいませーー」
「下がれぇーー!」
光輝が“すいません、先に撤退します„そう言おうとしてメルドを振り返った瞬間、その団長に悲鳴じみた警告と同時に、遂に障壁が砕け散った。
暴風のように荒れ狂う衝撃波がハジメ達を襲う。咄嗟にハジメが前に出て、錬成により石壁を作り出すことにより多少は威力を殺せたようだ
がら倒れ伏し呻き声を上げるメルドと騎士が三人。衝撃波の影響で身動きが取れないようだ。光輝達も創魔、デンジも倒れていたがすぐに起き上がる。メルド達の背後にいたことと、ハジメの石壁が功を奏したようだ。だが。
ベヒモスはハジメが“圧縮錬成„で作った丈夫な石壁に向かって突進している。その度に石壁と橋に亀裂が入るたびに突進している。
「創魔は、メルドさん達の治癒!「了解!」お前達はメルドさん達が回復したら撤退しろ、あいつは俺達が押さえる」
「なっ!? 邪m「二度も言わせるな」くっ!」
ハジメは「邪魔だ!」と光輝が言うまえに光輝を睨んだ。
「ああ、撤退した方がいいぜ光輝!」
「撤退するわよ!」
「龍太郎、雫まで!?」
そこへ創魔に回復されたメルド達がやってきた。
「光輝!ベヒモスはハジメ達に任せて撤退だ!」
「メルドさん!? ……わかりました」
「まさか、お前達に命を預けることになるとはな。必ず助けてやる。全員が階段側に退避したら呼び掛ける頼んだぞ!」
「「「はい!/了解!/おう!」」」
メルドが光輝達を撤退した一瞬ハジメと香織の目が合った。
香織の目には「守りたいんです」と約束が果たせられなかったような後悔と悲しみの目をしていた。
(どうやら約束は果たせなれないようだ。悪いな白崎)とハジメは心の底で香織に謝罪した。
光輝達とメルド、騎士団員達が撤退したことを確認したハジメは二人に指示する。
「創魔はベヒモスの破壊の衝撃と咆哮に備え結界しろ。デンジはチェンソーで切り裂け」
「「了解!/おう」」
創魔は結界を展開し、デンジは斧を腰とズボンの間に入れボタンの間から指を入れ胸元から“生えているスターターロープ„を引っ張った。
次の瞬間
ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!
と鈍いモーター音を鳴らしながら頭と両腕から勢いよく飛び出してきたのは、『チェンソー』だ。
頸と頭部と両腕が変形し歯は鋭い形状に変わり、頭部はオレンジ色で染めて頭部のチェンソーは縦になって飛び出し、舌は長くなり、後頭部には二つ黒い持ち手が付き、デイジーチェーンを巻き付き刃高速回転している。
ドンッ!
遂に丈夫な石壁が破壊され埃が舞い上がるがベヒモスの咆哮で吹き払われた。ハジメ達は結界により守られた。創魔は、衝撃波ベヒモスの咆哮が止み結界を消した。ベヒモスはハジメ達を見ると
「グルッ!?」
ベヒモスは「アンナヤツイタカ!?」と驚愕したと言わんばかりに驚愕の声を上げた。
「オラッ!」
デンジは勢いつけて跳躍し、ベヒモスの頭部と左眼に目掛けて頭部と左腕のチェンソーをぶっ刺した。
「グルッッッッッッ!」
ベヒモスが六十五階層内に響く凄まじい悲鳴を上げた。チェンソーで顔がグチャグチャになり勢いよく「プシャャャャャ」と血飛沫を橋に撒き散らしデンジの服にもベチャッと付着した。
「……頭のネジがぶっ飛んでいるデンジなら『銃の悪魔』を倒せるかもしれないな」
「そうですね」
デンジがベヒモスに攻撃をしている光景を見ていたハジメと創魔。
ハジメは頭のネジがぶっ飛んでいるデンジが『銃の悪魔』を討伐できるかもしれないと思った。
ベヒモスは顔から流血しながら頭部全体がマグマのように燃えて突進を始めた。
「ウアッ!?」
デンジは「ついでに角を切断してやろうか」と角を狙ったが頭部がいきなり燃えたことに驚愕し咄嗟に頭部から飛び退けて元の位置に着地した瞬間、ベヒモスが突進する。
ドバンッ! ドバンッ!
電磁加速により放たれた弾丸がベヒモスの頭部に当たったが、突進は止まらず弾丸が別方向に曲がった。そして、跳躍し、赤熱化した頭部を下に向けて隕石のように落下した。
「創魔!」
「了解!」
ハジメの呼び掛けに創魔は結界を展開した。
赤熱化した角は結界に当たり衝撃波が起こった。位置がずれてハジメ達の前に落下した。
赤熱化の角と橋が当たり橋全体に衝撃波が走ったが結界により防がれた。
「今だ! “錬成„!」
「「“炎纏„!/“緋槍„!」」
橋にベヒモスの頭部が突き刺さっていた。その隙に結界を消しハジメが赤熱化の影響が残ってハジメの肌を焼くが一切無視して頭部に飛び付き右手に“ドンナー„をベヒモスの皮膚に当て
ドバンッ! ドバンッ! ドバンッ!
「グウァアアア!!!!」
ゼロ距離射撃を行い、左手で“錬成„を行った。
石中に埋まっていた頭部を抜こうとしたベヒモスの動きが止まる。周囲の石を砕いて頭部を抜こうとしても、ハジメが錬成で直してしまう。この繰り返しの間に胴体はデンジが炎を纏わせたチェンソーで硬い皮膚を切り裂き、ベヒモスの肉体が焼け、創魔は炎の形状で形成された槍で攻撃していたが、ここでベヒモスの身体が突如光った。
「「「!?」」」
おそらく防御力の固有魔法“金剛„を発動したのだ。ベヒモスは手札をもう一つ隠していたようだ。
ベヒモスの身体は満身創痍傷だらけ悲惨な身体をしているが“金剛„で受けるダメージを減らしている。
ハジメは六発したのを確認し直ぐに腰につけていた二つのうち一つのポーチから弾丸六発を装填し、六発。射撃したが金剛で防いだ。
ちなみにハジメが腰につけているもう一つは回復薬だ。
「(雷魔法付与しても“金剛„は流石に貫けないか)
“錬成„!」
ハジメは金剛越しベヒモスの足元に“錬成„を行い動きを封じた。ずぶりと一メートル以上沈み込む。
ベヒモスのパワーは凄まじく、油断すると直ぐに周囲の石畳に亀裂が入り抜け出そうとするが、その度に錬成をし直して抜け出すことを許さない。ベヒモスは頭部を地中に埋めたままもがいている。
ハジメは懐から電磁加速銃“シュラーク„を取り出し構え同時に射撃した。こちらも“ドンナー„と同じ仕様だ。
ドバンッ!ドバンッ!
ハジメ達がベヒモスを抑えている間、メルドや光輝達が生徒達のところへ行きリーダーが来たことにより、生徒達はトラウムソルジャー達に反撃を開始して階段側を確保した。
「皆、待って! 南雲さん達を助けなきゃ! 南雲さん達が三人であの怪物を抑えているの!」
香織の言葉に何を言っているんだという顔をする生徒達。だが、困惑する生徒達が、数の減ったトラウムソルジャー越しに橋の方を見ると、そこには肉体が焼け、目出血だらけで、ベヒモスを押さえているハジメ達の姿があった。一人だけ姿が違うが。
「うわっ!グロッ!」
「確かにグロすぎるだろ!」
「ホラーだっ!」
「ギャアアアアアアアアア!」
「しかもなんか!顔と両腕にチェンソーが生えてる!?」
「“チェンソー„?というものは知らないが、“金剛„を発動しているだと!?」
次々と疑問、叫び、驚愕の声を漏らす生徒達。メルドも思わず声を漏れてしまったが指示を飛ばす。
「ハジメ達であの化け物を抑えているから撤退できたんだ!前衛組はソルジャーどもを寄せ付けるな!後衛組は遠距離魔法準備! 一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」
ビリビリと腹の底まで響くような声の気を引き締め直す生徒達。中には階段の方向を未練に満ちた表情で見ている者もいる。ついさっき死にかけたのだ。一秒でも直ぐに安全を確保したいと思うのは当然だろう。しかしメルドの早くしろ!という怒声に未練を断ち切るように戦場に戻った。
その中には今回の主犯 檜山大介もいた。自分の本気で恐怖を感じていた檜山は、直ぐにでもこの場から逃げ出したかった。
しかし、ふと脳裏にあの日の情景が浮かび上がった。
それは、迷宮入り入る前日ホルアドに町で宿泊していた時のこと。緊張のせいか中々寝付けず檜山は、トイレついでに外の風を浴びに行った涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたが、偶然にも、ネグリジェ姿の香織を見かけた。初めて見る香織の姿に思わず物陰に隠れて息を詰めていると、香織は檜山に気がつかずに通り過ぎて行った。
気になって後を追うと、香織は、とある部屋の前で立ち止まりノックした。扉から出てきたのは……ハジメだった。
檜山は香織に好意を持っている。しかし、自分とでは釣り合わないと思っておら、光輝のような相手なら、所詮住む世界が違うと諦められた。
香織がハジメに抱きついているところを見て「なんで白崎はアイツなんかに抱きついているんだ!」と思っていた。
唯でさえ溜まっていた不満は、既に憎悪にまで膨れ上がっていた。香織が見惚れていたグランツ鉱石を手に入れようとしたのも、その気持ちが焦りとなって現れたからだろう。
その時のことを思い出した檜山は、ベヒモスを抑える三人の内ハジメを見て、今も祈るようにハジメを案じる香織を視界に捉え……と仄暗い笑みを浮かべた。
ベヒモスに次々と魔法が当たっていく。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。なんだ?と思い後ろを見ると階段側から生徒達がソルジャー達を抑えながら遠距離魔法を打っている。
「創魔!デンジ!撤退だ!」
「「了解!/おう!」」
「この隙に撤退しろ!」というメルド団長の意図に気づきハジメが創魔とデンジに撤退を促し階段側に走り出した。ハジメは去り際にベヒモスの足元に錬成をし動きを封じた。だがベヒモスはハジメの錬成で封じられた足を簡単に解いた。金剛の効果が切れ数多の魔法を受けながらも咆哮と共に眼を憤怒の色を宿りながら起き上がる。鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……ハジメ達を捉えた。再び、怒りの咆哮を上げたベヒモス。ハジメ達を追いかけようと四肢に力を溜めた。階段側まではもう少しだ。だがここで非常事態が発生した。
バタン
ハジメと創魔は後ろの音に気づき、振り返るとデンジが頭部と両腕のチェンソーが引っ込んでうつ伏せで倒れていた。
「「デンジ!/デンジ様!」」
「……」
デンジに呼び掛けても返事がなかった。おそらく血の使いすぎて気絶したようだ。
「創魔!そっちの腕を回し走れ!」
「了解!」
ハジメと創魔はすぐさまにデンジのところに行き(ハジメが右、創魔が左)腕を回して全速力で階段側に走った。だが、ここで二回目の非常事態が発生した。
空を駆ける数多の魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。……ハジメ達の方に向かって。
「何っ!?」
ハジメは火球に気づいたが、創魔は走ることに集中していて気づいていなかった。迫ってくる火球を“ドンナー„で打ち消そうと思ったが、両手を回していたため懐から“ドンナー„を取り出せなかった。
「(火球との距離はまだある。賭けるしかない!) 創魔!決して後ろを振り向くなよ!デンジを頼んだぞ!」
「……主様?」
創魔はハジメが何を言っているのかわからかったが、ハジメの行動で瞬時に理解した。
ハジメは支えていた両手をデンジから離し創魔に預け、創魔とデンジの背中を押した瞬間。迫っていた火球がハジメとデンジを支えていた創魔の間に直撃した。
ハジメは着弾の衝撃波をモロに浴び、走ってきた橋を戻るように吹き飛んでしまった。直撃はギリ避けて、内臓などへのダメージもないが、三半規管をやられ平衝感覚が狂っていた。
創魔は衝撃波に影響でバランスを崩しデンジを離してしまったが、デンジの腕を回して階段側に走った。
フラフラしていたが何とか立ち上がり走ろうとしたが後ろからベヒモスが咆哮を上げ赤黒い魔力を吹き上げ、赤熱化した頭部を盾のように翳しながらハジメに向かって突進してきた。
フラつく頭、霞む視界、迫ってくるベヒモス、遠くで焦りの表情を浮かべて悲鳴と怒号を上げる生徒達。
ハジメは、必死に走った。直後、ベヒモスが怒りの全てを橋にぶつけた衝撃が橋全体に震動した影響で着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走り、そして遂に……橋が耐久限度を超え悲鳴を上げながら崩壊し始めた。
「グウァアアアア⁉︎」
ベヒモスが悲鳴を上げながら崩壊し傾いた石畳を爪で引っ掻くが、引っ掛けた位置すら崩壊し、断末魔を叫びながら抵抗も虚しく奈落へと落下した。
ハジメも全速力で階段側へ走っているが、崩壊の速度がハジメに追いついてしまった。
(あっ、終わった)
自然と、諦めの言葉を胸中で呟きながら、対岸の生徒達の方へ視線を向けると、香織が飛び出そうとして雫や光輝に羽交い締めにされているのが見えた。他の生徒達は青褪めたり、目や口元を手で覆ったりしている。幼馴染達は、飛び出そうとしているが、恵里は鈴に、浩介と幸利は永山重吾と野村健太郎に、優花は菅原妙子と宮崎奈々に押さえれられている。メルド団長達騎士団の面々も悔しそうな表情でハジメを見ていた。
そして、相棒の創魔は絶望した表情を浮かべてデンジの腕を回して見ていた。デンジは、僅かだが瞼を開け薄らと見て目を見開いていたが、直ぐに瞼を下ろして意識を落とした。
(創魔とデンジは⁉︎……よかった。間に合ったみたいだ)
創魔はデンジの腕を回し走って無事階段側に着いたことに安堵した。
そして、ハジメの足場も完全に崩壊し、仰向けになりながら奈落の底へと落ちていった……
「どうせなら死ぬなら異世界じゃなく、日本で最期を迎えたかったな」
魔法と剣がありふれた異世界ファンタジーで死ぬんじゃなく、公安対魔らしく日本で死にたかったと呟きながら……
いかがでしたか
デンジが生徒達の前でチェンソーマンに変身したり、原作と違いベヒモスに金剛を入れてみました。
次回なんですが、1ヶ月間読者の方々を待たせてしまったので「生徒達・創魔&デンジ」「奈落の底」のアンケートをお願い致します。
期限なんですが、早く見たいと思う方々がいると思うので午後20:00までとします。
次回
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生徒達・創魔&デンジ
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奈落の底