舞台は本編後の弊カルデアなので、解釈違いや独自設定についてはご了承ください。
今回は帰宅迄、興味をお持ちいただけたら感想頂けると幸いです。
2023/06/21改稿-いろいろ気になった部分を修正しました
気が付けば、長い間
最初は他に誰も居ないから始めた旅だったけど、いつしか自分で進むと決めて、最後は何としてでも終わらせてやると思った。
「よく諦めなかったよな、俺」
送迎会も終わって誰もが寝静まり、シンとしたマイルームで呟くその声に応える声は無い。
誰も居ないわけではなく、むしろ床下とか屋根裏とかベッドの下あたりに気配はあるけれども流石に空気を読んで静かにしている。
そして、だんだんとそれも薄れてカルデアで一つの区切りとなる夜は1人で過ごすことになる。
「寝よう……」
安心と寂しさが混ざったような気持ちで、藤丸立香は眠りに落ちた。
〜翌日〜
珍しく吹雪の止んだフィニス・カルデアの外で藤丸立香は一時とはいえ離れることとなる皆と別れの挨拶をしていた。
「あぁ〜、コホン。藤丸立香、貴様は1人のマスターとして良くやった。しばらくは慣れないだろうが取り戻した日常を満喫してきなさい」
「ゴルドルフ君の言うとおり、まずは
「ダヴィンチ、藤丸を犯罪者みたいに言うな。
「先輩、絶対に会いに行きますので待っていてくださいね」
新所長、ダヴィンチちゃん、カドック、最後にマシュから一言ずつもらうけど、絶対に来ると思っていた彼女が居ない。
「マシュ、ユゥユゥは?」
「ユゥユゥさんにもお声掛けはしたのですが、『顔を見たら、ワガママ言って困らせちゃいそうだから』とのことで見送りは遠慮なさるそうです」
これが今生の別離ではないけれど、生前のこともあって愛する人と別れるのは彼女にとっては相当堪えるらしい。それでも長い別れになる時に愛する人の顔を見れないのは辛い。
「……そっか。会えなくて寂しかったって、伝えてくれる?」
「はい。それでは、先輩」
最後にマシュときつく抱擁を交わしてからカルデアのエントランスから外に出ると、すぐにやって来たヘリは俺がいない間にマスターとなる協会の魔術師たちを降ろして、代わりに俺1人を乗せて離陸する。
少しでもここの、カルデアをしっかりと記憶に刻んでおこうと振り返った時にはもう雲に隠れていたのは残念だった。
そこから先はチリで飛行機に乗り継いで、アメリカの国連本部で守秘義務の誓約書を書いてから日本に帰ってきた。
……内心どこかで暗殺されたり、拉致されるんじゃないかと不安だったけど、入国ゲートまで丁寧に送ってもらえたのはありがたい。
「では、我々はここまでで」
「どうも、ありがとうございました」
一緒についてきてくれた黒服の監視役にお礼を言ってからゲートを抜けて日本へ入国。
特異点や異聞帯に行った時もそうだったけど、やっぱり現代日本の風景が一番落ち着くと思いながら一路自宅へ。すっかり遠くなってしまった記憶と照らし合わせるように交通機関を乗り継ぎ、懐かしい道を歩いて行くと。どうにか日が暮れる前には自宅へ辿り着くことができた。
「俺の家、か」
思わず玄関前で立ち尽くしてしまう。
どんな顔で両親に会えばいいのか、というか何を話せばいいのか。
事情は虚実綯い交ぜで説明されてるらしいけど、3年ぶりに会う両親は自分のことをどう思っているだろうか。
「よし」
覚悟を決めてドアを開け、やはり最初の一声はコレだ。
「ただいま」
3年ぶりの実家に帰ってみれば、案の定凄まじく歓迎された。両親からすれば体感1年くらいとはいえ、息子が南極で国連所属の天文台に行っていたとなれば仕方ないか。
「それにしても落ち着かないな」
夕食まで時間があるしノンビリしてなさいと母親に言われて自室に入ったものの、3年ぶりに入るとまるで他人の部屋のようで落ち着かない。
ベッドに転がってみても、カルデアのベッドより寝心地が良いはずのそれは慣れないホテルのようで眠れるか不安になる。
「ダヴィンチちゃんの言うとおり、この調子じゃ社会復帰から始めるようだね」
その後は夕食までカルデアに行く前の記憶を振り返るように自室にあった漫画や小説を読んだり、習慣となった筋トレを軽めにして時間を潰す。本に関してはそういえばこんなのだったなという程度だったけど、高校の授業で使っていた教科書は読んでいる内にぼんやりとだけど同級生や教師の顔が浮かぶ程度には刺激があった。
「立香ー、ご飯できたわよー!」
「いま行くよー」
夕食は少し豪勢に出前の寿司と母さんの手料理がいくつか。寿司が美味しいのはもちろんだけど、何よりも手料理の懐かしさに少しだけ涙ぐんでしまうと同時に感慨にふける。
「……本当に戻ってきたんだ」
そのあとは風呂に入って寝るだけ、というところでカルデアに短いメールを送って無事を知らせる
”無事に帰宅して家族といます 藤丸”
それを送ってパソコンをシャットダウンするまでのわずかの間に返事が来たことに苦笑し、その内容を読んで心がほっとしてしまう。
”お疲れ様です、しばらくはご家族と団らんを楽しんでください マシュ
お見送り出来なくてゴメンナサイ 楊貴妃”
明日、楊貴妃と通信してみようかな。
そんなメールの送り主たちが居るカルデアの食堂はちょうど昼時で賑わっていた。
蛇足だが、南極の時刻は基本的に基地の所有者の母国に準じるため、カルデアの場合は時計塔や国連との兼ね合いもあってGMTに準じている。
話題の中心は当然だが藤丸。
無事に帰り着いたことは千里眼や遠見の術が使えるサーヴァントたちが把握していたが本人から直接連絡があったことでそれ以外の者、特にマシュと楊貴妃の2人は安堵の息を吐いていた。
「良かったね、マシュさん」
「はい、ユゥユゥさんもすっかり元気になられて安心しました」
「それについては面目しようもないのです」
反省して縮こまる楊貴妃が落ち着いてきて部屋から出てきたのはつい先程。藤丸からメールが送られて来たことで、距離的に離れていても文や言葉を交わせることを実感して本調子に戻ったところである。
「まったく、一般人のマスターは過保護にされてるようだね」
「そう言うなよ、アイツらにとっちゃ存在の要だ。俺たちが自分のサーヴァントを召喚するまでは無事でいてもらわなきゃ」
そこに冷水を浴びせるような言葉を放ったのは時計塔から来た新規のマスター。
サーヴァント全員がそれに反感を覚えると同時にオジマンディアスやギルガメッシュ、モルガンといった暴君属性持ちが居ないことに安堵した。
「それは確かに。君たち優秀な魔術師とは比べ物にはならないだろう」
それに理解を示したような態度で両手に持った皿を彼らの前に置いたのはラスプーチン、もとい言峰綺礼。その時点で何人かのサーヴァントは皿の中身を見抜いて頬を引き攣らせていたが、時計塔の2人は気にも留めない。
「へぇ、話の分かるのも居るじゃないか」
「これでも聖職者なのでね、道理はわきまえているつもりだよ。だが、英霊たちは現代に生きる君達を容易に認めはしないだろう」
ウンウンと直接藤丸を知る職員・サーヴァントが肯く。
人理焼却も人理漂白も決して投げ出さずに走り抜けた藤丸立香を比較対象においては、最高峰と言われたAチームですら霞むのだから当たり前の反応である。
「だが安心したまえ、この皿を迷わず食べ切ることができれば多くのサーヴァントは最低限、君達を認めるだろう。無論、藤丸立香は完食したがね」
言峰綺礼を知る者たちは魔術師を煽る手際と皿の中身に苦笑を浮かべる者と愉悦を浮かべる者に分かれ、大半はそれに加えて僅かな同情を覚えた。
「いいぜ、食ってやるよ」
「どんなもんだろうが毒じゃないだろ」
「では、お楽しみを」
そう言ってフタを外した瞬間、彼らの前に現れたのは麻婆拉麺。だが、ただの麻婆拉麺ではない。
一面を赤く染める辣油とそこに無数に咲く花椒が刺激臭を放つソレは、エリセ・カレン・綺礼が自身を満足させる辛味を求めて創り出した至高の1品。
確かに完食すればサーヴァント達も最低限は認めざるをえない。だが、安いプライドを刺激されて負けの見えた勝負に挑むのなら……。
パクリ。
案の定、二人の魔術師は挑んでしまった。
そしてサーヴァントたちはコイツらがサーヴァントを只の使い魔として指示するうちは従わないと決意を新たにした。
「「ーーーーーーーーー!?!!!!!」」
なお藤丸は3口目までは耐えながら、4口目からは毒耐性を発動させながら完食したことをここに記す。
いかがでしょうか?
とりあえず愉悦、麻婆は最強。
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