藤丸たちは今回の目的の一つである時計塔のマスターの召喚に立ち会いに備えていた。
直に顔を合わせるのが初めての彼らと、彼らの召喚するサーヴァントは?
LB7のネタバレが含まれますのでご注意を。
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こんな時だが地表を白紙から元の状態に戻す時、つまりカルデアスと地球を再び置換する時に幾つか手を加えている。
大半は両者を両立させる為のものだが一部はカルデアとアトラス院の為のもの、具体的には施設の拡張に必要な地形の改変である。
その成果によってカルデアは外観そのままながら山中・地下の設備は大幅グレードアップ。
具体的には秘匿エリアとして最下層にストームボーダーのドック、その上にサーヴァントの現界維持と各魔術工房への魔力供給を担う大型魔力炉が2層を貫いて所在。
そこから上に通常エリアとして先ずは紙ベースの資料や魔導書も蔵書する【偉大にして恐るべきされど可憐なる紫式部図書館】と各種素材の倉庫、聖杯保管庫がある資料・資材層。
次が各職員・サーヴァントが工房やそれに類する物を設置している工房層。
その上が1層を環境ごとに区切って工房で扱う様々な動植物の飼育や生鮮野菜の生産、閉鎖環境での気分転換、英霊の連れた動物の世話など多目的に使われる環境層。
あとは下から順に食糧保管層・居住層・司令層と来て、最後が外部からも見える一般向けのエントランス層・天文台層といった構造になっている。
そんな工房層の中心、サーヴァント召喚の陣が敷かれた召喚室にはオルガマリー所長に加えて藤丸、マシュ、カドックといった実働部隊も集まっていた。
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「時計塔のマスター、なかなか来ないね」
ラスプーチンから貰った腕時計を見れば予定の時間には余裕があるが、他の人員が集まったのに当人たちが遅いというのは如何なものだろう。
「大方、触媒か何かの準備だろう。いくらカルデアのシステムを使った召喚とはいえ、そういうの程自分達の流儀で染めたくなるのが歴史のある魔術師の性だ」
隣りにいるカドックから魔術師にはありがちなことと聞いて、それ以上何か言うのは断念する。
でも、目上の所長たちを待たせるのはどうなの?
「遅くなりました、召喚の準備に手間取りまして」
「不慣れな場所でしたのでご容赦を」
慇懃無礼といった感じでカルデアの制服を着た時計塔の魔術師、金髪と赤髪の2人が謝罪をしながら入室。
やや大きなトランクの中身が召喚に使う触媒や自分達の魔道具かな。
「召喚室に回す魔力だっていつまでも使えるわけでは無いの、さっさと準備をしなさい」
遅刻の事を問い詰めるのも時間が惜しいのか、オルガマリー所長が不快感を隠さないまま急かす。
最初に召喚するのは赤髪のマスターらしく、トランクから取り出した植木鉢を召喚陣の要所に配置して魔力を流し込む。
そうすると召喚陣の色が白から薄緑に変わり、最後に中心にあるマシュの盾の横へ触媒らしき羊皮紙を置く。
「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公……」
召喚の詠唱と魔力の渦巻く音が響く中で果たして彼は誰を召喚するつもりなのか、雑談気味にカドックへ尋ねてみる。
「アイツは植物科のマクラーレン・ボーグ、生まれも育ちもイギリスだからそこ所縁の奴じゃないか」
「マシュの盾もあるし、狙いのサーヴァントを喚べる確率は高そうだね」
イギリス人のマスターに円卓、そこに触媒が有るなら縁は十分なはず、あとはそれに応えてくれるかというところ。
「天秤の守り手よ!!」
最後の詠唱を終えると魔力の渦が収束し、徐々に人型を取り始める。
《霊基反応確認 クラス アーチャー》
無機質なアナウンスを聞いてイギリスのアーチャー、しかも植物ときて真っ先に思い浮かんだのは【ロビンフッド】だが、その姿は彼とは異なりマントではなく左右非対称の鎧姿、髪の色は赤銅で気品と同時に迫力を感じる。
そのオーラで間違いなく王やそれに類するサーヴァントだと、この場にいる全員が判断した。
「サーヴァント・アーチャー、召喚により参上した。そこの魔術師が余のマスターとやらか?」
「そうだ、そっちはヘンリー5世で相違無いな」
「ふっ、余をそうと知ってその態度とは面白いな。その蛮勇に免じて、必要ならばマスターとして扱おう」
ヘンリー5世、確か100年戦争でジャンヌより少し前の時代のイギリス国王。
弓兵隊と地形を使った戦術でフランスとの決戦に勝利して、一時的とはいえフランス国王にもなりイギリスに勝利をもたらした人物だと藤丸は記憶していた。
その彼はぐるりとこの場を見渡すと霊体化して姿を消した。
そしてマスター、マクラーレンはやや青い顔で人に置いた鉢や羊皮紙を回収するが召喚を見ていた側はマスター殺しや暴走が起きなくて良かったと一安心していた。
「良かった〜」
「安心するのはまだ早いぞ。次のヤツ、降霊科のヴィンセント・フォードの方が問題だ」
他人には聞こえないよう、カドックが藤丸に耳打ちする。
「それなりに歴史のある家系の上、前の僕以上に君への劣等感というか根拠の無い優越感がある。そして、死霊魔術の使い手だ」
なんだろう、勝手なイメージだけどクリプターだった時のカドックとケイネスさんの悪い所を合わせたような気がして心配。
「死霊魔術って、死体を加工したり魂や霊体を燃料にするヤツだよね」
「正確には魂が物質界から星幽界に戻る時の魔力だけど、お前にしてはよく覚えていた方だな」
褒められたのか貶されたのか、よく分からないカドックの言葉にどう反応したものか悩む。
そんな藤丸にカドックが結論を告げる。
「サーヴァントもそう見るんじゃないかってことだよ。誰を召喚するつもりかは分からないけど気を付けろよ、僕もアナスタシアを喚べるようにしておく」
「了解」
マシュが居るとはいえ盾が召喚陣に置かれているためすぐには動けない。
いざという時はヴィンセントさんのガードに回ってもらって、誰かを呼ぶようかな。
「次は私の番だな」
どこから湧いてくるのか分からない自信タップリに赤黒い液体の入った瓶詰を配置し、最後に氷漬けになった肉片を自身の足元に置くと彼の準備は終わったようで、召喚陣が不気味な赤に染まると召喚が始める。
そうして朗々と詠唱を終えた彼の目前で魔力がサーヴァントの形を取って動き出した瞬間、そこに明確な害意を感じた藤丸とカドックは自身のサーヴァントに指示を飛ばす。
「令呪を以て命じる! 来い、キャスター!!」
「マシュ、【時に煙る白亜の壁】を彼に! 令呪を持って命ず、プリテンダー!」
その指示に応じてマシュがスキルをヴィンセントに施すが、それが成立したかというタイミングで彼は実体を得た剛腕に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
その間に魔力を込めていた2人の令呪が1画消え、代わってに2騎のサーヴァントがマスターに応えて参上した。
《霊基反応確認 クラス アヴェンジャー キャスター プリテンダー》
「カドック、急に呼び出して何事なの?」
「いきなりです、ね、トラマカスキ。そしてなんとなく状況は分かりました」
獣国の皇女として統治者の面を強く持つキャスター・アナスタシアがカドックに、都市神であり戦と雨を祀る神を騙るプリテンダー・テノチティトランが藤丸に、急な呼集へ愚痴をこぼしつつ先程マスターを吹き飛ばしたアヴェンジャーと対峙する。
「先輩、敵性反応いまだ健在です」
「あのアヴェンジャーのマスターは?」
「バイタルは安定していますが、衝撃で気絶しているようです」
盾を手元に戻したマシュの報告でひとまず安心するが、逆に彼の絶命による退去や令呪による縛りは期待できないということ。
マシュのスキルでダメージを無効化したとはいえ、意識が覚めるまでは暫く掛かるだろう。
5人が予断なく見つめる先で土煙が晴れ、召喚されたアヴェンジャーの姿が露わになる。
「デカイが、何よりもあの肌は」
「うん、間違いないと思うよカドック」
身長約2mのガッシリとした体型、顔をはじめとした肌の所々には継ぎ接ぎがありその色は屍蝋のような濁った黄色。
ここまで来れば該当する英霊は唯一つ。
「「フランケンシュタイン」」
正確にはフランケンシュタインの被造物である理想の人間の失敗作、彼自身が放ったという言葉に準じるなら【フランケンシュタインのアダム】とでも呼ぶべきだが、そこまでの知識はマスター2人にはない。
「何故私が喚ばれた、私は創造主を殺し、望まれぬ世界を去った。だが私は喚ばれてしまった、裏切られると決まっている主に!!」
原典に拠ればフランケンシュタインのアダムは創造主であるフランケンシュタインに不要と切り捨てられ、ならばと伴侶たるイブを望むもその約束は破られ、最後はフランケンシュタインを殺害して北極海へその身を投げたという。
「フラン、今すぐ来れる?」
真名が推測できた以上その対抗策は大概揃うのがカルデアの強み。
この場を鎮めるのに最も適しているだろう彼女(イブ)にパスを通じて呼びかける。
”い……く……”
「所長!」
多少穏便に済ませられる見込みがあることを伝えようと藤丸がオルガマリーへ呼びかけると、防護室越しの彼女がすぐに反応する。
「藤丸、念のため令呪は2画とも温存しておきなさい。2人には対サーヴァント戦闘を許可します。目標は制圧、ただし不可能な場合は直ちに撃破すること!」
「「了解!」」
そんな訳でこのSS初の戦闘が始まります。
それにしてもアーケードコラボのシナリオ、最高でした。
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