少し警戒しながらも、話の内容は意外なモノで。
以下テンプレ
UA10,000を突破、皆様ありがとうございます。
引き続き感想・評価の方もお待ちしております。
「リツカ・フジマル、隣に座ってもいいか?」
食堂で朝食を摂っていると時計塔のマスターの一人、ヘンリー5世と契約した彼に声をかけられた。
確か名前は……。
「マクラーレン・ボーグさんでしたよね、良いですよ」
許可を得るなりすぐ座るが、ヘンリー5世は近くには居ないようで彼の反対側は空いている。
ちなみに藤丸の正面はマシュと楊貴妃、マクラーレンと反対側にはアルトリア・キャスターが座っている。
「ボーグさんのサーヴァント、アーチャーは?」
「サーヴァントに食事は不要だと伝えたら、そうかとだけ頷いてな。食堂の場所は知っているから、単に気が向かないだけだろう」
「そうですか。もったいないな……」
ポツリとそう呟いた言葉が聞こえたのか、マクラーレンが怪訝そうな声をあげる。
「もったいない?」
「いや、折角の現界なのに食事を楽しまないのはもったいないなと思って。生前のイギリスよりも色んな料理が楽しめますし、アーサー王や他の英霊とも会話が出来るので」
あくまでも個人的な感情に過ぎないが折角の得難い機会、食堂に顔を出すくらいは良いのではないだろうか。
まぁ、アーサー王はいっぱい居るのだが。
「そうだな、他の英霊とも交流するように提案はしてみよう。ところでリツカ・フジマル」
「リツカでもフジマルでも、好きな方で呼んでください。呼びにくければリッカでも」
一々フルネームで呼ばれるのも落ち着かないし、アジア系の名前はそのままだと呼びにくいことも多いので呼びやすいのも提案しておく。
「ならばリッカ、お前はサーヴァントとどう接している?」
「うーん」
単純だが難しい質問、マスターとしてではなく自分自身がどう接しているかが問われている。
それでも、答えは1つしかない。
「等身大で接してるかな。見栄や虚勢を張ったりしないで、今の自分に出来る精一杯で接しています。あとは王様系サーヴァントには敬意を表して、神霊の皆にはそれなりの信仰心を持つくらいですね」
あるがまま、隠すようなことも無いので洗いざらい喋る。
それが求めていることなのかは分からなかったが、一応は納得したのか不満げな色はない。
「そうか、お前はそう接しているのか」
とはいえ一方的に喋らされ、1人納得しているのを見せられて黙っているほど藤丸もお人好しではない。
返すようにボーグへ質問をする。
「ボーグさんはどういうふうに接しているのか、教えてもらっても良いですか?」
「……そうだな、最低限の敬意は持っているがあくまでも使い魔、本人の影だとは思っている。あまり敬意を示すのも基となった英雄本人に失礼だし、人格を持つ者に礼を示さないのも失礼だ。言葉にすると、お前とはだいぶ違うな」
なるほど、と藤丸は納得していた。
魔術師然とした魔術師と思っていたが意外と人間味がある、それにサーヴァントのことも人格を持った相手として最低限認めている。
「いえ、参考になります。良くも悪くも俺やカドック、芥センパイはサーヴァントに思い入れがあるので、そうでない人の意見は貴重です」
「なるほどな。まぁ、今後ともよろしく頼む、じゃあな」
意外と話しやすい人だな、というのが今回のボーグとの初接触だった。
「ところできよひー、さっきの言葉に嘘は?」
「ありませんでしたよ、ますたぁ」
「ありがとう。でも、嘘発見器みたいに扱ってしまってごめんね」
流石の藤丸も魔術師の言葉を最初から全部信用しない程度の悪知恵はあるのだ。
それでも彼女をそう扱った事実は事実なので、霊体化を解いた彼女に謝罪する。
「ふふ、そういった所がますたぁの美点ですね。そして謝罪であればぜひ同衾など……」
清姫も清姫であるが特に誰も突っ込まない。
「ちゃんと俺と安珍様を分けられるなら良いけど、どう?」
「まだ出来ておりませんので、断念いたします……」
「清姫さんが素直に引き下がる愛の結界、恐るべしですね」
楊貴妃の言う愛の結界とは藤丸のマイルームに施された多重結界のこと。
具体的には玉藻の前とモルガンによる東西最高峰の結界に魔術を使える者が競い合うよう干渉を避け、あるいは利用した術式を追加。
更に場所を限定することでカルデア直下の楽園径路を繋げてアヴァロンやキャメロットを再現した概念防御を展開、仕上げとばかりにアムールの愛が無ければ通れない術式を追加した物。
アムールの術式故に愛の結界であるが、その通過条件は藤丸立香個人を愛すること。
清姫のように誰かを重ねて愛する者は通れないのである。
〜翌日〜
その日の食堂に見慣れぬ英霊が1人、トーストに目玉焼き・トマトサラダという質素な皿に反して食しているのは王気を放つ人物。
そんな彼は今朝は何を食べようかと食堂へ入って来た藤丸を見つけると、ゆるりと立ち上がって彼のもとへと歩を進める。
「藤丸立香だな」
「そうですが。貴方は確か、ヘンリー5世ですよね」
「まさしく、イングランド王ヘンリーである」
一体何用かと藤丸は思い当たる節があるか考えるが、対するヘンリー5世はそれを興味深く見つめると言葉を発する。
「我のマスターより食事を通して他の者と交流してはどうかと献策されてな、話を聞くなら先ずはそのマスターを介すのが道理と待っておったのだ。それにしても、お主のようなものが彼のアーサー王を従えているとは興味深い」
やっぱりイギリスの英霊はあの王に興味を惹かれるのか、と妙なところで得心している藤丸にヘンリー5世が言葉を続ける。
「早速だが彼の王にお目通り願おう」
それに対して藤丸は1つ問うことがあると言う。
「アーサー王の武器として、何を1番にあげますか?」
深い意味はない、マルミアドワーズやエクスカリバーであればセイバーを、ロンの槍やロンゴミニアドであればランサーを案内しようというだけだ。
「ふむ、有名であればエクスカリバーだがシュピメイダーの逸話も捨てがたい、だが1番となればロンギヌスの槍に並ぶと言われるロンゴミニアドの槍だ」
それならもう一つ。
「王はアヴァロンとワイルドハント、どちらに向かったと思いますか?」
コチラはオルタか否かに関わる。
「アヴァロンに決まっている、ワイルドハントなぞゲルマン人の作話だ」
「なら、コチラへ」
イギリスならそうだよね、と納得しながらもオルタとジークフリート、クリームヒルトに心中で謝罪しながらランサーのアルトリアの元へ案内する。
今日は側にガウェインとアグラヴェイン、他のアルトリアはまた別の卓にいるようだ。
「アーサー王、陛下にお会いしたいという方をお連れしました」
「おや、改まってどうしましたか?」
わざとらしいその言葉にアルトリアが答えてアグラヴェインが眉間のシワを深くし、ガウェインが微笑む。
「お初にお目にかかる、イングランド国王ヘンリー5世と申す。貴公が名高いアーサー王であるか」
そう言葉を掛けたのは予想通りにガウェイン。
それに対してガウェインとアルトリアは微笑むだけでアグラヴェインが眉間のシワを更に深くして訂正する。
「ヘンリー5世陛下、私は円卓第八席のアグラヴェインです。失礼ながらそちらは我が愚弟の円卓第五席サー・ガウェイン、王はコチラにおわします」
そう言って恭しく示すのはアルトリア、案の定アーサー王が女性、しかも見目麗しい貴人とは思っていなかったのか目を見開いて絶句している。
「初めまして、ヘンリー5世。ウーサー・ペンドラゴンの嫡子アルトリア・ペンドラゴン、ロンゴミニアドを携えランサーとして現界しました」
「なんと……」
ある意味、カルデアの通過儀礼である。
生前の円卓を知る者で無ければ確実に陥る現象を見て、藤丸は心のなかで舌を出した。
「朝食がてらの会話なら、マスターも共にどうですか?」
「ガウェインのマッシュがないなら喜んで」
「なんと!」
それはそうだろうという視線が彼の皿と彼本人に注がれる。
「卿は盛りが多過ぎるのだ。マスター、私が取ってくるが希望は?」
「なら、アルトリアと同じ物を並盛で」
既に1/3程なくなった特盛カレーを指してアグラヴェインに頼む。
ヘンリー5世にも同様に問うと、コチラも同じく並盛カレー。
「アーサー王と同じ卓で同じ物を食すというのはブリテン人の憧れ故に」
とは本人の弁。
そしてカレー3皿が並んだところで。
「「いただきます」」
「……イタダキマス」
アルトリア、藤丸に続いて不慣れそうにヘンリー5世がそう告げてスプーンをつける。
最初は茶色の汁付きライスに怪訝そうな目を向けていたが、他の皆が美味しそうに食べているのと香りに誘われて口に運ぶ。
「美味いな」
「ええ、カレーといって海の向こうのインドという国を支配下においた時に伝わったそうです。我々の時代は外敵を運ぶだけだった海は、後の世にブリテンに恵みを運んで来たのです」
「そうだな、我もフランスへ何度もドーバーを渡ったが常に戦に向かう為であった。それが後世では恵みを運ぶ海になる、か」
食事を通じて後世の歴史を先人から教わる、そんな奇特な体験も悪くないとヘンリー5世は思っている一方、藤丸はそんな彼の様子を見て一安心した。
この日以降、たまにではあるが食堂で英霊たちと食事や茶を通して友誼を深めるヘンリー5世が目撃されるようになったそうな。
オリジナルのサーヴァントを紹介する感じの第15話、なんかまた今回も飯食ってるなと感じですが楽しんでいただけましたか?
よろしければ感想・評価のほどをよろしくお願いします。
感想・評価送るのはハードル高いですかね?
-
メッチャ高い、無理
-
高い、勇気がいる
-
少し、何書けばいい?
-
興味がない
-
高くない