フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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事故とはいえ、徴姉妹の宝具によって泥まみれとなった離水遊園。
このままではエリアの突破どころではないカルデア一行はその復旧を申し出る。


以下テンプレ
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そして☆10付けてくださった方が居て恐縮です。


第19話 藤丸、水遊園に行く その2

「なるほど、斯様なことがあったのですね」

 

藤丸達が訪れた離水遊園は泥だらけ。

その原因は道中で魔猪を撃退したときの余波ということもあり、その主犯たる徴姉妹は揃って巴御前に頭を下げていた。

 

「本当にごめんなさい、まさか流れの先に此処があるなんて思わなくて」

「責めるならお姉ちゃんじゃなくて、私。そういう補佐をしなかった私が悪い」

 

とはいえ悪気も無く事故なのも事実、どう裁いたものかと頭を捻っていると被害状況を調べていた小鬼が戻ってくる。

 

「キィー、キキッ、キキーー!」

「なるほど、分かりました」

 

日本語ではなく喚くようなキーキー声だが、鬼種の血を引く巴御前には伝わったようで引き続き作業に当たるように告げると再び徴姉妹の方を向く。

 

「幸いにも設備への被害はほとんど無く、主な問題は土砂と水の交換だそうです。3日もあれば復旧できますよ」

「それなら私と弐っちゃんも手伝います!」

 

設備が壊れているならその修理は自分たちは出来ない、けれど泥の掻き出しや清水の供給なら水を操る自分たちにこれ以上なく向いている、と徴側は手伝いを申し出る。

 

「話を聞けばそう言われると思っていました、徴側様。小鬼達を10ほどつけますから、ますたーの了解が得られ次第、始めてください」

 

仕方無いと言いたげに、チラと東屋の下で待っている自分たちのマスターに巴御前が視線を向けるとすぐに徴弐が飛んでいく。

彼女と遠目にも苦笑を浮かべているのが分かるマスターとの話はすぐに纏まり、武蔵・北斎・マシュ・楊貴妃を連れた徴弐は戻ってきた。

 

「姉さん、訳を話したらマスター達も手伝ってくれるって」

「ここが再開しないと先に進めないからね、サーヴァントの不始末はマスターの不始末だよ」

 

それに盛大に水浸しにした宝具使わせたのは私だし、と巴御前に手伝いを申し出る。

本来なら自分の問題でマスターがそうすることは止めるべきだが、それを聞くとは思えないので徴姉妹は感謝しながら掃除を始める。

 

 

 

先ずは大きな岩や土塊から。

流石にこれは英霊でも個人でどうにか出来る物ではないため徴姉妹と武蔵、お栄の剣、久々に装備したオルテナウス・マシュのバンカーボルトで小さく砕いて小鬼が運ぶ。

 

「バンカーを文字通りに削岩機として使う日が来るとは、新鮮な気持ちですね」

 

カッカッカッと小気味よく、マシュが巨岩を粗く砕き更に剣士が刻んでいく。

 

「かーっ、武蔵さんみたいに微塵とはいかないねぇ」

「流石にお栄ちゃんには負けられないもの、それでも岩斬りは合格点よ!」

 

二刀流二人の四刀で刻むのは水着剣豪師弟。

双腕に持った大小で、お栄は削り武蔵は両断。

技量と性格がそのまま出るようだが、その太刀筋に迷いなし。

 

「私達も負けられないわね、弐っちゃん」

「うん、コンビネーションなら私と姉さんの方が上だ」

 

コチラは水と剣の徴姉妹。

高水圧を纏った剣は水着剣豪のそれほど派手さはないが、ある程度大きな岩も綺麗に切断していく。

 

「凍てつく焔で!」

 

そこまで大きくない物は砕かず、徴姉妹の象が楊貴妃によって氷で舗装された道を使って運んでいく。

それ以外の場所の泥が邪魔にならないよう楊貴妃が固め、小さな破片も集めて凍らせることで零さず片付けられていく。

そんな彼女たちのマスター・藤丸立香は……。

 

「皆、頑張るのはいいけど程々にね」

 

外から内へ、内から外へ、自身を介して彼女たちに供給される魔力の中継器として座ったままながら負けじと体力を使っていた。

 

 

 

一方のカドック&アナスタシア、マクラーレン&ヘンリー5世のアーチャー組、コチラはダメになった食糧の確保を任されていた。

 

「じゃあ、僕とアナスタシアは獣を狩ってくる」

 

カドックにそう言われ単独行動となったマクラーレン。

植物科とはいえ極東の島国にある食用植物なぞ分かる訳もなく、カドックのように獣狩の心得があるわけでも無いのでヘンリー5世と共に釣竿を出していた。

 

「アーチャー、リッカについてどう思う」

 

何匹かを釣り上げて魚たちも警戒心が強くなったのか、魚信がしばらく来なくなったタイミングでマクラーレンがアーチャーに問う。

 

「なかなかの人物だ。我と話をしたときも敬意はあれど緊張はなく、先程の指揮も堂に入っていた」

 

その通り。

事前に聞いていた情報では偶然1人だけビーストⅠの魔手から逃れて正規マスターとなり、人理修復の過程で最低限の指揮能力を身に着けた一般人。

人理焼却はロマニ・アーキマン、人理漂白はAチーム大半の犠牲なくして解決できず、距離が離れては魔力供給も覚束ない、マスターとしてはギリギリ合格の人間。

だというのに、先程の魔猪との戦いでは魔術師の自分ですら怯んだ相手に一歩も退かず、あまつさえ自身が契約していないヘンリー5世のスキルも予測して指揮に組み込んで勝利してみせた。

 

「あいつは一体何者なんだ?」

 

物思いに耽るのを邪魔するよう、アタリが竿を引く。

 

 

 

その後もアタリは考えを邪魔するように来てしまい、それなりの釣果と纏まらない思案を持って、マクラーレンとヘンリー5世は昼時の離水遊園へ戻って来た。

 

「マクラーレンさん、おかえりなさ〜い。けど危ないから、こっちの高台に避難したほうがいいですよ」

 

声が聞こえた方を見ればリッカたちが園内でも頭ひとつ飛び出た岩山に乗り、こちらに手を振っている。

それは良いのだが、何故ストライプの水着(ビキニ)なんだ? そして、それ以上に全身の傷痕は……。

 

「リッカ、片付けはどうした?」

「今からその仕上げ、残った泥を水で一気流すから早く登って」

 

言われてあたりを一望すれば徴姉妹に加えて輪郭の朧なシャドウ・サーヴァントが2騎。

どちらも小柄だが格の高いサーヴァントなのか、シャドウと思えぬ存在感を放っている。

 

「よし、それじゃあいきますか。先ずはプリテンダー、この場に水を! 」

「■■の■■、■の■」

 

シャドウゆえに何を使ったかは不明瞭ながらスキルによって近くの川から大量の水を引き込まれ、離水遊園はいくつかの構造物の頂を残して水没する。

 

「続けてアサシン、セイバー、宝具の部分開放を!」

「■■を■■、■■■■■■■■!」

 

それに応じてまずはシャドウが宝具を開放。

注がれた水がその魔力で一際青く輝くと園内を洗うように逆巻き、あちこちの泥汚れを落としていく。

 

「弐っちゃん、抑えめで行こう」

「任せて」

 

続けて徴姉妹が剣の代わりに無くブラシを握り、その水流に身を投げる。

そのままでは水に呑まれてしまうのでは、というマクラーレンの危惧は外れて彼女たちは水上を疾駆、水流で落ちなかったり隅に堆積した泥を掻き出して園内の隅々まで清めていく。

 

「マスター、お掃除終わりました!」

「残りがあっても私とお姉ちゃんがやるから、排水して」

「分かったよ。それじゃあアサシン、排水をお願い」

 

そのまま水面に立った2人の言に従って立香がアサシンに命ずると、幾ばくか濁った水が園外へと流れていき、要所要所を徴姉妹が仕上げれば園内は泥一欠片もない清浄な姿を取り戻していた。

 

「どう、巴さん?」

 

その様子を一望した立香は振り返って園の主である巴御前に問い掛ける。

彼女はすでに笑みを浮かべており、答えはわかったも同然だ。

 

「ぱーふぇくとでございます、ますたー。コレで無事に離水遊園を再開することが出来ます」

 

コレにて無事に最初のエリアをクリアする準備は完了、このあとどうするかは昼食の後に決することに。

 

「なんだ、もう終わったのか」

「すっかりキレイになって、コレなら写真映えしそうね」

 

ちょうどそのタイミングでカドック&アナスタシアも猟果を携えて帰還。

声がした方を見れば小型の魔猪3頭を両腕と肩で支える巨漢のシャドウ・サーヴァントも同行している。

 

「2人というか3人? もおかえり〜。マクラーレンさんも魚を採ってきてくれたから、お昼は魚と肉と選べるね」

 

アステリオスもお疲れなどと立香は呑気に喋りながら巴御前や小鬼たちと昼食の算段をしているが、マクラーレンは思った。

 

「魔猪を、食べるのか?」

「レイシフト先じゃ貴重な食料だからな、それに望月千代女に紅閻魔を呼びに行かせたから調理の心配もない」

 

まだ常識的な、こちら側の存在だと思っていたカドックから当然のように帰ってきた食べることを意味する回答に胃が重くなる。

 

「私は魚だけにさせてもらう」

「……そうか。まぁ、レイシフト中は慣れたほうが良いと思うぞ」

 

互いに気の毒そうな表情を浮かべながら、食に関する2人の魔術師の会話は物別れに終わった。

 

 

 

結局、紅閻魔の料理を堪能しながら行われた昼食の席では今日中の挑戦は無し、明日改めて挑戦することになった。

魔猪との戦闘に続けて離水遊園の清掃を行ったことで立香は疲労気味、更に全員での挑戦が前提なので虞美人が居ないとNG。

結局、その日の午後は少しばかり遊園を楽しんで【閻魔亭別館】へと戻ることとなった。

 

 

 

「項羽さん、何処まで予測演算していたんです?」

 

夕食ののち、虞美人が離れた隙を見計らって立香は項羽に尋ねてみた。

サーヴァントの人選から2人が同行しなかったこと、さらには今日の一騒動まで、この神算鬼謀の覇王は何処まで見据えていたのか。

 

「今日中に我と虞があの水園に赴く理由は皆無であり、いかなる人選を以ても主導者らが道中に遭遇する事態により多大な疲労することは予測していた」

 

なるほど、あの人選は一応平穏な方だったのか。

確かにあの戦闘で魔猪の主との戦いに宝具抜きは辛かったし、徴姉妹以外は水を操ることに長けているとは言えない。

 

「しかし、清掃については汝の人選が多岐につきあえて助言はしなかった次第である」

 

信頼か不確定なことを口にしなかっただけか、どちらにせよ項羽からは口を挟むことではなかったのだろう。

そうして項羽と話をして寝床に就いた深夜、時計の針が頂点を少し過ぎた頃に立香の姿は居室を離れて宿の中庭にあった。

月と星の光を浴びる彼女は素足、青白く染まる朱色はどことなく神秘的に見える。

 

「眠れないのね、後輩」

「ぐっちゃん先輩」

 

その声に振り返れば英霊としての装束を纏った虞美人が手摺に腰掛け、こちらを眺めていた。

 

「だから100年早いわよ。眠れないんでしょ、私もそうだから少し付き合いなさい」

 

そう言うや庭石まで一跳びし、酒瓶と盃を振ってコッチに来いと誘う。

それに従うことにした立香も庭石に登り、酒が注がれた盃を受け取ると黙って酌み交わす。

月光に照らされた虞美人の姿は同性ながら惚れ惚れする程美しい、そう思いながらチビチビと呑む立香がぼぅっと見ていると不意に虞美人が空の盃を差し出した。

 

「注ぎなさい立香、私もアンタも二日酔いなんて出来ないんだから」

「は、はい……」

 

急かされて残りを呷った立香が自分と虞美人の盃を酒で満たす。

 

「地に足をつけて星月を浴びる、アンタにしては悪くないわよ」

 

そうして数杯干したのち、そんなことを虞美人が言う。

 

「虞美人先輩が私を褒めるなんて、項羽さんに何か言われました?」

 

急に褒められた立香はほろ酔いのまま、怪訝な表情を浮かべて聞き返してしまう。

 

「うるさい。色んな意味でアンタは後輩になったんだから、先輩には素直に褒められときなさい」

 

まったく、と鼻をならして手に持った盃を一気呑みするとソレを立香に突き付ける。

 

「おかわり」

「はいはい」

 

そんな先輩に普段が素直じゃないからですよと思いつつ、次の一杯を注ぐと自分も呑む。

そうしてどうでもいいような会話を続けた2人は結局、酒が尽きると眠ってしまい、翌朝紅閻魔に叱られて目を覚ます事となった。




今回の話のイメージとしてはイベント中のシナリオバトルですね。

今回は特に補足無しですが、立香が召喚した2騎のシャドウサーヴァントを予測して楽しんでいただければと思います。


オーディールコールに備えて皆さん頑張りましょう。

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