2話目は学校編、そしてようやくCPタグの意味が
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自宅に帰って来た明朝、起きると同時にカルデアにいた頃の習慣でベッドの中や下に誰か居ないかと探してしまった。
「……さすがにコッチまでは付いて来てないか」
一安心してパジャマからジャージに着替え、台所に居る母にひと声掛けてから軽いランニングに出る。
カルデアのシミュレータとは違う朝の街並みですれ違う他人やコンビニなど、他愛もない日常が何よりも眩しくて、感慨を覚えながら予定通りの距離を走って帰宅。
シャワーで汗を流して学生服に着替えると父も寝室から出て来て家族全員での朝食と相成った。
『いただきます』
白米に焼き魚、それに味噌汁とサラダというメニューを楽しみつつ脳内で今日の予定を反芻する。
まずは学校で復学の手続きと2年と3年のどっちに入るかのテスト、夕方には終わるから家に帰って軽く筋トレとフィニス・カルデアとの通信、あとは向こうに置いてきた荷物が届いていれば荷解きくらいかな。
「テストか……」
カルデアにいた頃から勉強はしていたけど、皆天才というか現代とはズレた時代だから今日のテストで役に立つかな。
「大丈夫よ、テストが悪くても3年生をやりながら2年生の勉強をやる方法もあるって先生が言っていたし」
「母さんの言う通りだ、よほど点が悪くなければ問題ない」
両親はそう言うけれども、同じ年に入学したのが先輩になるのは辛いので緊張せざるをえない。
なんとなく、何人かからかってくる友人がいる気がするし。
「頑張って来るよ。ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
家を出て、悪足掻きで学校に着いてからもテスト直前まで教科書を読んで挑む。
「終わったー」
ぐだりと、夕暮れ時に一人きりの教室で机に顔を突っ伏した藤丸立香が力なく叫ぶ。
朝に書類を書いてから延々とテストばかり連続5時間、合間と昼食の休みがあったとはいえ普通は1週間かけてやる期末テストを1日でやったようなものだ。
一応、テスト自体はそれなりに出来た自信がある。
理数は現代にも通じるソレの祖から学び歴史は実地と本人と学んだから言わずもがな、国語は古文をたっぷり教えてもらったので現代文を一夜漬け、英語は書く方の綴りと文法が少し……。
「読むとの会話は色んな言葉で出来るようになったけど、書く方は縁がなかったからなー」
読みと会話なら英語どころかフランス語、中国語、ヒンドゥー語、ドイツ語、古ノルド語、古代シュメール語etcと最低限出来るまで仕込まれたけど、現地でもカルデアでも日本語以外を書く機会は殆ど無かった。
こんなことなら報告書を英語でも書く練習くらいはと思うがあとの祭だ。
とりあえず帰ってカルデアにいる皆と話をして回復しよう、そう思って廊下に出ると不意に声がかけられる。
「おいっす、藤丸!」
「?」
後ろから掛けられた声に反応して振り返るけど、とっさに名前が出てこない。
「ええっと、佐藤だよね?」
「正解、よく覚えてたな」
ほっと胸を撫で下ろす。
さすがに中学からの付き合いがある相手の名前を間違えたらシャレにならない。
「1年ぶりか、 向こうはどうだったんだよ?」
「そういうことになるね。というか俺がどこに行っていたか知ってるんだ」
こっちは3年、周りは1年経っているのでその間にどういう扱いになっていたか確認してみる。
「一応南極にある国連の天文台で研修してるってくらいは聞いた。で、向こうはどうだったんだ?」
本当に観測していたのは地球の未来というかもっと危ないものだったけれど、天文台なのは本当だし、それっぽく話したほうが良いかな? 天文についても多少は魔術で勉強したし。
「凄かったよ。138億光年向こうの宇宙とか他の銀河も見れたし、星の観測だけで……」
「そういうのじゃなくて! 外人さんとかいっぱい居たんだろ? 同僚の美人さんとか、恋人とかそういうの!」
あー、そういえばコイツはこういうミーハーというか俗物根性に溢れた奴だったけ……。
それにしても美人さん、英霊の皆は基本的に美男美女、例外寄りのカエサルやフェルグス達も男前だといえる。
黒髭だって決める時は決める男だし。
「もしかして、紹介してほしいとか?」
「……」
おい、分かりやすく顔を背けるんじゃない。
「生憎だけどそういうのは無理だからね。まぁ、恋人は出来たけど……」
「マジか、藤丸は人畜無害だと思っていたのに」
「ちょっと特殊な関係だけどね」
後輩と寵姫とか。
「ちなみに紹介は」
「するわけ無いでしょ」
「えー」
さすがに恋人が2人居ますとか言えるわけがない。
「そろそろ帰るよ」
「おう、またなー」
ひとまず興味は尽きたらしい佐藤と別れて帰宅。
家に着くとカルデアに置いてきた荷物はまだ届いてなかったので軽く筋トレと魔術の練習、慣れてきたので最近は礼装無しで肉体の強化にも挑戦している。
「うーん、それでも下手くそ」
筋トレはともかく、強化は上手くいかず変な痛みが残る。
下手くそなりに努力してみるしかないかー。
「さて、夕食前にメールだけは送っとこ」
マシュと楊貴妃と通信するために機材と場所を取りたいのでダヴィンチちゃん宛にメールを送る。
すぐ返信が来て了承が取れたのでそっちは解決だけど、添付のラスプーチンとエリセに挟まれて同じものを食べてる時計塔のマスターの写真は何だろ?
夕食後、自室でパソコンを立ち上げた立香は時間を待つ。誰が見るか分からないので服装はパジャマではなく着慣れたカルデア制服。
そうしているとカルデアからのコールがあり、すぐに取って通信画面を開くとダヴィンチちゃんとマシュ、楊貴妃、後ろの方には小さくカドックが見える。
《やっほー藤丸君、元気そうで何より。それにしても制服とは殊勝な心掛けだね、私服とかパジャマでも良かったんだよ?》
「私服はともかくパジャマは駄目でしょ、それに着慣れてるから大丈夫だよ」
マシュと楊貴妃が何か相談し始めるけど何だろう、ってカドックが前に出て来た。
《あー、藤丸、まずは1つ連絡だ。写真は見たな?》
「カドックも2日ぶり。うん、見たけど何だったの?」
相変わらずクマが濃いなと思いつつ、その顔はまた何か苦労しているようだった。
「サーヴァントの皆がなにかしたとか?」
というかそれ以外に考えられないんだけどね。
案の定当たりのようで、カドックは眉間にシワを寄せてコチラを向き直る。
《お前を見下した時計塔のマスターが挑発に乗ってラスプーチンとエリセ基準の激辛料理を食って、その無謀ぶりにサーヴァントがそいつ等の指示を最低限しか聞かなくなってな……》
「あー、それがあの写真」
気のせいか時計塔から来た魔術師の顔色が悪かったのはそういうことか。
《僕がフォローしておくけど、後でなにか言ってくれ。カルデアから離れた場所にいても、お前がアイツらのマスターなのは変わりないんだから》
「! うん、言っておく!」
騒動があったのはお説教が必要だと思う一方、カドックから皆のマスターは変わらずに俺だと言われたことが嬉しくてつい喜んでしまう。
カドックの要件はそれで終わり、今回の元凶でもあるラスプーチンを呼んでくると言って通信室から出て行き、同席していたダヴィンチも同様に。
画面越しとはいえ残ったのは藤丸、マシュ、楊貴妃の3人だけとなった。
《こうやって改めて話をするのは少し緊張しますね》
普段より心なしか硬い声と表情のマシュに同意すると藤丸と楊貴妃も頷く。
プライベートな通信を自宅とカルデアでするのはこれが初めてのことであり、誰か盗み聞きをしているのでは思うと何から話したものかとなってしまう。
《そういえばマスター、防音の結界はお張りになりましたか?》
そんな中で楊貴妃が藤丸にした質問は自然な流れだった。
機転を利かせた逸話もある貴妃だけあって、こういった場での振る舞いも身に付いているのだろう。
「それはバッチリ。外から聞こえるけど中から洩れないのは確認済みだよ、ユゥユゥ」
《でしたら問題ありません。コチラもダヴィンチさんや皆さんが盗聴防止の術をこれでもかと施しましたので、好きなように喋ってOKです》
えへへと笑う楊貴妃につられて藤丸とマシュも緊張が解けて場の空気も和み、ようやく会話が始まる。
「それにしてもユゥユゥが元気そうで良かった、見送りに来なかったから結構心配してたんだよ」
送別会では笑顔で送ってくれたとはいえ、マシュから状態は聞いていたので今の姿を見て藤丸は一安心していた。
《その節は申し訳のしようが……。あの時はマスターとお別れするのに迷惑お掛けするのも嫌だったし、メールを頂くまで本気で二度と会えない位の気分になってたいたので》
《ふふ、先輩からのメールを見た楊貴妃さんはすごかったんですよ。ノリノリで歌と舞を披露してくださって》
その時の動画らしきものをマシュが送ろうとするが楊貴妃が必死に止めようとする。
「えー、俺は見たいな」
《ダ〜メ〜、私の黒歴史を見ないで〜》
そんな悪ふざけをしたり、互いの今後について話すうちに通信時間も残り僅か。
名残惜しいがラスプーチンと話し合いをするのを考えるとここでお開きとなる。
《それでは先輩、お身体には気を付けてください》
《マスターは丈夫だから滅多なことはないと思いますけど、無理しちゃ駄目ですからね》
「二人とも心配してくれてありがとう。それじゃあ、また今度。あと、ラスプーチンを呼ぶのを頼んでも?」
《了解しました》
最後はマシュがラスプーチン連れて来たラスプーチンから事情聴取&お説教。
俺のことで怒ってくれたのは嬉しいけど、やり過ぎないようにとだけ告げて通信は切れた。
そんな訳で学校に戻りました(雑
pixivの方が先行、こちらは追いつくまでは2日に一度程度更新していくのでよろしくお願いします。
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