フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

21 / 62
多少のトラブルはあったものの第1エリアを突破したカルデア一行。
次のエリアは果たして何が待つ?

以下テンプレ
UA19,000、お気に入り180を突破、読んでいただいている皆様ありがとうございます。

そしてpixivに追いついたので、これからは週1か隔週1くらいの投稿ペースになります。


第21話 藤丸、採掘する その1

多少のトラブルはあったものの、巴御前が治める第1エリア・離水遊園を突破したカルデア一行。

次のエリア、望月千代女によれば鬼女紅葉が主を務める宝探しの遊び場、得捜探庭に向かいながら、一行はカルデア管制室と現状について話していた。

 

 

 

「以上がこちらの状況です、ダヴィンチちゃん」

《なるほどねー、酒呑童子と茨木童子だけじゃなくて巴御前と鬼女紅葉までそっちに行ってたと。うん、コッチでも鬼種の血や縁を持つサーヴァントの反応を探ってみるよ》

「よろしくお願いします」

 

マシュからの報告を受けたダヴィンチは通信を繋いだまま、特異点とカルデア内部にサーチを走らせてマシュと会話を続ける。

 

《ところで藤丸君、もとい立香ちゃんは何でマシュを抱き締めてるの?》

「んー、普段こうされてるお返し? あと、男の時には無い物の押し付け」

 

後ろからマシュを抱き締めて、ついでに頬を擦り合わせる立香の礼装は【カルデア・パスファインダー】、マシュも揃いの霊衣を着ているので傍目には仲良しガールスカウトに見える。

そんな様子にやれやれと言いたげな目線を向けるダヴィンチは率直にコメントする。

 

《それ普段からやり合ってるんじゃないの?》

 

このカップルならやりそうだな、と思いながらしたコメントは意外な返され方をされた。

 

「普段はなんか遠慮しちゃうんだよね、流石に男が女の子にこうしたら不味いからかな?」

 

貴重な時間を無駄にしまいと、立香は歩きながらマシュにじゃれつくという器用なマネをしながらダヴィンチの質問に答える。

そういえば、あの2人は甘酸っぱくて後押ししたくなるようなコミュニケーションが常だった、とそんな考えが浮かぶダヴィンチだが疑問はもう1つ、今回立香ちゃんが連れているのはマシュにアニング、バニヤン、ククルカンと一貫性の無い面々。

しかも楊貴妃は宿でお留守番となれば人選含めて気になってしまうのは仕方が無い。

そんな疑問を口にすれば、立香はなんにも考えていなさそうな元気娘からカルデアのマスター然としたキリリとした声で答える。

 

「紅葉さんの宝物といったら現界する時になりきるくらい大切な物、恐竜の化石かなと思って。それなら化石発掘の専門家、開拓者、恐竜の守護者で発掘とか恐竜に縁のありそうなこの3人がベストとでしょ。ユゥユゥはマシュとどっちが行くかのクジ引きで外れただけ」

《なるほどねー、ってなら水着霊基で私を呼んでくれても良かったんじゃないかな!?》

 

カリブ海のひと夏を思い出しながら、コンソールを叩くほど興奮したダヴィンチに管制室詰めのゴルドルフやムニエルたちが一瞬驚くが、すぐに呆れたような顔で業務に戻る。

 

「そうなるから僕がヤメロと言ったんだ、管制室の中核を化石掘りに夢中で使い物にならなくしてどうする」

 

そんな彼女に真っ当極まりない意見をぶつけたカドックに反論できず、ぐぬぬと唸りながらダヴィンチは通信を切った。

 

「だけど後輩、項羽様のアドバイスを断るだなんてどういうつもりよ」

 

先の通信を漏れ聞いて思い出したのか、項羽の背に腰かけて進む虞美人は立香が最愛の者からの助言を断って望月千代女と2人で今日の増援を考えていたことに対して不満が再燃したようだった。

 

「いやー、1つ目のエリアで項羽さんに頼っちゃったからこっちは自力でと思って。項羽さんの意見は適切だけど、途中が理解できないから……」

 

先日の離水遊園でも最終的には丸く収まったが道中の戦闘も事前に分かっていたなら教えて欲しかったし、掃除もするなら最初から伝えてくれればよかったのに、と思いながら言い訳をする立香。

 

「虞よ、主導者の意見については同意である。我が演算は解を伝えるのみで詳細による変動を避けるべく曖昧な物言いとなる、ゆえに頼るのを避けるのも正道である」

「さすがです項羽様、後輩のためを思ってのことだったのですね!」

 

項羽様絡むとチョロい、ということを再確認することとなったカドックと立香はひとまず地図を再確認。

自分たちのいる地点から目的地まで残り少し、順調にいけばそろそろエリアの外観が見えるはずだが木々に囲まれてその気配はない。

いっそバニヤンに大きくなって見てもらうか最短距離を確保するのもありかなー? と立香が考えて彼女を呼び寄せるが燃費も悪いので中止。

 

「ごめんねバニヤン、せっかく呼んだのにまだ活躍させられないで」

「ううん、マスターと一緒に居られるから大丈夫」

「バニヤン、良い子!」

「きゃー、マスターのハグだー!」

 

そんな暑いのにくっつく2人を後ろから見ながら、高温多湿で木々が生い茂るような環境へ化石について一家言あるアニングから真っ当な突っ込みが入る。

 

「そもそもニホンの京都って化石が見つかる土地なのか?」

 

化石が見つかるのは大抵砂漠や岩山といった低湿な環境下、風雨による浸食を受けやすい場所では化石も岩石同様にすぐに崩れて見つからなくなってしまう。

そしてなによりも重要なのは太古に生物がそこに住んでいただが。

 

「まぁ、そこは特異点ゆえに見つかるようで。拙者が見に行った限りでもアンモナイトや鮫の歯、発掘中でござったが恐竜もあるようでござる」

「完全発掘すれば汎人類史のディノスたちがどんな骨格だったか分かるわけですネ!」

「研究も何もないな!?」

 

そんな千代女の解説で興奮するククルカンと呆れたアニング、そんな騒々しい一行の前方へ森の切れ目とその奥にある採石場のようなものが見えてくる。

 

「アーチャー、全体が見えるか?」

「見たが特に敵意の在るものは無し、目的地とみて相違ないだろう」

 

少し先行して哨戒をしていたマクラーレンと千里眼でそれを見渡したヘンリー5世の言葉に安堵して森を抜けると、広がっていたのはまるでピラミッドのような階段状に削られた山肌とそこに取り付く人や鬼たち。

そしてその一角、まるで採石場のように荒々しい場所には不釣り合いな茶屋に目当ての人物は悠然と座って待っていた。

 

「来たかマスター。酒呑童子より聞いてはおったが、女子の姿というのは真であったか」

「紅葉さん、こんにちわー。というわけで何すればいいですか?」

 

いっえーい、とでも言いたげな感じで立香は鬼女紅葉に抱き着きながらそう尋ねる。

それを受け止めながら雅に笑う姿はじゃれつく娘を見る母のよう、とはいえ狂化のベクトルが頼光とは別の方向を向いているので紅葉自身にそんな自覚は無い。

一先ず立香を降ろした彼女はそのまま頭に手を置いて、このエリアについて立香たちに告げる。

 

「この得捜探庭で身どもが突破の証を与えるのは己が宝を得た者。この中であればそこな新入り以外であれば皆条件を満たしておる故に、素通りさせてもよいのだが」

 

そう言って一度マクラーレンを指さした後、紅葉はそれでは退屈だろうと思ってカルデア陣営に1つ課題を出す。

 

「1つ此処での宝を見つけていくが良い。化石はもちろん、質が低いとはいえ此処では玉も出る。文字通りの宝探しという訳ぞ」

「なるほど……。それなら、マクラーレンさんにも手出しはしない方がいい?」

「ふむ、一応このエリアの主故に詳細については語らぬつもりであったが、マスターの疑問だから答えようぞ。そうであり、そうでないと言うべきかの」

 

立香の疑問はもっともで【己が宝】を見つけるならそれは自身の手によるものであるべきだろう。

が、紅葉の答えは曖昧でどちらでもあるというもの。

それにどういう意味かと悩みつつ、ひとまず化石や宝石探しの経験などなさそうなマクラーレンにはアニングをサポートに付け、各々が目星をつけた場所で発掘・採掘作業を開始した。

 

 

 

立香・マシュ・バニヤンの3人が選んだのは周りから少し離れた未採掘のエリア。

ここを選んだのはバニヤンが少しばかり大きくなっても問題ないのもそうだが、ついでに使えるエリアを開拓してほしいと鬼女紅葉に頼まれたというのもある。

もちろん一方的な依頼ではなく、対価として未採掘エリアの中でも化石や宝石が多く埋まっていそうなエリアを選ばせもらうという優遇付き。

 

「じゃあバニヤン、順番は覚えた?」

「うん、まずは私が表土を均してマスターとマシュが歩けるようにする。次に2人が棒を地面に立てて、それを基準にして段々に削ればいいんだよね」

「その通りです、バニヤンさん」

 

という訳で早速バニヤンは巨大化、魔力を持っていかれる感覚が立香を襲うが多少の余裕はあるレベルなのでマナを吸ってそれを補いつつ、マシュと揃ってヘルメットを被ると肩の上に乗ってマスターらしく指示を出す。

 

「やっちゃえ、バーサーカー!」

「はーい!」

 

巨大なスコップによる一掬い、自然の開拓者の概念が付与されて山肌を削る超大型重機のようなそれが通ると、表面の脆い土砂が取り払われて硬質な山体が3人の前に姿を現す。

 

「どう、マスター?」

「バッチリ! という訳でバニヤンはマークのお手伝いもよろしく」

 

流石に何もない場所にそのまま目印の棒を立てるわけもなく、バニヤンがスコップをつるはしに変えるとマシュと千代女のガイドで区画分けの線を引いていく。

 

「合ってる?」

「もう少し下、そこです!」

「そのまま、そのままでござる!」

 

そうして区画分けの線を引き、掘削深度を示す棒を埋めた辺りで立香の魔力供給がそろそろ限界、バニヤンにも巨大化を解いてもらって一時休憩となった。

 

「いやぁ、前よりも無茶しなくてよくなったけど、やっぱり長持ちはしないね」

「マスター、無茶はダメだよ。開拓も準備と順序が大切なんだから」

「バニヤンさんの言う通りですよ先輩、今は頑張らなくても他の方々もいますから」

「分かってるから、うん、だから今は休憩をしてるんだよ」

 

他の方々、人理を救う戦いの中なら私の心を抉ったその言葉も今は普通に聞くことができる。

他の人がいても私は私、私を信じてくれる人が私一人でも、それがあるなら大丈夫。

そんな内心は別として、ちょっぴり意地悪な気持ちが首をもたげたのでそれを発散しよう。

 

「けどそっかー、他の方々かー、マシュは私以外のマスターに浮気するんだ」

「なななな、なにを言うんですか!? ほかの方々というのはあくまでも他にやってくれる方々という意味で、他の意味ではありません!」

 

うんうん、予想通りの可愛い反応をしてくれてありがとう。

 

「私マシュ・キリエライトは先輩の専属でファーストなサーヴァントで、ほかの方をマスターと呼ぶなんて金輪際ありえません!! それに、こ、恋人ですよ!」

「さすがにそこまで疑っては無いからね!?」

 

というかマシュに私以外をマスターなんて呼ばせようとする輩が居たら全力でぶっ飛ばす。

その後はなんか斜めに脱線しそうなので話の路線修正したけど、顔を真っ赤にして慌てるマシュは可愛いな。

 

「マシュ、意地悪いってごめんね」

「うぅ、良いですけど恥ずかしいことを言ったのは……」

「バニヤン、秘密にできる?」

 

私は秘密にできるけど、もう一人はどうだろう。

 

「マシュさんのためなら良いよ」

「じゃあ、お願いね」

 

ひとまずマシュの尊厳は守られたあたりで休憩続行。

千代女さんが麦茶と果物、梅干しを紅葉さんからもらってきてくれたのでそれをつまんで栄養補給をしつつ、午前中に段作りを終わらせたら良いなと思いながらゆるゆると時間は過ぎていく。




というわけでいざいざ発掘にー。
そしてマクラーレンのみが課題未達成、不遇。

今回の裏設定というか、閻魔亭別館の楊貴妃。

「なるほど、立香さんの好みの味付けはこのように」
「そうでち、ご主人は意外と出汁の風味や繊細な味付けが好みなのでち」
「そういえば日本に居る時に作ってもらった料理も意外と薄味……」
「晩御飯の仕込みはまだあるでち、この場で覚えまちょう」
「はい!」

日本料理について紅閻魔から修行中。

引き続き、感想・評価をお待ちしております。

感想・評価送るのはハードル高いですかね?

  • メッチャ高い、無理
  • 高い、勇気がいる
  • 少し、何書けばいい?
  • 興味がない
  • 高くない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。