そこには先客としてカドック&アナスタシア・虞美人&項羽(霊体化)もいて、3組揃って自分たちが見付けた原石が加工されて戻ってくるのを待つこととなった。
以下テンプレ
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先程からの何かを削るような音が静かになって来ましたね、そろそろ仕上がるのでしょうか。
「そういえば、皆さんは何を見付けられたのですか? 私が見付けたのは透明な橙色だったので恐らくは琥珀、先輩のは不透明な紫でしたから瑪瑙や翡翠の類だと思うのですが」
ふと思いついてですが、特異点という環境なら本来一緒に見付からないのも見つかりそうで、このあとも採掘続けるなら参考にしてみようと皆さんに尋ねてみました。
「まぁ、マシュが訊くならあげるわ」
「虞美人先輩が後輩を差別するー」
あ、先輩が拗ねているので撫でてあげないと。
「ありがと、マシュのそういう所が好きだよ」
「お前らのそういうバカップルぶり、双方向なのが凄いよな」
……カドックさんに言われてしまいました。
カドックさんとアナスタシアさんも、アナスタシアさんのペースとはいえ中々に良い雰囲気だと思うのです。
「項羽様が見付けてくださったのは赤い縞瑪瑙、現代風に言うとサードニクスっていうやつよ。まぁ、石の価値なんてどうでも良いのだけれど、夫婦和合の石らしいし持ち帰れたら飾ろうかしら」
そんな私たちに我関せずと、虞美人さんは見つけた宝石について話を聞かせてくれましたが夫婦和合の赤い石、確かに虞美人さんと項羽さんにはピッタリだと思います。
「先輩が見付けられたのも、もしかすると同じ瑪瑙かもしれませんね」
「場所が全然違うから分からないけどね。けど、虞美人先輩が言うように持ち帰れたらいい思い出になるから方法は探そうか」
たとえアクセサリーなどに加工出来なくても見る度に今日のことを思い出す、虞美人さんと先輩が言うように、そういう飾り方も永く輝きを維持する宝石独自の楽しみ方かもしれません。
「カドックとアナスタシアのは?」
回復中の先輩がお2人に尋ねますが、揃って困ったような顔をされてしまいました。
何か良くないものだったのでしょうか?
「うーん、何と言えば良いのかしら」
「僕達が見付けたのなんだが、アナスタシアの写真を見るのが早いか」
「そうね。ヴィイ、お願い」
そうしてヴィイさんが投影されたのは指先大の無色透明な原石。
うーん、確かにコレはなんと言って良いか分かりませんね。
「項羽さん、この石が何か分かります?」
「否、写真だけでは情報が不足し解答不能である」
先輩が項羽さんに訊きましたがやはり分かりませんか。
「無色透明な宝石なんて何でも有りだからな、素人の僕らじゃさっぱりだ」
「私としては宝石の種類には拘らないのだけど、やっぱりダイヤモンドには憧れるわ」
アナスタシアさんが言うと、悪戯に使う気しかしないのは何故でしょう?
「何だろうね、カドックには頑張って欲しい」
「カドックさんには失礼ですが、先輩に同意します」
「何をだ!?」
頑張ってください、カドックさん。
「楽しく話してるとこ申し訳ないのですけど、終わりましたので此方の方を確認して下さい」
そうこうしている内に研磨と鑑定が終わったようで、係の方がわざわざ持ってきて下さいました。
「まずはこのサードニクス、赤が濃くて良いものですね」
「項羽様が見つけた物だもの、良いものに決まっているでしょう」
次は私と先輩の番。
私のは直径3cm程の楕円球、先輩のはそれより少し大きな直方体になって戻ってきました。
どちらも鮮やかに宝石独特の輝きを放っていて、手元でしっかりと見ると単なる琥珀色というだけでは言い表せない不思議な色合いです。
「そちらの方が見付けた紫のはラベンダー翡翠ですね。濃淡のむらが美しいので大切にしてください」
「ありがとうございました」
そうして手元を見ていますが、普段の先輩よりも嬉しそうに宝石を見ているように見えます。
女性の時の先輩はやはり宝石などに興味があるのでしょうか?。
「次がこちらの琥珀ですが、変わった物を見つけられましたね」
「変わった、というと?」
「少し見ていてください」
そう言うと係の方は私に琥珀を渡して下さり、そこに青みの強いライトを当てたのですが。
「これは!?」
澄んだ琥珀色から一転、真逆ともいえる綺麗な青色に変色しました!
「ブルーアンバーというもので紫外光や青の強い光を当てると青く色が変わって見えるものです。気泡や不純物も無い一級品ですがここ迄綺麗な変色をする物は特級品、決して粗末にしてはいけませんよ」
琥珀色と青色、まるで先輩の瞳のように色が変わる石。
隣で同じように見ている先輩の瞳と色合いは違いますが、それでもこの石があれば先輩のことをいつでも思い出せると確信出来ます。
「はい、絶対にずっと大切にさせていただきます」
コレは何が何でも持ち帰ります。
「最後にお2人のですが、こちらも珍しいダイヤモンドです。形にするのに小さくなってしまいましたが、カットしても1カラットほどにはなります」
「あら、言ってみるものね」
「僕としては君のジュヴィブジックを疑ってるんだが」
「流石にそんな都合の良いものではないわよ、出来るとしたらそれを2つに切るくらいね」
ダイヤモンドを割るではなく切るというのは殆ど不可能なのですが、アナスタシアさんのジュヴィブジックなら出来そうなのが怖いですね。
それにしても、本当に綺麗です。
「それにしても、先輩の瞳と同じ宝石……」
「マシュが見たいなら私の瞳くらい、いくらでも見せてあげるのに」
持ち帰れない可能性を考慮するならばと、立香に苦笑されながら瞳に焼き付ける勢いでマシュがソレを見ていると急に小屋の扉が開かれる。
皆がその方を見ると、立っていたのは背後からの陽光が透けて煌めく翡翠色の髪の女性。
そんな髪を持つのは唯一人しかないと、立香が機先を制して尋ねる。
「どうしたの、ククルカン?」
「マスター、申し訳ありませんがお手伝いをーー! アレは私には難易度高過ぎるというか、技術スキルが不足しています!」
えっと、ククルカンさんが先輩にお手伝いお願いするようなこととは何でしょうか。
力技で出来ることではないのだと思いますが、主神クラスの方がお願いするとなると嫌な予感がします。
「……とりあえず、行くから案内して」
「はい、こっちです」
そうしてククルカンさんに案内されて採掘場の一角に着いたのですが、こちらにある巨大な鉱物は一体?
ククルカンに連れて来られた先にあったのは巨石、けど薄緑色で綺麗だし翡翠とかかな。
「ククルカン、コレがどうしたの?」
ただの巨大原石ならビームやパンチでどうにか出来るククルカンが私達を頼って来た、ということは何か普通じゃない要素があるはず。
「マスターとアナスタシアは魔眼で視てもらった方が早いかもしれません」
という訳で刻寿の魔眼を起動、隣のアナスタシアもヴィイの透視で見てるみたいだけど……。
「ん?んん?」
寿命が2つ?何か中に入ってるっぽいけどコレ古いな。
削るのは楽そうだけどスケールが万年単位だし、化石かな。
「アナスタシアさん、何が視えました?」
「透視で見た限りは化石のようね、貴方はどうなの?」
「私には何か入ってるくらいしか、藤乃姉さんと違って透視眼までは持ってないし」
けどククルカンの言う通り魔眼で見た方が理解は早い、普通に視るとただの大きな翡翠だもん。
「2人が視たように汎人類史の恐竜の化石が入っているのですが、私にはそれを壊さずに掘り出す技術が無くてですね」
それでさっき難易度高いとか技術スキルが不足してるとか言ってたんだ。
とりあえずはアニングに相談してみるか。
「翡翠に入った化石なんてまた珍しい物を見付けたね……」
という訳で連れて来たがアニングもこんな物は当然初めて、中の化石と外の翡翠をどうしたものかと揃って悩んでしまう。
「砕いて良いなら中の化石を出すのは出来るけど、こんだけ立派なのは勿体ないよね。一応さ、化石やってると鉱物も齧るからこういうのが貴重だっては分かるし」
他に手が無ければ砕いてしまうとして、一度紅葉にも相談しようとした立香の足元に何やら小さな影が1つ。
「であであのマスター、はんなまー!」
「コンちゃんはんなまー、どうして此処に居るの?」
よっと、言いながら立香が目線の高さまで抱き上げたのは太歳星君の分霊的存在のナマモノ、コン。
誰かが連れて来たのか単独で来たのか、周囲を探すが本体(太歳星君)も連れて来そうなメルトもモルガンも居ない。
近くに居れば確実に感知できる2人が居ないということは単独行だろうか?
「コン共が呼ぶから来てみれば斯様な物が出てくるとは。異聞帯の王ともなれば流石というところか」
コンが何処から出て来たのか、立香の新しい悩みは両肩にコンを乗せた鬼女紅葉が此方まで出向いてきたことですぐに解けた。
「紅葉さんがコンたちをここ迄連れ来たんだ」
「うむ、身共や配下だけでは監視の目が足りぬ故な。何かあれば身共らに知らせる代わり、こ奴らや禍津星の子には此処や近隣のエリアで好きにさせておる」
モチモチで可愛いけど、ちゃんとお仕事してるんだね。
「コンちゃん、太歳星君にもお仕事頑張って偉いって伝えてあげてね」
「りょっか!」
そしてあとから来た紅葉さんにも事情を説明。そんなことをしている間にも野次馬は増えて、物珍しさから来た者や人集りに惹かれた人まで、このエリアにいる殆どの人が来てるんじゃないかってくらいになってきた。
「どうしましょうね」
「どうしようかの」
とはいえ方策は2つに1つ、翡翠と化石のどちらを取るかというところだけど欲張れないかな。
今回出て来た宝石言葉や変色する琥珀は全て実在するので、興味のある方は見てみてください。
そして、書いてるうちに長くなったのでその4まで続きます。
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