フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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ククルカンの見つけた化石入り巨大翡翠、それをどうにかする方法を見つけるべく立香は万能の天才に助けを求めていた。

元々1話だったのを分割した都合で連続投稿します。


第24話 藤丸、採掘する その4

ククルカンの見つけた巨大翡翠とそれに内包された化石、それをどうするべきか悩んだ立香は管制室に居る万能の天才を頼っていた。

 

 

「という訳でダヴィンチちゃん助けて」

《翡翠に入った化石とかメチャクチャ見たいんだけど! ゴルドルフ君ちょっと行ってくる!》

《ちょ、技術顧問!?》

 

あぁ、止める間もなくレイシフト始めてるし……。

 

「新所長、その……」

《いや、うん、貴様は悪くないから気に病むな》

 

ホームズが不在だったのが誤算、本気で突っ走りだした英霊を止められるのは英霊だけ。

 

「うわー、スゴイね! とりあえず解析解析!」

 

現場監督というか監修に来たダヴィンチの解析で翡翠の詳細は判明、中にラプトル1頭分の化石を内包した翡翠で上手くすれば全身を取り出すのは難しくないとのこと。

問題はそれをどうやって掘り出すかだけど、アニングにやってもらうと粉砕される。

 

「ダヴィンチちゃん、彫刻とか得意だっけ?」

 

絵画や発明のイメージがあるとはいえ万能の天才、やれば出来ないことはないと思うけど果たしてどうかな?

 

「うーん、出来ないことはないけど時間がねー。というか彫刻ならもっと得意な子がいるだろう?」

 

うーん?

 

「どうした、リッカ?」

 

そうしているうちに騒ぎを聞きつけたのか、マクラーレンとヘンリー5世もこちらにやって来たようだ。

 

「マクラーレンさんとヘンリー5世もどうもです。ちょっとコレをどうしようかなーと、考えている所です」

 

コレと言って指した巨大翡翠、感情の起伏が分かり難いマクラーレンさんも流石に驚いたようでヘンリー5世と揃って感心してるね。

 

「感情の起伏、そういうことか」

「おっ、分かったみたいだね」

「む、ダヴィンチも居たのか。管制室はどうした?」

 

意図が伝わったことにホッとしたダヴィンチが人混みから出て来て、それに気付いたマクラーレンが此処に居る理由を問う。

その会話を聞き流しながら立香は追加の召喚をしようとするが、陣を敷いた時点で魔力は枯渇気味。

マナを吸っても召喚と現界を維持するには到底足りない、そんな様子を見かねたのかコンが寄って来る。

 

「であであのますた、我輩を食べるか?」

「うーん、食べないけどちょっとだけ吸わせて」

「りょっか!」

 

やり過ぎないように、少しずつ少しずつ。

絶対にコンちゃんを丸ごといかないように。

そう注意しながら少しずつ、それでも単にマナを吸っていた時よりも効率良くコンから魔力を吸い上げていくと追加のコンも集まって半ば埋もれるような状態に。

 

「っていくらなんでも多過ぎ! お腹一杯だから!」

『わっはー』

 

ばっ、とその中から立香が両腕を突き出すとコンたちは嬉しそうに辺りに飛ぶ。

マスターが自分のおかげで元気になったのをコンたちなりに喜んでいるのだろう。

 

「いよっし、元気出たからいくよ。来て、ガラテアさん」

 

既にカルデアに居る英霊を召喚するには先程のダヴィンチのようにレイシフトするか、立香が召喚するか大きく2つの方法がある。

後者は喚び出す魔力次第でシャドウとして霊基の一部だけから、完全に1騎まで加減が効く。

今回はガラテアに本気で腕を振るってもらうために完全召喚、魔力消費の多いバーサーカーと異聞帯の王を維持する負担に重ねて立香の魔力がゴッソリ持っていかれるが、まだ耐えられる。

 

「先輩、大丈夫ですか?」

「今の所は大丈夫そう。ただ、ガラテアさん次第な感はあるかな」

 

心配するマシュにそう返すが問題はここから、この翡翠を彫るのにどれだけ魔力が必要になるか。

結局は立香を経由して魔力をサーヴァントに供給している以上、彼女自身のキャパやパスを超えてカルデアからやサーヴァントたちへの魔力供給は不可能。

普通に彫るだけならまだしも、生命を与える《理想を刻する王の鑿》を使う度合いによってはそこまでで魔力切れからダウンも有り得る。

 

「マスター、オーダーをどうぞ」

「ちょっとダヴィンチちゃんと紅葉さんと相談してくるから、待ってて」

「了解しました、その間にアニングから恐竜について学んでおきます」

「オッケー」

 

という訳で紅葉さんに巨大翡翠をどうにかするのと引き換えにマクラーレンさんを通してもらえるかネゴシエーション。

 

「あの翡翠を使って彫像して、マクラーレンさんの課題クリアの代わりにすることって出来る?」

「ふむ……。出来栄え次第だが考えるとしよう」

「ありがとうございます」

 

少なくともNOではない、その時点でクリアの条件もその見込みも立たないマクラーレンさんと次に進む希望は見えた。

 

「良い良い、あの新入り達も今のままではクリア出来そうに無いからの。違う刺激も必要じゃ」

 

違う刺激、やっぱり単なる宝石探しがここの課題じゃないんだね。

なにはともあれこれで根回しは良し、となれば次は偉大な芸術家に依頼。

 

「ダヴィンチちゃん、あの翡翠と中の化石を最大限に活かした彫刻の設計図書いて!」

「まっかせて☆ そして一緒に考えよう!」

 

まさかの即答、というよりも手元を見れば既にいくつかのスケッチが散らばっている。

中の化石は不動だから基本的な構図はどれも同じだけれども肉付きは様々。あるものは爪を強調し、またあるものは羽毛のような飾りがある。

そして手に取った1枚は……。

 

「これ、デイノニクス11兄弟?」

 

あの異聞帯で最期に残った4人のディノス、その誰かは分からないけれど確かに面影を感じる1枚だった。

 

「あー、うん、ちょっと参考に描いてみたんだ」

「ふふっ、最後のサッカの優勝者だもん。翡翠の像くらい建ててもいいんじゃない?」

「けどボツなんだよね、彼らの躍動感というか奔放さが上手く出せない。記憶の中にある彼等そのままというのは、難題だよ」

 

確かに、言われてみればそうとも感じる。

記憶の中の彼等はもっと楽しそうで、もっと自由に見えた。

 

「じゃあダヴィンチちゃん、設計よろしくね?」

「任された! アニングにも手伝ってもらって、全力で臨むとも」

 

 


 

 

そうして数刻、ダヴィンチとアニングによって描き上げられた基礎設計を隅まで読み、彫刻家としてガラテアの意見を加えた彫刻の完成図が出来上がった。

さーて、一気に行きたいけど、魔力足りるかな……。

 

「またコンちゃんに、って観客席に居るから呼びにくいな」

「後輩」

 

活性アンプルも効かなくなってるしどうしようかな、と悩んでいると不意に虞美人先輩が後ろから呼ぶ。

 

「どうしました、先輩?」

「ほれ、良いから口開けなさい」

「?」

 

突然呼んだかと思えば何を言い出すんだろう、この人。

 

「さっさと開ける!」

「ふぁい!」

 

何かよく分からないけど開けながら大声で返事をすると、イキナリ指を口に突っ込まれた!?

 

「分けてあげるわよ」

そして口に拡がる鉄の臭いと味、今まで散々自分のそれを味わって来たけど他人のは初めてだな。

だけど問題はそうじゃなくて、真祖の血を分けられるってそういうことでは!?

 

「!?」

「安心しなさい、血で魔力を分けただけで眷属にするつもりは無いから」

 

その言葉に一安心して血を呑み込むけどやっぱり臭いがスゴイ、そしてなんというか濃厚というか沁みる。

 

「藤丸、大丈夫なのか?」

「今のところは。魔力も回復したからバニヤンに霊体化してもらえば宝具の1発はいけると思うよ」

 

カドックがその行為に引きながら尋ねてくるけど、特に問題なし。

というか血でパスを通したのかパイセンから追加の魔力送られたし、チッポケな私の魔力容量は殆どイッパイ。

 

「なに? アンタにはあげないわよ」

「普通の人間が飲む物じゃない無いだろ。……すまない藤丸、今のは失言だった」

 

その様子を見てたカドックの言うことは尤もだし、謝られるとなんか逆にキツいな。

 

「ううん、気にして無いから大丈夫。気を遣ってくれて、ありがとう」

 

さてさて、虞美人先輩から魔力も貰ったし、気分を変えていっちょうやりますか。

 

「ガラテアさん、一気にお願いね」

「それではダヴィンチ設計、アニング監修、私の彫刻で作ります。道具を準備、モチーフを決定、完成像をイメージ」

 

右手に持った巨大な鑿、ダヴィンチとアニングが作った完成予想図、そして自分が彫りだしたその姿のイメージ。

全てを揃えたガラテアが翡翠に向き合う。

 

「それでは鑿を入れましょう。《理想を刻する王の鑿》!」

 

宝具の真名開放で一気に翡翠が彫られ、最小限の彫りでその姿を変えていく。

白と青の軌跡が翠の煌めきと共に舞う度、タダの巨岩でしか無かった翡翠は内に蔵した生物の生前へと近付き、見る者の目と心を奪う。

それはマクラーレンとヘンリー5世も同様で、マスターとサーヴァントは初めて同じ物を見て同じ感情を抱いた。

 

((美しく、この時間が快い))

 

そして、何時までも続いて欲しい舞いのような作業は完成へと向かう。

 

「彫刻は爆発です」

 

最終工程、これまでの埃や塵、彫刻屑を吹き飛ばす柔らかな爆発が翡翠を一瞬覆い隠した後に現れたのは、内の化石が僅かに透ける見事なラプトルの彫刻像。

そして宝具の効果により、仮初めとはいえ6,600万年振りに地上を闊歩し始める。

 

『おおぉーーーー!!!』

「すごーい!ラプトルはこうやって歩くのか!!メモ、スケッチ、ああぁ、動画も撮らないと」

「流石私の設計、バッチリだね。という訳でアニング、私とラプトルのツーショットをお願いね!」

「コレが汎人類史のディノス、小さくてキュートです!」

 

仮初とはいえ動く恐竜、その姿を見たアニング、ダヴィンチ、ククルカンは三者三様にそれに興奮している。

 

「お疲れさまです、マスター。1時間ほどは動くと思いますのでその間に移動などもお願いします」

「うん、わざわざありがとうね」

「いえ、骨格が内包された生物の彫刻というのはいい経験になりました。それでは」

 

それだけ言うとガラテアは早々にカルデアへと帰還、お陰で負担は減るがもう少し話しをしたかった立香は少し残念な気分に。

 

「気を遣わせちゃったかな」

「ガラテアさんも先輩に無理をしないで欲しいんですよ」

 

あとで通信しようかな、とそれよりも今はマクラーレンさんを通してもらえるかの方が大事か。

 

「紅葉さん、どうでしたか?」

「天晴であったぞ、マスター。あの新入りたちも多少は得たようだし、通してやろうかの」

「ありがとうございます、紅葉さん!」

 

立香が頭を下げて礼を言うと紅葉はそれに軽く笑みを浮かべて頭を上げさせ、代わりにマクラーレンとヘンリー5世を呼んでくるよう告げる。

 

「感謝する、鬼女紅葉」

「良い、既に礼はマスターより受けた故に不要じゃ。それよりも主ら、ここでの事を忘れるでないぞ」

「分かった、全て憶えておくとしよう」

 

マクラーレンも通行許可が降り、これにて得捜探庭は全員クリアとなった。




というわけで第2エリアをクリア!

そして投稿についてですが、1話から読み直していると誤字や表現の違和感などがあるので改稿と並行するためしばしペースが落ちます。

申し訳ありません。

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