フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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夏の微小特異点もついに第3エリア、向かうは普段よりちょっと真面目な鈴鹿御前のいる屋台村!
サーヴァントもマスターも浴衣を着たらレッツエンジョイ

独自設定、独自考察、オリジナルサーヴァントを含む作品ですのでそこらへん了解の上でお読みください。

以下テンプレ
UA24,000を突破、読んでいただいている皆様ありがとうございます。
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第26話 藤丸、夜店で遊ぶ その1

最初のエリアは水遊び、次のエリアは宝探し、そして今から向かうエリア【通店享覧(つうてんきょうらん)】は屋台と露店。

ここまで来れば流石に立香もこの特異点がどういう物なのか薄々勘付いていた。

 

「やっぱり日本の夏休みというかお盆休みというか、そういう物だよね」

「お盆は7月の風物詩にございますから、少し遅いですが酒呑童子殿が題材としたのも納得でござる」

 

おや、現代日本においてお盆といえば8月だけど、戦国時代は違うのかな?

隣でそう思っていたのが顔に出たのか、私の顔を見た千代女さんがその疑問に答えてくれる。

 

「拙者の言う7月とは旧暦の7月、今の暦であれば8月にあたります。酒呑童子殿は旧暦の日付まま、今の暦を見てお盆だと思ったのでしょう」

「なるほど、何となく分かった」

 

暦だけがズレたから日付を基準に見れば今ごろがお盆なんだね。

そんな2人が会話をしているのは閻魔亭別館の縁側、昼間から屋台に行くのも良いが夜店という言葉があるように夕方〜夜の方が風情があるので、しばしの待機時間である。

そんな時間を利用して、他の者達はカルデアから浴衣礼装を携えて出張してきたミス・クレーン&ハベトロット、何故か一緒に来た徐福と合わせ中。

残念ながら礼装が用意出来なかったマクラーレンとヘンリー5世は部屋に籠もって、自前の魔術礼装の準備とレポート作成。

既に浴衣礼装を持っている立香は先に次のエリアについて話を聞こうと、ガイドの千代女と一緒に居たのだった。

 

「それにしても鈴鹿御前とお祭屋台、タピオカドリンクとかレインボーアイスではしゃぎそうだよね」

「それでございますが生憎と楽しむ方ではなく今回はエリアの主、どうやら訪れた方々が出店を楽しめるように尽くしておられるようです」

 

意外かと問われれば大抵の人間がイエスと答えるそれに、立香は納得したようにただ一言だけ。

 

「そっか」

 

明るくて恋愛脳なJKギャル、それが鈴鹿御前の表層だが中身はまるで異なる。

真面目で一途な委員長、そして恋愛を応援するのが趣味、それを知っている立香には彼女がそういうことをするのもアリか、くらいの感覚だった。

 

「それにしても皆の浴衣かー」

 

来年は特異点関係なしにカルデアの中で夏祭りとかやりたい、空に流れる雲を見ながら立香はそう思うのだった。

 

 


 

 

そうして昼を過ごしてから、時機を狙って来たこともあって時刻はちょうど夕暮れ時。

1組を除いて浴衣礼装を身に着けたマスター組と水着霊基の北欧組は第3エリア【通店享覧】へ到着した。

 

 

西にはその大半を地平線の向こうに沈めた太陽が、東には幾つかの綺羅星が浮かぶ空を背景にして、提灯が連なる道は無数の露店と屋台がその両側を埋めていた。

 

「やっぱりお祭りは夕方からが一番!」

 

ぼんやりと照らす提灯の下、そう言った立香と手をつないだ楊貴妃を先頭にして歩くカルデア一行は望月千代女の案内で、このエリアの主・鈴鹿御前のもとへと向かっていた。

 

「立香ちゃん、あれ、あの赤いの食べてみたいです!」

「マスターよ、レインボーアイスとは何だ? 試してみたいぞ」

「射的ですか、性能を争うのもまた一興ですね」

 

楊貴妃やスカサハ=スカディ、スルーズは初めて見る日本のお祭屋台に目を奪われてアレコレ立香に話しかけるが、それに対して立香の答えは若干塩。

 

「はいはい、分かったからまずは鈴鹿御前に会ってからね。そのあとはいくらでも付き合うから」

「「「約束ですよ!」」だぞ」

 

本音を言えば立香だって屋台を楽しみたい。

具体的にはイカ焼き持って綿飴をユゥユゥとシェアしたり、ワルキューレたちと射的を楽しんだり、皆で味違いのかき氷を突き合ったりしたい。

だが、それをしたら多分遊びつくしてしまうという自覚はある。

ゆえに何をすればこのエリアをクリアできるかを知るまではそうならないよう必死に耐えていた。

 

「マスター、無理して我慢すんのは良くないよー。というか、そういうのすんのがこのエリアだし」

「そうは言っても鈴鹿御前に会うまでは、って!?」

「やっほー、神通力使ったら見えたから来てあげたじゃん」

 

現時点で最も会いたかった人物、鈴鹿御前その人が屋根の上からふっと飛び降りて一行の前に立つ。

その姿は普段の白拍子と異なり3臨姿を模したミニスカビキニの上から唐衣を羽織るという、平安水着以外に言いようのない服装だった。

 

「けど可愛いからヨシ!」

 

藤丸立香、いい加減に水着霊基の何でもあり具合に慣れているのでツッコミはしなかった。

その後、道の奥にある社のような場所に案内された一行は改めて鈴鹿御前からこのエリアのことを説明される。

 

「私の【通店享覧】のクリア条件は単純明快! ここのお店を楽しみながら不届き者共を懲らしめればOKじゃん! 私は此処から見てるから真面目に両方ともヨロシク〜」

 

というだけでは細かい部分が分からないので、質疑応答の結果を簡潔にまとめると以下のように。

 

 

・店と警邏のそれぞれにポイントがあり、両方を一定以上貯めればクリア

・一晩でクリア出来なくてもポイントは翌日に持ち越し、ノルマは変わらない

・店のポイントは値段もそうだがより楽しむ方ことが重要

・警邏のポイントは単純に数と相手の強さに比例

・サーヴァントの分はマスター同行のみが対象だが、そうでない面々のも少しだけ全体に加算

・警邏なので武器を見えるように持つこと、術を掛けてポイントのカウンタにもするので必携

・武器は何でもあり、無ければ日本刀を借りる

 

 


 

 

という訳でいくつかに組を分けて、警邏と屋台巡りをすることとなったのであった。

 

「ワルキューレ達は悪いけど、バラバラで通信役をお願いしても良いかな?」

 

ワルキューレの個体同期であれば通信に加えて互いの位置情報も伝わるため伝令手として最適な彼女達に依頼をすると、早速誰が立香やブリュンヒルデと組むかでジャンケン大会が開始。

その間に立香たちマスター組は各々が佩く得物を確認していく。

カドックとマクラーレンは借りた日本刀、虞美人はアサシン霊基の剣を持ち、立香は袂から取り出した概念礼装やサーヴァントからの贈り物を収めた本を眺めて何を使おうかと思案していた。

 

(浴衣だし日本刀のが良いよね)

 

村正の刀だけではなく痣丸、薄緑、へし切長谷部、髭切など名刀の写しなども自分達の代わりに側に置いてほしいとサーヴァントの皆から贈られているので選り取り見取り。

その中から立香が選んだ刀は以前にセイバー「両儀式」から受け取った一振、【九字兼定】。

名のある名刀は写しとはいえ魔性や鬼への特攻付きで過大威力、ならば結界斬り位しか効果のないこの刀で丁度いいだろう。

そう考えて礼装を具現化して腰に差し、鯉口を切って抜刀に支障が無いことを確かめる。

 

「立香ちゃん、格好いいですよ」

「そう? ユゥユゥに褒めてもらえるなんて嬉しいな」

 

そう言う楊貴妃も紫に茘枝を象った丸模様の浴衣に中華風の直刀を腰に帯びて準備万端。

つい頭を撫でてしまうと顔を少しだけ赤くしながら受け入れてくれたので少しだけ続行して、残るはワルキューレたちの組分けだけど。

 

「良し!」

『うわぁーーーーーーー!!!』

 

激戦だった。

あいこが続くこと実に30回、ラグナロクの如きジャンケンを制したのは……。

 

「それじゃあマスター、あたしが同行するね」

「うん、よろしくねヒルド」

「ではマスターよ、早速案内するがよい」

 

という訳で警邏をしながらの屋台堪能、開始。

なお、他の組分けは以下の通り。

 

 

立香組:立香・楊貴妃・スカディ・ヒルド

カドック組:カドック・アナスタシア・オルトリンデ

虞美人組:虞美人・項羽・徐福・スルーズ

北欧組:シグルド・ブリュンヒルデ・リンド

マクラーレン組:マクラーレン・ヘンリー5世・エルン

残ったイルスは鈴鹿御前と組んで彼女への報告役となった。

 

 


 

 

そうして社から出た一行は各自自由行動。

シグルドとブリュンヒルデの熱愛っぷりを見せ付けられるリンドには一同同情しつつ、立香たちは先の約束を守るため、りんご飴とレインボーアイスの屋台へと向かっていた。

 

「ユゥ〜ユゥ〜ユユ〜ン♪ヤンヤゥファ〜ン♪」

「ご機嫌だね、ユゥユゥ」

「はい、立香ちゃんと浴衣デートが出来てご機嫌なのです」

 

歌うユゥユゥの笑顔は眩しくて、見惚れて足を止めてしまいそうになる。

それを我慢して繋いだ手を彼女に引かれて着いたのは最初の屋台、ユゥユゥ曰く『赤いの』というりんご飴。

 

「りんご以外にも色々あるね」

「果物を飴で包んでいると。何の為なの、立香ちゃん?」

 

何の為、と問われると難しいが前にエミヤから聞いていたので立香はそれに答えることが出来た。

 

「甘さを足すのと乾燥防止だったかな、こうやって露店に並べても飴のコーティングで中身が長持ちするって聞いた気がする」

「なるほど、確かに切り口そのままはよろしくないもんね」

 

けどどれにしようかと立香は悩む。

リンゴ以外もブドウやパイナップル、変わったところでキウイなんて物も。

色とりどりのそれらを見て、悩んだ末に注文を決めた立香が選んだのは……。

 

「ふふ、結局選べなくて色々入ったのにしちゃった。むぐ、パインもなかなか」

 

色とりどりのフルーツ飴が刺さった串を2本、ほぼ全種をコンプリートする形を立香は選んだ。

同じく悩んでいたスカサハ=スカディは紫の飴に覆われたブドウ、楊貴妃は最初から決めていたリンゴをそれぞれ選んで堪能していた。

 

「そうだマスター、あたしの桃を一口あげるからブドウ1個くれる?」

「いいよ。むぐっ、ん〜! ジューシーで結構甘いね」

 

差し出されたリンドの桃飴を齧ると薄い飴がパリッと砕け、直ぐに瑞々しい桃の果汁が立香の口内に溢れ出す。

立香が食べているのもそうだが果物自体が美味しい上、飴にもリキュールか何かを混ぜているようで香りがとても良い。

こういう物は雰囲気で美味しく感じる物だと思い込んでいた立香に、これは目の覚めるような体験だった。

 

「……」

 

ずいっと、そうやって堪能している立香に無言で差し出されるリンゴ飴が1つ。当然持ち主は楊貴妃で、その顔には不満と期待が半々くらいで顕わになっていた。

 

「じーっ」

「えーっと、ユゥユゥのも一口貰っても?」

「はい! 一緒に食べましょう!」

 

よく考えれば女同士とはいえリンドと間接キスしたようなもの。少し軽率だった反省した立香は恥ずかしいが、恋慕と反省を込めて噛み跡の近くを舌でなぞってからカプリと一口頬張る。

 

「えへへ、甘くて美味しいね」

「もう、立香ちゃんってば大胆ですね」

「そう言いながら嬉しいんでしょう?」

「えへへ、その通りです」

 

ユゥユゥの顔も赤いけれど今の私の顔も絶対に赤い。周りの熱気とは違う熱さが私の顔に集まるのが分かって恥ずかしいな。

 

「楊貴妃、ブリュンヒルデお姉さまもビックリの熱々っぷりを見せなくても盗らないよ?」

「良いぞマスター、お前たちの愛の熱は心地よいぞ」

 

そんな対象的な2人の言葉にますます顔を赤くしながら、4人は縁日の人混みの中に歩を進める。




いや、これを書いていたらFGOフェスで浴衣が発表されて驚きました……
皆さんは行きますか? 筆者は当選すれば行きます


ちょっとした補足

-ハベトロット&ミス・クレーン+徐福
去年から準備していた浴衣霊衣&礼装を持って参上、限界オタクになってみんなの写真を撮るクレーンと浴衣ぐっさまに目が潰れた直福ちゃんというカオスがあったことを立香は知らない。

-概念礼装の本
サーヴァントに持たせて効果だけを使う以外に、そのものを具現化させて使える藤丸立香の魔術礼装。
厳密には魔術礼装の本というよりは子ギル&賢王から下賜された蔵の一角、そこに納めた物の目録。


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