フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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第3エリアの屋台村、警邏に買い食いで大忙しな一同だがそんなところにはトラブルも付きもの

独自設定、独自考察、オリジナルサーヴァントを含む作品ですのでそこらへん了解の上でお読みください。

以下テンプレ
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第27話 藤丸、夜店で遊ぶ その2

夏の特異点も3つ目のエリア、出店が立ち並ぶ【通店享覧】での目標はソコを楽しみ治安を守ること。

エリアの主・鈴鹿御前(水着)にそう命じられたカルデア一行はマスター毎に散らばって、各々やりたいようにやっていた。

 

 


 

 

そんな1人、カドックはベンチに腰掛けてホッと一息ついた。

その頭には戯画化された鬼の面が顔の見えるように付けられており、隣に座る彼女達の戦利品をどうしようかと悩む表情を多少は彩っている。

 

「ん〜! やっぱりニホンの夏はかき氷よね」

「氷にシロップをかけただけで個体差は氷の大きさと香料、色素だけ。それなのに私達ですら好みが分かれる、やはり興味深い食べ物です」

 

アナスタシアへのお前はロシア人だろうというツッコミを堪え、戦利品の1つであるお好み焼きに箸を入れるとその切り口からは湯気が。

不審に思って目線を落とすとマヨネーズで書かれたソウェルのルーン、そういえばオルトリンデがマヨネーズをかけていたな。

目覚めた頃の僕なら原初のルーンを保温材代わりに使う暴挙にキレていただろう……。

 

「オルトリンデ」

「どうしましたか、カドック?」

「コレ、手間を掛けさせたな」

 

手に持ったお好み焼きの容器を見えるようにしながらそう言うと、オルトリンデは思い出したように何度か頷く。

 

「気にしないで下さい、温かいまま食べたくて勝手にしただけですから」

「でもありがたいわ、ちょうど頭もキーンとしたの」

 

顔を顰めながら頭に手を当てるアナスタシアに仕方が無い奴、と言ってお好み焼きを差し出すが彼女は口を開けて待つだけ。

おい待て、オルトリンデが居るんだぞ。

 

「私、両手が塞がっているのですけど、早くして下さらないかしら?」

 

とうに頭痛も過ぎただろうに、悪びれもせずに食べさせてもらおうとするアナスタシアとチラチラ横目で見るオルトリンデ。

腹を括ったカドックはそんな彼女達の視線にこの日1番の溜息を吐きながら、渋々アナスタシアにお好み焼きを食べさせるのだった。

 

 


 

 

一方の虞美人&項羽+徐福+スルーズ、コチラは人嫌いの虞美人の意見が優先されて中心から少し外れた場所で堪能中。

事前に渡された千代女謹製のガイド本により「此処が虞には最適である」と、項羽が導き出したそこはメインの通りに通じる細い路地。

静かで人も少ない、落ち着いた雰囲気の店や賭場が並ぶそこで食事や娯楽を楽しみながら、大通りから騒ぎが聞こえれば徐福とスルーズが対処するという方法でポイントを稼いでいた。

 

「ぐっさまー、コチラのお酒も美味しいですよ」

「はいはい、にしてもアンタは良くそんなに呑めるわね」

 

そんなに酒呑みだったかしら、と虞美人が思う。

確かにカルデアの酒豪組と比べれば呑んでいないが、この路地に入ってから結構な時間呑んで食べてしていたはずだ。

そんな虞美人の疑問にある意味で徐福らしい回答が返ってくる。

 

「それはですねー、ロクスタちゃんと作ったこのお薬のお陰なんですよ。アルコールの無害化に特化したこれを一粒飲めば二日酔い知らず、欠点は分解が早過ぎて十分酔えないことです」

「何それ」

 

酔っ払うための物を呑んで酔えないのでは本末転倒ではないかと思い、酔う為に自分のグラスを傾けると通りの方から騒がしい声が聞こえてくる。

 

「全く、度し難いわね」

 

グラスに口を付けようとしたタイミングで聞こえたそれに、虞美人は席を立つと控えていたスルーズに着いて来るようにとだけ言ってそちらに向かう。

 

「ぐっさま不機嫌にしたから終わったな」

「うむ、汝に同意である」

 

虞美人への理解度は間違い無くトップの2人がそう言った直後、夏魔必滅槍舞(アンチフリング・ロンド)の赤とソレを抑え込む簡易結界の金、2つの柱が大通りで伸びた。

 

 


 

 

「困ります、貴方の勇ましい姿を見ていると私……」

「我が愛よ、その気持ちを受け止めるのは吝かではないが、義妹の前では少し抑えてくれまいか」

「当機は義妹になることまで認めてないよ」

 

会話だけ聞けば熱愛カップルとその彼女の妹の下らない会話だが、その当事者たちは血塗れ(返り血)、血塗れ(自分と返り血)、血塗れ(巻き添え)とスプラッタ。

普通に出店を楽しんでいた3人はグループ同士の喧嘩を制圧する中で興奮した双方を叩きのめしたのだが、その最中で悪い癖の出たブリュンヒルデと先程まで愛し合っていたのだ。

 

「すみません2人共、昼に発散しきれなかったようで」

「ふむ、ガッツが無ければ危なかったが問題ない」

「お姉様の愛を受け止めきれない貴方のせいだ」

 

そんな会話をする長姉と気に食わない男に溜め息を付きつつ、リンドは先ずこの場を掃除しようとラグズのルーンで水を呼ぶと血を洗い流す。

ついでに自分たちの返り血も、シグルドだけは冷水をバシャバシャと浴びせながら、キレイに落とせば見た目は元通り。

 

「もう、リンド……」

「気にする必要は無い、お陰で当方はすっかり涼むことができた」

 

この2人の仲をどうこうという意志はこの現界に限り無いのだが、それでも長姉を盗られたようでワルキューレ姉妹のシグルドへの当たりは強い。

ブリュンヒルデとしてはもう少し仲良くして欲しいのだが、まだまだその溝は深いようだ。

 

「ところでリンド、大判焼きを食べたいと言っていたがあそこにあるのではないか?」

「本当!? 今すぐ行って全部の味を試してみよう!」

「あぁ、当方が奢るゆえ好きなだけ食べるがいい。我が愛も共にどうであろう?」

 

自前のルーンで服を乾かしたシグルドが指差す方向には確かに大判焼きの文字。

シグルドに誘われた上に目を輝かせたリンドをみれば、ブリュンヒルデの答えは決まっている。

 

「はい、行きましょうシグルド、リンド」

 

私が絡まなければ意外と仲の良い妹たちと愛しい人が更に仲を深めて欲しいと思いながら、ブリュンヒルデは2人を追い掛けた。

 

 


 

 

鬼はアーチャーとアサシンに任せて自分は暴れる人間を蔦で拘束する、そうやって見かけたトラブルを制止しながら店を周っていたマクラーレンへ不意に影が差す。

 

「ん?」

 

彼に油断が無かったとは言えない。

この特異点に来てからの戦闘といえば精々移動の途中に襲ってくる程度、相手も魔猪や魔性の類でエリアの中に居れば滅多に襲われることはない。

それでも鬼を相手にするならと気は張っていた。防御の礼装も備えていたし鬼の相手はサーヴァントに任せて自分は離れた所で後方支援、こちらに害意があれば防げるか自分には届かないはず。

確かに敵を相手取るならソレは正しい、君子危うきに近寄らずだ。

だが、敵意が無くとも災難は誰にも平等に降り掛かる。

 

「うぃ〜〜」

 

酒臭い声と共にコチラに倒れる影、酔っ払いが転けたというありがちなトラブル。

ただし、その相手は身の丈3m近い大鬼だった。

 

(これはマズイな)

 

元より自分は研究者寄り、フィールドワークで野山で暮らすサバイバル能力は有っても自衛以上の戦闘術は持たず、今から張る防御魔術ではこの質量に耐えられない。

少し離れた場所に居るアーチャーとアサシンもコチラを向くが間に合わないだろう。

 

「クソが」

 

何の種も残せず肥しにすらなれず死ぬ、そのことについて出た罵声が最期の言葉か……。

 

 


 

 

”マスター! ちょっち時計塔の子がピンチだからココ行って!”

 

「ぬわっ!?」

 

急に脳内に届いた鈴鹿御前からの念話と方位情報に素っ頓狂な声を上げてしまったが、マクラーレンさんのピンチと聞いてすぐに知らされた方向へと走る。

強化で鍛えた脚力で人混みをかき分けながら走れば直ぐにマクラーレンさんが見えてくるけど、彼に大鬼が倒れてくるのも見えてしまう。

 

「ヤバいっ! しかも私がやるしか無いんかい!」

 

スカディは最後方、ヒルドとユゥユゥは私が走り抜けて混乱する人に阻まれてすぐには来れない。

足を止めず鬼の下敷きになりそうなマクラーレンさんを見れば後悔しかないような顔で、あの時の所長の顔とどうしても重なってしまう。

 

「Ⅱの■■!!」

 

もうあんな顔を救えないなんてのは御免だから、私は走りながら隠し持つ札を1つ切った。

全身の体液がゾワリと蠢いて視界の端に写る髪や肌の色が一気に褪せて行き、代わりに浴衣が漆黒と深紅に染まっていく。

全身を流れる魔力の量が急激に増えて細い回路が痛むが、それも直ぐに適応した太い回路へ換わり、全身に力が滾る。

最後に一瞬背に重みを感じたらソレを視えないようにして踏み込み、あとは一気に残りの距離を詰めるだけ。

そうして人混みをすり抜けた立香はマクラーレンの横に立ち、まさに彼を押しつぶそうと転けて来た大鬼を左手1本で支えながら気楽そうに言った。

 

「マクラーレンさんも鬼さんも大丈夫? というか鬼さんは呑み過ぎて迷惑掛けちゃダメでしょ」

 

間一髪救われたマクラーレンは何度も瞬きを繰り返して、眼前の光景を理解しようとした。

 

「リッカ、なのか?」

「そうだけど? あ、鬼さんは座らせるね」

 

ヨイショ、と言いながらゆっくり大鬼を座らせる立香の様子に啞然としながら細い腕1本で支えるその力や身体に走る赤い筋、礼装まで含めて変色した全身への疑問を口にする。

 

「お前、その力と格好は……」

「んー、英霊の皆から念の為にと掛けてもらってる加護とその反動みたいな物、かな」

 

大鬼がしっかりと座ったことを確認した立香の浴衣から黒と赤が抜けていき、肌と髪は普段の色へと戻っていく。

念の為なのか身体や浴衣をあちこち確認している様子を釈然としないまま見ていると、サーヴァント達が人混みを抜けて集まって来た

 

「済まぬマスター、いらぬ危機に晒した。そしてリツカよ、我がマスターを助けたこと大義であったぞ」

「いえいえ、勝手にやったことですから気にしないで下さい」

「油断した俺も悪い、気にするなアーチャー」

 

ヘンリー5世が謝罪と感謝を述べ、それを受ける2人の後ろではワルキューレと楊貴妃、スカサハ=スカディが立香の無事を確認して安堵していた。

 

「ご無事で何よりです、マスター」

「あまり無理をするでない、多少無茶をできるとはいえ我らは心配なのだぞ」

「わたしがお役に立てなかったばっかりに、ご負担おかけしました」

 

北欧3人が口々にそう言うなか、無言でいた楊貴妃は無言で立香に抱き着く。

 

「ん、心配かけてゴメンね、ユゥユゥ」

「本当だよ、立香ちゃん」

「よしよし」

 

恋人でもある彼女に心配をかけてしまった事に反省しつつ、それでも次があったら多分またやるなと立香は思い、それを見抜いた楊貴妃は真剣な眼差しで愛しい人に告げる。

 

「立香ちゃんのそういうのを止めろとは言いませんけど、私も巻き込んでくださいね」

「うん、次は気をつける」

 

やはり次もあるのかと溜息や苦笑を浮かべる皆の様子を笑って受け止めつつ、立香は気を取り直して出店を楽しもうと再び繰り出す。

 

「待ってよ立香ちゃん!」

「ほらほら、次はヨーヨー釣りに行くよ!」

 

そんな彼女達を見送りつつ、次の不測の事態に備えて軽い防御魔術を自動化したマクラーレンはふと感じたことを口にした。

 

「それにしても、アレだけの魔力によく耐えたな」

 

眼前で感じた魔力の増減に耐えた上にサーヴァントがそれを誰も心配しない、それも加護のおかげだろうか。

 

 


 

 

そんなアクシデントがありつつ迎えた深夜0時、その夜の【通店享覧】営業時間は終了。

最後にグルリと残った者が居ないか、火の不始末は無いかなどを確認して立香たちの仕事も終わり、社に再集合して鈴鹿御前から点数のチェックを受けていた。

 

「という訳で、皆おつあり〜。警邏もエンジョイも全員クリア、次のエリアに進んで良いよ」

「「いや軽いな(ね)!?」」

 

満面の笑みでサムズアップを掲げながらそう告げた鈴鹿御前にキレイにハモった立香とカドックの突っ込みが炸裂し、その様子に楊貴妃とアナスタシアが拍手を送る。

そんな気の抜ける光景に他の面々は呆れて物が言えない。

 

「だって皆、お店を満喫してトキメク思い出作って、ついでにちょっと危険な体験した訳じゃん? 私的には満喫してくれたと思っただけど、もうちょい遊んでく?」

 

心底そう思っている鈴鹿御前は単に遊び足りなかったと思って親切心からそんな言葉をかけるが、立香は解決したらまた来る、と言って丁重にお断りする。

 

「んじゃ、今日は帰ってゆっくり休みなよ。次の諾子っちのエリアはここまでと違ってインドアだし、マスターたち3人だけがやるから、暇ならまた来ても良いからね」

 

そう言って社を後にする一行を見送る鈴鹿御前。

そんな彼女の言う通りなら、次のエリアは自分とマシュ、ユゥユゥだけが対象らしいが果たして何をするのだか……。

 

「んー、とりあえず帰って寝ようか」

「そうですねー」

少しの不安を抱きつつ、第3エリア無事終了。




今回出て来た鈴鹿御前とぐだのスキルの解説的なモノ

・三千大千世界(夏)C
本来は宝具である三千大千世界のコンパクト版。
夏の楽しみを邪魔する要素を排除する、ということに限定特化しているため連続使用によるデメリットが無くなっている。
マクラーレンが鬼に潰されることを予知したのはコレによるもの。
ゲーム的には【味方全体に回避付与(1回・3ターン)+必中付与(1回3ターン)、自身にスター集中(1ターン)】くらいの性能。

・Ⅱの■■
藤丸立香の持つ■■スキルの1つ。
身体能力全般の上昇と自己改造に、身体変生が可能だが、変生の方はあまり使わない。
今回は身体能力のブーストと自己改造で筋力を一時的にC相当まで上げた。
■■スキルスキルの発動中は本編の通りに藤丸立香オルタっぽい見た目になる。

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