幕間のごときその1日の様子をお楽しみください。
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タイトルミス!!!
無事に特異点の第4エリア、清少納言の【路展照街】をクリアした翌日、立香とジャンヌ・オルタの姿は第2エリアの【得捜探庭】にあった。
そんな立香の礼装は再びのカルデア・パスファインダー、隣を歩くジャンヌ・オルタは水着で刀代わりにシャベルを2本携えている。
「それにしても宝石探しなんて、邪ンヌもそういうのに興味あったんだ」
「違うわよ! そう、マシュがアンタの眼と同じの見付けたのが腹立つとかじゃなくて、即物的な報酬が欲しいだけよ!」
私知ってる、こういう邪ンヌちゃんには余計なこと言わない方が良いって。言ったら串刺し焼肉されて1回くらい死ぬ。
なので。
「残念だな、私は邪ンヌとの思い出になるようなのが欲しかったのに……」
本心100%で私が思ったことを言う。
照れ隠しで邪ンヌが言ってるのも、本音も分かってるけど、そういうのは恋人でもある彼女から直接聞きたい。私は向けられる好意には強欲なのだから。
「分かったわよ、私もアンタとの思い出が欲しいの。原稿描いてたら、羨ましくなったのよ」
そう言って白磁のような顔を朱に染めた彼女から向けられた感情と言葉が嬉しくて、だけど素直じゃないのが嫌で、少しだけ意地悪をしたくなる。
「ジャンヌ・オルタ」
「何よ」
ふっ、と私の言葉に振り向いた彼女の唇と触れる程度に私の唇を重ねる。
「素直になった口へのご褒美」
「立香、アンタやるようになったわね」
意外にも好感触っぽい?
とはいえやり過ぎないようにしておこうと再び歩き出すと手を掴まれて先に行けなくなる。
「邪ンヌ?」
急に手を掴まれたことに驚いて見た彼女の顔は、実にいい笑顔でキマっていた。
「……おこ?」
「おこでは無いけど少し昂ったから、今夜は抱いてあげるわ」
顔を近づけながら言われた言葉に思わず胸が高鳴り、顔が上気していくのが分かる。
やだ、私の恋人が格好いい。
「お、お手柔らかにお願いします」
唐突な夜のお誘いを思わず受けてしまい、気が付いたらシャベルを持たされて立ち尽くしていた私は邪ンヌに促されて宝石探しを始めてから、ふと思った。
「邪ンヌが何時もああやって、格好いいところ見せてくれれば良いのに」
「普段の私が格好悪いみたいな言い方やめてもらえます!?」
別にそういう訳ではないんだけどな。
普段の邪ンヌは孤高の女と思わせて優しいし気が利く、当然戦場では竜の魔女として炎と旗槍を振るって頼もしくも残忍な姿を見せてくれる。そんな格好良い姿に見惚れることもあるんだけど……。
「男の時にデート行ったり、さっきみたいに誂ったりすると、ツンデレちょろインなんだもん」
そう、男として邪ンヌといるとそんな格好良さがほとんど飛ぶ。普段の格好いい感じや、さっきみたいな強引な誘い方なんて皆無、強いて言うなら新宿のジャンヌ・オルタがダンスに誘ったくらい。
正直なところ1回くらいは格好良い邪ンヌに思わず「抱いて」と言いたい。
「たまにはさっきみたいに強引にされたいな」
「努力するけど保証はできないわね。アンタの前で取り繕うなんて、業腹ですけど無理ですし。女装したアンタなら出来るかもしれませんけど」
うーん、それはそれでまた難しいことを、というか格好良くキメるのはそれくらい難しいということか。
「それで原石の1つくらい見つかったの? 一応本題は私の思い出になる宝石探しよ」
いけないいけない、それを忘れてた。
ひとまずシャベルで掘る手を止めて魔力を回し、探査魔術を起動。前回の感覚を基にして絞り込んでいくと幾つかの反応がある。
それを邪ンヌに伝えて掘り進め、反応を含んだ土砂をザルに入れたら前回と同じく選鉱していくんだけど、邪ンヌがやばい。
「髪、纏めるかショートにしないと泥塗れになっちゃうから」
「ハァッ、仕方ないわね」
邪ンヌの髪が汚れるとか許せないので、面倒でも対策してもらわないと。
そうしてザルに入れた土砂を洗うことしばらく、最初に目当てのものを見つけたのはジャンヌ・オルタだった。
「見なさい立香、これは間違いないわ!」
「おぉ、確かにそれっぽい感じ。マシュの見つけた琥珀と色が似てるけど、また別の宝石なのかな?」
大きさで言えば小指の爪程だが、ジャンヌ・オルタの手には朱とも橙とも取れる光を放つ石が載せられていた。立香よりも先に、そして今の彼女と似た色の宝石を見つけられたことが嬉しいのか、ジャンヌ・オルタはそれを大切そうに首元のケースに仕舞うと再びザルを洗い出す。
そんな彼女に何かを言おうとした立香だが熱心に宝石を探す彼女にはそれも憚られて、自分のザルを洗うことに専念する。
(私だって、邪ンヌとの思い出は欲しいんだよ)
ザラザラと手元のザルを揺らしても中々輝く石は見つからない。
マシュと一緒の時や先程の邪ンヌのように行かないことに焦りが募るが、手元はあくまでも冷静にと作業を続ける。そうして少しばかり陽も動く程にザルを振るうこと暫し、ふと手に取った石を見ると鈍い輝きの中に幾筋かの線が入っているように見えた。
目を閉じて探査魔術を手元の石に集中させれば他の石とは異なる反応が伝わり、少なくともコレがただの石ではないと立香は判断する。
「邪ンヌ! これ見て、これ!」
ようやく自分も見つけられたと、その喜びをジャンヌ・オルタに伝えると何とも微妙そうな顔が帰って来た。
確かに彼女の見つけた原石と比べれば輝きは劣るが、それでも手元にある石に手ごたえを感じたのも事実で、ジャンヌ・オルタを連れて鑑定小屋にそれぞれが見つけた原石を預けるとそのまま昼食に行って時間を潰す。
本日の昼食は【得捜探庭】の隣、【通店享覧】の屋台で買った焼きそばに牛串、更にデザート代わりのかき氷。それを適当なベンチで食べるといかにも夏休みっぽく、立香は隣にいるジャンヌ・オルタや通行人に混じった鬼を見ながらこの時間を満喫する。
そして小1時間ほどたった後、鑑定小屋で各々が見つけた原石が研磨された宝石になって戻って来た。
最初に説明されたのは邪ンヌが見つけた朱色っぽい宝石。
丁寧に研磨されて楕円にカットされたそれは夕陽のようにスカーレットの輝きを放っている。
「こちらはパパラチアサファイアと呼ばれるものですね。赤に近い色をしていますが、ルビーとは発色の仕組みが異なるため明確に別のもとして扱われます」
そういえば、前にイシュタルとかパラケルススから宝石の授業を受けた時にそんな話を聞いたような。同じ鉱石にクロムだか何だかで赤く色が付いたのがルビーで、それ以外の宝石になるのが纏めてサファイアとか。
そんな知識を頭の片隅から引っ張り出してる間も説明は続き、何やらだいぶ希少な宝石らしいということだけは分かった。
「お次は貴方様の」
戻って来た石は見つけた時のくすんだ色から一転、円形にカットされて確かな黄金色と共にその中心に一条、瞳孔のような白い線が走っていた。
「キャッツアイ?」
「はい。キャッツアイ、正確にはクリソベリルキャッツアイといいます」
ベリル、という言葉に一瞬嫌な記憶が蘇るが宝石に罪は無い。これはキャッツアイ、キャッツアイと念じてその記憶には厳重な封をして脳の片隅に追いやり、解説に意識を戻す。
「石自体は珍しいものではありませんが、発色が素晴らしい物です。ハニーミルクともいわれますが、ここまで綺麗な色というのはなかなかの希少品です。是非、大切になさってください」
「ありがとうございました」
受け取った宝石を改めて陽の光に透かしてジャンヌ・オルタと見比べる。流石に瞳孔の色は黒なので完全再現とはいかないが、その黄金色は彼女の瞳を写し取ったかのように見えて頬が緩むのを止められない。
「だらしなくニヤケて、どうかしましたか?」
「邪ンヌの瞳みたいな宝石だなー、って思ったら嬉しくなっちゃって。身に着けてれば邪ンヌが何時も見守ってくれるみたいでしょ?」
それを言うなら、と邪ンヌも自分の宝石を私と見比べるようにして翳す。
「コレだって立香の髪を溶かしたような色ね。遺髪ではないけど、貴方を常に身に着けていると思えば悪い気持ちじゃないわ」
だから! なんで! その格好良さを男の時に発揮しないの!!
顔が熱くなるのを自覚してプイと顔を逸らすと、フフンとドヤ顔を浮かべた邪ンヌが手を繋ぐ。
もうやだこのアヴェンジャー、男の私に出来ないからって女の私にアヴェンジしてるとしか思えない。
「とりあえず、今日泊まるとこ探すわよ」
「……抱くのはちょっと休憩してからでオネガイシマス」
自分で言っておいてなんだけど、ちょっと期待しちゃってるな、私。
立香がマシュと楊貴妃の元に帰ってきたのは次の朝だったという。
●ジャンヌ・ダルク・オルタ
藤丸立香ガチ恋勢。
とある特異点の原因となる程の感情を持っていた7人のうち1人であり、マシュと楊貴妃公認の恋人の1人。
本編の通り格好良い所もあるのだが、藤丸(ぐだ男)と一緒に居ると意識し過ぎてしまい、ツンデレちょろイン気味になるので残念がられている。そのギャップも良いよねと藤丸的には好評価だが、格好良い邪ンヌに迫られたいとも思ってる。
立香(ぐだ子)の時は格好良いのもツンデレちょろインなのも程よく混ざっている。
●とある特異点
藤丸がマシュと楊貴妃と恋人になってしばらくした頃に発生した特異点、告白を切っ掛けに恋愛感情を拗らせて生まれたアルターエゴ達が主犯。各々がその感情とケリをつけたことで終息したが、その際に藤丸が2人とも話し合った上で、ガチ恋なら受け止める宣言をして現状の多妻一夫状態となった。
その時に原因となったモルガン、アルトリア・キャスター、ジャンヌ・オルタ、メルトリリス、コルデー、テノチティトランは藤丸立香に対するガチ恋6強として他のマスターLOVE勢と一線を画す。
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