フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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長いようで短かった今年の夏の特異点もついに最後のエリア
酔いが抜けたら浴衣に着替え、盆踊りをしましょうか

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3連休初日ということで更新します
京まふで何か新情報があることを期待しましょう


第35話 藤丸、いざ盆踊り その1

茨木童子と酒呑童子が作り上げた夏の特異点も残すエリアは1つ、酒呑童子が主を務める盆踊り会場。

そこに向かうはずのカルデア一行はというと……。

「まだ、頭がぐらぐらします」

「ふやぁ、昨日はイマジナリ李白さん相手にあられもない独り言をしゃべったような」

「うーん、これは二日酔いだねぇ。というか私も胃がむかむか」

茨木童子のエリアをクリアした後、結局は宴会に巻き込まれて酒と料理を堪能しちゃったからなぁ。

どれも美味しいし、場の空気もあって呑み過ぎちゃった。

「お館様、体調はいかがですか?」

昨日のことを思い出して反省しながらマシュとユゥユゥの着替えを手伝っていると部屋の外から千代女さんの声が。

「ちょっと待って、今着替えちゃうから」

マシュを着替えさせながらユゥユゥには霊衣を整えるように促し、自分もアチコチ跳ねた髪を整えたら浴衣に着替えて千代女さんに部屋に入るよう告げる。

「昨晩は大変でございましたね」

「なんともお恥ずかしい限りです」

昨晩宿まで持ち帰ってくれた千代女さんを前にすると私たち3人はそろって小さくなってしまう。

そして持って来てくれた紅女将謹製の梅粥が沁みる、こういうのを滋味っていうのかな。

「わざわざ中華風のおかずまで用意して頂き、本当に感謝です」

鰹節や佃煮のような和風に加えて皮蛋や肉そぼろといった中華粥定番のおかずも交えて鍋を空にしたころにはすっかり体調も回復し、普段よりも調子がいいくらいに感じる。

「紅閻魔さんの料理は味も栄養もリソースもたっぷりですから、程々なら元気満タンになりますね」

「そうだ、ね!?」

マシュの方を見て頷いた瞬間に爆発的な魔力の高まりと共に降って来た雨。

真っ赤で鉄臭くて、幸いなことに呪いに塗れてはいなかったソレはどう見ても虞美人先輩の『 呪血尸解嘆歌(エターナル・ラメント)』。

確かに自分自身への弱体解除のある宝具だけど、まさかそれを二日酔いから逃れるために使うのは流石に予想外の行動だった。

「……紅ちゃん、コレは怒るよね」

私の皆がそろって首を縦に振るのと同時に朝一番の怒声が閻魔亭に響き渡るのだった。

 

そんな朝の出来事など知らないカドックは二日酔いで痛む頭を押さえながら立香の訪問を受けていた。

「大丈夫、じゃなさそうだね。薬とお昼を持って来たけど食べられそう?」

「あぁ、もらう」

ただでさえ白い顔を更に青白くしたカドックを覗き込みながら、彼へと紅ちゃんから持たされたスープと麦粥をアナスタシアに渡すと病人にするよう食べさせようとする。

「はい」

「ん」

普段ならそんなアナスタシアに文句の1つも言うカドックも大人しく口を開けて食べるあたり、だいぶ参ってるね。

「そういえば皇女殿下は大丈夫なの?」

「えぇ、私はヤガの要素を強く受けていますから元々のアルコールへの強さと併せて酔いは残っていません」

ぱっと見は平然としている獣国のアナスタシアにふと尋ねてみれば落ち着いた表情のまま、そんな答えが帰って来た。

「皇女殿下はアナスタシアと違って異聞帯の要素が入ってるんだもんね、そういうところはやっぱり違うか」

「見た目と霊基は同じでもあの子とは異なる基盤の上に成立していますから」

それに納得して酔い覚ましの薬を渡しながら今日のことについて話をする。

「このあと夕方になったら皆で浴衣に着替えて最後のエリア、酒呑童子の【】で締めくくりのお題をクリアしに行くけどカドックは行けそう?」

顔をしかめながら如何にも苦そうな粉薬を飲み干したカドックの先程までより大分マシになっているけど、果たして行けるかな?

「ここまで来ればアナスタシアに背負われてでも行くさ」

「私が言えた義理じゃないけどさ」

「ん?」

覚悟の座った目で迷わず答えたカドックに呆れ半分で文句の一つも言いたくなる。

「あんまり無理はしないでよ」

「お前にだけは言われたくない」

2人がクスクスと苦笑を浮かべて顔を見合わせるのをアナスタシアは仕方ないとばかりに見守るのだった。

 

 


 

 

一方その頃、マシュと楊貴妃はミス・クレーンとハベトロットに呼ばれて2人の居室を訪れていた。

「次が最後のエリアで盆踊り会場となれば、着飾らければ損ですから」

「戦ったりするときはちゃんと戦闘装備なんだろ? だったら帯とか髪飾りもバッチリ決めていこうよ」

そんな風に言われて楊貴妃はノリノリでミス・クレーンと、マシュは戸惑いながらハベトロットと浴衣や帯、その他の小物を合わせていく。

「楊貴妃さま、此方の帯はいかがでしょう」

「ん〜、この浴衣に合わせるには少し派手なような」

私の今回のテーマはエレガント&フランク、貴妃としての雅やかさと幼馴染としての親しみやすさの融合。

夏休みに久しぶりに会った彼女が気づかぬ内に色香を纏っていたらみたいな感じで、きっと立香ちゃんも私に一層惚れて……。

「ふへへへ」

「その表情も分かりますとも、推しに見せるための服選びほど燃えるものはありませんよね。私にお任せください、マスPさんにお見せするとっておきを揃えて見せましょう」

ミス・クレーン様と浴衣を合わせ、気に入ったのがあれば帯や髪型・小物でアレンジを加えて理想に近付ける。

少しでも可愛く微かでも優雅に、今できる1番の私を見せるために私は努力を欠かさない。

 

ハベトロットさんにどんな浴衣が良いかと尋ねられましたが、そもそも浴衣を含めた日本のファッションに疎いわたしはどうすれば良いか分からず、一先ず並んでいる浴衣を眺めることにしました。

「柄が描かれたものだけではなく、こういった幾何学模様のもあるのですね」

「それはシンプル過ぎると思うけど、参考にするのはありかな。例えばこういうのとか」

そう言いながらハベトロットさんが取り出したのは三角形を幾つも繰り返した模様とアジサイが描かれた淡い紫の浴衣。

小さな形の繰り返しで描かれた2つが調和して、互いを引き立て合っているように感じます。

「ちょっと模様の主張が強いけど面白いでしょ」

「はい、2つの模様の対比が面白いですね」

「今回はこういう感じで柄が大きいのでいこうと思ってさ。マシュの霊衣ってどれも無地ばっかりだろ? だから今回は敢えて柄が目立つのを着てよ、マシュなら似合うと思うんだ」

取り出したのは淡い色に染められた生地に花や蝶の描かれた幾つもの浴衣、もちろん先ほどのような幾何学模様のあしらわれたものもあります。

「ありがとうございます、ハベトロットさん」

「お礼は全部着付けたあと。それとちょっとした模様の変更なら北斎がやってくれるって言っていたから、遠慮しないで言ってくれよ」

サムズアップで自信満々にハベトロットさんに頷いて、わたしは浴衣選びに初挑戦します。

 

自分の恋人たちがそんなことをしている間、カドックとの話を終えた立香は意外な人物の訪問を受けていた。

「それにしても来るなら千代女さん経由で教えてくれても良かったのに、紅ちゃんに言っておつまみくらい用意したよ?」

「うれしいけどソレは旦那はんと2人きりの時にゆっくりとな。それよりもこれ、ウチのとこに来る時に付けておいてほしくて持って来たんよ」

酒呑ちゃんがそう言って袂から取り出したのは1つの包み。

大きさは手のひらに乗るくらいで、見た目よりも軽く感じる。

「今開けてもいいやつ?」

「かまへんけど、着けるのは後でな」

着ける、ということはなにかアクセサリや根付のような小物だろうと開けると、中に入っていたのは向日葵の小物。

裏にはひもが付いており、これをどう使って欲しいのか察しがついた。

「この浴衣だけじゃなくて可愛い髪飾りまでわざわざ持って来てくれるなんて、ありがとう酒呑ちゃん」

鬼である彼女が私に贈り物をしてくれたのが嬉しくて、自然ににやけるのを意識しながら袖を振りもう片方の手で髪飾りを彼女に見せるようにする。

そんな私を見ている酒呑ちゃんは少し呆気にとられたような顔をして、気が抜けたとでも言いたげに気怠げな笑みを浮かべながら答えてくれた。

「かまへんよ。せっかく綺麗なべべを用意したんや、ついでよ」

ほな、また。

そう言い残した酒呑ちゃんは窓の外に身を踊らせて、その場から去ってしまった。

 

 


 

 

夕刻、先日の【宴断享会】と同じ時刻に望月千代女の案内で酒呑童子のエリアを訪れた一行の服は浴衣。

誰も彼も以前の【通店享覧】のときよりも手の込んだ浴衣と帯を着て、髪飾りや扇子などの小物で飾っている。

「先輩は酒呑童子さんの着物に、その髪飾りはどうされたのですか?」

「これ良いでしょ、酒吞ちゃんが私のために用意してくれたんだ~」

マシュに問われたのは手で梳いた髪の一房を留めている向日葵の髪飾り。

どちらかと髪紐というべきかもしれないけれど、彼女に言われたとおり普段のシュシュに替えて私の髪を束ねている。

「はい、先輩の髪色と合わせて太陽のようです!」

「ほんまやねぇ、おひさんみたいに眩しいわ」

そんな中不意に聞こえた心底愉快そうな声、姿よりも先に響いたその声の源はあろうことか私の真正面だった。

『!?』

「もう」

驚く皆に対してこれを予期していた私は目の前の酒呑ちゃんを笑って迎え、酒呑ちゃんも妖しく笑みを浮かべる。

「私がちゃんと着けてくるか確認しに来たの?」

「そや、着けてきてくれるとは思うたけど念のために、な」

右手で髪飾りを確かめるように私に触れた酒呑ちゃんはそのまま頬に爪を立てようとして、不意に手を止めた。

「酒呑童子様、少々お戯れが過ぎます」

止めさせたのは貴妃モードで扇子を突き付けたユゥユゥ、残念そうな酒呑ちゃんは諦めて指の腹で私の頬を強くなぞると手を離す。

「ありがとうユゥユゥ、酒呑ちゃんもあんまり痛いことはダメだよ」

ユゥユゥにお礼を言いつつ酒呑ちゃんに戒めのように爪を立てるけど、普通の私じゃ赤くすらならなくて何だか悔しい。

私のそんな様子に酒呑ちゃんは目を細めて愉しそうにしているし、いいように玩ばれてる気がする。

「旦那はんの爪くすぐったいわ。痕付けるんなら、もっとちゃんとした爪やないとアカンよ」

「そんなことしないって」

一通り揶揄うのも終えて、かしこまった酒呑ちゃんが私たちの前に立って此処の紹介と課題を提示する。

「あらためて、うちの【 踊転昇情(ようてんしょうじょう)】へようこそお越しやす。今宵はどうぞ、一晩踊り明かして鬼も人も無聊を慰めてな」

 




3連休、皆さまはどうお過ごしでしょうか?
私は仕事です( ;∀;)

突然更新されたオルガマリークエ、伯爵絶対に許さんぞ
そしてこちらのssもいよいよ佳境ということで更新がんばります
宜しければ感想頂けると嬉しいです

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