フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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目覚めた謎の鬼、そして力を発揮する藤丸立香。夏の特異点編、いよいよクライマックス!設定関係については別途お出ししますので、ご容赦ください。

そして感想などお待ちしておりますので、よろしくお願いします。


UA40,000突破、誠にありがとうございます!
宜しければ感想、評価のほども……

ご指摘いただきありがとうございます、話数修正しました
23年9月28日


第37話 藤丸、いざ盆踊り その3

先程まで切れていた辺りを触って繋がったことを確認、ついでに戦闘でこの形態を使うのは初めてなので魔力を回してみる。

「おぉ」

ほんの軽く回しただけ、それなのに周囲のマナすら影響を受けて風が吹いた。

「私が言うのもアレだけど、本当に出鱈目ね」

「まぁ、私がいくらヘッポコでも数を集めて束ねれば、それなりになるということで」

虞美人先輩が呆れる程の魔力は私が魔力回路の総数にいわせて生み出したもの。

オルトの特徴である細胞1つ1つが個体というのをそのまま得ている私は単純計算で通常時の60兆倍の魔力を発揮できる、はずだが実際はそこまではない。

最大出力も自壊しない程度に抑えてるからサーヴァント級だし。

それでも身体に満ちた魔力は正に超抜級、計測では五等惑星級で冠位霊基のサーヴァントを軽々凌駕している。

「先輩、ご無事なのは良いですが」

「私とマシュさんと後でたっぷりとお話しましょう」

今は戦闘中だけどマシュと楊貴妃はまだなにか言いたそう、あとでタップリお説教されるのは確実みたいだね……。

そう思いつつ私はさっき見た走馬灯的な、実時間にすれば数秒だろうけど、体感は1時間ほどあったソレを思い出していた。

 

 


 

 

異星との最期の戦いでマシュを逃した私はその代償に、運命力と魔力を使い果たして死ぬはずだったと思う。

けど、私はそんなところで死にたくなくて、最期に賭けで始皇帝に貰った仙丹を飲んだ。

ソレがまさかこうなるとは思ってなかったけどね!?

「うむ、説明してはいなかったが其方に渡す仙丹は毎年改良しておったのだ。効能の改良は滞っておったのだがORTとやらのおかげで1つのブレイクスルーを得てな、ククルカンの助けも借りてそれを実現したのだ」

帰還後、真っ先に説明を求めた始皇帝陛下はそう言って説明をしてくれた。

という訳で私が飲んだ最新バージョンの仙丹は服用者を個体としての不老不死とするのに加えて、全身の細胞を個体と同義にする、ORTと同じ細胞単位で完結した個体へ人を変える物だった。

「その上、死の間際に服用したことで想定外の効能を発揮しています」

そして説明を引き継いだのは道士であり仙人でもある太公望。

「本来なら仙丹で成るのは地仙、善行を積んでいれば天仙ですが今のマスターはどちらでもない尸解仙、つまりは1度肉体が死んだ身です」

どうも私は1度死んだらしい。

でも今の私は生きているし、魂を診れるサーヴァントたちも生前(?)と同じ魂だと言っている。

「それはあれです、肉体が死んで魂が何処かに行く前に蘇生したからです。そうなれば尸解仙となる外ありませんからね」

ふむふむ。

「そしてもう1つ、此方はマスターは気付いていますよね?」

「うん、何かスキルが付いてるのは分かる。ついでにそれが手厚い、しかも憶えのある感覚で歪んでるのも」

これ迄私が討ち滅ぼした、そして私達を愛したあの獣たちの感覚。

「その通り。アンチ・ビースト、いえネガ・ビーストと呼ぶべきでしょうね。今代の人類悪の獣総てを滅ぼした貴方は次代の人類の雛形となるべき存在です」

大層なことを言われると照れるが、そういう事なのだろう。

だがネガと付くスキルは本来ビーストの専用スキルのはず、しかもアンチ・ビーストとは?

「アンチ・ビーストはその名の通り今代の獣を克服した新たな人類に与えられるスキル、死に際に与えられたものとはいえ次代に不可欠な標でした」

でした、ということは違うらしい。

「ですが貴方を愛し、貴方が(理解)した獣はそんなモノを否定した。自分たち人類愛()にとっての(人類愛)が自分たちを否定する名のスキルを持つなんて許せないと」

「だからネガ・ビースト、しかもビーストみんなの加護盛り沢山と」

「そういうことです」

 

 


 

 

という訳で今の私は幾らでも死ねるし同時に幾らでも生きられる不老不死の1個体、ビーストみんなを語る唯一人。

ORTになぞらえるならOne Radiant Teller(ただ一人輝きを語る者)とでも言うべき存在だ。

「じゃあ、ここから先は私と虞美人先輩で行きましょうか」

「あんな殺人に特化した化物じゃ不死の私達くらいしかまともに相手出来ないから、仕方ないわね」

でもまずは他の人達を逃さないと。

「マシュ、刻転の解析は?」

「即死効果はある程度中和できる程度には」

ならば……。

「マシュは防御に専念、楊貴妃は私たちを支援しながら鬼にデバフを、カドックと皇女殿下は後ろから支援と避難誘導を」

一撃死を免れない以上カドックと皇女殿下を前に出すわけには行かないので支援特化、私の獣角スキルで命をストックできるマシュと楊貴妃は2人のガードと私たちの支援、けどこのままじゃ他の人を守る手が足りない。

アレは人に対する殺意の集合体、攻撃は全て生きる人に対する即死を含んでいる。

なら、今この場に呼ぶべきなのは……!

「令呪を以て命ず、来て、バーサーカー!!」

「身共を呼ぶとは、唯事ではないようだな」

右手の令呪が燃えるように消え、代わりに喚ばれた紅葉さんに速攻で指示を出す。

「事情はあとで話すから今は重ねて令呪を以て命ず、【命の綱】をこの場にいる全ての人に!」

「大事のようだな、オン・キリキリ・ウンハッタ」

更に令呪でブーストを掛けてスキルの範囲を拡大、紅葉さんが真言を唱えると直ぐに回復と即死無効がこの場一帯に満ちて人々を癒やす。

「ざっくり言うと相手を絶対殺すヤツが出たの、だから即死無効かけないと皆がヤバい」

「おお、あとでとは言ったが今この場でとはな。だが相分かった、身共はこのまま皆が逃げるまで綱を繋ごうぞ」

「お願いします」

さーて、コレでここに居る人たちは大丈夫と。

「行くよ怪物モドキ。倒して祓って、酒呑童子がくれた夏祭りを楽しませてもらうから!」

先陣を切って行くのは私と虞美人先輩、楊貴妃。

先輩は槍、楊貴妃は琵琶を携えて私は無手だけど決して非武装ではない。

「【Ⅳの獣角】、【神殺し(鉄)】」

発動したのはコヤンスカヤ由来と私自身のスキル。

空中に複数召喚した黒いAW50対物ライフルから殺戮技巧と神殺しを帯びた赤い弾丸を無数に放ち、鬼の身体とともにその寿命を確実に削る。

「後輩ども、突っ込むから援護なさい」

「了解です」

「おまかせを」

さしもの殺意の塊も私の命を直接削る攻撃には危機感を覚えたのか此方を振り向き、その靄を異形の多腕に変えて反撃の爪で私たちを貫こうとしてくる。

それを3人して最低限の動きで直撃にならない程度に躱すと虞美人先輩は上に跳躍、私はそこに向けて伸びる腕をライフルで蜂の巣にするけど、不定形の靄は一部でも繋がっていれば動作に問題無いらしく止まらない。

「楊貴妃、【三千寵愛在一身】と【極冠の冰輪】」

「星移ろえど揺るがぬ心、触れては帰れぬ願い星」

ならば、引き寄せるしかない。

楊貴妃にスキルを指示してターゲット集中と無敵を発動してもらうが、このままではスキルの新たな発動を封じることが出来ても常時発動の即死は防げない。

「【Ⅱの獣角】、塩基契約(アミノギアス)喚起。2人とも、いくよ」

「塩基契約を励起、【命数連結(みょうすうれんけつ)】。マスター、いただきます」

「同じく、塩基契約を励起します。マスター、【単独顕現】をお借りします」

発動した獣角スキルと楊貴妃・マシュとの塩基契約を示すように私たちの左手にもう1つ契約の印が浮かぶ。

私のは紺碧と紫苑でティアマトの獣角を模した縁取りとその内側にある紺碧の揺らめく円、それと重なる紫苑の堅牢な十字。その2色のうち楊貴妃には紺碧、マシュには紫苑の印が浮かぶと私たちのもう一つの経路を開く。

 

 


 

 

「氷炎に焼かれると良い!」

楊貴妃がそう叫びながら一身に受ける爪は確かに1つ1つが即死効果を帯びているけど、今の彼女には関係ない。【命数連結】で私の命を自身のストックとして共有している楊貴妃は死の度に私から得た命を消費してそれを打ち消し、自身の力でスキル行使を封印する。

「はあっ!」

「ついでに私も!」

その間に虞美人先輩は脳天に槍を、私は自己改造で表皮の硬化と筋力の強化を施した拳を突き立てるがいまいち効きが悪い。

「殺意の塊、やはり普通に攻撃してもダメね」

「酒呑童子、何か手は!?」

特殊バフに近い殺意を帯びた攻撃へのダメージ軽減。

攻撃を続け、時には被弾して死ぬ感覚を受けながらそれを穿つ術を求めて酒呑童子を呼ぶと彼女は社の残骸から太鼓と笛を引っ張り出していた。

「コレよ、この楽器の音色と踊る時の楽しい感情でその澱封じとったんよ 」

「ナイス! 楊貴妃は分身で笛、酒呑童子は太鼓」

私の言葉と同時に楊貴妃は塩基契約で得た命数連結に個体増殖の併せ技で数体の分身を生み出し、酒呑童子が放り投げた笛を受け取ると奏でながら舞い踊る。

もとより虚数空間限定とはいえ分霊系の権能を用いて自身の分身を生むことが出来る楊貴妃は命数連結と固体増殖が相性が良く、通常空間での分身生成という形で応用している。

結果、多くの音が重なるごとに靄は収束して明確な形をとり姿を得ていく。

さらにカドックとアナスタシアも吹雪のヴェールに覆われながらその音色に合わせて踊り、流れ弾で飛んでくる爪を凍てつかせて無効化しながら鬼のバフを引き剥がしていく。

「戦闘に参加できない分、これくらいはな」

「えぇ、カドックと楽しく踊れば良いならこれほど楽なことは無いわ」

言うは易し行うは難しの典型だろう。マシュが共に防御を張って即死効果を中和しているしているとはいえ、殺意を纏った攻撃が襲い来る中で踊るなど正気の沙汰ではない。

だが、ただの魔術師でしかない自分が出来ることがこれならばと、カドックは獣国の皇女と共に踊る。

西洋のそれとは異なる極東の島国で育まれた招魂と供養の踊り、不死ゆえに死に至る感覚を幾度も味わう2人に報いるため凡人は不屈の心で踊り続ける。

「ArH……?GrhHHHhhhaaaaahuuu!」

弱体化に抗うように再び澱殺鬼は殺意を帯びた咆哮を轟かせるが、最初のそれよりも圧は確実に弱い。

その隙を虞美人が逃すはずもなく、宝具を発動させる。

「我が想いよ……届け」

槍を構え上方に跳んだ彼女に再び腕が伸びるが、今度こそと無数の銃弾を対物ライフルから放ってズタボロに打ち砕き、楊貴妃の灰炎が再生すら出来ぬよう凍結粉砕する。

「ついでにコレも、Ⅵの獣角」

発動と同時に私が手に抱くのは白い泥に満ちた金の聖杯、念じればドラコーのと似た泥は杯から溢れて空中に光る氷片を呑み込んで虞美人先輩のもとへ集まる。

「受け取って下さい」

ドラコーのと同じ繁栄を喰み己が糧とする泥は私の場合喰らう力が弱い分、ソレを仲間に分け与える追加効果を持つ。

「ナイスよ後輩! 項羽様より託されたこの槍は、夏の魔物を悉く撃滅せしめよう。我が呪いは、ただその意に従うのみ」

白い泥はそう言って炸裂した虞美人先輩に触れた途端同じ赤に染まり、私の籠めた魔力と鬼から奪ったバフを注ぐ。

「舞咲き散り狂え! 在りし日の雛芥子のごとく! 夏魔必滅槍舞(かまひつめつそうぶ)!!」

脳天に突き刺さる槍を茎に咲き誇る雛芥子は2輪、地より出で立つ血の花と泥が象る赤い花が確かに澱殺鬼を地面に縫い留めていた。




という訳でビースト寄りのぐだだとか、その加護を受けたマシュ・楊貴妃だったり盛り込み過ぎの37話でした!
設定は別途投げます。

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