フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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夏のイベントも終わって平常運転に戻るカルデア
その一角で休憩中の藤丸とシャルロットへのコールとは?

そんな感じの42話です

感想お待ちしてますので、何卒……


第42話 藤丸、身に刻む

カルデア喫茶室、魔術協会や国連からの派遣で人員が増えたため、配属部署がマイルームや食堂が遠い人の為に作られた簡易休憩室である。

人理修復中は管制室と工房しか禄に使われていなかったが正しい運用形態となったカルデアはそこら中で人が働いているため、こうして食事や休憩に使えるスペースが各所に増設されたのだ。

「お茶とお湯くらいは置いてあるし、ベンチみたいに廊下から丸見えでもないから地味にありがたいよ」

「人が増えたのでサーヴァント同士が食堂で集まって、というのも難しくなりましたからね」

素材集めの周回上がり、気分転換に環境層を訪ねようとしていた藤丸は偶然顔を合わせたシャルロットの誘いに応じてそんな喫茶室の1つで休憩をしていた。

「でも良かったんですか? 環境層ではなくこんな休憩所では気分転換に物足りないんじゃありません?」

申し訳なさそうに言うシャルロットに罪悪感がわき、テーブルの下でそっと手を取って彼女に告げる。

「そんなことないよ。コルデ―が俺のことを心配して声を掛けくれたのが嬉しかったし、愛してくれる人が隣に居て物足りないんて、そんなことないよ」

「もう、立香さん……」

微かに頬を染めるシャルロットだがそれは俺も同じで、互いに感じる熱に浮かされるまま顔を近付け……。

《prrrrr》

《prrrrr》

「「!?」」

互いの唇が振れるか触れないか、ギリギリのところで邪魔するかのような着信音が俺とシャルロットの端末から同時に鳴って弾かれるように距離を取る。

慌てて発信元を見ればダヴィンチちゃんからのグループ通話で、メンバーの中には目の前にいる彼女の名前もあった。

「……偶然だと思う?」

「何とも言えませんね……」

余りにも狙いすましたような着信に慄きつつ、黙って距離を取った俺はコルデーの声が入らないよう不慣れな遮音結界を張って一緒に居ることがバレないようにするかと考えるが、ここであることに気付く。

「位置情報でバレるね」

「そう言えば、カルデアの中だと捕捉されるんでしたね」

マスターは呼吸や脈拍などのバイタルを、サーヴァントは霊基情報を端末越しに位置情報ごと捕捉されていることを思い出し、2人で一緒に居ることはバレていると開き直るしかない。

別にシャルロットといかがわしいことをしていた訳ではないのだが揃っているところを狙われたと思うと微妙な気分になり、1つ深呼吸をしてからシャルロットと一緒に通話ボタンを押す。

「はい、藤丸です」

「シャルロットです」

《こちらダヴィンチちゃん、2人の逢瀬を邪魔してゴメンねー》

通信画面のダヴィンチちゃんを見る限りは工房から掛けていて、こちらの予想通りに俺がシャルロットと一緒に居ることはバレバレらしい。

「逢瀬だなんてそんな、たまたま一緒にお茶を、でも2人きりならデート……?」

「シャルロットは落ち着いて、ダヴィンチちゃんもからかうのは程々にして本題に入って」

そんなダヴィンチちゃんのからかいで自分の世界に入り始めたシャルロットを正気に戻しつつ、わざわざ俺とシャルロットへ一緒に連絡を入れた理由を尋ねる。

「ちょっと2人に協力してもらいたい実験があってね。詳しくは工房で話したいんだけど、今から大丈夫かい?」

「「実験?」」

寝耳に水の言葉に揃って聞き返しても、ダヴィンチちゃんはニコニコと笑うばかり。

しかも詳しくは工房で、となれば通信越しに尋ねても内容については教えてくれないだろう。

だから、念のためにコレだけは訊いておく。

「ダヴィンチちゃん、その実験はシャルロットに危険は無いよね?」

《もちろんだとも。安全性については私たち皆で検証済みだし、2人のどちらかに危険な兆候が出たらすぐに中止する。それに話を聞いても強制するつもりはないから、聞くだけ聞いてくれないかな》

真面目な顔でそう言うならと、少しの間目を瞑って結論を出す。

「俺は良いよ」

《ありがとう、藤丸君。シャルロットはどうかな? 予想される実験の成功率が高いのは君だけど、他の5人も》

「ならやります!!」

即決、そして断言であった。

机を叩きながら噛み付くようにして通信機に吼えたシャルロットの勢いに誰もが静まり返り、その静寂を赤面したシャルロット本人が打ち破る。

「いえ! あの、立香さんが参加するのに私が参加しないなんて道理が通らなくてですね!?」

誰も理由は聞いて無いけど、との言葉を俺は通信越しのダヴィンチちゃんと共に呑み込んだ。

誰だって、指摘されたくないことはあるよね。

《それじゃあ2人共、工房で待ってるよ》

 

 


 

 

というわけでやって来ましたダヴィンチ工房、在りし日の内装を再現したそこで待っていたのはダヴィンチちゃんに加えて……。

「待ちかねましたよ、立香」

「やぁ、愛しいピグレット」

「休憩中に申し訳ないね、マスター」

「いやぁ、コルデーさんも来てくれてありがとうございます」

神域の天才魔女にして俺の妻でもあるモルガン、ギリシャの大魔女キルケー、カルデア2大陰陽師の片割れ安倍晴明、冠位資格持ち道士の太公望、カルデアにおいて東西問わず最高峰の魔術師たちが俺とシャルロットを出迎えた。

いったい何事かと訝しむ俺達は椅子を勧められ、座ると黒板に巻物や羊皮紙、竹簡が張られて1枚の絵図が表示された。

「という訳で第1回 ”藤丸立香・霊基記録実験” を始めるよ!」

「え? どういうこと?」

一体何がという訳でなのか、首を傾げて疑問で一杯だよとアピールするとダヴィンチちゃんが眼鏡をかけて説明モードに入る。

「では被験者の藤丸君・コルデー君に説明しよう。まず藤丸君、君が抱えている最大の問題は何だと思う?」

「うーん」

正直多過ぎてどれがと絞れない。

ORT体質、ビースト皆の力、時計塔への留学、カルデアのマスター引継ぎ、どれもこれも問題だが、最大というと……。

「やっぱり高校生活中にサーヴァントの誰かが来ちゃうことかな」

特に清姫や頼光さん、ティアマトが来たら大事件待ったなしだろうな。

いや、おかあさん呼びしてくれるジャックも?

そんな俺の答えをどう思ったのか知らないけれど、ダヴィンチちゃんは首を横に振って正解を告げる。

「藤丸君らしいけど違うよ。君がこの世界に居られなくなって漂流するとき、どうやって私達が付いて行くかだ!」

「皆も付いて来てくれるの!?」

「当然です立香、他の者たちは知りませんが少なくとも私達6人は付いて行きます。そうですねシャルロット」

俺を挟んで逆側に座ったモルガンから話が振られたシャルロットだが慌てることは無く、俺の手を握るとしっかり俺の目を見てこう言った。

「立香さん、たとえ違う世界だとしても貴方の隣が私の居場所ですから、付いて行きますよ」

「シャルロットもモルガンも、2人共ありがとう」

とまぁ俺が呼ばれた理由は分かったし、他の皆からコイツら何イチャついてるんだという視線が視線が痛いので、照れ笑いを浮かべながら話をもとに戻す。

「なんでその話に俺とシャルロットの協力が必要な実験が出てくるの? 霊基トランクで十分な気がするんだけど」

カルデアからの魔力供給無しでサーヴァントの皆を霊基情報ごと連れ出すことが出来るトランク、あれがあるから大丈夫だとたかを括っていたのだが、どうにも違うらしい。

「私たちを連れて行くだけなら良いんだけどね。それだとトランクにいる間は休眠状態で何が起きてるか分からないし、咄嗟のサポートやオペレートなんかが全く出来ないんだ」

「世界を越えるときに運べる質量に上限があるから常時現界は不可能、となれば別の方法が必要だろ?」

そんなダヴィンチちゃんとキルケーの解説と、武蔵ちゃんが漂流する時に大荷物は運べないと言っていたのを思い出して納得。

トランク自体は【旅路の目録(ブック・オブ・ジャーニー)】に保管すれば良いとしても移動するのは俺個人、だから現界せずとも意識はある状態で世界を渡る方法が必要だということだ。

「ということで僕たちが参考にしたのはマシュさん・楊貴妃さんとマスターの塩基契約(アミノギアス)、そしてORTに座ごと捕食された時のデータです」

「ORTの!?」

異星の神以外では特異性・不死性で群を抜く極限単一種(アルティミット・ワン)、英霊や異聞史を記録帯ごと捕食し、宇宙の誕生や観測範囲から逆算した異聞史で自分を召喚するバケモノ。

「その、それって俺が皆を食べるってことじゃないよね?」

翠の彫像となって吸収されていった様子を思い出して血の気が引くのを感じながら、震える声で皆に尋ねると隣のモルガンがそっと両手で手を包み、キルケーがカップに入った温かいキュケオーンを差し出す。

「ありがとう、モルガン。キルケーも気持ちだけ受け取っておくよ」

「言葉足らずで驚かせた道士のせいですから、気にしなくて良いのですよ我が夫」

「気持ちだけってヒドくないかい、ピグレット? キュケオーン・フリーのキュケオーンドリンクだから安心して飲むと良い」

それって甘酒ではという疑問を浮かべつつ、モルガンが何も言わないことや最悪は毒耐性でどうにかなるということで口に含めば、優しい甘さと香りが沁みる。

「いやぁ、そういうつもりは無かったのですが、すみません。あくまでもORTに霊基が取り込まれた時の記録を参考にしただけで基本は塩基契約と霊基グラフです。マスターのORT体質をケイオスタイド、現在結ばれている契約を塩基契約に見立てて霊基グラフの要領でマスターに直接霊基を記録する際、その方法としてORTが座から記録帯を捕食した時のデータを参考にしたんです」

「1回自分なりに理解してみるから、ちょっと待ってて」

「はい、疑問があればお答えしますからじっくりどうぞ」

太公望の説明の限り、俺自身の肉体を霊基トランクにして皆の霊基を連れて行くというのはなんとなく理解できた。

そしてマシュとユゥユゥとの間にある塩基契約を元に似たようなことをして皆を記録、そのためにORTのデータを使うとなれば疑問はこの一点のみ。

「どうやって俺は皆を身体に刻めばいいの?」




ぐだぐだ超五稜郭、かなり良かったです
けど謙信ちゃんの仏舎利の正体が気になります

そして追加シナリオも良かった…
ああやって武将が集まって酒酌み交わすとか、サーヴァントじゃないと出来ない

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