久しぶりの日常回です。
話数カウントは別途追加します。
話数カウント追加しました(25/01/23)
夏休みも明けからしばらく経った金曜日、まだ残暑が身を焼くとはいえ学校終わりの時間となれば少しは涼しくなる頃。
「放課後ちょっとファミレスでも行かねー?」
「良いね、偶には藤丸さん達もどう?」
土日はどう過ごそうかとマシュ、ユゥユゥと話をしているとクラスメートの佐藤と伊藤さんからそんな誘いを受けた。
「行く行く、丁度食べてみたいのがあるから駅前のでも良い?」
別に四六時中いっしょに居るわけでもないので2人の都合は確認せずに回答すると、俺に代わって伊藤さんがマシュとユゥユゥに尋ねる。
「オッケイ、マシュさんとユウファンさんは?」
「私もご一緒します」
「立香君が行くなら、当然行くよ」
という訳で駅前まで5人で行こうと校門を出た瞬間、残念ながらソレをまたの機会にしそうな人が出迎えた。
「ボンジュール、藤丸、マシュ、ユゥファン。これからお友達とお出掛けだったのかしら?」
姿を見ずともユゥユゥとまた異なる美声で誰か分かるけど、視線を向けた先には予想通りに赤いワンピースを着たプラチナブロンドの女性がそこには居た。
「ボンジュール、マリー。ファミレスでお茶会をしようとしてたんだ」
「まぁ! とても素敵ね、よろしければ私も一緒にいいかしら?」
マリー・アントワネット、人理焼却の初期に召喚に応じてくれたフランスの王妃が何故か学校に来ていた。
けど、どこからか借りてきたセダンで来たあたり、出掛けるつもりだったのかな?
「俺は良いけど、みんなは?」
分かりきってはいるけど、取り敢えずマシュとユゥユゥにも尋ねておく。
「私も構いませんよ。出張版サロン・ド・マリーといったところですね」
「ファミレスで申し訳ないくらいですけど、マリーちゃん様が来て下さるなら喜んで」
うん、ユゥユゥの言う通りな部分はあるけど口には合うはず。飲み物はドリンクバーで俺が淹れれば良いし。
そんな心配をする俺を他所にして、マリーさんとユゥユゥはプリンセストーク中。
ところで佐藤と伊藤さんが無音なんだけど……。
「佐藤、伊藤さん、マリーが一緒に来ても大丈夫?」
振り返りながら問うと、2人は目を見開いて硬直していた。
「ん? おーい、2人とも?」
眼の前で手を振っても声を掛けても反応なしか、仕方無い。
「せいやッ!」
「「!?!?」」
シャーン!とカバンの中に入れていたミニ銅鑼を耳元で鳴らすと、その音でようやくコッチに意識が戻って来た。
「なにすんだ藤丸っ!」
「まだ、耳がガンガンするわ……」
「2人とも全然答えてくれないからついね。それで、マリーが一緒でも良いかな?」
手を向けるとソレを察した彼女は笑顔で手を振り、それに俺も笑顔で返す。そんな当たり前の行動が信じられないというふうに再び硬直する2人を揺さぶって答えを促すと了解はもらえた。
「じゃあマリー、伊藤さんのことをお願いします」
「任せてちょうだい、藤丸。それでは少ししたらお会いしましょうね」
当たり前だがマリーさんのセダンは5人乗り、どうしても1人余る。という訳で女性陣が車、男性陣が歩きと分かれてファミレスまで向かうことになった。
「それにしてもあの人、綺麗?かれん?言葉に出来ないくらい美人だった」
「それでさっき固まってたのか」
佐藤と2人で歩く道すがら、話題は当然マリーのことになる。
俺も初めてフランスで会ったときやカルデアに初めて来てくれた時はそんなだったかな。
「あの、マリーさんってフランスの方なんですか?」
車の中で沈黙を破ったのは伊藤さんの質問、挨拶がフランス語でしたからね。
「ええ、今は別の所に居るけれども一番長く住んだのはフランスなの。あと、生まれた場所はオーストリアよ」
「もしかして、スッゴイお嬢様だったり……」
「そうです、マリーさんはこうやって運転もなさいますが実はスゴイお嬢様なんですよ」
「マシュったら、そんなことはないのよ?」
あまり追求されてしまうと正体についても触れかねないので、失礼して私が答えます。
「オーストリア生まれフランス育ちのお嬢様、実在するんだ」
私の補足で納得されたらしく、それ以上身元についての追求が無いのは安心しました。
「マシュ、ここで良いのかしら?」
「はい、そこの緑の看板の所です」
先輩に先に着きました、と連絡を入れておきましょう。
その連絡を受け取った頃、藤丸たちは残り半分ほどの地点にいた。
「それにしてもフランス育ちのお嬢様か、天文台の研修ってそういう良い所の人が多かったわけ?」
「それなりにね。マリー以外だとイギリスとかヨーロッパ方面、あとインドは貴族とか王族の末裔みたいな人が多かったかな」
アルトリアとかエリちゃん、ギリシャ組、インド組なんてほぼほぼ王や王子に相当する人だから嘘は言ってない。
逆にアジア圏や北米は著名な平民や武将が多くて、高貴な血筋ってイメージはあんまり無い。
南米は神霊ばっかりか……。
「凄いところ行ってたんだな、お前」
「みんな良い人で、一般人の俺にも良くしてくれたよ。本当に、幾ら感謝しても全然足りない」
人理焼却の最初から人理漂白の最後まで、皆が居なければ何も出来なかった。そんな俺に惜しまず助力してくれた皆の顔が浮かぶ。
「藤丸、お前そんな顔するんだな」
「そんな顔って、どんな顔なの」
少しばかり感慨に耽っているとき、急にそんなことを言われると気になる。
「達観したような、遠くも近くも見てるのに違うの見てるような顔」
「変なの」
まぁ、確かにそうかも。
そうしてマリー達が着いてからキッチリ5分後、藤丸たちもファミレスで同じテーブルを囲んでいた。
「人数分のドリンクバーは頼んでおきましたので、飲み物はご自由にしてください」
「じゃあ、俺と伊藤は行ってくるわ」
「いってらっしゃーい」
一般人2人を送った4人は一先ず現状把握のためにフランス語で話す。
「それにしてもマリー、今回はどうして日本に? シャルロットにマタ・ハリ、デオンがついて来てるからお忍びって訳じゃなさそうだけど」
そう、マリーを見た時から藤丸は気配察知を回しているが、そこには常に3人の姿があった。そしてカルデアから何も言ってこない以上、黙認か公認かは別として向こうはコレを知っている。
「そんなに大したことじゃないのよ? 明日から日本でフランス王室縁の展覧会をするというから、気になって見に来ただけなの。せっかくならマスター達にもそれを見て欲しいし、少しはそれについてお話したかったの」
それだけ言うとマリーはドリンクバーのオレンジジュースを啜って、悪戯がバレたような笑みを浮かべた。
「なるほど、ソレは確かに興味が惹かれます。珍しいというのもそうですし、何よりマリーさんから解説いただけるというのは大変貴重な機会です」
「解説、なんて偉そうなものではないわ。ちょっとした思い出話みたいな程度よ」
それでも当時の物を見ながら本人から直接話を聞けるのは貴重な機会に違いない。2つ返事で了承した藤丸たちは明日を楽しみに、今はこの場を過ごすことにした。
そうして雑談をしているうち、伊藤さんと佐藤が戻って来た。
「ふじまるー、お前も飲み物とってきたらどうだ?」
「Bonjour.J'irai après la commande.」
「……今なんて?」
あっ、さっきまでフランス語で喋ってたからついうっかり。
「ごめん、さっきまでマリーと喋ってたからついフランス語が。注文したら行くよ」
「藤丸君、語学モンスターになってるわね」
「そういや英語もヤバいわな」
カルデアでそれしかやることなくて、皆から言葉を教えて貰った時期があったからね。でも一番得意なのはは古代シュメール語、賢王様お墨付きで普通にウルクの人と意思疎通できる。
「ところで立香君、食べたいのがあるっていうのは何なの?」
「この残暑メニューっていうやつ。レモンパフェとか珍しいから気になってたんだ」
楊貴妃に訊かれて藤丸が指したのは蜂蜜レモンとシャーベットが載った涼し気なパフェ。残暑の時期には確かにサッパリとして食欲を唆る見た目だ。
「あっ、荔枝のもあるんだ。私はそれにしようっと」
「なら私もユゥファンと同じ物にするわ」
「私は先輩と同じ物で」
あとの注文はマシュたちに任せて俺もドリンクバーに、丁度飲み物の切れたマリーもそれに同行して、2人で飲み物を見繕う。
「カ◯ピスとブドウ混ぜようかな」
「そういうのもありなのね、それなら私も同じのでいいかしら?」
「じゃあ、グラスをもらうね」
意外とマリー的にドリンクバーはありらしく、むしろワクワクしながら白に紫が混ざる様子を見ている。
「こういうのがマスターの日常だったのね。学校に通って、お友達とお話して、こうやってちょっとしたお茶会をして。どうかしら、今は楽しんでいらっしゃる?」
「それなりかな。マシュとユゥユゥは居るけど、やっぱりマリーたちカルデアの皆が側に居ないのは少し寂しいし」
いつでも誰かが側にいて、大変で騒々しいけどカルデアの毎日は楽しい。夏に一度行ったせいか、こちらに戻ってきてから静かな日常が何処か物足りないと思ってしまうのだ。
2人分のコップを両手に席に戻る道すがら、話は本来あるべきだった日常と日常に変わってしまった非日常へと及ぶ。
「こういうこと言うと皆には怒られちゃうかな」
「そうかもしれないわね。だけど藤丸はコッチもカルデアも両方好きなんでしょう? なら大丈夫よ」
「そうだと良いなぁ」
物足りないわけじゃないけど少し寂しい日常も、取り戻した世界のアフター・ライフならまぁ、皆と一緒に居た証だからいいか。
藤丸立香
日本に戻ってきて夏休みが終わったので、ちょっぴり寂しさを覚える頃合い。
騒々しくて大変だけど、取り戻した日常とは別の日常もまた好き。
銅鑼は何時でも持ち歩いている。
マシュ・キリエライト
急にやって来たマリー・アントワネットに驚いたけど事件じゃなくて一安心。
マリーの案内で先輩と一緒に美術品を見れるのが嬉しい。
実は法螺貝をどこからともなく取り出せる。
楊貴妃
マリーとプリンセストークで盛り上がれて嬉しかった。
政変の結果死んだので実は似た者同士、違いは死んで治まったか否か。
笛は藤丸に預けているのとは別に1本持ち歩いている。
マリー・アントワネット
藤丸たちに生前の思い出話をしたくて来た。
藤丸に対しては姉のような母のような年長者ポジ。
最初は真っ赤なスポーツカーで横付けする予定だったけど止められた。
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