フジマル・アフター・ライフ   作:のーん

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学校公開日も終わり、モルガンも藤丸も日常に加わった。
というわけでしばらくぶりにデートだけどさすがに4人同時はムリ、2人のうち誰とどんなデートをするのか。

久しぶりの更新です、お楽しみください。


第58話 藤丸、恋人たちとのデート

 学校公開日も終わり、新たにモルガンも日常の中に加わった。しばらくは落ち着いて暮らせそうというわけで、公に俺の恋人となっているマシュを除くユゥユゥ、シャルロット、モルガンの3人から2人が俺と私とそれぞれデートをすることになった。

 

「というわけでクジを作りました、その名もモルロットです」

 

 見た目はデフォルメされたモルガンの描かれたガラポン抽選機、しかもわざわざイラストがフロートになっているのでドラムごと回ることの無いそれは結構魔術的にも凄いらしい。

 

『限定的な因果隔絶空間、用途と範囲を極端に限定したとは言えあらゆる外的要素を排した箱を作るとはさすが姉上と言うべきですね。とはいえ仕込みをするかもしれないので一度検品済です』

「私もなんちゃってですけどキャスターなので、お手伝いしました!」

 

 モルガン謹製の幸運値に左右されないクジ。念のために解説もしてくれた通信越しのアルトリアが水着霊基のシャルロットと協力して正しく公正であること確かめたそれに、3人が1球ずつ自分の願いを掛けて入れる。

 

「ではマシュ、抽選を」

「お任せください、モルガンさん」

 

 抽選役はマシュ、ガラポンと回した1球目の色は瑠璃に近い碧。

 

「やったー! 立香くんか立香ちゃんとデートだ!」

「1人目はユゥユゥさんですね」

「立香の方でデートするって言ってそのままだったもんね、本当に申し訳ない」

 

 忘れたり無かったことにするつもりはなく、ユゥユゥとも何時行こうかと話をしていた。だけど、日本滞在組にシャルロットが加わったことで2人の調整が入り、更にモルガンが来たことでそれも白紙になった。

 そこで今回のクジとなったのだけど、まさか1番に引き当てるとは。

 

「ユゥファンが1番ですが、気を取り直して次にいきましょう」

「次はあたしが回して良いんですよね、モルガン陛下?」

「えぇ、その方が盛り上がりますから」

 

 確かに、既に当たったなら何かをする理由もないから公平だね。

 というわけでマシュよりも速く、焦らすようにガラガラ何回転かさせたユゥユゥが球の出口を下に向けた。

 

「私のようですね」

「わぁあ、普段そばにいるとはいえ、外れるとショックです……」

 

 出て来た球の色はペールブルー、大切そうにそれを手に取ったモルガンはシャルロットに『次は確定だから』と慰める俺の隣に来た。

 

「では我が夫、いいえ、『リツカ』。明日を楽しみにしていますね」

「うん、少し手間を掛けちゃうけどガッカリさせないようにするよ」

「ガッカリだなんて、そのようなことは許されませんよ」

 

 聞きようによっては少しトゲがあるような言い方、だけどその意味する所は分かっている。

 

「……今のは少し語弊がありますね、貴方と一緒に居ること以上のことは無いと言いたかったのです」

「大丈夫、モルガンの言いたかったことは分かってるから」

 

 モルガンが言葉足らずなのは変わらず、だけど対等な夫婦としてや他の六恋嫁との交流で少しずつ周りへの伝え方も変わっている。バーヴァン・シーとも前みたいな互いに思い合うぎこちなさも減ってるみたいだしね。

 

「ともあれ、先にお2人がデートですね。立香さん、今度を楽しみにしています」

「うん、シャルロットとはまた今度」

 

 デートは今週末、緊張もするけど今から待ち遠しい。

 

 

 

 そして時間は過ぎて金曜の夜、自宅で夕食をとる藤丸に母の葉子が声を掛ける。

 

「なんだかソワソワして、週末はマシュちゃんとデート?」

「いや、うん、違うよ。マシュとじゃなくてユゥユゥと一緒にモルガン、さんと出掛けるんだ。ほら、モルガンさんは日本が初めてだから」

 

 極力嘘を含まない言い方で母さんに答える。

 まさか正直に『週末ちょっと分裂して恋人のユゥユゥとモルガンとデートしてくるね』なんて言おうものなら、母さんも父さんも倒れちゃうだろうし。

 

「マシュちゃんと一緒じゃないなんて珍しいな」

「マシュはシャルロットと一緒に買い物、男が居たんじゃ買いにくい物もあるだろうし」

「……まぁ、それもそうか」

 

 父さん、もし言い淀まなかったらナニ言うつもりだったんだ。

 

「あんまりマシュちゃんに心配かけたり、モルガンさんに迷惑をお掛けしないようにね。それと、夕飯までには帰って来るのよ」

「わかってるよー」

 

 母さんから心配されるのも仕方ないけれど、俺としては迷惑以上に2人を楽しませることが出来るかというのが不安だ。

 そんな気持ちでデートプランを確かめてから寝た翌朝、ちゃんと眠れたことに感謝しつつ家を出た俺は皆の家に向かう。ちゃんとした準備やデート服にはそこで着替えるけど、少しおしゃれをしてシャツにスラックスなどで決めている。

 

「おはよう、マシュ」

「おはようございます、先輩。今日もピシッとしていますね」

「着替えるっていってもデートの迎えに来たわけだしね、ちょっとは格好つけるよ」

 

 マシュと玄関でそんな話をして、俺の部屋として使っている一室で準備をする。

 

「よっと、なんだかご無沙汰」

「改まって目的持って別々になるとかしこまっちゃうねぇ、土日とかはそれなりにやってるのに」

 

 先ずは藤丸と立香に【個体増殖】で分裂というか増殖、立香はあとは着替えるだけど俺はもう一手間。【自己改造】で何時だかの怪盗特異点でボイジャーの兄を演じた時のような金髪碧眼に、ティアマトには頭が上がらないほど便利に【Ⅱの獣角】を使わせてもらってるな。

 

「うん、うん、似合ってるよ藤丸」

「自分に言われるのってなんかフクザツ、だけど立香も良い感じだね」

 

 俺はカジュアルなスラックスとシャツにニットベスト、私はセーターにジャンパースカートとデニムジャケット。どっちも秋の深まった時期に合わせたけど、私の方が気軽な感じかな。

 

「モルガンとだと、どうしても少しフォーマル寄りだよね」

「なんというか、カジュアル過ぎると元々の気品に負けちゃうから……」

「分かる」

 

 どう足掻いても平凡庶民が抜けない俺たちと、気品や品格が際立つモルガン。普段なら気にもしないけど、デートの時くらいは相応しくないと周りから思われたくない。

 対してユゥユゥとは逆にふつうの幼馴染っぽく楽しむためにカジュアル全開、私服の延長線にあるデートコーデってところだね。

 

「さて、行こうか」

「うん、行こう」

 

 身だしなみを互いに確認した俺と私は互いに今日のデートを約束した相手、モルガンとユゥユゥのもとに赴いた。

 

 

 

「お待たせモルガン」

「構いませんよリツカ、それにその姿もよく似合っています」

「ありがとう、モルガンの服装も可愛いらしくて似合ってるよ」

 

 白のニットにコバルトブルーのカーディガンとチェック柄のスカート。秋らしく少し落ち着いた色合いだけど、小さなリボンや全体的なシルエットが何処か可愛らしく見せている。

 

「そうでしょう、『たまにはキュート系で行くべきだよ』とハベトロットに熱弁されましたから」

 

 ナイスハベにゃん、モルガンの涼し気な雰囲気を崩さずにキュートさが200%くらい増してる。不意に見せる少女らしさが反則級に可愛いモルガンにこのコーデは最高だよ。

 

「じゃあ、デートに行こうか」

「エスコートをお願いしますね、我が夫」

 

 差し伸べた手を取ったモルガンと指を絡めて腕を組み、少しの緊張とそれ以上の高揚を感じながら俺たちは家を出た。

 

 

 

「えっへへ〜立香ちゃんとデートだぁ」

「待たせちゃってゴメンね、お詫びに今日は全部奢るから!」

「いえいえ、そんなの良いですって。あたしも何かと都合がつきませんでしたし、ちょっとした飲み物くらいで」

 

 立香がモルガンを迎えに行った頃、私とユゥユゥは徒歩で駅に移動中。隣のユゥユゥはデニムのジャケットに白のシャツ、厚手のタイツに黒のショートパンツで活動的にまとめていた。

 

「おっけー、だけどジャケットおそろいだね」

「はい、おそろいです♪」

 

 もちろん細部は違うけれど、似たようなものを偶然選んだっていうのは気分が上がるよね。

 というわけで端末でアレコレと巡るお店を物色しながら着いたのは渋谷、そろそろ冬の気配も近づいているからユゥユゥと買い物デートだ。

 

 

 

 電車に揺られて30分、都心から少し離れたここは同じ都内とは思えないほどに長閑で緑に囲まれていた。入園料を払ってゲートを抜けると尚の事で、目の前の池には水鳥たちがたむろしていた。

 

「なかなかに良い場所ではないですか。今日はここの散策を?」

「うん、ゆっくりと周ってのんびりしようかなって。退屈かな?」

 

 池の外周を歩きつつそう問いかければ、モルガンはゆっくりと首を横に振って俺の手を握る。

 

「せっかくの夫婦水入らずなのです、時間を贅沢に使うのに散策はちょうど良いでしょう」

 

 その言葉にホッとした俺は手を握り返し、風に混ざった金木犀の甘い香りを感じながら池の周囲を歩く。時期が時期だけにあちらこちらにコスモスが咲いていて、ピンクやオレンジが風に揺れている。

 

「もうすっかり秋だね」

「コレがリツカにとっての秋、ですか」

「うん、金木犀の香りとコスモスの花がそこら中にあって、少し寒いけど過ごしやすい季節。それが俺にとっての秋だよ」

 

 興味深そうに俺に尋ね、答えを聞いたモルガンが治めていた妖精國が常に黄昏の空で同じ気候だったことを考えれば、こうして季節が移ろいを実感するのも初めてなのかもしれない。

 

「モルガンの秋って、どんなものなの?」

「私の秋、ですか」

 

 俺の問いかけに周囲を見渡してから少し考える素振りを見せ、モルガンはこう答えた。

 

「あのあたりの木立、あれが私にとっての秋でしょうか」

「……なるほど、確かに似てるね」

 

 何がと言うとモルガンの機嫌を悪くしそうで言わなかったけど、確かにモルガンの指差す先にある木立は何処か妖精國で見た秋を冠する場所に似ていた。

 色付いた広葉樹と同じ色の地面、どこか寂しげなそこでは子供が無邪気に落ち葉を舞い散らせてはしゃいでいる。

 

「あの森の住民は個人的に好きではありませんでしたが、秋というと思い浮かべるのはあそこだったのです」

「場所は好きだったのかな」

「かもしれません」

 

 その後もモルガンと話しながら道をゆけば、ひとまずの目的地にしていた花畑まではもう少しのようだ。

 

 

 

 ユゥユゥと向かったのは都心のど真ん中・渋谷。カルデアに行く前は対してファッションや美容にも疎かったけど、メイヴちゃんやクレオパトラに散々仕込まれてしまった

 流行を追い掛けることはなくとも気にするようにはなったし、身だしなみには自然と力を入れている。美容の自分磨きっていうのかな? 内面がどんなに良くても外面だって伴わないと。

 

「先ずは冬物の定番、上着とマフラーを見に行きましょう」

「良いね、そしたらそれに合うような服も買おう」

「はい!」

 

 嬉しそうな顔のユゥユゥ来て良かったと思いつつ、まずはぶらっとウィンドウショッピング。今年の流行り物や定番が並ぶのを見てユゥユゥやマシュ、モルガンたちやカルデアに居る皆にはコレが似合いそうだなと思いながら物色中。

 当然、ウィンドウに映った薄い自分の姿にも合うものは何かあるかなと見ていると、隣にユゥユゥが映る。

 

「ユゥユゥ?」

 

 どうしたんだろう? 

 

「り〜つ〜か〜ちゃん〜? 他の方のことを考えていましたね!」

「へ!? いやまぁ、うん、ソウダケド」

「むぅ、服を見て誰に似合いそうとか考えるのも分かるけれど、今はあたしだけを見て欲しいんです」

 

 可愛い、拗ねて少しむくれて遠慮がちにワガママを言うユゥユゥが可愛い。

 思わずほっぺを両手で包み込むように揉むくらいには耐え難い可愛さに圧倒されつつ、無言でナニを考えていたのか判るユゥユゥはスゴイ。

 

「でもなんで判ったの?」

「あんまりあたしの方見てくれないからです」

「うぐ、それは確かに。でも、色々見てるとついつい考えちゃって」

「それもわかりますけど、今はあたしだけを見て欲しいなぁ、なんて」

 

 私が頬に触れている手を包むようにユゥユゥが手を握る。私を見つめる瞳は遠慮がちだけど真っ直ぐに射抜くようで、想いの強さを示している。

 そんな彼女にキュンとして、だからちょっと意地悪とワガママをしたくなる。

 

「ちょっとだけ、ムリかも」

「えぇー!? なんですか?」

 

 慌てた様子の彼女もまた可愛い、そんな彼女をもっと見たい。

 

「だからユゥユゥ、1番に似合うのはユゥユゥだって私に見せて。よそ見なんて出来ないくらい、夢中になるような色んなファッションを」

 

 ひどく贅沢なワガママだなと思う、世界三大美女の1人に自分のためだけのファッションショーを見せて欲しいだなんて。だけど恋人なんだし、色んな姿を見せて欲しい。

 

「分かりました、立香ちゃん。絶対に余所見なんて、他の方を考えるなんて出来ないひと時をお見せするよ」

 

 そう言ったユゥユゥの見せた笑顔はとっても魅力的で、それだけでもう夢中になりそうだった。




皆様お久しぶりです、作者です
インドラ様引けなかったよ(血涙)!!!
キャラも声もビジュも良過ぎたけど、水着と周年が!!!

フェス描き下ろしのサーヴァントが皆さん美しくて可愛くて格好良くて、毎日楽しんでいます。
読者の皆様の推しやお気に入りは居ましたか?
良ければ教えてください。
作者はふーやーちゃんと、いとうのいぢ先生の楊貴妃で推し供給受けて生きています

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