今年の夏は、どんな夏になるのか。
LB7のネタバレが含まれますのでご注意を。
何時の間にかお気に入り30件突破、UAも3500間近で驚いております。
また、高評価いただけた方ありがとうございます。
よろしければ感想もお待ちしておりますので。
7月半ば、転校からしばらくは騒ぎとなったマシュと楊貴妃も学校に馴染んだ頃に上期の終業式を迎えた教室には藤丸、マシュ、楊貴妃の姿はない。
普段なら予鈴の前には3人で仲良く話しているのを見慣れたクラスメイトたちは天文台の研修という真面目な理由から、痴話喧嘩という冗談のようなものまでいくつか憶測が上げては盛り上がる。
「はい、席につけー」
そんな教室へ予鈴と同時に入ってきた担任の声でその会話も中断、3つの空席がある教室は朝のホームルームの時間に入る。
まずは出欠確認ということで点呼をとり始めるが、藤丸達3人の欠席については何も言わず最後の1人まで進んでいく。
「連絡がないのは全員居るな。居ない藤丸、キリエライト、楊の3人は今日欠席の連絡を受けているから」
「先生、3人は何で休みなんすか?」
男子生徒がクラスを代表するよう尋ねるが、別に隠すようなことでもない為かアッサリと担任はそれに回答する。
「3人共、南極の天文台の研修で休みだ。向こうの天候が荒れそうで、予定より日本から出発するのが早まったと聞いている」
クラスの何人かは夏休みに遊びに行こうと誘って断られていたので研修のことは知っていたが、突然の出発に困惑半分羨望半分といった気持ちを彼らに向ける。
「まぁ、今日は授業も無いからお前たちも気楽にしろ。連絡事項とプリント配ったら体育館な」
その空気を察した担任の言葉も今の生徒たちにはどこか上の空であった。
一方その頃、昨夜に日本から飛び立った一行はオーストラリア経由で南極大陸カルデアに辿り着く旅程のうち、オーストラリアはメルボルン行きの機上の人となっていた。
「ベッドにもなる座席に豪華なお食事、ビジネスクラスでこれということはファーストクラスなるものは如何ほどなのでしょう」
楊貴妃はこの旅路を堪能しているようで食後の茶を楽しみながら、自身の左隣に座る藤丸へそう声をかける。
その藤丸も同様に食後のコーヒーを飲んでいるが楊貴妃ほどは堪能できていないようだった。
「うーん、どうだろ。というか多少どころか5日も前倒しで行くのは準備がギリギリだったんだけど」
藤丸の言うように本来の出発日は終業式の5日後、天候が荒れれば前倒しになると聞いていたので最低限の準備はしていたソレがこんなふうに役立つとは。
しかもこの調子ではオーストラリアの滞在もほぼ無し、乗り継ぎなどで半日くらいは出来ると思っていたメルボルン観光もパーである。
「コアラとのふれあい体験、楽しみにしていたのですが仕方がありませんね……。日本に戻る際にリベンジできることを祈りましょう、先輩」
通路を挟んで左に座る残念そうなマシュが可愛い、そして多数の付箋が貼られたガイドブックを見るに現地でのガイド役を務める気は満々だったのかと藤丸は思う。
「Bright Voyagerのマシュにガイドしてもらう観光、最高なんじゃ?」
ミス・クレーンのアイドル霊衣でもある旅装に身を包んだマシュと観光する風景を想像するが、どう転んでも良い結果しか見えない。
「先輩がお望みでしたら喜んで」
「むー、私もクレーン様に旅装を仕立てていただきましょうか?」
それを聞いていたマシュと楊貴妃がそれぞれ意見を表して観光の話は終わり。
《乗客の皆様、本日はご利用頂きありがとうございます。当機は間もなくメルボルン空港への着陸態勢に入ります》
着陸のアナウンスが入ったので諸々の物品も片付けられて着座する。
窓外を見れば雲の切れ間から荒野と点在する牧場が見え、日本はもちろんアメリカのそれとも異なる風景に不思議とワクワクしてしまう。
「オーストラリア、レイシフトでも行く機会がなかったから本当に初めて行く国だね」
「楽しそうですね、マスター」
「うん、初めてのことは何時だって楽しみだよ」
楊貴妃の言葉に頷きマシュの方を見ると背後からでも分かるくらい嬉しそうに機外を眺めている。
着陸までの短い間、3人は初めて訪れる国を空から楽しむのであった。
メルボルンに着いた一行は南極行きの便が出るのを待つ間にターミナル内の免税店やラウンジで時間を潰し、早めの昼食をとって再び機上の人に。
メルボルンから南極まで約6時間のフライトは雲の下を飛ぶため、オーストラリアの珊瑚礁や南極海など眼下の景色を楽しみ飽きれば機内に持ち込んだ本を読むなどして過ごしていた。
そうして空港と言う名の氷原に着陸、防寒着を着込んでカルデア迄のヘリが来るので降りたらその場で待つよう指示を受けて機外へと降りる。
「南極はやっぱり寒い、というか暗いんだけど」
「はっ、マスターはコチラへ、私が暖めます」
楊貴妃が自分の炎で暖をとろうとしたのでそれを止め、藤丸は周囲を見る。
滑走路となる氷原と周囲を囲む雪山は日常的に見慣れた風景でもあるが今日は特に暗い。
機内で聞いた外気温は-20℃だったから日本との気温差は約50度、こんなことなら下に礼装を着てくれば良かったか。
その嘆息も白い煙となって流れていく中、マシュがこの暗さを解説してくれる。
「極地に白夜・極夜があるのは先輩とユゥユゥさんもご存知の通りですが南極の極夜は6月から7月上旬、この暗さは極夜が明けたばかりでまだ日が低いのが原因ですね」
なるほどと頷く藤丸と楊貴妃、その後迎えのヘリに乗って3人は久方ぶりのカルデアへと帰還を果たすのであった。
『―――塩基配列 各員ヒトゲノムと確認
―――霊基属性 善性・中立、善性・秩序、善性・混沌と確認
ようこそ、人類の未来を語る資料館へ
ここは人理継続観測機関 カルデア
指紋認証 声紋認証 遺伝子認証 クリア
魔術回路の測定……完了しました。
登録と一致します。
貴方方をカルデアの一員であることを認めます。
おかえりなさい。』
「遅いわよ貴方達!! たかだか14,000kmの移動に1日近くかかるとは遅すぎるのではないかしら!?」
無機質なアナウンスに迎えられて入館チェックを終えた3人を迎えに来たのは豊かな銀髪を一房三編みにした少女、のような巨大な双角を側頭に浮かべてマントを羽織った地球大統領もといカルデアス大統領。
「ごめんなさい大統領、けど常識的な速さではコレが精一杯でした。そしてお迎えありがとうございます」
今や【疑似地球モデル】から【地球疑似異星】とその名を変えたカルデアスのアーキタイプであり、その管理人格でもあるサーヴァント・アルターエゴ【U-オルガマリー】に弁明と謝罪をする藤丸。
すぐ後ろでマシュと楊貴妃も頭を下げて謝罪の意を示す。
「ふん、支持者からの謝罪は受け入れるわ。良いからその暑苦しい格好を着替えて来なさい」
「ユー、急に移動してどうって、藤丸、マシュ!? 貴方達何でここに居るのよ、来るのは5日後のはずでしょう?」
その後ろを追いかけるように来たのはカルデアス大統領とソックリだが角やマントはなく、ジャケットにスカートと普通の格好をしたカルデア所長にしてカルデアスの観測人格でもある【オルガマリー・アニムスフィア】。
「お久しぶりです、所長。天候悪化による予定変更でマシュ・キリエライト他2名、当初より5日早くカルデアに到着しました」
「私それ聞いてないんだけど? ユー、貴女も知っていたなら教えなさい」
所長として職員の所在を知らないのは問題があるとU-オルガマリーに詰め寄るが、その当人は素知らぬ顔。
「ふん、メールにも卓上の書き置きにもあったのに見落としていたのは貴女の方でしょう。私は地球大統領でコイツのサーヴァントだもの、人としては速い速度で動き始めた時点で他人に訊いて確認したわよ」
他人に訊いて?
「つまり、大統領閣下も知らなかった……いえいえ、何でもないです」
ユゥユゥが余計な一言をギリギリ止めるが、バッチリ聞こえていたらしく軽い電撃で突っ込まれる。
でも、それなら大統領が自ら迎えに来たのは何故?
「その困惑の色は当然ね、なぜなら大統領として歓迎の晩餐会へエスコートするためよ!!」
どうやら、今日の夕食は豪華なものになりそうだ。
いかがでしたでしょうか?
この話からちょくちょくオリジナル設定を挟んでいきますので、分からないこと等ありましたら展開予測にならない範囲で質問ウェルカムです。
それにしても、感想・評価送るのはハードル高いですかね?
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