ついて早々に招かれた歓迎会の席で彼らは英霊たちと久々の再開を祝すのであった。
LB7のネタバレが含まれますのでご注意を。
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カルデア食堂、普段から夕食時となれば多くの職員・英霊たちが食事を楽しみに訪れるが今日は最低限の要員を除いた職員、普段食事をしない英霊も含めた契約している大半の英霊、つまるところカルデアに所属する人員のほとんどが集結していた。
「うむ、皆聞こえているかね? 今日はカルデアのマスター藤丸立香の半年ぶりの帰還を」
そんなゴルドルフ所長の開宴スピーチを無視して何人かの英霊が主役である藤丸へ絡んでいく。
「よぉ、主。元気してたか?」
「弟子が故郷でどうしてたか聞かせてもらおうか」
「ねぇねぇちゃんマス、頼んでたギャル語枕草子はー?」
真っ先に燕青、スカサハ、清少納言の3人が各々言いたいことを言ってスピーチに妨害が入ってしまう。
「こらそこ、短くするからチョットは我慢できんのかね!」
「だったら乾杯だけにすりゃ良いだろうが」
「ごっふぅ!? それはそれで形式というものがだな、神霊カイニス。あーうん、もういい、とりあえず藤丸立香、マシュ・キリエライト、楊貴妃の3名が無事に戻って来た事を祝って!」
さっさと乾杯しろ、というカイニスからの無言の圧力を受けて前言撤回。
直ちに乾杯の音頭をとるゴルドルフ所長。
流石にそこで邪魔が入るようなことはなく、騒いでいた面々やそこに加わろうとした面々も自らのグラスや酒器を片手に持って音頭を待つ。
「乾杯!」
『カンパーイ!』
それをキッカケに再び藤丸の周囲に英霊たちが集まり、和洋中に加えてエスニックやオリエント、キッチン組を筆頭に料理上手な英霊・スタッフが作った様々な食事を楽しみながら日本での出来事や頼んでた土産について話をしていく。
「おぉ、コレがギャル語枕草子。鈴鹿っちと一緒に読ませてもらうぜ、サンキューなちゃんマス」
「はいはい。オッキーはごめんね、
「うぅ、仕方がないとはいえ私の活性アンプルが、けどカタログありがとうございます」
ひとまずは土産目当ての面々を処理しつつ、話は日本での日常について。
「どうだったんだいマスター、私の授業を卒業した君なら高校レベルは余裕綽々だったのではないかな?」
「うーん、数学は大丈夫だけど国語がちょっとね」
「それは僕の管轄外だよ、紫式部を頼るといい」
若いモリアーティは無難に学業について、一応とはいえ高校卒業レベルの証書を渡したのだから面倒を見ておこうという親切心もある。
続いて源頼光。
「マスター、ご両親はご健勝でしたか? 通信で無事だと知っても半年会えないだけで私は心配だったのに、3年も会えなかったご両親の不安は如何程でしょう……」
悲しそうな顔を浮かべる頼光に心配はいらないとその手を取って藤丸が答える。
「大丈夫だよ頼光さん、戻った時は心配させたことで怒られたけど無事だったことは喜んでくれたし、日本にいる間はちゃんと孝行してきたから。残りは短いけど、せめてその間はね」
「あんまりゴールデンじゃない話題はそこまでだぜ大将、頼光サン!宴を楽しまないとな!」
今後について避けられない或る事が話題にならないよう、金時が強引に話を終わらせようとするがそれを制して藤丸は続ける。
「だから、その心配はとっておいて。ちゃんとその時に叱ってほしいから」
「っ、えぇ、その時はマスターの母として、血の繋がった両親への不義理を叱るとしましょう」
明確な未来への約束と自らに母としての一面を期待された頼光は強くなった
「やっと私の番が回ってきましたか、妻を待たせ過ぎですよ我が夫。先ずは無事の帰還に」
「うん」
カチと、モルガンの差し出したグラスに藤丸の持ったグラスが軽く触れ、2人だけの乾杯をする。
そうしてから中身を少し口にして、これまでとは逆に藤丸がモルガンに尋ねる。
「だけどその呼び方は変わらないんだね」
「当然です、マシュの恋人となり妖星の貴妃と結ばれようとも貴男が私の夫であり、私が貴男の妻で在ることは変わらないのですから」
そう言うと自然な動きで藤丸の左腕に抱きついて身体を密着させ、久々に感じるその感触にモルガンの表情が少し柔らかくなる。
彼女の右手薬指には鈍く輝く銀の指輪が嵌められており、それを見た藤丸は苦笑と共にモルガンを受け入れる。
「そうだね、俺はマシュと楊貴妃と結ばれても貴女達と一緒にいたいと願ってしまったから」
日本を離れる前にカルデアで解決した最後の特異点で嫌というほど見せられた自分の隠れた独占欲、そして自分が好かれていた事に無自覚なくせにそれを受け入れて且つ応えていたことを改めて想う。
「それで良いのですよ我が夫、何よりも日本には『英雄色を好む』という格言があると聞いています。最先端の英雄たるなら自分が満足するまで女性を囲ってもいいのですよ?」
それでも妻の座は渡しませんが、とでも言いたげな不敵な笑みを浮かべて冗談とも本気とも判断しかねる言葉と共に1枚の紙を藤丸の胸に残してモルガンは自身が座っていた卓へ悠然と戻っていく。
「少なくとも、今以上に女性との付き合いを増やすつもりは無いんだけどなぁ」
そうボヤいて暫しお喋りは休憩、キッチン組の料理や飲物を楽しみながら円卓・妖精國組に囲まれているマシュや中華組に日本での事を尋ねられて対応するユゥユゥを眺めてこの宴席を楽しむ。
目を別の方に向ければ燕青や荊軻達が呑み比べを始めて盛り上がる一方で「両儀式」やアルトリア・アヴァロン、アルクェイド、U-オルガマリーたちが食堂を満たす色を眺めながら悠然と卓を囲み、ネロがブーディカから皿を受け取る代わりに盃を押し付けて共に呑もうとする。
他の皆もこの宴席を、己のマスターが日本では平穏に過ごせた事と無事に帰還したことを併せて楽しんでいた。
そんな宴も盛り上がりが落ち着いてくると藤丸の周囲に集まる英霊や職員も少なくなり、少し息をつくことができた。
「先輩、楽しんでますか?」
そんな空気に割って入ってきたのは顔を微かに紅く染めてグラスを2つ持ったマシュ。
「うん、今は喋り疲れたから食事を楽しんでいたとこ。ちょっと呑んだの?」
「ふふ、少し呑んでしまいました。先輩も本当は大丈夫なのですから、一杯だけ如何ですか」
その言葉を聞きつけたようで、ユゥユゥが自分のグラスと酒瓶を持って来た。
ラベルを見る限りは赤ワインかな?
「では、お注ぎしますねー」
スゥーッと自身も酔っているにも関わらず美しい手付きでワインが注がれた3つのグラスをそれぞれが手に取る。
「じゃあ一杯だけいただきます。マシュもお酒弱いから気を付けてね」
「えー、マスターは私のこと心配してくれないんですか?」
「ユゥユゥはともかくマシュには前科があるから」
濃かったとはいえ百重塔の酒気だけで酔っ払った時のことを思い出して、苦笑しながらユゥユゥの抗議に答える。
するとユゥユゥも納得したのか醜態を晒すことの無いようにしてくださいね、とマシュに注意する側に回ってしまうのであった。
「私だってまだ1杯しか呑んでいません、ワインで5杯までならセーフです。では無事の帰還を祝しまして」
うーん、若干口調が怪しいけど、大丈夫かな?
「「「乾杯」」
とりあえずこの一杯でマシュには止めてもらうとして、軽くグラスを触れ合わせてから口に入れるとワイン独特の味と香りが口に広がる。
飲酒はカルデアで覚えた悪い事の1つだけど、日本にいる間は楽しめないので少しだけここで楽しむことに。
3人の話題は先程まで他の皆と何を話していたか、マシュは円卓・妖精國を筆頭としたブリテン組と日本での日常やカルデアで両者が行ったという対抗御前試合について。
「特にガウェイン卿とバーゲスト卿の試合は互いに魔力を使わない実力勝負となり、まさにベストバウトと呼ぶのに相応しいものだったかと。後で先輩にも映像をお見せします」
楊貴妃は中華系の皆とは挨拶程度でクレオパトラや巴御前から多妻の夫婦円満について尋ねたり、フォーリナー組と現代日本の学校生活の話をしていたらしい。
「私が宮廷に入った時は後妻で天子様に独占されてましたから、こうやって対等より上の方が居るのは初めてなんですよ」
楊貴妃、意外な経験不足が発覚。
そうしているうち、ふとモルガンから渡された手紙を思い出して胸元から取り出す。
「モルガン陛下からのお手紙、逢引のお誘いでしょうか?」
「流石にマシュに何も言わずにソレは無いと思うけど」
淡青で縁取られた便箋に書かれていたのは簡素な一文のみ。
”今宵の宴が終わりましたら、マシュと共に私の部屋へ来るように”
ちらりとマシュの方を見るとグラスにはまだ半分程のワイン、念の為今のうちに止めたほうがいいかなとマシュに手紙を見せながらストップを掛ける。
「お酒はそのグラスでラストだよ、モルガン陛下がこの後3人で話したいって」
それを聞いたマシュはワイングラスを置くと代わりに水の入ったコップを一気に飲み干し、藤丸と楊貴妃は呆気にとられる。
「モルガンさんに恥ずかしい姿をお見せする訳にはいきませんので」
マシュさん、そこまで気合いを入れなくてもいいし顔がほろ酔いですよ、と言うのは流石に止めておく。
その後はこれまでとは逆に皆の卓を周ってカルデアでの出来事を聞いたり、思い出話に花を咲かせてこの宴席を楽しむ3人なのだった。
そんな訳でマシュと共々食後の茶会にいざなわれるところでおしまい。
次回更新まで1日お待ちください。
>>「両儀式」やアルトリア・アヴァロン、アルクェイド、U-オルガマリー
この超越者組の卓はこんなごちゃごちゃな宴会でもソコだけ空気感違いそうでいいですよね、そこで飲み物注ぐウェイターになりたい作者です。
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