そこでは意外な人物が彼らを待っていて……。
LB6のネタバレが含まれますのでご注意を。
空行を挟んで少し文体を変えてみました。
以下テンプレ
UA5,000目前に驚きつつ、アンケートにお答えいただきありがとうございます。
難しいことを考えず、感想・評価(無言でも良いです)を頂けるとと助かります。
藤丸たちの歓迎会が始まって約2時間、そろそろお開きにせねばとゴルドルフがマイクを手に取る。
「あー諸君、宴を楽しんでいるところ申し訳無いのだが歓迎会はそろそろお終いだ。明日のシフトがある者は直ちに自室へ戻り、せめてシャワーと歯磨きをしてから寝るように。そうでない者は食堂から退出、2次会は自室やレクリエーション室で程々にすること。廊下でやったり寝たりはご法度だからね」
『ハーイ』
人が減っていく様子を見ながら、なんとも締まらない終わり方だと首を振るゴルドルフに藤丸が声をかける。
「お疲れさまでした、新所長。今日はこんな盛大に歓迎してもらって、ありがとうございます」
「そのぶん明日からはシッカリと働いてもらうからな、貴様も早く寝て備えなさい」
微妙にお父さんなんだよなー、やっぱり。
開宴の挨拶も格式張ったのは聞いてくれなかったのに乾杯の音頭は皆聞いてたし、さっきのも文句は無かったし。
「やっぱり新所長はゴッフパパなのでは?」
「誰がパパだね!?」
「えー、私はゴッフパパが良いなー」
そう言いながらふらりと現れたのはグラン・カヴァッロこと小さなダヴィンチちゃん、そういえば歓迎会には居なかったような?
「私はまだ未婚なんだがね。しかし技術顧問、管制室の方は良いのか?」
「こっちが終わって何人かが来てくれたからね、藤丸君の顔を見に来たのさ」
新所長と所長がいないならダヴィンチちゃんが指揮官代理として管制室に詰めるのは当然だけど、と申し訳ない気分になった藤丸の顔を下からダヴィンチが見上げる。
「うん、実に良い顔だね。ココに居た頃よりも少しだけ普通の顔だ」
ニッコリと、見惚れるような笑顔でそんなことを言われるとは思ってもいなかった。
「普通の顔?」
「そう、普通の何も知らない一般人としての顔だ。とはいえ、何かあったらまたカルデアのマスターの顔になってしまうのだろうね」
最後の方は残念さと悲しさが混ざったような声でそう言ったダヴィンチを藤丸は抱き上げる。
「うわ!? 藤丸くん!?」
「ダヴィンチちゃんと、新所長も気にしなくて良いですから。コレは俺が選んだ、俺の旅路ですから」
「ふふ、逆に気を使われてしまうとはなー。それならその旅路を出来るだけ長く見守ることにしよう」
本人が大丈夫と言うならそれ以上は言うまいと、ダヴィンチは藤丸から降りて観測室に戻っていく。
「それでは藤丸くん、コッチに居る間はじゃんじゃん私達に頼ってくれたまえ」
そんな言葉を残していった姿に、やっぱり敵わないなと思いながらゴルドルフにも一言。
「新所長もカルデアのマスターとして、此処にいる間は存分に頼らせてもらいますね」
「頼るのは良いけど、変な騒動には気を付けてよね? 君、本当に巻き込まれ体質なんだから」
それについては善処しますとだけ答えて、食堂を足早に退出する。
多少ならともかく、あまり長居するとサーヴァントの皆から2次会に誘われてモルガン陛下の所に行くどころじゃ……。
「マスターよ、どこに行こうというのじゃ?」
「ふーやーちゃん……」
そういう時に限って断りづらい方と会うのは、新所長の言う巻き込まれ体質のせいかな?
「久しぶりのなのじゃ、ちと妾の部屋で呑み直さぬか」
このあと用事が、と丁重に断ろうとした藤丸に助け舟が出される。
「あ、不夜
「ぬぅ、ブリテンの女王なら仕方ないの。なら話は明日の朝餉の時で良い、忘れるでないぞ」
そう言って武則天に連れられて行く楊貴妃に藤丸は心の中で礼を告げ、次の誘いが来る前にマシュとともにモルガンの部屋へと赴く。
入り口は他と共通のスライドドア、だが中がどうなっているか分からないのがサーヴァントの私室。
特にモルガンのような多才なサーヴァントであれば果たして。
「モルガン、藤丸だけど」
「マシュ・キリエライト、先輩とともに参上しました」
そうインターホン越しに呼びかけるが応答はない、向こうからは微かに声や物音が聞こえてくるので不在ではないようだ。
ひとまずは待つことにして少しするとドアが開いて中から人影が。
「2人共、お待たせしました」
「「トネリコ!?」さん!?」
予想外の出迎えにそれがどちらなのかを知るべく、藤丸が
「アルターエゴの方のトネリコだね」
「はい、リツカ正解です」
妖精國のにおいてモルガンの過去、あるいは女王となる前の救世主であった頃の姿。
少し前の微小特異点である理由により独立したサーヴァントとして現界した彼女が出迎えだった。
「うわぁ~」
「綺麗です」
そうして入った部屋の中に広がっていたのは月光に照らされた夜の湖畔のような風景。
魔術によって調整されているのか月明かりしかなくとも暗いとは感じず、軽く周囲を見回すとすぐに目当ての人物を見つけて辿り着くことができた。
「今宵はお招き頂きありがとうございます、モルガン陛下」
「こんなに素晴らしい部屋まで用意して頂いて、ありがとうございます」
藤丸とマシュが改まって礼を言ったのはこの部屋の風景全ての源であり、夜闇の黒に月光の蒼銀、湖面の碧が形を取ったような妖精の女王。
「そう畏まらなくても良いのですよ2人とも、私達と4人で静かに話したいだけなのです。お茶と菓子もありますから、くつろぎなさい」
モルガンがそう言うとティーセットと菓子皿が現れ、トネリコが円形ソファに席を勧める。
「「いただきます」」
席についた藤丸とマシュが習慣となったその言葉を告げてから口をつけたティーカップからは穏やかな香りと味。
先程までの宴席やこれから眠ることを考えてのチョイスに心の中で感謝する。
「そういえばトネリコさんは先程の歓迎会には姿が見えませんでした。もしかして、この準備を?」
「半分はそうですね、もう半分はああいった場所が苦手なので」
「あ、ごめんなさい」
トネリコがモルガンに転ずるキッカケとなったのもまた宴席、彼女の騎士でもあった自分は察するべきだったとマシュは謝罪してしまう。
「謝らないでマシュ、もう過ぎたことですから」
そう言って微笑んでみせた彼女の姿にこれ以上その話題には触れないこととして、マシュはトネリコと話し始める。
その様子を見た藤丸が気になっていたことをモルガンに尋ねる。
「他の皆は?」
「そのことなら心配無用です、リツカ。くじの順で今日が私だったというだけです」
「それなら安心なのかな。それより、ココは本当にいい場所だね」
部屋全体、というよりも湖畔を一望すれば月光に照らされた一面は美しくも穏やかで心が落ち着く。
気温も快適で、聞こえる波音に任せてボンヤリしていればこのまま眠ってしまいそうだ。
「以前にあった特異点と妖精國の空をモデルにして私好みの環境を作りました。妖精國に月はありませんでしたが、その、以前に月明かりの下で見る私を美しいと……」
そういえば、前に言ったような……。
単なる褒め言葉として言ったのだろうけど、夏目漱石の【月が綺麗ですね】しかり普通に口説き文句というか、勘違いさせる言葉では?
「うわぁ、俺ってば大分駄目だったのでは」
「自覚したのならば、こうするまでです」
両腕で俺の右腕を抱き締め、手は指同士を絡めて簡単には離さないという意思表示みたいだ。
「それで、マシュとの日本での暮らしはどうでしたか? 楊貴妃が居るとはいえ2人だけの時間もあったのでしょう。妻として元主君として、夫と騎士の暮らしを知る義務があります」
「私も気になるな。そしてバーサーカーの私が羨ましいので、マシュに抱き着きます」
「はい、存分にどうぞ」
時期の違う同一人物2人に挟まれて、日本での他愛のない日常を2人が語る。
それは時に学校でのことであったり放課後のちょっとした寄り道、あるいは休日に行ったデートのこと。
そんなありふれた出来事の話にモルガンとトネリコの表情は満足気で、2人がそんな日々を過ごせた事を喜んでいるように見える。
「こんなところかな」
「私と先輩に関わるところはそうですね、あとはユゥユゥさんと3人のことが多かったかと」
一息ついて茶を啜ると少し微温く、思ったよりもだいぶ話をしてしまったと、ふとモルガンの方を見ると目線が合う。
「リツカ」
「モルガン」
白磁のような肌に月光を流したような銀髪、そして湖のような瞳。
以前なら間近で見てもドキドキする程度で済んだはずなのに、今はそれに加えて欲しいという気持ちが湧いてくる。
それでもすぐ隣にマシュが居るので今はそちらを向いてどうにか我慢するが、2人の妖精には筒抜けで、意地悪な笑みを浮かべたトネリコが藤丸をからかうような言葉を投げかける。
「今のはちょっと危なかったんじゃないですか、リツカさん?」
マシュもそれに乗じて、ワザとらしいむくれ面を浮かべて藤丸をキツく抱き締める。
「モルガンさん相手とはいえ先輩は、私の恋人で将来のお婿さんなんですよ。モルガンさんの夫になるのも認めていますが、程々にください!」
嫉妬する恋人の様子が可愛いのでこのまま眺めていたい、けどそういう訳にもいかない。
「ごめんマシュ。正直に言うとちょっとモルガンが欲しいと思ったけど、君の方を見て耐えた」
下手に隠すとバレて何を言われるか分からないので素直に白状した。
分かってはいても言葉にされるとまた違うのかモルガンは満足げな、マシュは仕方無いと言いたげな顔で藤丸の両サイドから離れていく。
「大変そうですね、リツカさん」
「それも含めて幸せだよ。そしてモルガンが妻ということは君も妻では?と藤丸思う訳で」
「そ、それは言わないください。恥ずかしいですから」
実はそうなのである。
そんなトネリコが顔を赤くしている姿が可愛いので、からかわれたのにも一矢報いる事ができたかな。
「マシュ、貴方の旦那様がイジメてきますよ」
「旦那様!? いや、それはそうですが、まだ式を挙げた訳では無いのでゴニョゴニョ」
うわぁ、救世主が自分の騎士に助けを求める構図なのに内容が恋バナ。
「3人共、あまり夜なのですからもう少し落ち着いてはどうですか?」
そんな状況を収拾したのはモルガン。
アルターエゴの自分も含めた3人にそう声をかけると新しく淹れた茶を差し出して、それを飲むように促す。
……いや、発端はモルガンが抱きついたことだから自分で自分の始末をしたということになるのか。
「リツカ、マシュ、2人の話を聞くことができて良かったですよ。日常を謳歌することが今の貴方達には何よりも望んでいたことでしょう。そして今宵の茶会はこの1杯までにしましょう」
「そうですね、バーサーカーの私。明日からは2人もカルデアでのスケジュールで動くことですし、こちらに居る間は何時でも話が出来て、こうする機会もあるでしょうから」
最後の1杯に会話も無く、その代わりに景色や互いの顔を見ながらの穏やかな時間をより長く楽しめるように少しずつ味わう。
トネリコの言うとおりなのだが、飲み干してしまうと先程までの時間が名残惜しい。
「ではモルガンさん、トネリコさん、おやすみなさい」
「うん、マシュもおやすみ。リツカさんも、早く眠ってね」
「分かったよトネリコ。モルガンもおやすみ」
「おやすみなさい、リツカ、マシュ」
廊下での別れ際にそう挨拶を交わし、2組は各々の部屋へ戻っていく。
モルガン陛下に加えてトネリコと過ごした月下の茶会、いかがでしたでしょうか?
それではまた1日挟んで投稿しますので、しばしお待ちください。
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