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ようやく本編100話です。
「ナビざん死ぬのがなァ!!?なァ、イオリぢゃん!!!」
「うっざいわね!弱ってる人の前で、死ぬとか言ってんじゃないわよ!!」
泣きわめく、サンジの頭を平手でスパン!と叩く。 だってェ~… と、まだしつこく言ってるけど…
「サンジ!! あなたには、重要な任務を与えます!」
ここでウダウダやっていても埒があかない。舵はサンジにまかせるとしよう。
「この永久指針を見ながら舵を握ってて!!他の誰にも任せられない、あなただけが頼りなの!だからよろしくお願いね? 大丈夫!!ナミは私に任せて頂戴!!」
「ら、
サンジは少し驚いて、しかし自分が頼られていると思って顔を輝かせた。
あなたが適任みたいな言い方をしたけど、ごめんなさい。消去法なんです。
ルフィに任せると、何もなければいいけれど、何かみつけた途端にそっちに向かっちゃいそう。下手をするとハリケーンに突っ込む事になりそうだからシャレにならない。
ゾロに任せた場合も同じ。何もなくてもとんでもない方向に進みそう。
ウソップは一人で甲板に居るなんて絶対お断りだろうから、そもそも引き受けてくれなそう。
なんて頼りがいのない男どもだろう?
サンジをひとり、甲板に残して船室へと入る。ちなみにナミは私が運んだ。男どもに頼むとサンジがうるさいから。
ナミをベットに寝かせ、熱を計る。
「40度……一気に上がったわね。」
ナミの体温は40度まで上がっていた。めちゃくちゃ苦しそう。顔は真っ赤で呼吸は荒い。
取りあえず問診かな?
「ナミ。思い出してほしいんだけど、リトルガーデンで虫に刺されたりしなかった?」
「むし?」
ナミはぼーっとした感じで聞き返してきた。うまく頭が働かないのだろう。
「そういえば……蝋を溶かしてもらった後に……何か、チクッて……」
やっぱりね。五日病以外の何かに
「刺されたのはどの辺?」
続けて聞くと、ナミは腹の辺りを触った。
「この辺り……。」
位置まで原作と同じとは… あれ?服は燃えてなかったし、へそ出しルックじゃなかったわよね?
服の上から刺されたのかな?それとも服の中に入られた?刺された場所は1ヶ所みたいだから、たぶん前者だと思うけど…
…なんか不安…
「はい、それじゃあ診察するから、男どもは部屋の外に出てくれる?」
云うと、ゾロが全員を外へ連れ出してくれた。
「ナミ、お腹を見せてもらうわね?」
服をめくって見てみると、そこには見事な斑点が…
ビビは口を押えて声を殺していた。かなり驚いているみたい。ナミもうっすらと開けた目でそれを確認していた。
「…なにこれ?…イオリ?…もしかして、これって…ヤバい
「ええ、そうね。でも安心して!薬があるから大丈夫!!」
「「!!」」
私が自信を持って『大丈夫』と言った事で、ナミとビビはホッとした表情を見せた。
医師の心得である。技術も大事だけれど、一番大事な事は患者を安心させること!
「ビビ。とりあえず、みんなを呼んできて。説明するわ!」
サンジを除く全員が、再び部屋に集まった。私は薬を取り出し、注射の準備をする。
「どんな病気かわかったのか?」
聞いて来たのはゾロだった。
「五日病よ。」
「五日病? 聞いたこと無ェな」
ウソップが首を傾げながら言った。それはそうでしょうね。リトルガーデン以外で罹患する事は、まず無い病気だもの。
「双子岬でもらった薬があるから、治療しながら説明するわね。」
私は五日病について説明した。
この病気はケスチアという高温多湿の森林に生息する有毒のダニに刺されることによって引き起こされる病気。そしてケスチアは100年前に絶滅したと言われる種である。この病気が一般的に知られていない所以である。リトルガーデンは太古の森だ。だから絶滅したとされる種も存在したのだろう。
何故に私がこの病気を知っているかと言えば、原作知識もそうだけど、クロッカスさんやドクトリーヌから学んだ時に教えてもらったからだ。
医療従事者は、過去の病気についても学ぶ事が多い。幅広い病気の知識は、診察の際の武器になる。病気を知っていれば治療法も導き出せる。知らない病気だとしても、似たような症状の病気を知っていれば、治療法や薬を応用できるかもしれない。
「それで、五日病?ってのは、どんな病気なんだ?」
恐らくは好奇心からだろう、ウソップが質問してきた。
「症状としては、40度以上の高熱・重感染・心筋炎・動脈炎・脳炎。その名の通り五日間ほど苦しむ病気らしいわ。」
私の答えにすっごく微妙な顔をするウソップ。
「……五日間苦しんで…、その後どうなるんだ? すっげェ、嫌な予感がするぞ」
さすがウソップ、ネガティブな事には鼻が利く。
「ウソップの予感通りよ。五日間苦しんで亡くなる病。それが五日病。」
「「!!?」」
「怖ェエよ!なんなんだよその病気!!」
本当に五日かどうかは知らんけどね。恐らく平均ではなかろうか。
それにしても、潜伏期間もなしに、刺されたその日に症状が出るなんて…。感染症というより、即効性の毒って感じよね?
あら…ビビの顔色が優れないわね。
「ビビ、どうしたの?」
ビビは震えながら真っ青な顔で口元を抑えていた。
「じゃ、じゃあ……ナミさんはもう少しで死ぬところだったってこと!?」
そうだけど、ズバンと直球投げてくるわね。
「薬が無ければ、そうなってた可能性もなくは無いわね。せいぜい解熱剤で熱を下げて、急いでドラム王国に向かうって方法しかなかったと思うし…。ナミが無理せず倒れてくれたのも良かったかもね?」
「「…」」
「なるほど、つまりは大変な病気なんだな!」
ルフィも思ったより理解してくれたらしい。
「この際だからみんなにも言っておくけど、体調が悪いと思ったらすぐに言いなさいよ?無理しても何もいい事なんてないんだから!!」
私の言葉に、みんなは黙って頷いた。あとでサンジにも言っときましょう。
私も気を付けないと…。
ちなみにサンジはちゃんと記録の通りに進んでくれていた。
本当はそれが当たり前なんだけど、うちはダメな子、多いので…
進路もアラバスタではなくドラムに向かっていたからか、サイクロンにもあわずに済んだ。
問診した際、少し不安を覚えたので、エイタに船の中にケスチアが居ないか調べてもらった。
この船がケスチアを他の土地に運んでしまったら大変だものね。
とりあえず大丈夫だったけど、エルには普通のダニが付いているのが確認されたので、取って殺しといた。