イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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クラスター・ジャドウさん、エクスプローラさん、誤字報告ありがとうございます。


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03-102話:ドクトリーヌとイオリ

「どうも、留守のようだ。おそらく街に降りているのだろう。」

 城に着いたところ、ドクトリーヌは留守だった。まぁ居ない事は気配で分かってましたけどね。どのみちここに戻って来る事は確定してるんだし、ロープウェイはみんなで来るのにちょうどよかったのよね。

 

 ドルトンさんがドクトリーヌを留守だと言ったのは、いつも門の中にソリが立てかけてあり、それが無い時は街に降りていると判断してるんだとか。在宅確認みたいなもんかな?口ぶりからするとここに来る事は、それほど少なくないようだ。

 でも、そうすると、チョッパー連れてっちゃったらどうなっちゃうの? ラパーンってソリ引くんだっけ?

 

 正面の扉が開けっ放しだったので中に入る事は出来たけど、風が強いので城の中まで雪が入り込んでいた。

 

「なんでまた? この扉を締めりゃ、城の中に雪が入る事もねェだろうに…」

「あれが原因じゃない?」

 サンジが疑問を口にしたので私が疑問に答えてあげた。

 

「あ~…まァ、扉閉めりゃ落ちるわな…」

「それで閉められねェのか……」

 サンジとルフィが見上げる先には、雪鳥の巣があり、数匹のヒナが見えた。それは、開けられた扉の上にある。

 巣を別の場所に移すと、親鳥がヒナの面倒を見なくなる事もある。だから移せないのはわかるけど、もう一つ扉をつくればいいんじゃね?

 確かに、自分たちの居住区の扉さえしっかり閉めればいいんだろうけど、この扉をなんとかすれば、少なくとも城の中で外とおなじ服装をしなくても済むんだけどな?

 

「っ!!」

「どうしたの?」

 私が小さく声をだすと、すかさずビビが聞いて来た。

 

「ドクトリーヌが戻って来るみたい。」

「ドクト…Dr.くれはの事?」

 あ~、そう言えばドルトンさんはドクトリーヌとは言わないか。愛称だもんね。

 

「Dr.くれはの愛称よ。私は彼女の事をそう呼んでるの。」

 

 私の気配を感じたからか、私たちが城に着いた途端にこちらに気配が向かっているように感じた。ちゃんと診療は終えたのかしら?まぁ、治療を放り出すなんて事は絶対にしない人だという事は知ってるけどね。

 原作では今日と明日、ドクトリーヌは街に降りていた。明日は腕が痛いと泣き叫ぶ子供の居る場所。今日の治療については、原作で書かれていなかったのでわからない。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 私たちとドクトリーヌを引き合わせた事で、役目を終えたとばかりにドルトンさんはロープウェイで下の街へと戻っていった。

 ちなみに麓のロープウェイの発着場には人が居て、電伝虫も置いてあるので連絡を入れれば降りることが出来るそうだ。ロープウェイは2機あって、もう1機は修理中との事。

 

 ナミを診察室に運び、ベットごと大きくしてからドクトリーヌに診てもらった。今は病室の一つに移動して、みんなと一緒にそこにいる。私だけが診察室に残った。

 

「久しぶりに、イオリの料理が食べたいねェ」

「じゃあ、ナミの診療代は材料込みの料理で支払いって事でいいかしら?」

 ドクトリーヌの診察料はバカ高い。一味の財布は私が管理をしてるので、交渉は出来る時にしておいたほうがいい。

 

 余談ではあるが、彼女の診察料は相手の持つ資産の50%との事。貧乏人でも必ず払える額というのがポリシーらしい。金持ちにとってはボッタくりでも、貧乏人にとってはありがたい事だろう。そういえば、財産の50%とか言ってて、49%にまけてたっけ…(知らんかったよ。)

 

「ああ、それでかまわないよ。チョッパー、その娘がお前の姉弟子だ。キッチンに案内して、料理を手伝っておやり!」

 なんかねェ…。もうキラッキラした目で私を見る、2.5頭身不思議キャラがそこに居るのよ。

 ドクトリーヌ?あなたこの子に私の事、どんな風に話したのさ?この目は憧れの人に会った感じじゃないのかな?

 

 ちなみにその子を、これまたキラッキラした目で見ていた者もいる。

 

 チョッパーはドクトリーヌを乗せたそりを引いて、トナカイの姿で戻って来た。

 その後、獣人姿(熊みたいに大きな姿)になって荷物を運び、今は2.5頭身の角の生えた、たぬきみたいな姿です。

 トナカイから獣人へ、そして今の姿へと、変化を見ていたルフィは、『おもしれー!気に入った!!』と、まるで新しいオモチャを見つけた園児のようだった。

 

「あの子が私の弟弟子で、船医として仲間に誘おうと思ってるんだけど?」

 と、私が言っても聞いちゃいねェ…

 まぁ、気に入ったんならどのみち誘うんだろうから、別にいいんだけど、ルフィはあの子を船医って認識しないんじゃ?

 ちなみにサンジは、あの子が私の弟弟子だと認識してくれて、『非常食』とは言わなかった。これでチョッパーがみんなを変に怖がる事も無いと思う。

 

 それよりも、私がビックリしたのはチョッパーがここまで空を走って来た事だ。誰も気づいちゃいないけど、この子、ソリ引く時に、月歩使ってやんの…。

 いやまぁ確かに昔、ドクトリーヌに月歩を教えたけども…

 

 積る話もあるだろうと、サンジが気をきかせてくれて、消化の良い食事を作ってナミに食べさせた後、ナミ以外の全員をつれて一旦船に戻って行った。船番の食事の用意もあるからと言っていたけど、何気にゾロの事、気にしてるのかしら? まぁ、動物2匹もいるけどね。

 

 ナミは早々に眠りについて、食事はドクトリーヌとチョッパーと私で取る事に…

 

「これは何の肉だい?肉質といい味といい。あたし好みだね。」

 あら、お気に召しました?

 

「そうでしょう?私も気に入っちゃったの!それは恐竜の肉よ!!」

「…なるほどね。だからあの(むすめ)は五日病なんて大昔の病気に罹ったわけか。」

 チョッパーは驚かない。調理する際に恐竜を見た時は驚いていたけどね?

 収納貝から小さい恐竜を取り出し、食べる分だけ切り出して元の大きさに戻す。

 ナミをベットごと大きくした時もそうだけど、チョッパーはすげーすげーと大喜びだった。なんだか、小さいころのルフィを見ている感じ?

 

 

 食事が終わり、チョッパーはナミの容態を診に行った。

 今、この部屋には私とドクトリーヌの二人きり…

 

 

「しかし、イオリが選んだ海賊が、あんな小僧とはね。まぁロジャーの跡目と言えば納得だ。あれもずいぶんとハチャメチャだったからねェ。」

「ロジャーと会った事があるの?」

 知ってるとは思ってたけど、今のは会った事があるみたいな口ぶりだった。

 

「何度か会った事はあるよ。クロッカス坊やが一緒に居たから医師としては診察しただけで何もしちゃいないがね。薬学に関してはあの子は天才だからね。」

 あはは…クロッカスさんが坊やだってさ。

 

「ロジャーの跡目かどうかは置いといて、まぁ見てて頂戴よ。ルフィはこの世界を変えていくの。ううん、ちがうわね。あいつに関わった全ての人達が変わっていくの。一つ一つは小さな変化だけど、それはいずれ大きな変化になって、この世界を変えていくの。」

「…お前さんたち(・・)もだろう?」

「そうね。一助になれればうれしいわ。」

 

「…チョッパーを迎えに来たんだね?」

「ええ、そのつもり。」

 

「要望通り、あの子にはあたしの”医術”の全てを叩き込んでやったよ。まだまだ経験不足だけど、イオリの弟弟子として申し分ないだろうね。」

「フフ…じゃあ、経験は船に乗ったらたっぷりと積んでもらうとするわ!」

 

「一応言っておくよ?あの子は心に傷を負っている。あたしはずいぶん長く一緒に暮らしているから懐いてくれてはいるけど、本当に心を許した相手は、チョッパーに名前を付けたあのヤブだけだからね。」

「自分の事をバケモノだと思ってるんだっけ?」

「ああ…トナカイの仲間からも、人間からも言われ続けたからね。」

 

「不思議よね?同じモノなんてこの世に2つと無いのに…」

「そんな事を考えるヤツも、それが分かるモノもそんなに多くは居ないのさ。それは何もこの世界だけじゃないんだろう?」

「…そうね…」

 元の世界でも、同じだったっけ。自己肯定は何気に難しいのよね。

 人と違うのが当たり前!そう認識できるのはあなたが強いからだと言われてた。逆に、そう言われ続けて病んだこともある。

 心はなかなか難しいわよね。

 

 

「で、その後、向こうの事は何かわかったかい?」

「いいえ…まったく…手がかりも何もないわ。」

「困ったもんだね。あちこち散らばっているお前が何もつかめないなんて…。あたしもいろいろ文献を当ってみたけど何もみつからなかった。前にも言った通り、異世界からの転生者なんてどこにも情報が無いからねェ…」

 ですよね~!

 でも、もし私みたいなのが他にも居たとして、政府とかに知られたら、どこぞの研究機関とかに連れていかれそうだし。そうでなければ不思議ちゃんとか、おかしな子認定されて病院送り。良くて変人扱いされて村八分じゃないかしら?

 言っちゃなんだけど、私の事を受け入れてくれたドクトリーヌが特殊なんだと思うわよ?

 

「言ってたメンバーは?」

船医(チョッパー)が加われば、あとは、船大工と音楽家、それと操舵手かな?まぁ操舵手はいなくても何とかなると思うからあと2人ね。」

 

「あたしとしては、イオリにこの世界(ここ)への未練を残してほしいもんだけどね。」

「未練ならあるわよ? せっかくあなたとも交友を持てたんだし…」

 

「そういえば、そろそろ並んだんじゃないかい?いや、超えたんだったね…」

「17の時に超えてたものね。さらに2年経過したから、私のほうが年上よ?」

「見た目は19の小娘がねェ…」

 

「あら、あなたも十分若いでしょ?しかも隠してる(・・・・)んだし。」

「ヒーッヒッヒッヒッヒ!それが秘訣ってもんさね。」

 私のほうが年上だとは言ったけど、延べ(トータル)年齢がドクトリーヌを越そうとも、私たちの関係に変化は無いと思う。

 一度期に複数の事が出来るから、”経験年数”は確かに多くなるだろうけど、年齢を重ねる事とはなにか違う気がする。

 時代と共に積み重ねていくもの…。それが年齢であるような、そんな気がするのですよ。

 例えば、2時間の映画を2本倍速で見たら、標準速度で見るのとは倍違うわけだけど、時間はどちらも2時間な訳で、それを繰り返したからと言って年齢を多く重ねる事は出来ない。 屁理屈かしら?

 まあ、年寄りと言われたくないという事もあるけどね?

 だから今、私はドクトリーヌの半分の年齢…という感じのほうがいいかなぁ…

 

「ところで、仲間達には言ったのかい?お前さんがいつ消えてもおかしくないって事。」

「…まだ無理ね。」

「言っておいた方が良くないかい?それこそ今日にでも消える可能性だってあるんだろう?」

「……」

 

「あたしは気になってるんだよ。イオリが前に言ってた、『扉を開ける資格』ってヤツがね…。 その『扉』はもしかして…異世界(イオリの元居た世界)へ繋がる扉なんじゃないのかねェ?」

 ドクトリーヌには、トットムジカを取り込んだ際に頭に響いた”声”の事も話している。それについも私ももちろんドクトリーヌもいろいろ調べてみたけれど、手がかりすら見つけられないでいる。

 私に何かしらの変化があったのかも知れないので、エイタには解析を依頼しているけれど、未だに回答を得られていない。

 『資格』というのも気になる。他の何かを得たら、開けれるようになるんだろうか?

 そもそも何の扉かもわからないし、何も手がかりが無いのだからどうしようもないのだけれど…。

 

「…とりあえず、みんなにはそれとなく伝えてみるわ。冗談めかして言っておけば、私が突然消えた時に、『あぁ、あれはこの事だったんだ…』と思ってくれるかもしれないし。」

「あたしが言っても、混乱させるだけだろうから、それがいいだろうね。」

 

 明日の夜には記録が溜まる。

 ウタとシャンクスの約束をマネるわけではないけれど、年1回は、ここにチョッパーを連れて一緒に来る事を約束して、今日はドクトリーヌの部屋で寝る事にした。

 

 

 

 




 ドクトリーヌの若さの秘訣については、原作でも明かされいないので、意味不明な会話になっていますけど…
 どういう事?と聞かれても、答えようが無いので、聞かないで…

 本作では、ドクトリーヌは生命帰還の達人…という事にしています。
 極めて医療知識が高いので、すごい事してるんです。的な…。
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