イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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03-113話:次なる目的地

 巨大な日傘は私が持っている。そして私は徒歩である。

 ラクダに乗ったからといって、砂漠の日差しを受けて進みたくはないのだろう。ナミもマツゲを飛ばさずに、日傘の下を進んでいる。

 これで男どもの文句も少なくなるだろう。そもそも私も歩いているので文句が言える筈もないけどね。

 

「津波が来るぞォ~~~う!!!」

 うがーっ!と、突然ルフィが暴れ出した。

 

「おいおいやっぱりさっきのがマズかったんじゃねェのか!?」

「なんださっきのって……!!」

 ウソップの言葉にサンジが反応してるけど、そういえば、そんな場面がありましたね。幻覚剤の材料になるサボテンだっけ?

 ってか、いつも肉肉言ってる奴が、何でサボテン食うのかな? ほんとトラブルメーカーめ!!

 

 結局、チョッパーが麻酔を射ってくれて、ルフィは寝た。引きずって行くのも面倒なので小さくして持って行く事にする。

 しばらくして、目覚めたルフィを元の大きさに戻したら、みんなにボコボコにされていた。その際、なぜかみんなは覇気をうまく使えており、ルフィはボロボロになったとさ。

 まぁ、仕方あるまい。

 

 そして、ほどなく日は沈み…

 私たちはユバに到着した。かつてのオアシス、しかし現在では荒廃してしまった町に。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 私たちが到着した時、ユバはまさに砂嵐に巻き込まれてる最中だった。 それも、ここまでの道中で遭遇したいくつかの砂嵐よりもよっぽど酷い。町全体がソレで覆われてしまうほどの砂嵐に…

 結構な距離まで地響きが伝わっていた。流石にそんな渦中に入って行くことは出来ないので、収まるまで範囲外にて待機。

 暫くしてやっと入ったユバは、とてもオアシスと呼べるような土地ではなかった。

 水なんてどこにも見当たらないし、木々は枯れてしまっている。オアシスは、完全に砂に飲み込まれていた。

 エルマルと大して変わらない、とゾロが呟いていたけれど、全く以て同感だ。

 そんな中、スコップで地道に穴を掘るおっさんが1人。

 

「旅の人かね? 砂漠は疲れただろう……すまんな、この町は少々枯れている」

 少々どころじゃないでしょう? なんて事は口に出しちゃいけなそうな感じよね?

 おっさんはそりゃあもうフラッフラになりながらも、宿はあるから休んでけと勧めてくれた。

 何ていい人だ。そして、いい人ばかりが苦しむのがこのご時世なのだろうか。

 

 穴掘りは止めずにこちらを振り向くおっさんに対し、ビビがさり気なく顔を隠す。

 そしておっさんはというと、『反乱軍』の単語に眦吊り上げて反応し、激怒しながら物を投げつけてきた。

 どうやら、反乱軍の志願者と勘違いしたらしい。

 けれどそれはカッとなったが故のことで、割合すぐに落ち着いてくれた。そして、爆弾発言を放つ。

 

「あのバカ共なら、もうこの町にはいないぞ!」

 それにみんなは揃って驚いてるけど、そりゃそうだろう。こんな枯れた町に『軍』が駐留出来るはずなんて無いんだから。 おっさんが言うには、正にその通りだったらしい。

 

「反乱軍はカトレアに本拠地を移したんだ……」

「カトレア!?」

 その情報にビビが真っ先に反応する。

 

「どこだビビ、それ近いのか!?」

 

 ……うん?

 つくづく思う。ルフィって本当に腹芸が出来ないヤツだよね。ビビが何のために顔を隠してると思ってるんだ?

 

「ビビ? 今、ビビと……?」

 ほらバレた!

 

「おいおっさん! ビビは王女じゃねェぞ!?」

 ………うん。

 

「お前、ちょっと黙ってようか?」

「ごめんなさい」

 素直でよろしい。え? 私、別に何にもしてないよ?ただ微笑みを向けただけです。もちろん目は笑わずにね。

 私たちがそんな1コマを繰り広げてる間に、おっさんことトトはビビと涙の再会を果たしていた。

 トトは、国王を信じている、反乱軍を止めてくれとビビに訴える。

 反乱軍としてももう体力の限界で追い詰められており、次の攻撃で決着を着ける腹なのだとか。

 

「頼む、ビビちゃん……あのバカ共を止めてくれ!!」

 何とも切実な願いだった。

 

 トトの言う通り、ユバは宿の多い町だった。流石は元・砂漠の交差点。ちゃんとした寝台で寝れそうである。

 何故か、いつの間にか枕投げ大会が始まってたけど、それはともかく、普段なら先陣切って枕投げしてそうなルフィはこの場にいない。さっきフラッと外に出て行ってたから、多分トトの所にいるんだろう。そんな騒がしい中には入らず、私はといえばこの先の展開にいろいろと思考を巡らせていた。

 いつもの如く、トリップしてしまっていたようで、いつの間にか枕投げ大会が終わっていた。ふと気付いたのは泊まってる宿の扉が開いた時だった。

 何故開いたかと思えば、トトが寝こけてるルフィを担いできてたからだ。

 何やってんだ、お前は?……でも、何だかトトも機嫌が良さげというか、微笑ましそうにしてるからよしとしよう。

 私は『どーもすいません』的な感じでルフィを受け取り、ベットに寝せた。既に私以外は全員就寝してるみたいだから、起こさないために声は出さなかったけど、私はそのまま外に出てトトの穴掘りを手伝う事にした。

 体を動かして労働の汗でも流せば、きっとぐっすりと眠れるだろう。

 

 穴掘りに参加させてもらったら、わりとすぐに湿った地層に到達した。

 それを蒸留して水を作り出すのを手伝い終えると、まだ眠くはなってなかったけど特にやることも無かったから大人しくベッドに入った。

 けど、眠くなってないと思ってたのにいざ寝転んでみるとすぐに寝入ってしまえたのだから、何だかんだ言ってもやっぱり砂漠越えの疲労はちょっとずつ溜まっていたのかな。

 

 翌朝。

 トトは小さな水筒1個をルフィに渡した。勿論中には水が入っている。

 

「正真正銘ユバの水だ。すまんね、それだけしかなくて……」

 確かに、元がオアシスだってことを考えればこの水量は悲しいものだろう。

 けど、何もトトが謝らなきゃならないようなことじゃないはずだ。

 ルフィの方も、感動して大事に飲むって言ってる。

 トトとはそのまま別れ、私たちはひとまずカトレアを目指して再び歩き始めた。

 

 そして、ユバが肉眼では見えなくなってきた頃のことだ。突然ルフィが座り込んだ。

 砂漠のど真ん中、1本だけ生えている小さな枯れ木の根元にである。

 

「やめた」

 いっそ、清々しいほど見事に言い切ってくれた。

 

「「は!?」」

 その断言にみんなが驚きの声を上げている。上げなかったのはゾロと私ぐらいだ。

 そして非難囂々。

 

「おいルフィ、お前の気紛れに付き合ってるヒマは無ェんだ!」

 いやいや、それは違うでしょうよ。

 

「気紛れなんかじゃないんでしょ?」

 そう大きな声は出していないのに、私の言葉はしっかりと聞こえていたらしい。揃って振り向かれた。でもまぁ、別に問題は無い。

 

「前々から言ってたもんね。……となると次の目的地は、レインベースかな?」

「レインベース?」

 

「夢の町、レインベース。クロコダイルのいる所。」

 答えると、ルフィは頷いた。

 

「あァ。……ビビ」

 そしてそのまま、困惑顔のビビを見る。

 

「おれはクロコダイルをぶっ飛ばしてェんだよ!」

 うん、それはかなり最初の頃から言ってたよね。

 実際、このままカトレアに行ったとしても、ビビ以外のメンバーには特にやることが無い。

 精々が道中の護衛ぐらいだ。それに、海賊と一緒だという事実が変に広まれば、ビビも誤解されかねない。場合によっては私たちは居ないほうがいいくらいだ。しかも万事上手くいって反乱軍が止まったとしても、それは結局応急処置でしかないわけだ。

 そしたらクロコダイルがまた別の手を打つだけだろうから。

 

 ルフィが淡々とそういう風に言葉を続けると、核心を突くそれにウソップが『ルフィのくせに』って言っていた。

 でもルフィはこうやって、いつも大事なところで、直感で核心をつくんだよね。

 そして話は進み、犠牲が出なければいいという考えを『甘い』と断じ、人は死ぬと言い切ったルフィにビビがキレた。 つまるところ、ルフィを殴り飛ばした。

 

「国王軍も反乱軍も、誰も悪くないのに! 何故誰かが死ななければならないの!? 悪いのはクロコダイルなのに!!」

 ビビの言ってることは道理だ。けれど、1度走り出したものは中々に止まれるものじゃない。

 

「じゃあ、何でお前は命賭けてんだ!!」

 ルフィが起き上がってビビを殴り返したことでウソップとチョッパーがギョッとし、サンジがキレた。

 

「おいルフィ、やり過ぎだ!」

「ルフィ、テメェ!!」

 ウソップとサンジが叫んでいる。

 

「落ち着きなさいよ2人共…!!」

 サンジに関しては何だか飛び出して行きそうな感じがしたから、肩を掴んで止めさせてもらった。

 

「荒療治みたいなものよ。ルフィはちゃんと手加減してるわ」

 頭に血が上ってアドレナリンが回ってる状態ではあるだろうけど、ビビはルフィに殴られてもすぐさま起き上がって馬乗りになって殴りかかっている。そこまでのダメージは負ってないのだ。

 それに、さっきの1発以外は手も出してない。色々と抱え込んで煮詰まった時は、パーッとぶち撒けてしまった方がいい。今のビビもそうだろう。

 自国の町がいくつもダメにされて、悲しくないわけも悔しくないわけもない。

 元々が平和な国だったのならなおさらの事だ。反乱軍を説得しようとしてたのも、不安が無かったわけじゃないはずだ。相当のプレッシャーがあったと思う。それでも昨日、国民(トト)には笑いかけていた。反乱は止めるから、と。

 

「おれ達の命ぐらい、一緒に賭けてみろ! 仲間だろうが!!」

 とうとう堪えきれずにビビは泣きだした。そんなビビの背中をナミが擦る。

 

「本当はお前が1番悔しくて、あいつをぶっ飛ばしてェんだ」

 

 次の目的地が決定した。

 私たちが向かうのはカトレアではなく、レインベースだ。

 

 で、またもや砂漠越えである。丸1日砂漠を歩く事になる。

 

 チョッパーがやる気を出して頑張って自力で歩く根性を魅せる中、

 

「クロコダイルをぶっ飛ばしたら、死ぬほどメシ食わせろ」

 杖に縋り付きながら歩くルフィが、ビビに要求を突き付けている。

 

「うん、約束する!」

 昨日トトに向けていたのとは違う、無理の無い自然な笑みを浮かべながらビビはそれを承諾した。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 所変わって、ここはレインベースの中央に位置する町最大のカジノ、レインディナーズ。

 その一室には今、秘密犯罪結社バロックワークスのオフィサーエージェント(Mr3ペア&Mr5ペアを除く)と社長・副社長が集っていた。

 これまで謎に包まれていた社長の正体が王下七武海の一角、クロコダイルだったことに一同は驚きを隠せない。尤も、予め知っていたミス・オールサンデーのみは別だが。

 クロコダイルは真の目的を部下たちに明かし、アラバスタ乗っ取りのための最終作戦である 『ユートピア作戦』の計画書を各自に配る。

 各々は自分がすべきことが書かれたその1枚の紙切れを読むと、証拠隠滅のため、揃ってその紙を机の上の燭台にかざす。紙切れはあっと言う間に燃えた。

 

「それぞれの任務を貴様らが全うした時、このアラバスタ王国は自ら大破し行き場を失った反乱軍と国王軍は我がバロックワークスの手中に落ちる。一夜にしてこの国は、我らのユートピアとなるわけだ。これがバロックワークス社最後にして最大の『ユートピア作戦』! 失敗は許されん……決行は明朝7時!!」

 

「了解」

「武運を祈る」

 今まさに邪まな計画が発動されようとした、その時である。予想外の乱入者があった。

 

「その『ユートピア作戦』、ちょっと待って欲しいガネ」

 Mr3だった。

 本来ならMr3を始末するよう指令を受けていたMr2が声を荒げたが、Mr3はクロコダイルにのみ視線を向けている。

 一方のクロコダイルはといえば、Mr2がMr3を始末できていないという報告こそ受けてはいたものの、まさか今ここに現れるとは思っておらず、Mr3が現れたその真意を見極めようとしていた。

 そのため、Mr2のことも彼が牽制する。

 その様子は落ち着いたものだったが、Mr3のある知らせを聞いて途端に顔色を変える。

 

「取り逃がしただと!? やつらはまだ生きているのか!?」

 その知らせとは、麦わらの一味と王女ビビを取り逃がしてしまった、という知らせだった。

 

 流石のクロコダイルもこれは無視できないことだった。

 彼の計画は既にほぼ成っており、後は仕上げをするだけ。そこまで来てはいるが、アラバスタ王女であり反乱軍リーダー・コーザの幼馴染でもあるビビならば、それを治めてしまう可能性を持っているのだから。しかもビビは、クロコダイルの正体を知ってしまっている。

 そして話を進める内に、リトルガーデンでクロコダイルからの連絡を受けたのがMr3ではなかった、ということも解った。

 任務を失敗してしまったMr3は慌てて弁解するが、クロコダイルとしては腹の虫がおさまらない。

 Mr3がターゲットを1人も始末できていない、などと言うのだから尚更だ。

 けれどそんな2人の話など、この場で他に理解できる者などミス・オールサンデーしかいない。

 遂にはMr2が痺れを切らした。

 

「0ちゃん!? 何の話をしているのか説明して頂戴!? わけが解らナイわ!」

 それは皆が思ってることだった。表情に困惑が現れてる。

 しかしクロコダイルが事情を明かし、ビビの写真や以前アンラッキーズが書いた海賊たちの似顔絵をミス・オールサンデーに持って来させると、それを見たMr2が何とも言えない間抜けな顔をした。

 

「あちし……遭ったわよ!?」

 その素っ頓狂な声音が、彼(?)の驚きをよく反映している。

 

「こいつらならあちし、ここに来る途中で遭ったわよう!?」

 敵だと言われた海賊たちは、彼(?)が海で小さな友情を育んだ相手だった。

 

「あいつらつまり、敵だったってわけなーのう!?」

 ショックだった。そりゃもう、もの凄く。抱いた友情と比例して、そのショックはより大きくなった。 運命は非情である。

 クロコダイルはMr2の言葉を肯定し、彼(?)が披露したマネマネメモリーを写真に収めるよう指示する。

 アンラッキーズの似顔絵はよく描けているが、やはり絵よりは写真の方がいい。

 それにペットと考えられたチョッパーはともかく、似顔絵には無かった長鼻の男、即ちウソップの顔は特にそうしておく必要があった。

 クロコダイルとしては任務を失敗したMr3はさっさとこの場で処分したい所だったが、もう1つ、聞いておかねばならないことがある。

 

「Mr3……麦わらの一味には1人、顔の解らないヤツがいたはずだ」

「?」

 一瞬Mr3は何を言われたのか解らず首を傾げたが、クロコダイルは構わず続ける。

 

「こいつだ……手配書には写真が載って無ェ、アンラッキーズの似顔絵でも顔はフードに隠されてやがる。こいつには遭ったのか?」

 言ってクロコダイルが投げて寄越したのは、明らかにあり得なさそうな顔の似顔絵での手配書と、フードに因って顔が隠されてしまっている似顔絵(?)だ。それに描かれた人物はどちらも『髪が赤い』という特徴があることから、おそらくは同一人物だろうとクロコダイルは見当を付けていた。

 その2枚の紙を見たMr3は首を傾げた。

 

「これは誰だガネ?私は会っていないガネ!」

「……」

 クロコダイルはMr3を観察したが、ウソは言ってはいないと判断した。ならばコイツに用は無い。

 しかし…と、クロコダイルは考え込む。

 手配書は写真ではなく似てないであろう似顔絵だ。アンラッキーズにも顔を晒さず、Mr3もMr2も会っていない。こいつは顔を隠している? 一体なんの為に?

 まさか、この為だというわけでもないだろうが…

 

「あちしは会ってないわよーう!? 何、他にもいたの!?」

 イオリと顔を合わせていないMr2が目を丸くする。

 

「………もういい」

 Mr3は会ってもいないし、見てもいないのだろう。クロコダイルはそう見切りをつけ、溜息を吐いた。その言葉に、Mr3はハッと頭を上げた。

 

「し、しかし! 今度こそこいつらは私がこの手で仕留め」

「黙れ、間抜け野郎!! Mr3!おれが何故、テメェにこの地位を与えていたか解るか!? 戦闘の実力ならMr4にも劣るお前にだ!」

 クロコダイルに首を掴まれて持ち上げられながら、Mr3は苦痛に顔をゆがめる。

 同時に、彼からはどんどんと体内の水分が失われていく。

 

「姑息かつ卑劣なまでの、貴様の任務遂行に対する執念を買っていたからだ!」

 その言葉に、Mr3は苦しみの中絶望する。自分は任務遂行が出来なかった。

 クロコダイルはMr3からあらかたの水分を奪うと、ミイラに等しい状態になった男を床に放り投げた。

 

「み、水……水……」

 生存本能に従い、Mr3の口からはその要望が出る。だが、クロコダイルはMr3を許す気は毛頭無かった。

 

「水なら好きなだけ飲め……」

 言うや、1つのボタンを押す。それは、対象を階下に落とす仕掛けを作動させるボタン。対象は勿論、Mr3。

 

「ぎゃああああああああああああああ!!!」

 Mr3の落ちた先は、バナナワニのいる水槽。普段のMr3ならば対処出来たかもしれない相手だが、今の弱り切った彼に成す術は無く、パクッと丸呑みにされてしまった。

 そんなMr3のことなどクロコダイルはさっさと忘れ去り、他のメンバーに向き直る。

 

「いいかテメェら。この6人、目に焼き付けておけ……1人は顔が解らねェが」

 ある意味不気味である。手配書、似顔絵、Mr3、その上Mr2とも遭っていない……

 ここまで重なると偶然と言うよりもむしろ、わざと顔を隠しているとしか思えない。

 まぁ、Mr2の能力を知っていたとは思えないから、考え過ぎだろうと思うが。

 

 とはいえ、ビビに関してはその立場・人脈から厄介だと思うがその他はただのルーキー、つまり小者だ。 そこまで躍起になる必要は無いかと考え、話を進める。

 何年もかけてやっとここまで来た計画である。ぶち壊しにされては堪らない。

 クロコダイルは、本来なら盗聴の危険があるために多用しない電伝虫の使用も許可し、

 ミス・オールサンデーにビリオンズへ指示を出すよう言い付ける。

 

「王女と海賊を決してカトレアに入れるな! ビビとコーザは絶対に会わせちゃならねェ!!」

「はい……すぐに」

 ミス・オールサンデーはすぐに動き出す。それを確認したクロコダイルは、今度は他の面々に指示を与える。

 

「さぁ、お前らも行け……おれ達のユートピアはすぐそこだ。もうこれ以上のトラブルはごめんだぜ?」

 

 ユートピア作戦が、始まろうとしていた。

 

 

 

 

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