イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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03-118話:交渉(ニコ・ロビン)

「おい!!もしかしてこのまま走ってアルバーナへ行くなんてことねェよな!!」

 スモーカーから逃れた(?)後、私たちはアルバーナ方面へ走っていた。

 

 ルフィとウソップを起こしたり、スモーカーとなんやかやとやっている間に、チョッパーとエルが居なくなっていた。

 サンジに聞くと、エロラクダがアラバスタまでの足を用意するとか、言っていたらしく、合流しに行ったみたい。

 って事は、サンジはまだ見てないのかな?ヒッコシクラブ…。

 

「そうだ”マツゲ”!!”マツゲ”はどこに行ったの!?」

 ナミがようやく気付いたらしい。すぐにチョッパーの声がする。

 

「あっ!!いたぞ!!! おーい!!! みんな~~!!」

 どどーん!!と効果音をあげながら、チョッパーが乗った、巨大なカニが現れた。エルとマツゲも一緒に上に乗っている。

 

「カニ!!!?」

 ウソップが驚いてる。ビビもビックリしたらしい。このカニは"ヒッコシクラブ”と言って、ほとんど姿を見せない幻のカニなんだと説明している。

 うまそー!!とか言ってるルフィは、無視だ無視!!

 

 どうやらこのカニは”マツゲ”の友達らしい。とんでもないラクダを拾ったもんだ。

 ラクダとカニにどんな接点があるのかは知らんが…

 

 カニの背?頭?にはコケのようなものが生えていて、絨毯のような踏み心地だった。これなら座ってても滑って落ちる事もなさそうだ。

 

「よーし、行いくぞーッ!!! 出発!!」

 全員が乗ったところで、チョッパーが出発の合図を出した。

 

 原作ではここでビビが拐われそうになり、ルフィが食い止めるという場面。

 だけど既にクロコダイルはアルバーナに向かっている。ルフィが初めて負ける場面は、一旦お預けという事だ。さて…2度目は防げるかしらね?

 そして、ここには無傷のペルもいる。何事も無く私たちはカニに乗ってアルバーナへと向かうのだった。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 ニコ・ロビンとクロコダイルはレインベースからアルバーナの直線上、サンドラ河を渡って少ししたところにある小さな岩場に居た。

 クロコダイルはロビンが何故、先にアルバーナに向かっていたのか疑問に思ってはいたが、ロビンが気まぐれなのはいつもの事だ。

 ロビンと合流したクロコダイルは、電伝虫で集合場所にいるオフィサーエージェントに連絡を入れさせた。ビビ抹殺の指令をする為だが、ここでクロコダイルはユートピア作戦が開始されていなかったことを知る。

 

「…なんだと? おれは7時に作戦開始と伝えたはずだが?」

『”放送”は7時前から流れてた。あんたが『頃合いだ』と言って作戦内容を話し出したのが10分前だ。』

 Mr.1がそう告げる。

 

「!!?」

 ミス・メリークリスマスが後ろで愚痴を言っているのが聞こえる。

 国王の護衛が強化された為に、コッソリと誘拐する事が出来ずに諦めたらしい。

 強引に誘拐する事は出来ただろうが、作戦上それでは意味がない。

 

「…」

 持っている時計を眺めるロビン。

 

「そいつをよこせっ!!」

 ロビンの時計を取り上げ、自分の時計と見比べる。

 

「…10分、進んでやがる…!?」

 目を細めてクロコダイルはつぶやいた。

 

 彼等に作戦を伝えた時に、時刻合わせは行った。放送が流れたという時から既に1時間以上が経過している。

 未だに10分違いという事は、時計が壊れているという事でもないだろう。

 

 時計はポケットに入れていた。誰かが細工できるというものでもない。 いや…

 この女ならあるいは可能か? ポケットの中に手を咲かせて時計を進めることが。

 

 クロコダイルは一瞬、横目で隣に立つミス・オールサンデーを睨んだ。が、すぐに視線をそらす。

 上着のポケットならまだしも、ボトムスに入れていたのだ。そんな事をされれば気づかぬはずがない。 だとすれば・・・

 

「…あのクソガキか…?」

 確証はない。だがヤツがやったのならば、地下室で一味が悔しさを口にしている中、ただ一人、ヤツだけが落ち着き払っていたことにも合点がいく。

 何故、あの時不思議に思わなかったのか?

 あの緊迫した雰囲気の中、ヤツは悠長に料理を食らっていたではないか…。

 

 どのように細工をしたのかは分からない。しかしクロコダイルはほとんど確信していた。

 もしかすると、ヤツも何かの能力者なのかもしれない。と…。

 

 ともかく…小規模になってしまったものの反乱軍は動き出した。ビビ王女を亡き者にすれば、まだ作戦の修復は可能だろう。ヤツらはまだ生きている。

 麦わらの一味がレインディナーズから脱出した事は、レインベースのピニオンズから連絡があったとロビンから先程聞いた。

 ならば必ず反乱軍を止めに来るに違いない。

 

「…ビビ王女は、反乱軍本隊を止めに来る。必ず仕留めろ!」

 クロコダイルはオフィサーエージェント達にそう告げた。

 

 

--- * --- * --- * ---

<ニコ・ロビンとの交渉>

 

 ~ レインディナーズにビビと一緒に向かう前 ~

 

 店の外に出て、私たちは人通りの少ない路地を歩いている。

 

「私にしか出来ない事って?」

「いくつかあるんだけどね?もちろんタダでお願いしようとは思ってないわよ? これなんだけど…」

 言って私はポケットから一枚の写真を取り出す。これはそう。数年前に、ユナが撮影しておいてくれたユバの手前にある地下遺跡に置いてあった、ある石の写真である。

 

「!!?」

 ビックリしたロビンをよそに、私は出した写真を一旦引っ込めた。

 

「港からここに来るまでの間に地下遺跡があるの。これはそこに置いてあった石の写真。興味あるでしょ?」

 

「…あなたは私がそれを探しているって事も知ってるんでしょ? そうよ。私はそれに興味があるわ。 それで? お願いっていうのは何? …そのお願いを聞いてあげたら、それをもらえるのかしら?」

「もちろん。お願いを聞いてもらえたらこれはあなたに渡すつもりよ?お願いっていうのはね…」

 

 私はまず、これからカジノで一騒動起こすから、カジノにいる人を外にだしてもらうようにお願いした。もちろんその後に客が入ってこないようにしてもらう事も含めてだ。

 

「気にしなければいいじゃない。彼等の命を守ってあなた達に何の得があるの?」

 海賊のくせに…という枕詞をつけるように呆れた顔で私のことを見るロビン。なにを甘いことをとでも言いたげだ。

 でもさ…

 

「損得の問題じゃないわ。私たちはピースメインの海賊なのよ。もちろん海賊だから海軍からすれば無法者、悪党ってことになるんだろうけど、関係無い人を巻き込むのは本意じゃないの。」

「……」

 ロビンは私の言葉の意味を考えているのか、探る様な視線を向けてくる。でも本心だからしかたがない。海賊って事になってるし、自分でも海賊だって言ってますけど、気持ちとしては私は『自由な冒険者』なのよね。だからかもしれないけど、むやみやたらと一般の人に迷惑を掛けようとは思わない。戦闘で巻き添えにしちゃうことはあるかも知れないけど、少なくとも私たちが故意に攻撃するなんて事はしないし、させないつもりでいる。

 

 二つ目のお願いは、オフィサーエージェントの情報(Mr1、Mr2、Mr4の情報)だ。

 原作知識で知っているけど、情報を得たという事実は必要なのです。面倒だけどこれはやっておかないといけない。

 得られた情報は…

 

 ・Mr1:ダズ・ボーネス(殺し屋、懸賞金4090万) スパスパの実 全身刃物

 ・パートナー:ミス・ダブルフィンガー トゲトゲの実 体中のどこからでも棘が出せる

 

 ・Mr2:マネマネの実 物まね おカマ拳法の達人(武闘家)。

 

 ・Mr4:怪力 4番バッター 爆弾を出す生きた銃を持っている。

 ・パートナー:ミス・メリークリスマス モグモグの実 モグラ人間

 

 と、いうものだった。

 

 3つ目はクロコダイルが企んでいる乗っ取り計画の開始時間の確認。それは7時開始ということだった。

 ぶっちゃけた事を言うと、情報を得るのは話を振ってロビンが頭に思い描いた事を読めば済む話だったんだけどね?

 

「あぁ、それと、7時になる前に面白いことが起こるから、それまでレインディナーズに入らないでほしいのよね。場合によってはそれを理由にアルバーナに先に向かってもいいと思うわよ?」

「…なにをする気?」

 

「ナ・イ・ショ。楽しみにしてて頂戴よ!きっと先にアルバーナに向かっても責められないと思うから!」

 

「……わかったわ。じゃぁ、これはもらっていくわね?」

 私の渡した写真を人差し指と中指ではさみ、ロビンが言う。

 

「うん、これで交渉成立って事で!!それの本体の場所が知りたかったら、いつでもいいから聞いてくれていいわよ? それと…」

 

 私はおどけた感じで言った後に、真剣な顔をしてロビンの顔を覗きこむ。ロビンはまだ何かあるのかと困惑顔だ。

 

「私はきっと、あなたの夢の ”味方” になれると思うわよ?」

「!!?」

 目を丸くして驚いた顔になったロビンを残し……、

 

「それじゃ、よろしくね!」

 私はビビを探すために街の中へと掛け出した。

 

 

 

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