カニに乗っての移動中、私はレインベースでのロビンとの交渉について話しをした。
「これからアルバーナでの決戦になるわ。…で、さっきはスモーカーが居たから話せなかったんだけど、カジノに誰も居なかったのは、ミス・オールサンデーにお願いしたからなのよ。」
「「やっぱりね…」」
ナミとビビが顔を見合わせてつぶやいている。
「言っておくけど、彼女は知り合いってわけじゃないわよ?少なからず彼女には興味を持っているから、経歴については詳しいけどね。」
「でも、どうやってお願いしたの?」
ビビが呆れたように嘆息しながら聞いて来た。私は頷いて話しを続ける事にする。
「実は、以前アラバスタに来た時に、砂漠で遺跡を見つけたの。そこであるモノを見つけて、写真を撮っておいたのよ」
「あるモノって?」
「『
「それって…!!?」
「世界政府が、解読する事はもちろん、探す事すら禁じている石…」
ほんとうに、なんでそんな事をしちゃうかね?しかも理由付けに『古代兵器の復活の阻止』とか言っちゃって…。逆に興味を持たせてどうすんねん?って感じ。 たぶん、やったの『
「彼女がずっと探してるモノだからね。それを渡す事を交換条件に、いくつかお願いを聞いてもらったってワケ。」
「いくつか? ってことは、他にもあんのか?」
こういう時に疑問を呈してくるのはいつもウソップだ。ルフィと一緒に遊んでなければ、レインディナーズで捕らわれた場所がどこだかきちんと把握できてただろうにね。
「クロコダイルが国捕りの為に何かしら企んでいるだろうってことは分かってたからね、その作戦が開始される時間と、ビビからも得られなかったオフィサーエージェントの情報を教えてもらったのよ。」
「作戦開始時間なんて聞いてどうすんだよ。なんか意味でもあんのか?」
「大有りよ。開始前に作戦が暴露されれば大規模な反乱は防げるでしょう?作戦そのものの実行さえも阻止”できた”はずよ?」
「何いってんの?アイツが『頃合いだ』って言った時には作戦が開始されてたんでしょ?だったら…」
「いいえ、暴露大会が始まったのは作戦開始10分前よ!」
「「はぁ!!?」」
さて、ここで私の
「クロコダイルの時計を10分くらい進ませておいたのよ。こんな感じでね。」
私は時計を取り出して、時間を進めてみせた。
目をパチクリとさせているビビとナミ。ウソップは何かのトリックだろうって言ってるけど…
「トリックじゃないわよ。そうねぇ…こうすれば信じてくれる?」
私はウソップを持ち上げた。手じゃなく念動力で。
「「!!?」」
「うわっ、何だぁ!? おい、ヤメろ~!!」
ドスンという音を立てて尻もちをつくウソップ。
「お、おま、おまえ…な、なにす…何すだぁぁ~~!!?」
大丈夫?顔が真っ青になってるけど? って私がいけないのよね。
「ごめんごめん。ちょっと脅かしすぎちゃった?」
さすがにやり過ぎた。ウソップの目が怯えてる。
「す…すっげェ~、イオリ、おめェそんな事出来たのかァ!!?」
ウソップとは真逆に、ルフィがキラキラと目を輝かせてる。
場合によっては、みんなは私の事を恐れたかもしれない。けど、”すげぇ~”の一言でこんなにも雰囲気って変わるもんなのね?
ちょっとルフィに感謝だわ。
ちなみにチョッパーも目をキラキラさせてた。
とりあえず説明はしておきましょうか。
「これは念動力よ。悪魔の実の能力でも訓練で身につけたものでもないわ。持って生まれた、超能力ってやつね。でもこれ、普通に物を持ち上げるよりも倍の体力を使うのよ。そういう意味ではあまり使い道のない能力なんだけど、今回は役に立ったわ。そのおかげで奴らの作戦は潰せたと思うし、反乱の規模も小さくなったと思うからね。」
「な、なによ。その言い方じゃ、まるでまだ、反乱は起こるみたいじゃない。」
「起こるわよ。」
「「!!?」」
みんなが驚いた顔をする。放送はちゃんと流れていたのだから反乱軍が止まると考えるのは無理のない事だ。
けどね…
「反乱軍には70万もの人がいるんだもの、あの放送をそのまま受け入れられない人だっていると思うわ。ナミならわかるんじゃない? 干ばつに、”長い
「あっ」
そう、ナミならわかるだろう。長い間苦しめられていた人達の気持ちがね。
故郷でのナミ自身の行動が証明している。
とりあえず1億ベリーを用意しようって事になったのは気持ちの問題だったわけだし…
国王軍を打倒しようと、何年も頑張って来た人達があんな短い放送を聞いただけで、それが間違いだったと認めるのにはかなりの勇気と覚悟が必要だ。
そもそも放送がウソだという可能性もあるわけで…
「だから、反乱軍は『止まれない』。少なくとも”
「……」
今やビビの存在はこれまで以上に、今起きてる反乱を止める大きなカギとなっている。
ビビがコーザと接触する事で反乱軍本隊は止まるだろう。でもそれは一時しのぎでしかない。
「ビビがアルバーナに姿を現して、あの放送が真実だと伝えること。ルフィが黒幕のクロコダイルをぶっ飛ばすこと。その2つを成す事で今回の騒動は終息するの。どちらかが欠けても後に火種を残すことになる。」
みんなが神妙は顔で頷く。ここからが正念場だ。
実際はもう一つ重要な事があるんだけど、普通ならどうにもならない事なので、それは言わないでおく。
「だから、これからの敵が起こす行動としては…」
①オフィサーエージェントによってビビを殺害する。
②ビビとリーダーの接触を阻止する。 ← 国王軍の砲撃によって土煙を発生させるとか…
③リーダーを殺害する。
という事が考えられる。…なので、こちらはその動きに対応する。
「サンドラ河を渡ったところまでカルーが超カルガモ部隊を引き連れて迎えに来る手はずになってるわ。まずは彼らに乗ってアルバーナ付近まで移動する。」
※レインベースを出てすぐに、ビビにアラバスタ城に電伝虫をかけてもらって依頼した。
①対策としては、オフィサーエージェントをビビに近づけさせない事。
相手は3ペア?なので、こちらも3ペアを組む。もちろんその3ペアの中にビビは入れない。
私の存在はバレてるけど、サンジの存在はヤツらに知られてない。
だから”6人”で行って、そこに王女が居ると思わせる。
ゾロ・ナミ、 ウソップ・チョッパー、 サンジ・私の3ペアで行く。
Mr1は「スパスパの実」の能力者で全身刃物の殺し屋:ダズ・ボーネス。
パートナーはミス・ダブルフィンガー。「トゲトゲの実」の能力者。
ここにはゾロとナミのペアで。
Mr4は能力者じゃないらしいけど、巨大なバットを振り回す怪力の大男。爆弾を吐き出す銃を持っている。
パートナーはミス・メリークリスマス。Mr4の母親で「モグモグの実」(モグラ)の能力者。
ここにはウソップとチョッパーのペア。
Mr2は「マネマネの実」の能力者。サンジと私以外は会ってるんだろうけど、ヤツはオカマ拳法を使うらしい。
ここには、サンジと私のペア。
「ただしMr2は一人だから、相手を分断したら私はちょっと別行動させてもらうわ。」
「イオリ、こんな時に別行動って…、あんたまさか、略奪でもする気?」
ジト目でナミが私の事を見た。あのねェ…
ナミには能力者を相手にしてもらおうとしてるから、それに対しての文句だったらいくらでも聞くつもりだったのに…
「んなわけあるかぁ!」
全力で否定させていただきました。
「反乱軍の本隊はナノハナからアルバーナに向かってるけど、反乱軍は他からだって集まってくるのよ?いくら数が少なくなったからって、集まればそれなりの戦力になる。反乱軍本隊と合流したらどんなことになるかわからないから、私はそれらを阻止してまわろうと思ってるのよ!!」
「そんなに怒らなくたっていいじゃない。悪かったわよ。でも、いつものイオリの行動がそう思わせたんだからね?」
ちょっと怒った感じで言ったからか、ナミが謝ってくれた。謝り方がちょっとあれだけど、まぁいいや。
「それよりイオリあんた、何気にいつも一番面倒で大変なこと、一人で背負い込んでない?…ムリしてないなら、別にいいけど…」
「心配してくれてありがと。大丈夫よ。たぶんね…。でも、私のことよりナミの方が心配なんだけど?能力者を相手にしてもらう事になるけど大丈夫?」
ナミの心遣いはありがたい。けど、ナミだって大変なんだからね?なにせ新しい武器での初めての戦闘なんだから。
「たぶんって…もういいわ。なら、あたしもなんとかするわよ!」
うん。がんばってねナミ。
言わないけど、私にはもう一つやりたいことがある。 アラバスタ全土に雨を降らせる事だ。
原作では、クロコダイル討伐直後に振り出した雨がヒートアップした人々の気を鎮めていた。
そしてその雨は数日に渡って降り続いた。でも今は雨季じゃないのよね。原作通りになるとは限らない。雨が降らなければ反乱が再燃する可能性だってある。そうでなくてもバロックワークスの社員がなにかやらかすだろうし… だから、雨は必要なのだ。なんとかしなきゃ…
「次に、私たちを追ってオフィサーエージェントがいなくなったら、ビビはカルーと移動して、反乱軍の進路で待ち構えるの。 ビビの話からすると、リーダーのコーザっていう人は先陣にいるんだろうから、接触して反乱軍を止めて頂戴。ただし、そこで②が発生すると思うから…」
反乱軍の進路に入ったら、一度カルーから降りて反乱軍を待ち構える。そして、リーダーを視認出来たら彼らを止めるような事をなんでもいいから大声で叫んでほしい。
そうしたら、恐らく国王軍からビビと反乱軍の間に砲弾が打ち込まれると思う。爆煙で二人の接触を阻止するためにね。 その場にいたらリーダーは通り過ぎちゃうから、砲弾が打ち込まれたらビビはカルーに飛び乗って城に向かって走る。 つまり反乱軍と併走するの! スピードは少し控えめでね。
併走すればリーダーを捕まえるのは簡単だと思うわよ? 向こうだって気づくだろうし…。
「リーダーの周りにもバロックワークスの社員がいるかもしれないから。十分気をつけて!!」
「えぇ、わかったわ。」
「なんで、砲撃は国王軍からだってわかるんだ?」
ゾロとウソップが疑問を口にする。ちゃんと答えておこうかな…
「反乱軍は”国王軍”を倒したいのよ。進行方向に女の子が一人いたからって砲撃なんてしないでしょ? 一方で国王軍は反乱軍を止めようとするわけだから反乱軍に向かって砲撃するのは普通の事。ただし、国王軍だって女の子目掛けて砲弾を撃ち込むなんてことは”出来ない”から、バロックワークスとしては接触を阻止するために二人の間に砲弾を打ち込むことになる。」
「…なるほどな」
「それと…」
私は、反乱軍が再び動き出す可能性について話した。つまり、ビビが反乱軍本隊と接触して、その進軍を止める事が出来たとしても、それは一時しのぎでしか無いと言ったのだ。
主力である反乱軍本隊には当然バロックワークスの工作員も大勢入り込んでる。放送で思いとどまった人の中にヤツらはいない。と言うことは必然的にその比率は高まっている事になる。つまり…リーダーが居なくなったらどんな行動を起こすかわからないという事だ!
反乱軍本隊が止まったら、ビビとコーザには王宮に向かってもらおうと思っている。矛盾する事だけど、リーダーがその場に留まる事は良くないと私は言った。
「リーダーが居なくなったら反乱軍がまた動き出しちゃうかも知れないんでしょ?どうして…」
「リーダーが死んだら、二度と反乱軍を止められなくなるからよ。」
ビビの言葉を遮って、私は理由を述べた。
「その場にリーダーを残したらどうなるか考えてみてよ。リーダーを殺害するなんて簡単なのよ? 言ったでしょ?工作員が大勢紛れ込んでるって。国王軍が紛れ込んでたって事にして、銃でも乱射すれば一発じゃない!」
「「!!?」」
「…あいかわらず、サラっとトンでもねェことを…」
ウソップ…だからその外道を見るような目で見んのヤメてくんないかな?
「…と、とにかく、少なくとも、この騒動が終わるまでは、ビビとリーダーには無事でいてもらわなきゃならないの。だから指示通りにしてほしいのよ。王宮までの道のりだって油断できないから、抜け道とかがあるんならそれを使ってもらいたいな?」
「…うん。わかった。」
「なぁイオリ。おれはどうすんだ?」
自分の名前が出てこないので、しびれを切らしたようにルフィが聞いてきた。でも、忘れてたわけじゃないわよ?
「ルフィはペルさんと一緒に城の方に向かってほしい。そして、上空で大声で叫んで頂戴。そこにルフィが居るってオフィサーエージェントに分かるようにね。そうすれば6人の中にビビがいるはずだと思ってもらえる。 それであんたはクロコダイルをぶっ飛ばせ。」
「おう、わかった! まかせろっ!!」
「それはかまわないが…しかし、クロコダイルがどこにいるのか分らないぞ?」
ペルさんが疑問を口にする。勝手に決めちゃったけど、とりあえずルフィと一緒に行くのは了承してくれたみたいね。
「子電伝虫、持ってってよ。クロコダイルの位置については私が指示するから。恐らくクロコダイルペアの行き先はコブラ王のところだと思うけど、さすがにその時どういう状況になってるかなんて分らないからね。」
「君が指示を?その時クロコダイルが何処にいるのか分るのか?」
「あー、ごめん。言い忘れてたけど、私は覇気ってものが使えてね。意識を集中すれば、ここからだってクロコダイルがアルバーナのどの辺にいるのか感じることが出来るのよ。そうねぇ…今はアルバーナの南西20Kmあたりにいるわ。その近くにもう一人知った気配がある。これはミス・オールサンデーだと思うわ。」
「君は…見聞色の覇気が使えるのか!?…なるほど… わかった。指示を頼む。」
へぇ…。覇気の事を知ってらっしゃる。それはよかった。助かったよ、説明の手間が省けて。
「そうそう、言い忘れるところだった…。ルフィ、クロコダイルって何の能力者だっけ?」
「ん?…砂人間だ!!」
「そう、自然系スナスナの実を食べた砂人間。まだルフィは武装色が思うように使えないから、スモーカーと同じように奴に有効打を撃てないでしょ?」
「…」
「そこでなんだけど、…ほい。」
「なんだこれ、砂か?」
私は砂の入った箱を下に置き、念動力でルフィの目の前に砂を浮かべた。砂塵の状態だ。
「この砂を殴ってみなさいよ。」
「おう! ゴムゴムの~銃ピストル~~っ!!!」
そこは普通に拳を突き出しゃいいのにね? まぁ、ルフィだから仕方ないか…
「…ダメだ、手ごたえがねェ」
「このままじゃ、砂(クロコダイル)にダメージは与えられない。だから、こうして…」
砂を箱に戻して水をかける。そして念動力で再び持ち上げる。
「…さっきとだいぶ違うな。固まってんじゃん!!」
「でしょ? これなら殴れるんじゃない?」
きょとんとするルフィ。しばらくしてポンっと手を叩いた。
「―!! そうかっ!!! 砂は水で固まるんだな?」
「ヤツが砂に変わる前なら、手が濡れてれば殴れると思うわよ? 水樽、一個持ってきなさい。ただし油断はしないでよ? スナスナの実の能力が砂になるだけとは思えないからね。」
「あぁ、わかった。クロコダイル、ぶっ飛ばしてやるっ!!!」
…おまえ、ほんとに返事だけは良いよな? ちゃんと話聞いてないだろうけど…
まぁ、弱点は教えたし、あとは自分でなんとかするっしょ!
「その、ダズ・ボーネスってェのは強ェのか?」
「…コイツよ。」
ゾロが聞いてきたので、私は、手配書を取り出した。賞金稼ぎだったはずだけど、なぜかこいつには手配書があった。 殺し屋って異名だったからだろうか?
「懸賞金は4500万。 全身刃物人間って言ったけど、それはすなわち全身鋼鉄の硬度って事よ?」
「…鉄が切れなきゃ、勝てねェってことか…」
「そうね。お望みの相手なんじゃない?」
「…まぁな」
Mr3との戦いの後、ゾロは鉄を切れるようにと稽古を重ねている。
『イオリ。おめェは切れんのかよ。』
鍛錬場にて、鉄柱を前にゾロが聞いてきた。
『うん。切れるわよ?』
『なにっ!!?』
稽古用の剣を手にとって、私が鉄を切ってみせる。
『ほらね?』
『…』
ゾロはなんだか不機嫌そうに、切られた鉄と剣を交互に見ていた。
『あんただって切れるはずよ? それだけの力はとっくについてるんだからね。あとはコツさえ掴めば簡単よ?』
『そのコツってのがわかんねェんだよ!!それを教わるわけにはいかねェのか?』
『…コツはコツだからねぇ…口で言って伝わるなら苦労は無いわ。こればっかりは自分で体得するしかないと思うわよ?』
『…』
『まぁ、ゾロの場合、実戦でそういう場面に出会うのが一番だろうけどね?』
望んでいた場面に出会えそうな事もあって、ゾロは何だか嬉しそうだ。…大怪我しないで頂戴よ?
~ ~ ~ ~ ~
ハサミ(ナミが命名したヒッコシクラブの名前)に乗って移動中の事…
「イオリ… あんたさっからずっと難しそうな顔してるけど、大丈夫なの?まさか、具合が悪いとかじゃないわよね?」
「そうなのか?」
ナミが心配してくれて、チョッパーまでもが反応してくれっちゃってるけどさ…
確かに意識を集中しないと難しい事をやっているので、難しい顔になっちゃってるかもだけど、やってる事は言えないのよね?
さすがに、上に居る人達に気づかれず、移動させるのには神経を使いますよ。でもまぁ、結構近くに居てくれて助かった。
「ごめんごめん。別に具合が悪いわけじゃなくて、いろいろ考え事をしてただけ。これからやらなきゃならない事が山積みなんだもの…」
ぶっちゃけて言えば、アラバスタ以後の事も考えると頭が痛くなってくる。
「もう、びっくりさせないでよね。考えなきゃならない事があるなら、私にも言って頂戴よ? 頼りにならないかもしれないけど、意見くらいは言えるから…」
「うん。ありがとう!」
~ ~ ~ ~ ~
レインベースを出発してから2時間ちょっとが経過した。
私たちはサンドラ河の近くまで来ていた。
「何!!? このカニで河は渡れねぇのか!!?」
ガボーン!!という効果音を背負いながらウソップの変顔が炸裂している。
「”ヒッコシクラブ”は… 砂漠の生き物だから…!! 水は苦手なのよっ!!」
ビビが説明してるけど…
「でもカニだろうがカニ!! なんとかしろっ!!」
ウソップの気持ちはわかる。いつも”勇敢なる海の戦士”って事で無理難題押し付けられてるもんね? 押し付けてるのはほとんど私のような気もするが…
「この海みてェに広い河をのん気に泳いでたら日が暮れちまうぞ!!」
ビビの書いた地図の現在位置を指差しながらウソップが続ける。
「それに見ろ!!河を越えたらまた何十Kmも砂漠がある!! このカニが向こう岸に行けなきゃその先……」
そこまで言って、ウソップが私を見た。
「あっ、向こう岸まで行けりゃ、足はあるのか…。イオリ! カルーとその仲間が来るんだったよな?」
「そのはずよ。でも、向こう岸までは何とかしないとね? 何せ、サンドラ河はこの辺だと40Kmくらいはあるはずだから…」
「えぇ、そうよ。以前に比べれば狭くなったとはいえ、イオリさんの言うとおり40kmはあると思うわ。」
「なんだと~!!どうすんだよ、そんなに泳げねェぞ。しかもウチにはカナヅチが3人もいるんだからな。」
3人って、私も入ってるのか? そういやレインディナーズでは運んでもらったんだっけ…。
そんな事を考えてたらナミが何か思いついたようだ。
「そうだわ、イオリ。あんたがハサミの事飛ばせばいいのよ。さっきの念動力ってやつで!」
― おぉっ!!その手があった!! ―
あ~そうだね…確かにいいアイデアに思えるよね。でもさ…
「ナミ、私の言ったこと聞いてた?普通に物を持ち上げるよりも倍の体力使うんだって。そんな事をするくらいなら、このカニ持って剃刀で移動するほうがよっぽど楽よ!それよりも、向こう岸でカニは必要ないんだから、みんなを小さくして剃刀で移動したほうがいいと思うんだけど?」
― あぁ、その手もあった… ―
なんだろ…本当に私って、戦闘以外でいろいろ使える便利人間みたいよね?
しかし、何気にサンドラ
「がう!」
「イオリ!エルが私の事忘れてないかって!!」
エルがチョッパーに通訳を頼んだらしい。
「うん?」
「みんなを小さくして背中に乗れば?って言ってるぞ?」
「あっ!!そうよ!!エルは海の上を走れるんだもん、川だって同じよね?」
ナミが思い出したようにつぶやく。
「そうか!!でも大丈夫なの?」
「がうがう!」
「役に立ちたいってさ。」
「わかったわ。じゃあ、よろしく頼むわね。」
私たちは河岸でハサミと別れ、エルに乗って河を横断したのだった。
よくよく考えてみればペルがいるんだから飛んで渡るって手もあったのよね?
注:レインベースから、ペルに乗って移動しなかったのは、今朝早くにアルバーナを出立して動きっぱなしのペルをアルバーナまでは休んでもらおうと思ったからでした。さすがに他の組織の人を使い倒すような策は立てられないので…
念のため…
仲間からさんざんな事を言われていますが、イオリはそんなにブラックじゃありません。
ただ、時々キレて、