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実は少し前に、マキノさんの店にピアノを置かせてもらった。というかあげた。
なぜかって?演奏したかったからよ。
パンゲア城で(カノンが)弾いてますよ?だって才能もらってたから。せっかくなので弾いてみたらもうね…
部屋にいる人たちには驚かれ、楽団の人からは凄いと言われ、極めつけには五老星が泣いていた。
才能が溢れてるとか言って泣いていた。
うん、まあそれはそれで賞賛として受け取れるけど気持ち的には引きますよ?
なので普通のというか、軽い拍手的なものをもらいたくてですね。
それで置かせてもらったの。
― パチバチパチ… ―
ウタの歌が終わると、誰も居ないと思っていた海岸に拍手が響いた。
「!」
私の後ろには船がある。航海術の練習用だけど、船室もあり遠出も可能。場合によってはこれで船出する事になるかもしれない。
「…」
「…」
何度目でしょうか、このシチュエーションは?ウタが何に驚いているかはわかってる。でもここで疲れた顔を見せてはいけない。彼女がこの顔に驚いている事を知っているのはおかしいからだ。ここは冷静に対処しないとまずいわね。
「ごめんね。驚かせちゃった?」
ウタが目をパチクリとさせている。
「歌がうまいのね。聞き入っちゃったわ!」
「あ、ありがとう?」
ウタの返事が疑問形なのはしかたないかな。私ったら怪しいもんね?
「あっ!もしかして、あなたがイオリさん?」
おぉ、ルフィと友達になっていたことがここで生きてくるなんて!いろいろと種は巻いておくものね。私は少し驚いた顔を見せてうなづいた。
「ルフィと友達なんでしょ?私もルフィと友達だよ!」
「という事は、あなたがウタ…さん?ちゃん? 私は8歳なんだけどあなたは?」
「私も8歳。同い年ね!」
「そっか、なら”さん”付けはなしでいいわよ?」
「じゃあ私もウタでいいよ!」
「友達になってくれる?」
「うん!いいよ!!」
はい、ウタと友達になりました。
「ところで、ルフィからシャンクスって名前も聞いたんだけど、ウタはその人の事、知ってる?」
「イオリにそっくりな人だよ!今から会いにいかない?ビックリさせてやろうよ!!」
いや別に…会いたくないんだけどなぁ…。そんな事言っちゃダメかな?
私は船をロープで海岸の岩に括り付けると、ウタにつれられマキノさんの店へと向かった。
「それにしても歌、うまいわよね?」
「そりゃそうよ!私は音楽家なんだから!」
「音楽家?歌手じゃなくて?」
「うん。私は赤髪海賊団の音楽家なの!」
「…海賊なんだ。」
「あ、怖がらなくて大丈夫だよ?シャンクス達は普通の海賊みたいな無法者じゃないから!」
「そうなんだ。でもまあ、ウタみたいな子が乗ってる船がそんな悪い奴らとも思えないしね。ウタは別に止む無く船に乗ってるわけじゃないんでしょう?それに、別に海賊は怖くないわ」
「え?なんで?」
「だって私、強いもの。」
「ふふ…ルフィみたいな事言ってる!」
「ルフィが強いか弱いかは知らないけど、私は本当に強いのよ?」
「わかったわかった」
「あ~全然信じてないでしょ?まぁ別にいいけどね!」
ウタは思った。ルフィとは違うな。と… ルフィならもっと突っかかってくるだろう!信じねぇのか?とか見てろよとかいって、いつも何かやらかしてくれるのだ。でもこの娘はそんな事はない。歳を聞いてみれば自分と同じだった。1月生まれらしいから私のほうが歳上って事になるのかな?
でもうれしいな!同年代の同性の友達なんて居なかったから。
私とウタは村に入った。そして、マキノさんの店に向かう途中で彼らを見つけた。
~ ~ ~ ~ ~
「「!!?」」
私と会ってびっくりしたのは、シャンクス、ヤソップ、ベックマンの3人だった。3人は私から距離を取り戦闘態勢に入る。ウタはシャンクスが抱えて自分の後ろに置いた。
「えっ!?」
「お頭!こいつ…ヤベェぞ!!」
「おまえ、一体…」
「…」
「てめェ…何の為にウタに近づいた?」
「はぁ?…あんたこそ何言ってんの?私は海岸でその子と会って友達になっただけよ?」
「…」
「でも、そうか…。これだと見聞色が強力な人にはわかっちゃう訳だ。ありがと、参考になったわ。これならいいかしら?」
「「!!?」」
3人が驚愕する。
― 気配が…消えた!? ―
「あ…これだと消しすぎね?これでどう?」
「マジかよ…」
「どうやってんだそれ?」
「最初は相殺してたの。で、今は気を静めて気配を消している感じ?」
「…消す事も出来んのかよ。そりゃこえェな…」
~ ~ ~ ~ ~
私が敵でない事がわかると海賊団のみんなも落ち着いた。そして店内に入ったわけだけど…
落ち着いたら落ち着いたでこんな感じになっちゃうわけね?
「…」
「…」
今日2度目よね、これ… うんまぁこれは気まずい。でも確かに似てる。似せているとはいえ似すぎてる。ひょっとして?
でも、考えてみれば十分に有り得るのよね?だってこの人、天竜人なんでしょう?(ちがうのかな?)だったらイムと…いや、イムと知らずにxxxって事も有り得るんじゃないの?しかも、事が起こったとする年齢はこの人が19~20歳の頃だ。若気の至りなんて言葉が躍っちゃうぞ?
あ、ちょっとからかってやろうかな?はたして本当にからかいなのかわからないけど…
「おとう…さん?」
「「!!?」」
店内が大変な事になった。酒を口から噴き出す人、あわてて椅子ごとひっくり返る人、立ち上がっておろおろする人、なぜか店内を走るまわる人までいる。
しまった。本人より周りの驚きのほうが大きいんじゃない?ちょっとしたパニックだわ。
「ちがうちがう!!そんなつもりで言ったんじゃなくて!!冗談のつもりだったんだけど… あれ? もしかしてみなさんはなにかご存じとか?」
「「……」」
顔の前で手をブンブンと左右に動かす者、首がもげそうなほど左右に振る者。うん、けっこうな混乱ぶりね。べつにそんなに激しく否定せんでもよろしいがな。
「ほんとにそっくりだな」
本人さんがおっしゃいましたね。たぶん、こっちもルフィから聞いてるんだろう。
― ポン。 ―
次いで、ベックマンさんが私の肩を軽くたたいた。
「災難だったな。これから苦労するぞ?」
あの…ベックマンさん?そんな憐れんだ顔して見ないでくれます?とっても不安になるから。だ、大丈夫じゃないかなぁ~。髪伸ばすつもりだし。ダメかな?
「なんでだよ!別におれに似てるからって…」
「いや~、いろいろ大変だと思うぜ!あちこちで海賊にからまれたりよ!」
ヤソップさんまで…
これは…いじめじゃないの?あんたたちはシャンクスのこといじめてるつもりなんだろうけどさ!これはそのまま私に対するいじめだぞ? ちょっとむかついてきちゃった!
私はつかつかと歩いていき、ピアノの椅子に腰かけた。びっくりさせてやる!!
私は怒りにまかせて鍵盤に向かった。そして弾くのはショパンの「革命のエチュード」
「「!!?」」
数分間の演奏が終わると店内は静かになった。私も少し落ち着いた。
私が椅子から立つと店の中に拍手が響く。みんなの顔は驚いたままだ。
「すごい!イオリって演奏できるんだ!」
「まあね、ウタの歌には負けるけどね?」
~ ~ ~ ~ ~
一通り自己紹介を終えたあと、ヤソップさんが言った。
「なぁ、この
「んなわけねェだろ!!おれぁまだつくってねェよ!!」
「そうなの?あれ、じゃあウタは?」
「赤ん坊の頃に船に拾われたって聞いた。」
シャンクスに問いかけるとウタが答えてくれた。確か、盗った宝箱に入ってたんだよね。ウタは知らないのかな?
「ふ~ん。海賊船なのにねェ…まぁ、そういう事もあるか。」
「なんか言いたそうじゃねぇか?」
「別に。あなたならそういう事もあるかな?って思っただけ。」
「…知ってんのか?」
「私はミーハーなの。海賊王に関する知識ならだれにも負けない自信があるわよ?もちろんあなたの事も知ってるわ!それこそあなたのクルーが知らない事まで色々ね?」
私の言葉を聞いて、他のクルーが少しばかり驚いた顔を見せる。
「話を戻すけど、拾ったからには最後まで責任持ちなさいよ?さっきウタと友達になったって言ったでしょ?途中で放り出したりしたら許さないから!」
「許さねェと来たか。安心しろ!そんな事しねェよ。」
「言質はとったからね?まぁ海賊の言う事を素直に信じるほど
「「・・・」」
本来、約束を破る人達じゃないって事は知ってるので、本気で思っている訳じゃない。けど、何もなければこの約束は破る事になるので、釘を刺しておいただけの事。筋書きが変わったらいいな的なノリでしかない。フーシャ村に来るのはそれほど多くないので、ウタを置いてきた話については
すると、タイミングよく?ルフィが店に入って来た。
「なんだ、イオリが来てたのか!」
入ってくるなりルフィが言った。なんだか騒がしいなと思ったらしい。
「私もイオリと友達になったよ!」
どうだと言わんばかりにウタが言う。しかも…
「イオリってすごいんだよ!ピアノが弾けるの!すごく上手なんだから!!」
まるでルフィが知らない事を知っているんだと自慢しているように聞こえる。なるほどね。二人はライバルって感じなのかな?
「すげぇなイオリ!お前、音楽家なのか?」
そうきたか。ここで肯定したらまずいわね。音楽家にされてしまう。しかもこいつ、一度決めたら曲げないからね?ブルック迎えられなくなっちゃうわ。
でも、ルフィの音楽家へのこだわりはどこから来たんだろう?既にあるのかな?
「ザンネンでした。違うわよ!」
「ちぇっ。つまんねェ~の。音楽家ならおれの船に乗せてやるのによ!」
「別にあんたの船に乗りたくないわよ。沈んじゃいそうだし…」
「ははは!ルフィ、お前ひどい言われようだな!」
「でも、イオリの言う通りだと思うな!」
「ひでェな、みんなして!!」
店の中が笑いに包まれたのだった。
私はここで、エースの話をしてみた。友達の一人が山賊と暮らしている事をルフィとウタに話したのだ。シャンクスの反応を見る為でもあったのだけれど無反応。知らないのかな?フルネームは言ってないので確信は持てないけど…
友達の一人が山賊と暮らしていると言えば、ルフィが反応するかと思っていたけどこれまた無反応。山賊ヒグマと出会うのはまだ先の事なので、今のところルフィは山賊を嫌っていない。
あれ~?だとすると、ガープはさっさとルフィをダダンに預けてれば良かったんじゃないの?あの人、ほんとにルフィの事を海兵にしたいと思ってるのかな?
聞いたらきっと、『わしの孫じゃし』とか言うんでしょうけどね。
息子だって海兵になってないのになんでそんな自信満々なのか?とっても疑問だわ。やっぱりあの人子育てヘタね。
でもあれか。ルフィが海賊にあこがれているのはともかく、悪魔の実を食べちゃったことと麦わら帽子を預けられたことが原因なのかな?
いやいや、別にそんなもん関係なくね?やっぱりさっさと預けときゃ良かったんだよ。
もしかすると海兵になってたんじゃ……
いやダメだ!!
そうなったら私も拉致られる。
あいつ、私の事ボガードさんポジにしようとしてたの忘れてたわ!!
そうでした。ルフィには海賊になってもらわにゃ困るんだよ!
私が!!
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~ おまけ ~
カノンの戯言
カノンは誰の子という素性は明かされてはいないものの、パンゲア城の
本当はちがうよ?ここの主は、イム様だもんね?(違うのかな?)
城の中には原作で登場した以外にもいくつもの会議室がある。
ほかにも一部、政府要人の部屋と海軍幹部用の有事の際の詰所的な感じの部屋もあり、政府・海軍の関係者が出入りする事も多い。
五老星がカノンの事を”様”付けで呼んでいるのを耳にした者から情報が拡散した事がその発端である。
それまで気を付けていたにも関わらず、一度バレてしまうとこれ幸いという感じで、五老星があからさまにカノンが自分たちの孫的存在である事を吹聴し、現在に至る。
なぜ私がここに居るかというと、ガープさんが普段の自由奔放さを発揮して、海軍本部の自分の部屋へ私を招待したからだ。かわいそうな
私の事を呼び出すとか信じられない的な事をガープさんに言ったら、
「いいじゃろ別に、減るもんじゃなし!」
って言い返されていた。
あのね、ガープさん?一応TPOは大事なんじゃないかな?ボガードさんはともかく、CP0の人も居るんですけど?
※カノンはガープをさん付けで呼んでいます。まだ被害(?)を受けていないから。そのうち呼び捨てになると思う。
そこには青雉こと、クザンさんも居た。せんべいを食べながらお茶を飲む。う~んこれ、(元が)日本人にはたまらないわね。
なんの話から派生したかは覚えてないけど、ガープさんが天竜人が気に入らないという話になり、クザンさんが頭を搔きながら私をチラチラ見ているときになんとなく言ってみた。
「私が命令したって事にすれば、気に入らない奴(世界貴族)をぶん殴っても大丈夫なんじゃないかな?」
「「!!?」」
「いや、そうかもしれませんけど…さすがにそれは…。」
CP0が答える。
「ぶわっはっはっはっ!そりゃいい!!わし、お前の部下にならなってやってもいいぞ!!」
「……あ~その、アレだ。ガープさん?アンタたしか、『それがイヤで』大将になるの断ってたんじゃなかったでしたっけ?」
「わしを専属の部下にすりゃいいだけの話じゃろ?こやつならそれくらいのわがまま聞いてもらえるんじゃないか?」
「まぁ、確かに…」
何、勝手な事言ってるのかな?
「う~ん…確かにあなたは強いと思うけど…」
ぶっちゃけ全盛期なら世界最強と並んでた訳だしね。本気出しゃ、今でも一対一(サシ)なら四皇にも勝てるんじゃないの?
もっとも、私にゃ勝てないでしょうけどね?
「でも制御できない自由人を部下にするのはちょっと…(いや、かなり)嫌…かな?」
「なに!!?」
あ~、ガープさんガーン状態だわ…
まぁ、ボガードさんもつけてくれるんなら考えてみてもいいけどね?
でもたぶん…