サンドラ河を渡ってしばらくして。カルー達が到着した。カルーを含めて7羽の超カルガモ。
こちらの人数は9人だけど、9羽だと、あとで2羽余ってしまうので、7羽で依頼したんだけど、そもそも超カルガモ隊は7羽なんですと…
絶賛隊員募集中との事でした。 ← 誰に対して言っている?
感じる気配とその速度からすると反乱軍の本隊がアルバーナに到着するまでの時間はおよそ3時間。 超カルガモならここからアルバーナまで3時間かからずに行けるだろう。
「とりあえず、アルバーナ付近まで急ぎましょう!」
ここから飛んでもらっても体力を消耗するだけだし、敵に見つかっても厄介だからと言って、ペルとルフィは小さくして私が持って行く事にした。
そして、アルバーナ付近の岩場までやって来た。
会ったことは無いけど大きな気配が集まっているので、オフィサーエージェントは南西門の手前に居ることが分かる。
ここからは死角で見えないけど、逆を言えばヤツらからもこちらが見えないわけだ。
反乱軍の気配は…というと、やっぱり、軍勢はかなり少なくなってるみたいだった。元は70万と言われていたけど、あの放送で思いとどまった人は結構多いみたいだ。集まってくる軍勢を合わせても20万にとどくかどうか…
本隊も10万がやっとというくらいの人数じゃないだろうか?
これで王宮を攻めるのは、少々どころかかなり無謀と思うけど…。それだけ追い詰められているという事なんだろう。
「それじゃ、手はずどおり…」
まず、ペルの背にルフィが乗って飛び立った。ペルは上空高く舞い上がり、アルバーナの城に目掛けて飛んでいく。
しばらくすると、上空からルフィの声が聞こえた。
「待ってろ、クロコダイル~~~っ!!!!」
まぁ、よく響く声だこと… オフィサーエージェントにも聞こえたろうな。反乱軍にも聞こえたかもしれない?
「私たちも行くわ。 ビビ、気をつけて!」
「みんなも…」
コクリと頷き、フードをかぶった仲間を乗せて超カルガモ部隊は走り出した。
オフィサーエージェントが見えてきた。ぐるぐる回ってるヤツが見える。あれが、たぶんボンちゃんだろう。初めて見たけど、デカいわね。
― ズムッ!! ―
という重たい爆音がしたかと思うと、野球のボールのようなものが進行方向に転がってきた。時限装置の音がする。
「近づくな!!!」
ゾロが叫ぶ。 次の瞬間ボールは爆発したが、超カルガモは軽々と爆風を避けた。
「ウソップ、チョッパーは南東門へ向かって!!」
「「わかった」」
2羽が南東門へと向かう。
南門は反乱軍の真正面。南東門はその先にある。Mr4ペアが動いた。
私はウソップからもらっておいた火薬玉をMr1へ向かって指で弾いた。
気づいたMr1は手のひらで受け止める。
小さな爆発が起こり、煙が舞う。
「ナミ、ゾロ!西門へ!!」
「了解!!」
「まかせろっ!!」
ゾロの乗った超カルガモには、ナミの後を追うように言っておいた。その際ゾロの言う事は聞かないようにと、念押しするのも忘れない。たぶん迷子にならずに済むだろう。カルガモから降りた後の事までは責任持てませんけど…。
あ~…言っとけば良かったかも? 大丈夫かしら、ナミ…
そして、その二人をMr1ペアが追う。
まずは一安心。これで対戦カードは原作通りになったはず。
最初から対戦カードを組んでいるので、ウソップがゴーグルを奪われる事も、ウソップに化けたMr2とビビの接触イベントも回避できたんじゃないかな?
「サンジ、あの変なコスチュームを着た大きいのがMr2よ。突破して南西門に行きましょう!」
「ラジャーッ♥!!」
私たちはMr2を吹き飛ばし、南西門を駆け上がる。Mr2が怒って追ってくる気配がする。しかも走って…
超カルガモについて来るなんて、なんてスピードなんでしょう? すごいなボンちゃん。
オフィサーエージェントを分断して、しばらく走り続けた。そして誰もいないところまで移動する。
<サンジ&イオリ VS Mr2>
「ここまで来りゃいいかしら…」
「何ぃ!?」
<ナミ&ゾロ VS Mr1ペア>
「ストップ ストップ!!」
「あなた達、勘がいいわ。そう!私こそがビビ王女!」
「何言ってやが…いってるの?私が真のビビだわよ!!」
「…」
<ウソップ&チョッパー VS Mr4ペア>
「うっふっふっふ!!よくここまでついて来てくれたわね!!」
「ん!!」
「「さァ、正体を見せてあげましょ!!」」
マントを放り投げ、(全員が)正体を露にする。
「「残念、ハズレ!!」」
<サンジ&イオリ VS Mr2>
「へへ!! 反乱はもう、起こらねェぞ」
「…」
「なにを~っ!なんなのあんたら。誰!!? あんたら誰!!?」
<ナミ&ゾロ VS Mr1ペア>
「さァ、ゾロ。やっておしまいっ!!」
「てめェ、黙ってろ!!!」
「…まいったぜ。」
<ウソップ&チョッパー VS Mr4ペア>
「おまえらなんだい。おまえら、おま、『オッ』」
「ゴ…ゴメーン!!!」
それぞれの戦いが始まる。
~ ~ ~ ~ ~
オフィサーエージェントは仲間を追って行った。
「みんな…ありがとう…」
ビビは目を閉じ、祈るようにして呟いた。そして目を見開き前を見る。
《さぁ、今度は私の出番だ。》
「いくわよ、カルー!!!」
「クエッ!!!」
「ここで止めなきゃ、何もかもが無駄になる!!!」
「クエーッ!!!」
ビビを乗せたカルーが走り出す。
ドドドドドド…
地響きと砂煙を上げて、反乱軍が近づいてくる。軍勢は当初の数の半数どころか1/4にも満たない。10万に届かない数だとイオリさんが言っていた。
各地から駆けつけている軍勢を足しても20万にも届かないだろうとの彼女の見解だ。
「コーザ…」
リーダーは、どんな気持ちで進軍してくるのだろう?
ビビは、イオリに言われたように、カルーから降りて反乱軍を待っていた。隣ではカルーが震えている。
「大丈夫よ?カルー。イオリさんの言う通りにすれば何も心配ないから。」
「グェッ」
カルーは歯を食いしばり、恐怖に耐えているようだ。
「私が飛び乗ったら王宮に向けて走ってね。今日は間違えないでよ?」
「オォォォォォォ……」
軍勢の声が次第に大きくなる。ビビの目に先頭集団の姿が見えてきた。
リーダーは…
《あっ、居た!! 確認出来たっ!!!》
” リーダーが確認出来たら彼らを止めるような事をなんでもいいから大声で叫んでほしい。 ”
《わかったわ、イオリさん…》
大きく息を吸い込み、大声を張り上げる。
「止まりなさい!!! 反乱軍!!!! この戦いは仕組まれてるの!! 私の話を聞いてっ!!!」
言いながら、ビビはイオリの言葉を思い出す。
” そうしたら、恐らく国王軍からビビと反乱軍の間に砲弾が打ち込まれると思う。爆煙で二人の接触を阻止するためにね。 ”
ー ボウン!!! ―
国王軍からビビと反乱軍の間に砲弾が打ち込まれ、爆煙と土煙で反乱軍の姿が見えなくなった。
一瞬…ビビは寒気を覚えて鳥肌が立った。
” 砲弾が打ち込まれたらビビはカルーに飛び乗って城に向かって走る。 つまり反乱軍と併走するのよ! ”
ビビはカルーに飛び乗る。そしてカルーは城へと向かって走り出す。スピードを少し緩めて…
程なくして反乱軍の先頭がビビを追い抜いていく。そして
「コーザ!!」
「ビビ!? なんでお前がここに!!?」
「あなたたちを止めに来たの!!今朝の放送は嘘じゃないわ。あれは本当に私とクロコダイルの会話なの!!」
反乱軍は止まった。
《止められた… 無謀とも思われる事だったけれど、本当に… 本当に、反乱軍を止めることが出来た。》
ビビの目には涙が滲んでいた。
《本当に…何もかもイオリさんの言ったとおり…。》
『可笑しい』『外道だ』などと、彼女の仲間は散々に言うけれど、思考を巡らす事でこんなことが可能になるのなら、『悪魔に魂を売ったってかまわない』といった彼女の言葉も理解できる。
こうしてビビはコーザとの再会を果たし、反乱軍本体の進行を止めることに成功する。
《でも、イオリさんはこうも言ってた。『それは一時しのぎでしかない』と…》
イオリさんからはこの後の指示も受けている。
” この騒動が終わるまでは、ビビとリーダーには無事でいてもらわなきゃならない。 ”
《その為に、王宮に向かわないと…》
「ビビ、
「待ってコーザ! そのことなら、大丈夫よ。」
「!!?」
「イオリ…わたしの仲間が止めてくれるからっ!!!」
左手の包帯をギュっと握って、ビビはコーザに告げた。
「それより、私と一緒に王宮に来て。この3年間の一連の陰謀についてキチンと説明したいの。もう一度…、今度は王宮から放送するの。私が話すから、リーダーにも一緒に居てほしいの!!」
ビビとコーザは城へと向かう。
本隊から少し離れたところで、ビビはコーザに服を手渡した。
「コーザ、これを着ておいて? もしもあなたが撃たれたりしたら反乱軍を止められなくなってしてしまうから。」
「…なんだこれ?…トレーナー?」
「とても丈夫な素材で作られているらしいわ。私も詳しいことは知らないんだけど、銃弾も防げるみたいよ?」
白い服をまじまじと見つめるコーザ。何の変哲も無い、普通のトレーナーにしか見えない服。
こんなもので銃弾が防げるとは思えないが…。少なくともビビは信じているのだろう。
「あぁ、わかった。」
コーザは言われたとおりその服に袖を通した。
「ビビ、お前はいいのか?」
「大丈夫よ、ほら。」
コーザに聞かれ、ビビは服の下に身につけているそれをチラリと見せた。この服はナミも身に着けている。
数が無かったこともあり、他の仲間は身に着けていない。ウソップは物欲しそうに見ていたが、『勇敢なる海の戦士』にも必要かな?とイオリが聞いたところ断っていた。
イオリの楽しそうな顔を見ると苛めているようにも思えたが、3着しかなかったのだから仕方がない。 当のイオリも身に着けていないのだから。
もっとも彼女は銃弾を弾くほどに体を強固にできるらしいが…
” …抜け道とかがあるんならそれを使ってもらいたいな? ”
《あの口調からするにイオリさんは知っていたのだろうか?》
イオリに言われたとおり、ビビとコーザは抜け道を通って王宮へと向かった。