イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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03-121話:イオリの別行動

「このオカマは、おれが引き受けた!」

 ネクタイを締めて、サンジが言う。

 

「ジャ~マしやがったわねぃ!!! アンタジョーダンじゃなーいわよーう!!!死になサ~~イ!!!」

「イオリちゃんは用事があるんだろ?コイツはおれに……」

 Mr2が私に向かって放った蹴りを、私とMr2の間に割り込んだサンジが止める。

 

「まかせて貰おう…かな?」

「!!?」

 Mr2が驚いている。

 オカマ拳法って強いのかな? 気配の大きさからするとサンジに分があるからいいんだけど…。

 

「ありがとサンジ。頼んだわよ!!」

 走り出した私に、サンジがグーサインをして見送ってくれた。

 さて、反乱軍の援軍を止めに行きますかね。

 

 実のところ、武闘派3名は既に武装色を発現している。まだまだ思い通りには使えてはいないけど、それでも2割くらいの確率で攻撃に覇気が乗っている。

 ただし今回、ゾロにはダズとの戦いでは覇気を使わないように指示している。自力で鉄を斬る為だ。

 そうは言っても命あってのものだねなので、イザとなったら使うようにとは言っているけど、たぶんあいつは使わない。なんとなくだけど原作通りになるんじゃないかな?

 深手を負わなきゃいいな…程度にしか思っていないのは、私がゾロを信頼しているからなんだろうか?

 

 実はウソップも武装色を発現はしている。成功率はまだ1割に届かないけど、パチンコで10数発に1回は覇気が乗る。今回の戦いでそれが出れば、原作よりは楽に勝てるんじゃないかな?

 まあ、ウソップの場合、敵が強いとわかった途端に気力が萎えて、覇気が使えるかはわからんけども…

 

 *--*--*--*--*

 

 それより少し前…

 

「おい、君! そろそろクロコダイルが何処にいるか、確認してくれ。」

「あれっ?電伝虫がねぇ!!」

 

 アラバスタ付近の岩場には…

 

「………」

 置き去りにされた子電伝虫が居た。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 おかしいわね? ルフィは私たちより先に飛んでったハズなのに…!?

 

 クロコダイルの場所を指示するために、ルフィに電伝虫を渡した。

 飛んでるペルは電伝虫は使えない。だからルフィから連絡をもらうことにしていた。

 

 電伝虫を渡したとき、ついでに肉がほしいと言われたので、肉も渡した。

 水樽を忘れそうになっていたので、踵落としをくらわせた。堪えてなかったけど…。

 水樽とリュックを持ってあいつはペルの背に乗って飛んでったのよね…

 あれっちょと? なんかおかしくね?

 確認してみましょう。電伝虫を渡した。そんで、肉がほしいといわれて、肉を渡した。

 肉をリュックに詰めてたのは覚えてる…けど…ん?電伝虫はどうなった?

 エイタに言って、映像を確認してみると、私が渡した電伝虫をルフィは岩の上に置いていた。そして肉を受け取りバックに入れた。その後、水樽忘れそうになったんで、すっかり電伝虫が忘れ去られているじゃんね?

 こらこら…肉と電伝虫と、どっちが大事だってのよ? あぁ…ルフィにとっちゃ肉の方が大事だわ。なんてこったい!!

 いや待って…それ以前にあいつ、電伝虫の使い方知らないんじゃね?

 しまった!!うっかりしてた。 ってか、ルフィは今何処に!!?

 

 気配を探ってみて、私は頭をかかえた。二人の気配が最初の岩場の辺りに確認できたからだ。

 そして電伝虫が鳴る。

 

 ペルに言われて、リュックの中を確認して(ルフィは肉をつまみ食いしたと思われる)電伝虫がない事がわかると、岩場に戻ったとの事。

 さらにはやっはり電伝虫の使い方がわからず、電話をかけて来たのはペルだった。

 迷惑かけたねペル…。私も悪かったんです。ゴメンなさい…。

 

『イオリ、おれだ。クロコダイルはどこにいるんだ?』

「あんたは…なにやってんのよ?」

『しょうがねぇだろ。電伝虫、岩場に忘れちまった。』

「……」

 悪びれずに言うルフィ。これは長所なんだろうか?それとも短所なんだろうか?

 なんだか凄く疲れる…。

 今ここで怒ったところで何の解決にもならないわ。いっそ、近くに飛んでぶん殴ってやろうかと思ったけど、無駄な体力を使ってる場合じゃないし…。

 

「ハァ…しょうがないわね…」

 私はため息を吐いて自分を落ち着かせた。

 

「今、クロコダイルは城にいるわ。もうすぐビビも到着するわよ。急いで頂戴!」

『おう、わかった。クロコダイルぶっ飛ばしてやる!!』

 …お前、そのセリフ何度目だ? まぁ、いいや。私も今それどころじゃないし…

 

「まかせるわ。頑張りなさい!」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 ビビが止めたはずの反乱軍本隊も動き出したみたい。やはり紛れ込んだ敵の数は少なくなさそうだ…。

 少しでも進軍が遅れるように画策はしてみようかしらね?

 

 アラバスタでエルに活躍の場は少ない。かといって砂漠の都市で放すわけにもいかず、またポケットの中に入れっぱしは戦闘中にはよろしくない。

 なので、エルは現在パックダイアルの中にいる。ちなみにマツゲも同じである。事が終わった後に出してあげてもパックダイアルの中に居たモノには時間の経過は感じられない。入れられて、すぐ出されたというふうに思うに違いない。

 

 本隊から見えるほどに近づいた反乱軍の部隊が3つ…。数にして1つ1万弱ほどだろうか?

 これらが突然、その進軍を止めたなら、本隊の兵士達はどう思うかしら?

 何かあったのかと、本隊の進軍が遅くなるのを期待したいところである。

 

「さて…行きますかね。」

 

 

「アルバーナは近いぞ、士気を上げろ!!」

 オーッ!!!

 進軍する軍勢の前に、移動する。土煙を上げて迫る軍勢…。息を整えて… スタスタと、軍勢に向かって歩き出す。

 

「おい、何だあれは?…人…?」

 先頭が私に気づいた。さて…

 

 ”ドクンッ!!”

 

「「!!?」」

「うっ?」

 ― ビリリ!! ―

 ブクブク… ドサ ドサ …

 馬も含めて1万の軍勢全員が気絶する。

 さらに覇気で気配を探り、後方の気絶の程が浅い連中に追撃をかける。

 これで数時間は気絶したままだろう。

 

 先頭集団から、バロックワークスのマークを着けていない者を数名叩き起こす。

 

「…うわっ、なんだお前はッ!」

「王女様の護衛…と言えばわかってもらえるかしら?」

「!!?」

 どうやらちゃんと、放送を聞いていたようで、私の声に気づいてくれたみたい。

 

「このマーク…これが、今回の黒幕の仲間の”しるし”よ。ざっと見た感じでも100人はいるみたいね。叩き起こしでもしない限り、4,5時間は気絶してると思うから、縛り上げておくといいわ。後で海軍に引き渡せるようにね。」

 

「あと二つ…」

 瞬間移動を繰り返し、3つの部隊がことごとく動かなくなる。

 反乱軍本隊の後方部分の進軍が遅れ出し、隊列は長く伸びた。ほどなく先頭集団も異変に気づき、その速度を緩めるだろう。

 

 まだ反乱軍の部隊はこちらに向かっている…

 

「あまり、小さなグループを相手にするのは面倒ね…ある程度集まってもらったほうがいいか…」

 合流しそうな気配もいくつかある。要は本隊に合流させなければいいんだから…

 

 

 各地から集う反乱軍の部隊… 1万~2万の集団があと6つほど……

 同じように覇王色で全員気絶させてその後、集団の人数に応じてBW以外の人を何人か叩き起こして、BW社員を捕縛するようにと指示をする。

 覇王色はそれほど体力使わない。けれど、その後が面倒だった。幸い放送で流れていた私の声を聞いている人も居て、『王女様の護衛』というのが聞いたらしく信じてくれたから良かったけど、そうでなければ、捕縛まで私がやらなきゃならなかったからね。

 まぁ、4,5時間気絶してるのであれば、その後動かれても問題ないと思うから、信じてくれないようであれば、もう一度気絶させるだけだったんだけどね?

 

 一番体力を使うのは瞬間移動だ。今まで1日でこんなに何度も飛んだ事はない。時間がないから仕方がないんだけど、それにしてもバラけてくれていたもんだ。

 アルバーナ付近で待ち受けて殲滅…っていうのが一番楽だったんだろうけど、この後まだやらなきゃならないことがあるから、悠長に構えることができなかった。

 時間を止めて剃刀で移動…というのも考えたけど、さすがに広すぎる。

 それに、時間止めは体力回復の為に取っておいた方がいい。

 

「もう限界…。少し休まないと…。」

 時間を止めて休憩に入る。

 このとき役に立つのは2つの時計。 身に着けた時計は時間を止めた状態でも一緒に動く。

 一方、止めるときに手から離しておいた時計は止まる。この誤差が止めた時間になる。

 24時間を越えて時間を止めることは出来ない。止めた分は後で自分だけが止まる『返済』をする必要がある。

 返済をしなければ、時間を止めることが出来なくなってしまう。

 いざと言うとき使えないと困るから、これはきっちりやっておく必要があるのよね。

 

 6時間ほど寝て…。さらに食事をしてから1時間ほど休憩。 計8時間……。

 

「よし回復!! じゃあ次、行ってみようかな。」

 

 集まって来ようとしていた部隊は気絶させ、工作員たちは捕縛した。

 さて次は…ルフィがクロコダイルをぶっ飛ばした後、雨を降らせる為に…

 ウェザリアへ。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 運が良かったのは、ウェザリアがアラバスタ付近に居てくれた事だ。今はそう。アルバーナのすぐ近くにある。風の吹くまま赴くままだったはずだけど、私が内緒で移動してました。

 ナミにはちょっと気づかれそうにはなったけど、上に居る人達には気づかれていないと思う。

 

 たしかここの祖父ちゃん達は、女の子に弱かったよね? って事で、変装しないでいく事に。

 ビビの友達という事を全面に出す事も計算に入れてユナの姿で…

 

 ウェザリアの祖父ちゃん達は、アラバスタでダンスパウダーが使われたことを知っていた。

 (しかも、F-RONPもユナの事も知ってました。ファンクラブの存在は知らないらしいけど…)

 でも別に何か行動を起こすという事はしない。伝説と呼ばれているらしいけど、そもそもここに居るのは研究集団だから、それも当然ではあるけれど…

 

 ここって、お祖父ちゃんばっかり?かと思ったら若いのが一人いた。けど一人か…

 後継者はどうするんだろう?私が気にする事じゃないような気もするけど…

 

 んで、お願いしてみました。そしたら、雨季でもないのに雨雲が連なって流れこむようで、ダンスパウダ-の効力がなくなればアラバスタ全土を覆うだろうとの事。ただし、雨が降るのは今晩かららしい。

 やっぱりズレてた…。ここに来たのは正解だった!!

 

「それって、何とかなりませんか?ダンスパウダーの煙はもうすぐ消えるんです。あと数時間後にアラバスタ全土に雨を降らせなきゃならないんです。」

 

 もう、土下座でもなんでもします。

 

「どうしようかの~」

 後ろのほうでは、女の子が土下座までしてるんだから、それくらいいいんじゃないのか?的な事を言ってたり、考えてたりする人達もいるし…。もうひと押しって感じかな?

 

「友達を…助けたいんです。どうか…どうかお願いします…」

 私は土下座のまま、ボロボロと涙を流した。 ええ、嘘泣きですがなにか?

 

「お~~~っ!!お!!お~~~おいおいおい娘さんや!!」

「若い娘さんにイジワルして泣かすとは、とんでもない虐待を!!」

「わかった!わかった!!わしらがなんとかするから、皆もよいじゃろ?」

「「もちろんじゃ」」

 

「ほら、娘さん泣き止み…」

「ありがと~~~!!」

 

「「ハ~~~!!?何じゃ!? 嘘泣きじゃったのか!!?」」

 

「お祖父ちゃん達、よろしくね!!」

 抱きついたり、腕にしがみついたりして追い打ちをかける。うーん、私もよくやるよね…

 

「…今回はとくべつじゃぞ?」

 と言った、一番えらい祖父ちゃん(ハレダスさん)には「ありがとー!!」って抱きついて、顔を胸に埋めてあげました。

 

 なんだか、サンジのようなメロリン状態になってたけど…。ちょっとやり過ぎたかしら??

 

 あ、ヤバい…ここには後日、ナミが来るんだったっけ…

 

 ……後々、ナミにばれたら怒られそうな気がする。

 

 …でもでも…今はユナの恰好だし、ユナがやった事なら許してくれるんじゃないかな?

 

 ダメかな?

 

 

 その後、雨の降り出しの合図も決めて、私はウェザリアを後にしたのだった。

 

 

 

 

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